【速報】2023年入社の新人4,428人が回答!仕事で成し遂げたいことに「安定した生活を送りたい」が4年連続増加、65.8%と過去最高の割合に
2023年 新入社員意識調査
株式会社ラーニングエージェンシー(本社 東京都千代田区、代表取締役社長 眞﨑大輔、以下「LA」)および人と組織の未来創りに関する調査・研究を行うラーニングイノベーション総合研究所では、2023年4月1日~4月11日の期間、2023年入社の新入社員4,428人を対象に「新入社員意識調査」を行いました。入社式を迎えた新入社員がどのような気持ちでいるか、また働くことに対してどのような価値観を抱いているか、調査結果を公表いたします。
背景
2023年入社の新入社員はZ世代と呼ばれ、物心ついたときからすでにデジタル技術が発達している社会で育ってきました。幼少期から高速通信環境が存在し、学生時代には4G・5Gが整備され、YouTubeなど個人発信のエンタメの発展と共に育ってきました。また、外部環境の影響を大きく受けている世代でもあり、思春期には東日本大震災を経験。学生時代は、新型コロナウイルス感染症の影響によりコミュニケーションの大部分がオンラインへと移行。組織を意識したり、集団行動が求められる機会が減少したことにより友好関係も縮小傾向にありました。さらに、近年はロシア・ウクライナ戦争の長期化による経済の縮小、原材料価格や物流費の高騰や円安など、様々な外部環境の変化に翻弄される企業をメディアを通じて見てきたことでしょう。このような外部環境の大きな変化と共に育ってきた今年の新入社員は、仕事に対してどのような価値観をもっているのでしょうか。
調査結果の概要
・入社式後の新人の気持ち、半数以上が「不安」「緊張」と回答。6割以上が「仕事についていけるか不安」と回答
・新人が仕事を通して成し遂げたいこと「安定した生活を送りたい」が4年連続増加。65.8%と過去最大に
・約7割の新人が、今後していきたい仕事に「楽しくてやりがいのある仕事」と回答、「成長につながる仕事」は昨年より7.1ポイント減少
・20代の時間の使い方「プライベート優先」が増加傾向にあり、10年前から約4倍に
・自分が成長するために必要なもの「仕事を通じた成功体験・失敗体験」が共に6割超え
・キャリアアップにつながる理想の上司は「間違いを指摘して正してくれる上司」が57.4%で1位
調査結果の詳細
1.入社式後の新人の気持ち、半数以上が「不安」「緊張」と回答。6割以上が「仕事についていけるか不安」と回答
2023年4月、入社式を終えたばかりの4,428人の新入社員に、現在の気持ちを単一選択で質問しました。結果、「不安」と回答した新人が34.8%と、最も多い結果となりました。次に「緊張」が21.7%、「期待」が14.9%と続きました。新たな門出を迎えた新入社員は前向きに捉えている方も一部いるものの、半数以上は「不安」や「緊張」と回答する結果になりました。(図1)
次に、現時点で「不安」に感じることは何か質問したところ、「仕事についていけるか(仕事の難易度)」が64.9%と最も高い割合となりました。次に「生活リズムや社会人としての考え方の習得」が45.9%、「社会人の基礎的なマナーの習得」が41.0%と続きました。
2位となった「生活リズムや社会人としての考え方の習得」は、当社が昨年実施した若手社員の意識調査*1の中で、入社1年目の新入社員が入社前後に感じるギャップを調査した際も、7割の新入社員がギャップを感じると回答しており、最も高い割合となる項目でした。また、そのギャップを感じた人の約25%が「会社を辞めたくなった」というネガティブな印象を抱いていることも明らかとなっています。
このように、入社時に感じた不安はその後の離職意向に影響する可能性もあるため、入社時に抱いている不安を軽視せず、解消するためにどのようなサポートが必要なのか考えていけると良いでしょう。(図2)
*1若手社員の意識調査(社会人1年目の入社前後のギャップ編)https://www.learningagency.co.jp/topics/20220819
2.新人が仕事を通して成し遂げたいこと「安定した生活を送りたい」が4年連続増加。65.8%と過去最大に
「不安」「緊張」「期待」と様々な感情を抱えている新入社員ですが、仕事に対してはどのような価値観を抱いているでしょうか。仕事への向き合い方に関する質問をしました。
