全年次の3割超が『役割が変化しない状況』に成長不安。2、4年目は『昇進・昇格できない』、3年目は『期待を聞いたことがない』状況にも不安を実感
【若手社員の意識調査】社会人2年目~4年目の壁(自分の成長とスキル編)
背景
当社ではこれまで、新入社員の意識調査や入社1年目のギャップに関する調査など、1年目社員の調査を様々な視点で行ってきました。人材育成、採用などの業界においても1年目社員に関する調査は数多く実施されていますが、2~4年目の社員に関しては1年目ほどフォーカスが当たっていないのが現状です。一般的に“若手”と一括りにされることが多い年次ですが、各年次における意識は多種多様ではないでしょうか。若手が思うように育たない、新人研修やOJTなど時間やコストを投資したがすぐに辞めてしまう、これからというタイミングで転職してしまうなど、若手に関する悩みは多くの企業が抱えており、当社にも日々相談が来ています。その解決の糸口をみつけるために、若手を紐解き、2年目、3年目、4年目と各年次がそれぞれどのような価値観を持ち、悩みを抱えているのか、また共通点や違いは何かを明らかにすべく、各年次に対して調査を実施しました。
調査結果の概要
・「自分の成長」への不安は2年目が最も高く、「知識・スキル」への不安は4年目が最も高い。3年目はどちらも低い“く”の字傾向
・自分の成長に不安を感じる場面、全年次共通で3割超が「役割が変化しない」とき。 2、4年目は「昇進・昇格できない」、3年目は「期待を聞いたことがない」ときにも成長不安を実感
・自分の評価が適切ではないと感じる場面、2年目「昇進・昇格できない」、3年目「期待を聞いたことがない、褒められたことがない」、4年目「チャンスが回ってこない」とき
・自分の評価が適切ではない状況に対し、2、4年目は会社を辞めたくなり、3年目は不満を抱く
・自分に足りない知識・スキル、2、4年目は「プレゼンテーション力」「発想力」、3年目は「計画力」「実行力」
調査結果の詳細
1.「自分の成長」への不安は2年目が最も高く、「知識・スキル」への不安は4年目が最も高い。3年目はどちらも低い“く”の字傾向
本調査では、社会人2年目、3年目、4年目の若手社員に対し、現在どのようなことに困難を感じているか、不安を感じているか、仕事や上司、キャリアや自分の成長など、16の項目(以下、『16の壁』と記載)について質問しました。その中でも、「自分の成長に不安を感じることがある」「自分の知識・スキルに不安を感じることがある」といった自分自身の成長や知識・スキルの壁について、結果を年次別に比較しました。
まずは、「自分の成長に不安を感じることがある」について年次別に見ると、社会人2年目が48.3%と最も高い割合となり、3年目が43.0%、4年目が45.3%でした。
次に、「自分の知識・スキルに不安を感じることがある」については、社会人2年目が42.3%となり、3年目が39.3%、4年目が45.7%と4年目が最も高い結果となりました。
どちらの結果も3年目には一度下がり、4年目には上がるという傾向が見られました。このように、3年目が低くなる“く”の字傾向は1回目の「TOP3編*」(仕事を進める上での壁、仕事の量の壁、仕事の飽きの壁)や2回目の「ストレッチ業務編*」(難しい仕事の壁、精神的に追い詰められる壁)の結果においても見られ、16の全ての壁のうち半数以上の項目で、社会人3年目が他年次よりも低いという結果が見られました。(図1)*最終ページ参照
2.自分の成長に不安を感じる場面、全年次共通で3割超が「役割が変化しない」とき。 2、4年目は「昇進・昇格できない」、3年目は「期待を聞いたことがない」ときにも成長不安を実感
「自分の成長に不安を感じることがある」と回答した人に、具体的にどのような場面で成長不安を感じたのか質問しました。結果、「役割が変化しない」が、各年次最も高い結果となりました(社会人2年目34.5%、社会人3年目38.8%、社会人4年目36.8%)。
続いて、2年目の2位には「昇進・昇格できない」「期待を聞いたことがない」が同率17.9%、3年目の2位には「期待を聞いたことがない(20.2%)」が入り、4年目の2位には2年目同様に「昇進・昇格できない(22.1%)」が入りました。
年次での差に注目すると、「昇進・昇格できない」においては、4年目と3年目の差が大きく、4年目が7.4ポイント高くなりました。「期待を聞いたことがない」は3年目と4年目の差が大きく、3年目が8.4ポイント高くなりました。また、割合はそこまで高くはありませんが、「少ない業務しか回ってこない」、「簡単な業務しか回ってこない」の2項目のみ、2年目が他年次よりも高く、特に「少ない業務しかまわってこない」については、4年目と5.7ポイントの差がつく結果でした。(図2)
3.自分の評価が適切ではないと感じる場面、2年目「昇進・昇格できない」、3年目「期待を聞いたことがない、褒められたことがない」、4年目「チャンスが回ってこない」とき
前述の成長不安の壁同様、「昇進・昇格できない」「期待を聞いたことがない」が回答の上位となった設問が、評価に関する壁です。
