【調査レポート】入社後の想定外とは?上司との会話に苦戦する新入社員は「離職意向」が高まる傾向に!上司はスキルアップのサポートで安心感の醸成を

2023年 若手社員の意識調査(社会人1年目)

ALL DIFFERENT株式会社

累計13,000社400万人以上の組織開発・人材開発を支援する株式会社ラーニングエージェンシー(本社 東京都千代田区、代表取締役社長 眞﨑大輔)および人と組織の未来創りに関する調査・研究を行うラーニングイノベーション総合研究所では、2023年8月2日~8月7日の期間で、社会人1年目の300名に対し、入社前後のギャップに関する意識調査を行いました。今回は「ギャップの実態」に関して、分析結果を公表いたします。

背景

2023年度の新入社員が入社し、半年以上が過ぎました。今や現場で戦力となりつつある新入社員ですが、この半年間は生活環境の大きな変化や慣れない仕事と新たな人間関係に、入社前にイメージしていた理想と現実のギャップを感じながら業務に励んできたことでしょう。昨年当社が実施した若手社員の意識調査の結果*1では、社会人1年目の7割が入社前後で「生活リズムや社会人としての考え方」にギャップを感じると回答。そのギャップを難しいと捉えた新人は『辞めたい・不安』の感情につながりやすい結果が明らかとなりました。転職市場が活発化する中、若手社員の早期離職は採用・教育コストが水泡に帰するだけでなく、既存社員の業務負担の増加や企業のイメージダウンにも繋がるため、経営課題のひとつとして問題視されています。そこで当社では、社会人1年目の直面するリアリティショックを探るべく、今年も入社前後のギャップに関する調査を行いました。

*1 2022年度 若手社員の意識調査(社会人1年目)https://www.learningagency.co.jp/topics/20220819


調査結果の概要

・「生活リズム・社会人としての考え方の習得」にギャップを感じる新人が約7割で最大

・ポジティブなギャップ、「上司とのコミュニケーション」が想定以上に話しやすいと回答する割合が最大

・ネガティブなギャップ、「生活リズムや社会人としての考え方」が想定以上に難しいと回答する割合が最大

・上司とのコミュニケーションのギャップを話しやすいと感じた新人は半数以上が『安心した』『嬉しい』と回答。一方、ネガティブに捉える新人の約24%は『会社を辞めたい』と回答


調査結果の詳細

1.「生活リズム・社会人としての考え方の習得」にギャップを感じる新人が約7割で最大

社会人1年目の新入社員(以下『新人』と記載)に対し、生活リズムや社会人としてのマナー、仕事の量や難易度、上司との関わりなど、9つの項目について、入社前後にギャップを感じたか質問しました。結果、昨年と同様に全ての項目で約6割の新人が何らかのギャップを感じていることが明らかとなりました。特に「生活リズムや社会人としての考え方(顧客志向・当事者意識など)の習得」は約7割もの新人がギャップを感じており、昨年同様最大の割合となりました。次に「仕事の難易度(65.6%)」、「上司への悩み相談(65.3%)」が続きました。(図1)


2.ポジティブなギャップ、「上司とのコミュニケーション」が想定以上に話しやすいと回答する割合が最大

多くの新人が入社前の想定に対してギャップを感じていることがわかりました。ここからは、そのギャップをポジティブに感じているのか、ネガティブに感じているのか、詳細を見ていきます。

まずは、ポジティブに感じる回答*2を抽出したところ、「上司とのコミュニケーション」が最も高く、30.3%の新人が『想定よりもとてもフランクで話しやすい・フランクで話しやすい』と回答しました。次に、26.7%が「上司からの仕事のアドバイス」を『とても細やか・やや細やか』と回答。「上司からのスキルアップのサポート」について『想定よりとてもサポートしてもらえる・サポートしてもらえる』が24.6%と続きました。上位3項目が上司との関わりによる項目となったことから、想定以上に上司とよい関係を築けていることをポジティブに捉えた新人が多いことがわかります。(図2)

*2各ギャップ項目に対し、想定よりも簡単、仕事量が少ない、上司と話しやすい、アドバイスが細やか、相談しやすい、サポートがあるといった回答層をポジティブと設定


3.ネガティブなギャップ、「生活リズムや社会人としての考え方」が想定以上に難しいと回答する割合が最大

次に、ネガティブに感じる回答*3を抽出しました。結果、「生活リズムや社会人としての考え方(顧客志向・当事者意識など)の習得」を『想定よりもとても難しい・やや難しい』と回答した割合が47.4%と最大の割合になりました。次に「仕事の難易度」を『想定よりもとても難しい・やや難しい』と回答した割合が47.3%、「仕事の量」を『想定していたよりもとても多い・やや多い』と回答した割合が45.4%と続きました。学生と社会人の違いや社会人として初めて取り組む仕事の量や難易度について、ネガティブなギャップを感じる新人が多いことがわかります。(図3)

