【25卒内定者の勤続意向×入社理由】勤続意向者は「理念共感」、離職意向者は「成長環境」

内定者意識調査(入社前の勤続意向編)

ALL DIFFERENT株式会社

累計13,000社420万人以上の組織開発・人材育成を支援するALL DIFFERENT(オールディファレント)株式会社(所在地:東京都千代田区 代表取締役社長:眞﨑大輔)および「人と組織の未来創り🄬」に関する調査・研究を行うラーニングイノベーション総合研究所は、2024年10月15日~12月9日の期間で、2025年入社予定の内定者414人を対象に「内定者意識調査」を行いました。本レポートでは、内定者の企業に求めるサポート等を、勤続意向別に調査・分析した結果を公表します。

背景

2025年度に入社を控える内定者はZ世代に該当し、デジタルネイティブ、アフターコロナの生活様式、多様性への理解など、様々な特徴が挙げられています。そんな25卒の内定者は、終身雇用の崩壊を迎え、人材の流動化が当たり前になっている時代に入社をします。就職活動の時点で、転職を視野に入れている内定者も中にはおり、企業にとっては、若手社員の確保・定着を実現する難易度はますます上がっています。

そこで当社は、25卒の内定者が勤続・離職に対して、どのような意向があるか明らかにすべく、内定時点での勤続意向と入社理由の関係、また内定辞退・早期離職を防ぐために必要な支援について、調査した結果を公表します。

(参考)内定者意識調査(内定期間中の心境編) https://www.all-different.co.jp/download/all/news_20250127.pdf 

(参考)内定者意識調査(入社後の成長編) https://www.all-different.co.jp/download/all/news_20250131.pdf 

調査結果の概要

  • 内定先企業での勤続・離職意向、「働き続けたい」66.2% 「そのうち転職したい」11.8%

  • 入社理由、「業界・事業への興味」が5割超でトップ

    勤続意向者は「理念への共感」、離職意向者は「成長できる環境」が上位にランクイン

  • 入社後成長するために求める機会 

    勤続意向者は「フィードバック」、離職意向者は「難しい仕事」、意向未定者は「成功体験」

【考察】内定辞退や早期離職の防止 「学生の温度差を理解し、柔軟に向き合う」

調査結果の詳細

内定先企業での勤続・離職意向、「働き続けたい」66.2% 「そのうち転職したい」11.8%

まず初めに、内定先企業で働き続けたいかどうか質問しました。


結果、66.2%の内定者が「できれば内定企業で働き続けたい」と回答しました。「そのうち転職したい」と回答した内定者は11.8%、「いつかは起業したい」と回答した内定者は4.1%となりました。また、「分からない」と回答した内定者は15.9%となり、2番目に高い割合となりました。(図1)

ここからは、「できれば内定企業で働き続けたい」と回答した内定者を勤続意向者、「そのうち転職したい」「いつかは起業したい」「フリーランスとして独立したい」「家庭に入りたい」と回答した内定者を離職意向者、「分からない」と回答した内定者を意向未定者と区分し、勤続・離職意向別の結果を分析します。

呼称

回答項目

勤続意向者

できれば内定企業で働き続けたい

離職意向者

そのうち転職したい

いつかは起業したい

フリーランスとして独立したい

家庭に入りたい

意向未定者

分からない

入社理由、「業界・事業への興味」が5割超でトップ
勤続意向者は「理念への共感」、離職意向者は「成長できる環境」が上位にランクイン

まず初めに、勤続意向者、離職意向者、意向未定者別に、入社を決めた理由に違いがあるか調査をしました。結果、三者すべて「業界・事業内容に興味を持ったから」「業務内容に興味を持ったから」が上位を占めました

勤続意向者は、「業界・事業内容に興味を持ったから」が54.0%、「業務内容に興味を持ったから」が49.6%となりました。3位は「会社の目指す方向・理念に共感したから」で、33.2%でした。これは、離職意向者の14.9%より2倍以上高い割合となりました。また、「風通しが良い会社だから」も離職意向者より10.9ポイント高く、32.5%となりました。