評価に関する壁では、「自分の評価が適切ではない」と感じている社会人2~4年目に対して具体的にどのような場面で適切ではないと感じたのか質問しました。
社会人2年目は「昇進・昇格できない(27.5%)」が最も高く、2位である「褒められたことがない(15.9%)」から10ポイント以上の差をつけ、断トツの1位となりました。3年目においては「期待を聞いたことがない」「褒められたことがない」が18.9%で最も高く、特に「期待を聞いたことがない」については4年目と11.3ポイントの差がつきました。4年目に関しては、「チャンスが回ってこない(24.2%)」が最も高く2年目と14.1ポイントの差がつきました。評価においては、順位やポイントに大きな差が出る結果となり、年次ごとの意識差が明らかとなりました。(図3)
4. 自分の評価が適切ではない状況に対し、2、4年目は会社を辞めたくなり、3年目は不満を抱く
ちなみに、自分の評価が適切ではないと感じている人に、その場面をどう捉えたかも、質問しました。
社会人2年目、4年目は「会社を辞めたくなった」が最も高く、特に2年目においては30.4%と他年次と約8ポイントの差。3年目は「不満を抱いた」が25.7%で最も高く、他年次と約4ポイント差となりました。(図4)
5. 自分に足りない知識・スキル、2、4年目は「プレゼンテーション力」「発想力」、3年目は「計画力」「実行力」
最後に、「自分の知識・スキルに不安を感じることがある」という壁について、具体的にどのような知識・スキルが足りていないか質問しました。
結果、社会人2年目は1位「プレゼンテーション力(27.6%)」、2位「思考力」「発想力」(18.1%)。3年目は1位「計画力(22.0%)」、2位「プレゼンテーション力」「実行力」(21.2%)。4年目が1位「プレゼンテーション力(27.0%)」、2位「発想力(19.7%)」となりました。
年次で差がついた項目は、3年目の「計画力」が2年目と11.8ポイント差に。その他、割合は高くないものの「情報収集力」「セルフマネジメント力」は2年目が他年次よりも5ポイント程高く、「実行力」「推進力」については3年目が他年次よりも4ポイント程高く、「解決策立案」については4年目が他年次よりも4ポイント程高い結果となりました。
また、「計画力」「ビジネスマナー」「パソコンスキル」「リーダーシップ力」「営業力」においては、3年目4年目は高いが2年目だけ低いという傾向となりました。1、2年目で土台を身につけていなかった事で、3年目になり知識・スキル不足を改めて実感するケースもあれば、3年目以降で新たに業務上求められてくるスキルに対して不安を感じるケースもあるものと考えられます。(図5)
まとめ
今回は、社会人2~4年目が直面する壁のうち、自分の成長や知識・スキルに関する壁について分析しました。
自分の成長に関しては、2年目が最も不安を抱えている結果となり、具体的な場面については「役割が変化しない」に次いで「昇進・昇格できない」ときに不安を感じるという結果が出ました。また、自分の評価が適切ではないと感じる場面についても「昇進・昇格ができない」と回答しており、その状況に離職意向を抱くことが明らかとなりました。若手の役職登用や人材獲得競争からの初任給引き上げなど、世の中の様々な企業の取り組みを見聞きする中で、自分自身の状況と比較をし、不安につながっているのかもしれません。3、4年目になると自分の評価に関しては、「昇進・昇格」よりも「自分への期待」や「仕事のチャンス」にフォーカスが当たっており、仕事を経験していく中で自然と意識の変化が生まれていると考えられますが、2年目の昇進・昇格への意識の高さは、注意深く接する必要があるかもしれません。2回目のストレッチ業務編*で明らかとなった「成長の機会と感じる、期待に応えたいと感じる」ポジティブな気持ちを引き出すストレッチアサインメントを通し、成長の軌道に乗せてあげること、またキャリア形成支援などの取り組みを通して、中長期的な成長の道筋が見えるようサポートできるとよいでしょう。
そして、見逃してはいけないのが、3年目の“く”の字傾向です。16の壁の項目の中でも半数以上の項目において、3年目が低くなる傾向が見られましたが、「低い=不安をあまり感じていないからサポートは不要」ではなく、むしろ対応の見直しが必要な年次であるといえます。成長不安や評価の壁の結果において「期待を聞いたことがない」が他年次よりも高く出ており、“自分は何を求められているのかがわからない状況”にいることが判明しています。また、今回、仕事を進める上での壁や仕事の量の壁、難易度の高い仕事の壁などでも3年目は低い結果でしたが、キャリア不安を感じる場面の3年目の結果は「キャリアについて考える余裕がない」が他年次と10ポイント以上の差をつけ1位に。時間や労力が足りず考えられない状況だけではなく、自分でどう考えていいのかわからず、“迷子”になっている可能性も考えられます。1回目のTOP3編*の結果では、「仕事を進める上で、相談相手がいない状況に困難を感じる」が他年次より3年目が高く出ており、ここからも“迷子”状態であることが伺えます。ある程度一人で業務がこなせるようになり、多くの企業では一人立ちを求められる3年目。ついサポートが手薄になりがちですが、何を期待し、どうなっていってほしいのか、迷っていることはないか、定期的に話す機会を作る必要があるでしょう。