*3各ギャップ項目に対し、想定よりも難しい、仕事量が多い、上司と話しにくい、アドバイスが細やかではない、相談しにくい、サポートがないといった回答層をネガティブと設定

 

4.上司とのコミュニケーションのギャップを話しやすいと感じた新人は半数以上が『安心した』『嬉しい』と回答。一方、ネガティブに捉える新人の約24%は『会社を辞めたい』と回答

ここからは “上司との関係性”に焦点を当て、そのギャップをどのように感じているかを見ていきます。

まずは、上司との関係性をポジティブに感じた新人の回答傾向を見ていきましょう。ポジティブなギャップとして最大の割合となった「上司とのコミュニケーション」では、64.2%が『安心した』と回答し、次に55.2%が『嬉しいと思った』と続きました。半数以上の新人が、上司のことを想定よりも話しやすいと感じ、安堵している様子が伺えます。次に、「上司からの仕事のアドバイス」を想定よりももらえたと感じた新人の割合は、49.3%が『安心した』、31.3%が『嬉しいと思った』『成長の機会と感じた』と続きました。「上司からのスキルアップのサポート」では、40.3%が『安心した』、37.3%が『成長の機会だと感じた』、32.8%が『嬉しいと思った』と続く結果となりました。業務上における上司との関係では、安堵や嬉しさだけではなく、“成長しよう”という意思につながっていることが見てとれました。(図4)

次に、上司との関係性をネガティブに捉えた新人の回答傾向を見ていきましょう。「上司とのコミュニケーション」を想定よりも話しにくいと感じた新人は、『会社を辞めたくなった』と回答する割合が23.9%と最大の割合になりました。「上司からの仕事のアドバイス」「上司からスキルアップのサポート」も同様に、『会社を辞めたくなった』が26.8%、23.9%と、他項目と大差をつける結果となりました。(図5)

上司との関係性を「話しやすい」とポジティブに捉える新人は、嬉しさ・安心を感じ、成長意欲も高まることがわかりましたが、逆に「話しにくい」とネガティブに捉える新人は、離職意向が高まることが明らかとなりました。


まとめ

今回の調査結果より、2023年入社の新入社員も昨年同様6割以上が入社前後に何かしらのギャップを感じていることが明らかとなりました。特に「生活リズムや社会人としての考え方(顧客志向・当事者意識など)の習得」は最大のギャップを感じる結果となり、昨年同様、多くの新人がつまずくポイントと言えるでしょう。

「上司とのコミュニケーション」における入社前後のギャップは、想定よりも話しやすいとポジティブに感じる割合が高く、『嬉しい』『安心』と捉える傾向にあることが明らかとなりました。さらに、業務においてアドバイスやスキルアップのサポートをしてもらうと『成長意欲が高まる』こともわかりました。一方で、上司との関係を、想定よりも話しにくいとネガティブに捉える新人は、『会社を辞めたい』と考える傾向があり、新人にとって上司の影響力の高さが見受けられます。

社会人1年目は、想像以上に会社に馴染むのに時間やストレスがかかり、理想と現実の狭間で悪戦苦闘しています。入社前後のギャップを乗り越え、成長意欲をもち続けて働くことができるかは、上司とのコミュニケーションが鍵といえるでしょう。そのためには、新人が上司へ質問しやすい環境を整備したり、上司側の育成スキルを高めることで、業務に関する適切な指導を行えるようにすることが重要です。新人のスキルアップをサポートできる体制を会社全体で整備し、安心感の醸成と成長意欲の促進をしていけるとよいでしょう。4か月後には、2024年度の新入社員が入社してきます。できることから、新人の受け入れ準備を始めてみてはいかがでしょうか。


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考察(組織開発・人材開発の専門家より)