離職意向者は、「業界・事業内容に興味を持ったから」が60.8%、「業務内容に興味を持ったから」が45.9%となりました。3位は「自分が成長できる環境が備わっているから」で29.7%となり、勤続意向者より5.2ポイント高い割合となりました。


意向未定者は、「業界・事業内容に興味を持ったから」が51.5%、「業務内容に興味を持ったから」が43.9%となりました。3位には「学生時代の(今までの)学びが活かせるから」(36.4%)がランクインし、勤続意向者より8.3ポイント、離職意向者より12.1ポイントの差をつけて突出した結果となりました。(図2)


内定先に求める支援

勤続意向者と離職意向者のトップは「先輩社員との関係構築」で約半数
意向未定者は「内定者との関係構築」がトップで5割超

次に、内定期間中に企業へ求める支援が、勤続・離職意向別で異なるか比較しました。

 

勤続意向者の上位3つは、「先輩社員との人間関係を築く機会がほしい」(53.3%)、「他の内定者との人間関係を築く機会がほしい」(43.1%)、「マナーや仕事の進め方など、社会人の基礎を教えてほしい」(42.0%)となりました。

他意向者と比較すると、「マナーや仕事の進め方など、社会人の基礎を教えてほしい」は離職意向者より9.6ポイント、意向未定者より10.2ポイント高い割合となりました。また、「会社で活かせる知識の学び方を教えてほしい(本/サイト/動画)」(32.8%)においては、他より10ポイント以上の差をつけて突出した結果となりました。

離職意向者の上位3つは、「先輩社員との人間関係を築く機会がほしい」(45.9%)、「具体的な業務内容を教えてほしい」(39.2%)、「他の内定者との人間関係を築く機会がほしい」(37.8%)となりました。

勤続意向者と比較すると、「キャリアの相談をしたい」(14.9%)は9.8ポイント、「実務経験を積む機会がほしい(アルバイトなど)」(24.3%)は9.7ポイント高い結果となりました。

意向未定者の上位3つは、「他の内定者との人間関係を築く機会がほしい」(53.0%)、「先輩社員との人間関係を築く機会がほしい」(48.5%)、「マナーや仕事の進め方など、社会人の基礎を教えてほしい」(31.8%)となりました。

他意向者と比較すると、「他の内定者との人間関係を築く機会がほしい」が1位となっており、勤続意向者より9.9ポイント、離職意向者より15.2ポイント高く突出した結果となりました。(図3)

入社後成長するために求める機会
勤続意向者は「フィードバック」、離職意向者は「難しい仕事」、意向未定者は「成功体験」

最後に、入社後に成長するために求める機会を、勤続・離職意向別で比較しました。

結果、「仕事を通じた成功体験」「仕事を通じた失敗体験」「上司や先輩からの事後のフィードバック」がすべて共通して高い回答割合を占めました。

 

以下に特徴が出た項目をまとめます。

まず、勤続意向者の68.0%が回答した「上司や先輩からの事後のフィードバック」は、離職意向者より12.6ポイント、意向未定者より9.3ポイント高い割合となりました。

次に、離職意向者の45.9%が回答した「難しい仕事の経験」は、勤続意向者より12.6ポイント、意向未定者より19.8ポイント高い割合となりました。

最後に、意向未定者は、「仕事を通じた成功体験」の割合が89.1%となり、勤続意向者より7.3ポイント、離職意向者より21.5ポイント高く、最大の割合となりました。(図4)


まとめ

本調査より、25卒内定者の勤続・離職に対する意向の実態を知るべく、本調査を実施しました。結果、66.2%の内定者が「内定先の企業で働き続けたい」と考えていることが明らかとなりました。一方、11.8%は離職意向があり、15.9%はわからないという結果となりました。

勤続・離職意向別に結果を比較すると、内定企業で働き続けたいと考えている勤続意向者は、入社理由に「業界・業務内容への興味」や「会社の理念への共感」と回答する割合が高く、業界や企業方針への共感度が高い傾向にあることが分かりました。また、内定期間中に企業へ求める支援では、先輩や内定者と関係を築く機会や、社会人の基礎知識を学ぶ機会を求める傾向にあることもわかりました。さらに、成長のために必要なものでは「フィードバック」を求める傾向が見られました。