仕事を通して成し遂げたいことを質問したところ、「安定した生活を送りたい」が65.8%で最多に。この割合は過去最大の結果となり、2019年以降4年連続で増加しています。
次に、「自分を成長させたい」と回答した割合が57.8%と続きました。この項目はコロナ禍前の2020年までは増加傾向にあったものの、その後は減少し続けています。(図3)
3.約7割の新人が、今後していきたい仕事に「楽しくてやりがいのある仕事」と回答、「成長につながる仕事」は昨年より7.1ポイント減少
次に、今後どのような仕事をしていきたいか質問したところ、「楽しくてやりがいのある仕事」が68.8%で1位、次に「自分の成長につながる仕事」が48.2%と続きました。「楽しくてやりがいのある仕事」は、昨年より4.2ポイント減少したものの、6割を超える結果となり、5年連続第1位となっています。また、「自分の成長につながる仕事」は、過去5年間で最も低い割合となり、昨年より7.1ポイント低い結果となりました。(図4)
4.20代の時間の使い方「プライベート優先」が増加傾向にあり、10年前から約4倍に
楽しくてやりがいのある仕事を求める傾向にある新入社員は、どのような時間の使い方を理想としているのでしょうか。20代の時間の使い方として、「仕事」「自己投資」「プライベート」と何を優先していきたいと考えているか、質問しました。
結果、「仕事とプライベート優先」と回答した割合が27.7%と最も高くなり、2020年以来1位だった「仕事とプライベートと自己投資をバランス良く(18.6%)」に9.1ポイント差をつけ逆転しました。3位には「プライベート優先」が18.4%と続きました。
過去10年間で比較すると、「プライベート優先」が毎年増加を続けており、10年前と比べ約4倍の結果となりました。また「仕事とプライベートと自己投資をバランス良く」は10年前の34.8%から減少傾向にあり、今年は18.6%となりました。(図5)
5.自分が成長するために必要なもの「仕事を通じた成功体験・失敗体験」が共に6割超え
ここまでの結果でわかるように、プライベート重視で安定志向の強い2023年度の新入社員は、自身が成長するために何が必要だと考えているのでしょうか。実際に、「自分が成長するために必要なものは何か」を質問したところ、「仕事を通じた成功体験」が64.9%と最大の割合となりました。次に「仕事を通じた失敗体験」が60.9%、「上司からのフィードバック」が53.8%と続きました。自分の成長には、現場での仕事の体験や経験を積むこと、またそれに対する上司や先輩からの事後のフィードバックが必要だと考える新入社員が半数以上いることがわかりました。(図6)
6.キャリアアップにつながる理想の上司は「間違いを指摘して正してくれる上司」が57.4%で1位
次に、自分のキャリアアップにつながる理想の上司がどのような上司か質問したところ、「間違いを指摘して正してくれる」と回答した割合が57.4%となりました。次に「自分のことをよく見てくれ、声をかけてくれる」が41.1%、「具体的に手順を細かく教えてくれる」が40.9%と続きました。上司から間違いを指摘されたり、手順をしっかり教えてもらうことが自身のキャリアアップには必要であり、上司とは小まめなコミュニケーションをとっていきたいと考えていることがわかります。(図7)
まとめ
新年度が始まり、早3週間が経過しようとしています。毎年、フレッシュな新入社員に良い刺激を受け、心なしか背筋が伸びるような想いを抱く既存社員の方もいれば、Z世代やデジタルネイティブと呼ばれる新入社員に対し「何を考えているかわからない」「どうサポートすることが適切なのかわからない」と不安を抱く方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は当社がこれまで行ってきた10年間の新入社員意識調査の結果との比較も交えながら、今年入社した新入社員が抱く「働くこと」に関する意識や価値観を分析しました。
今回の調査では、まず「入社式後」の気持ちを質問しました。結果、半数以上が「不安」や「緊張」を抱いていることがわかりました。一方「楽しい」「嬉しい」という気持ちは1~5%という低い結果となりました。昨年10月に当社で実施した内定者向けの意識調査*2では、内定期間中の気持ちとして、複数選択式であったものの、「不安・心配」に続き「嬉しい・楽しみ」が6割に達する結果となりました。内定期間に抱いていた「嬉しい・楽しみ」な気持ちは、社会人人生のスタートを切った入社時には「不安」な気持ちの方が大部分を占めており、この半年での気持ちの変化が伺えます。