新入社員が経験する入社前後のギャップは、成長のための重要な契機となり得ます。本調査では、特に「生活リズムや社会人としての考え方の習得」が最大のギャップを感じる項目となりましたが、このギャップを単なる障壁ではなく、成長への階段と捉えるべきです。社会人としての新たな生活リズムや考え方に適応するプロセスは、新入社員にとって2年目以降のキャリア発展に不可欠な糧となります。上司や先輩社員は、新入社員が自らの力で問題を解決するマインド・知識・スキルを育むために、時に「手取り足取り」レベルの細やかな指導をしながらも、適切な自立支援を行なう必要があります。このバランスを保ちながら新入社員をサポートすることで、新入社員はリアリティショックを乗り越え、2年目以降の活躍の基盤となる自律性、適応力、レジリエンスを磨くことができるでしょう。


株式会社ラーニングエージェンシー 

組織開発コンサルティング本部 開発室 室長

根本 博之(ねもと ひろゆき)

大阪支社の立上に参画し、営業リーダーとして支社年間目標達成に導いた後、本社にてコンテンツ開発業務に従事。中堅・大企業向けコンサルティング事業部門の責任者を歴任。コンサルタントとして営業活動と講師業務にて、年間100~150社ほど担当する傍ら、社内能力開発・組織開発部門の責任者として活動。

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調査概要 

調査対象者

22~34歳の社会人1年目である就労者

調査時期

2023年8月2日~8月7日

調査方法

調査会社によるインターネット調査

サンプル数

300人

属性

(1)業種

医療,福祉 45人(15.0%)

製造業 39人(13.0%)

情報通信業 26人(8.7%)

サービス業(他に分類されないもの) 24人(8.0%)

建設業 19人(6.3%)

卸売業,小売業 19人(6.3%)

運輸業,郵便業 12人(4.0%)

教育,学習支援業 11人(3.7%)

農業,林業 9人(3.0%)

宿泊業,飲食サービス業 9人(3.0%)

公務 9人(3.0%)

複合サービス事業 7人(2.3%)

金融業,保険業 6人(2.0%)

学術研究,専門・技術サービス業 6人(2.0%)

電気・ガス・熱供給・水道業 4人(1.3%)

生活関連サービス業 娯楽業 4人(1.3%)

鉱業 採石業 砂利採取業 3人(1.0%)

漁業 2人(0.7%)

不動産業,物品賃貸業 2人(0.7%)

その他 16人(5.3%)

わからない 28人(9.3%)


(2)企業規模

1-50名 74人(24.7%)

51-100名 34人(11.3%)

101-300名 44人(14.7%)

301-1000名 38人(12.7%)

1001-5000名 31人(10.3%)

5001名以上 42人(14.0%)

わからない 37人(12.3%)


本調査を引用される際は【ラーニングイノベーション総合研究所「若手社員の意識調査(社会人1年目)入社前後のギャップの実態」】と明記ください
*各設問において読み取り時にエラーおよびブランクと判断されたものは、欠損データとして分析の対象外としています
*構成比などの数値は小数点以下第二位を四捨五入しているため、各グラフの合計値に誤差が発生する場合がございます

  • ラーニングイノベーション総合研究所

    ラーニングエージェンシーの研究機関であるラーニングイノベーション総合研究所(以下、LI総研)は、人と組織の未来創りに関する様々な調査・研究活動を行っています。LI総研はデータに基づいた最適な解決策もご提供し、お客様の組織開発をサポートしています。


  • 株式会社ラーニングエージェンシー 

    当社は組織開発・人材開発を手掛けるコンサルティング企業です。設立以来、人と組織の成長を支援する業界初*の特許取得込のサービスを多数開発・提供。「LEARNING」の可能性を探求し続け、「人と組織の未来創り」を真にリードできる伴走者、ラーニングコアパートナー®として、お客様に長く貢献してまいります。


    〈主なサービス〉

    定額制集合研修「Biz CAMPUS Basic®」/ライブオンライン研修「Biz CAMPUS Live®」/ビジネススキル学習アプリ「Mobile Knowledge®」/転職支援サービス「Biz JOURNEY®」/10万人以上が受検するビジネススキル診断テスト 「Biz SCORE Basic®」*Biz CAMPUS Basic、Mobile Knowledge(For Freshers)は当社が委託した調査会社調べ、Biz SCORE Basicはシタシオンジャパン調べ


    代表取締役社長        眞﨑 大輔
    事業内容                 人材育成・教育研修
    本社所在地              〒100-0006 東京都千代田区有楽町 2-7-1 有楽町 ITOCiA(イトシア)オフィスタワー18F
    URL                        https://www.learningagency.co.jp/

「Biz CAMPUS Basic」「Biz CAMPUS Live」「Mobile Knowledge」「Biz JOURNEY」「Biz SCORE Basic」「ラーニングコアパートナー」は、株式会社ラーニングエージェンシーの登録商標です。

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