*これまでに公表した若手社員の意識調査結果
●ラーニングエージェンシー「若手社員の意識調査(社会人2年目~4年目の直面する壁 TOP3編)」
社会人歴で、直面する壁の違いが明らかに!仕事の飽きの壁は社会人2年目が最も高く約5割が直面
https://www.learningagency.co.jp/topics/20221005
●ラーニングエージェンシー「若手社員の意識調査(社会人2年目~4年目の直面する壁 ストレッチ業務編)」
難しい仕事への挑戦 全年次共通で約4割が成長の機会と感じる
https://www.learningagency.co.jp/topics/20221012
●ラーニングエージェンシー「若手社員の意識調査(社会人2年目~4年目の直面する壁 上司とキャリア不安編)」
2年目、3年目、4年目の若手社員の約4割が「今の会社で働き続けることに不安」
https://www.learningagency.co.jp/topics/20221026
調査対象者 | 22~34歳の社会人2年目~4年目の就労者 |
調査時期 | 2022年7月22日~7月25日 |
調査方法 | 調査会社によるインターネット調査 |
サンプル数 | 900人 <社会人2年目>300名、 <社会人3年目>300名、 <社会人4年目>300名 |
属性 | <社会人2年目> (1)性別 ①男性:39.7%(119人) ②女性:60.3%(181人) (2)所属企業の従業員数規模 ①1人~50人:18.7%(56人) ②51人~100人:14.3%(43人) ③101人~300人:21.3%(64人) ④301人~1,000人:12.7%(38人) ⑤1,001人~5,000人:9.7%(29人) ⑥5,000人~:11.3%(34人) ⑦不明:12.0%(36人) <社会人3年目> (1)性別 ①男性:35.3%(106人) ②女性:64.7%(194人) (2)所属企業の従業員数規模 ①1人~50人:21.3%(64人) ②51人~100人:13.7%(41人) ③101人~300人:14.7%(44人) ④301人~1,000人:15.3%(46人) ⑤1,001人~5,000人:11.7%(35人) ⑥5,000人~:9.7%(29人) ⑦不明:13.7%(41人) <社会人4年目> (1)性別 ①男性:35.3%(106人) ②女性:64.7%(194人) (2)所属企業の従業員数規模 ①1人~50人:14.3%(43人) ②51人~100人:10.3%(31人) ③101人~300人:18.7%(56人) ④301人~1,000人:15.3%(46人) ⑤1,001人~5,000人:13.3%(40人) ⑥5,000人~:19.3%(58人) ⑦不明:8.7%(26人) |
*本調査を引用される際は【ラーニングエージェンシー「若手社員の意識調査(社会人2年目~4年目の直面する壁 自分の成長とスキル編)」】と明記ください
*各設問において読み取り時にエラーおよびブランクと判断されたものは、欠損データとして分析の対象外としています
*構成比などの数値は小数点以下第二位を四捨五入しているため、合計値が100%とならない場合がございます
株式会社ラーニングエージェンシー 当社は設立以来、定額制集合研修 「Biz CAMPUS Basic」、ビジネススキル学習アプリ「Mobile Knowledge」、ビジネススキル診断テスト 「Biz SCORE Basic」など、人と組織の学びを支援する業界初*のサービスを開発・提供しています。「LEARNING」の可能性を探求し続け、「人と組織の未来創り」を真にリードできる伴走者、ラーニングコアパートナーとして、お客様に長く貢献してまいります。 *Biz CAMPUS Basic、Mobile Knowledge(For Freshers)は東京商工リサーチ調べ、Biz SCORE Basicはシタシオンジャパン調べ ラーニングイノベーション総合研究所 ラーニングエージェンシーの研究機関であるラーニングイノベーション総合研究所(以下、LI総研)は、人と組織の未来創りに関する様々な調査・研究活動を行っています。LI総研はデータに基づいた最適な解決策もご提供し、お客様の組織開発をサポートしています。 代表取締役社長 眞﨑 大輔 事業内容 人材育成・教育研修 本社所在地 〒100-0006 東京都千代田区有楽町 2-7-1 有楽町 ITOCiA(イトシア)オフィスタワー18F URL www.learningagency.co.jp |
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