また、入社式後の気持ちだけでなく、仕事を通して成し遂げたいことや今後していきたい仕事などの質問からも、今年の新入社員の価値観をうかがうことができました。「仕事を通じて成し遂げたいこと」からは「安定した生活を送りたい」といった項目に6割以上の回答が集まり、4年連続増加傾向となりました。また、「今後していきたい仕事」では「楽しくてやりがいのある仕事」の項目が5年連続1位となりました。デジタルネイティブであり高度情報社会を生きてきた今年の新入社員は、原材料価格や物流費の高騰、円安、国際関係の緊張状態、そしてそれらに伴う企業の業績不振などの情報にも敏感な世代とされており、安定を強く求めるのはそうした背景があるからなのかもしれません。
一方、「仕事を通じた自分の成長」への関心は減少傾向にあることも同じ質問からわかりました。「理想とする時間の使い方」への質問でも「プライベート優先」が10年前の約4倍となる一方、「自己投資優先」は逆に10年間で最も低い回答割合となっています。こうした「プライベート重視」「仕事を通じた自己成長への意欲低下」の傾向を見ると、新入社員との接し方や、育成の仕方に迷ってしまう上司や先輩社員もいらっしゃるかもしれません。しかし、「自分が成長するために必要なもの」や「理想の上司」についての質問から、今年の新入社員が思い描く「成長のイメージ」や「企業や上司への期待」を感じ取ることができました。
今年の新入社員は、自身が成長するためには「仕事を通した成功体験」「失敗体験」「上司や先輩からのフィードバック」が重要と考えていることがわかりました。また、キャリアアップのためには「間違いを指摘して正してくれる上司」や「自分のことをよく見てくれ、声をかけてくれる上司」の存在も重要であると考えているようです。新型コロナウイルスの感染拡大とそれに伴う各種の制限により、オフラインの社会経験や対面コミュニケーションの機会が少ないとされがちな新入社員ですが、だからこそ「体験」から得る学びや、上司とのコミュニケーションを重視しているのかもしれません。
いつの時代も、組織の人材育成の方針や施策は、その時代の価値観に沿って行われてきました。「背中を見て育て」で育てられてきた時代、「仕事優先」という考え方が一般的であった時代もありました。近年ではこうした育成施策を積極的に取り入れる企業は減り、「ワークライフバランス」に対する考え方も変化しています。従来と同じ施策で今年の新入社員に同じ価値観や育成施策を強要することは、不安を助長してしまう危険もあります。彼らの不安に寄り添い、成長軌道に乗せてあげるようなフォローなどが有効かもしれません。
世代間のギャップがあることは理解しつつ、そのギャップを恐れすぎずに適切に関わり、新入社員がPDCAを自分で回していけるような成長のサポートしていけるとよいでしょう。
*2ラーニングエージェンシー「内定者意識調査」 https://www.learningagency.co.jp/topics/20221215
*3ラーニングエージェンシー「2022年新入社員意識調査」https://www.learningagency.co.jp/topics/20220422-2
調査概要
調査対象者 | 当社が提供する研修の受講者 |
調査時期 | 2023年4月1日~4月11日 |
調査方法 | 自記式またはWEBでのアンケート調査 |
サンプル数 | 4,428人 |
属性 | (1)性別 ①男性:58.8%(2,602人) ②女性:39.7%(1,758人) ③不明:0.2%(9人) ④無回答:1.3%(59人) (2)所属企業の従業員数規模 ①1人~50人:6.9%(305人) ②51人~100人:14.9%(661人) ③101人~300人:35.9%(1,590人) ④301人~1,000人:15.3%(676人) ⑤1,001人~5,000人:16.2%(718人) ⑥5,000人以上:5.4%(239人) ⑦不明:5.2%(230人) ⑧無回答:0.2%(9人) |
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