内定企業からいつか離れることを考えている離職意向者は、入社理由に「業界・事業内容への興味」だけでなく、「成長できる環境」と回答する割合が高い傾向が見られました。内定期間中に企業へ求める支援では、「キャリアの相談」や「実務経験を積む機会」と回答する割合が高く、成長に必要なことでは、「難しい仕事」と回答する割合も高いことからも、自身のキャリアや成長への意識が高い特徴が見受けられました。

勤続・離職意向がわからないと回答した意向未定者は、入社理由に「学生時代の学びを活かせる」と回答する割合が他意向者よりも高くなりました。また、自身の成長のためには「成功体験」が必要と回答する割合が、他のグループより高くなりました。このことからも、学生時代に学んできたこととの親和性で企業を選択しており、今後のキャリアは未定だが、現場で経験を積むことで成長していきたい様子がわかりました。


【考察】内定辞退や早期離職の防止
「内定者の様々な思いを理解し、柔軟に向き合う」

企業には様々な思いを持った内定者が入社してきます。しかし、内定者が企業に本音を話してくれるとは限りません。新入社員を受け入れる企業側は、入社を予定している一人ひとりが様々な思いを持っていることを十分に理解しましょう。私たちのこうした調査結果を新人育成に関わるメンバー間で共有し、意見交換を事前にしっかり行っておくことをお勧めします。

 

以下の三種類の傾向と対策を新人との接し方の参考にし、ワンパターンで新人に接しないように心がけてください。

■勤続意向者には「奥行きのあるフィードバック」を

勤続意向者の入社理由では「理念への共感」が上位に挙がりました。現在求める支援としては、「先輩社員や内定者との交流」や「マナーなどの基礎知識・会社で活かせる知識を学ぶ機会」が高い割合を占めています。この層には、理念の伝達を頻度高く行うこと、また高い意欲を行動に移せるよう、内定者の時期から知識・スキル・マインドを習得できる機会を提供するとよいでしょう。

入社後は、配属された組織が理念の実現を目指している状態にあることも重要です。また、業務を任せる際やフィードバックを行う際に、その行動が会社にとってどのような影響があるのかまで奥行きのあるフィードバックを伝えることで、より成長につながります。

■離職意向者には「期待」と「現在地」の伝達で成長の道筋の提示を

離職意向者は、「業界への興味」が高いことに加え、「成長できる環境が備わっている」ために入社を決めたと回答しています。内定期間中に求める支援としては、「キャリアの相談をしたい」「実務経験を積む機会がほしい(アルバイトなど)」の項目が高いことが特徴として見られました。入社後に求める成長機会でも「難しい業務の挑戦」が高いことから、成長に対する意識が高いことが分かります。

この層を定着に導くためには、「成長環境の整備」が重要です。現時点で、彼ら一人ひとりがどのような将来像を描いているのか把握した上で、入社後に活躍できる人材になるために、内定期間中に身に付けておくべき知識・スキルを伝達しておくとよいでしょう。彼らが求める成長を実現していくと、定着と飛躍的な成長につながります。

■意向未定者には「業務を成功体験に結び付ける振り返り支援」を

意向未定者は、「学生時代の経験を活かしたい」「内定者同士で不安を解消したい」「成功体験を重ねたい」という意向が強く現れています。この層は、まだ社会人としての自身のあるべき姿が見えておらず、不安を抱えている可能性があります。

そこで、企業側は入社後に効果的な育成をするための受け入れ準備として、入社後にアサインする業務は本人の力量に合っているのか、定期的な振り返りの機会(内省支援の場)があるか確認しましょう。OJT担当者やメンターとの振り返りでは、本人がどのように考え、どんな行動をしたのか、それが成功したか失敗したか、その要因を考えてもらいます。その後、OJT担当者やメンターの視点から、良かった点や次に向けて改善できる点をアドバイスすることで、一つひとつの業務が学びと成功体験に結び付き、自信を持って仕事に取り組めるようになります。また、自律的なキャリア形成のヒントにもなるでしょう。

ALL DIFFERENT株式会社
事業開発推進本部 コンテンツマネジメント部 部長
河合 司真子(かわい・しまこ)

事業会社を経てALL DIFFERENT株式会社(旧トーマツイノベーション/ラーニングエージェンシー)に入社。研修講師とコンサルタントを兼務し、サービスの企画・開発、研修講師育成、中堅~大企業に対して研修の企画・提案および実施などをはじめとした人材育成支援に従事。その後、サービスの企画・開発部門のリーダーとして、アセスメント・サーベイ、対面研修、オンライン研修などの新サービスを企画・開発。研修講師育成のリーダーとしても活動。研修講師としては公開講座や企業内研修等で、管理職研修を中心に年間100回以上の研修を実施。


■参考資料 図2全項目


調査概要

調査対象者

当社が提供する内定者向け研修の受講者(2025年卒業予定)

調査時期

2024年10月15日~12月9日

調査方法

Web・マークシート記入式でのアンケート調査

サンプル数

414人

属性

(1)業種

農業 林業 0人(0.0%)

漁業 1人(0.2%)

鉱業 採石業 砂利採取業 1人(0.2%)

建設業 34人(8.2%)

製造業 39人(9.4%)

電気・ガス・熱供給・水道業 8人(1.9%)

情報通信業 129人(31.2%)

運輸業 郵便業 9人(2.2%)

卸売業 小売業 35人(8.5%)

金融業 保険業 17人(4.1%)

不動産業 物品賃貸業 5人(1.2%)

学術研究 専門・技術サービス業 11人(2.7%)

宿泊業 飲食サービス業 0人(0.0%)

生活関連サービス業 娯楽業 7人(1.7%)

教育 学習支援業 0人(0.0%)

医療 福祉 3人(0.7%)

複合サービス事業 3人(0.7%)

サービス業 他に分類されないもの 30人(7.2%)

公務 2人(0.5%)

その他 76人(18.4%)

わからない 4人(1.0%)

(2)企業規模

1~50人 41人(9.9%)

51~100人 81人(19.6%)

101~300人 199人(48.1%)

301~1,000人 61人(14.7%)

1,001~5,000人 3人(0.7%)

5,001人~ 0人(0.0%)

わからない 29人(7.0%)

*本調査を引用される際は【ラーニングイノベーション総合研究所「内定者意識調査」入社前の勤続意向編】と明記ください

*各設問において読み取り時にエラーおよびブランクと判断されたものは、欠損データとして分析の対象外としています

*構成比などの数値は小数点以下第二位を四捨五入しているため、合計値が100%とならない場合がございます

ラーニングイノベーション総合研究所

人と組織の未来創りに関する様々な調査・研究活動を行っている当社研究機関。データに基づいた組織開発に関する解決策を提供。

ALL DIFFERENT株式会社

ALL DIFFERENT株式会社

組織開発・人材育成支援を手掛けるコンサルティング企業。
人材育成から、人事制度の構築、経営計画の策定、人材採用までの組織開発・人材育成の全領域を一貫して支援。

《沿革》
2006年 トーマツイノベーション株式会社として人材育成事業を開始し、業界初や特許取得のサービスを多数開発・提供
2019年 株式会社ラーニングエージェンシーとして、デロイトトーマツグループから独立
2024年 ALL DIFFERENT株式会社へ社名変更

代表取締役社長 眞﨑 大輔
本社所在地   〒100-0006 東京都千代田区有楽町2-7-1 有楽町 ITOCiA(イトシア)オフィスタワー 15F(受付)・17F・18F
支社      中部支社、関西支社
人員数     316名(2024年4月1日時点)
事業      組織開発支援・人材育成支援、各種コンテンツ開発・提供、ラーニングイノベーション総合研究所による各種調査研究の実施
サービス    定額制集合研修「Biz CAMPUS Basic」/ライブオンライン研修「Biz CAMPUS Live」/ビジネススキル学習アプリ「Mobile Knowledge」/ビジネススキル診断テスト「Biz SCORE Basic」/IT技術習得支援サービス「IT CAMPUS」/デジタルスキル習得支援サービス「DX CAMPUS」/管理職アセスメント「Discover HR」「Competency Survey for Managers」/人事制度構築支援サービス「Empower HR」
経営計画策定支援サービス「Empower COMPASS」/転職支援サービス「Biz JOURNEY」ほか
URL       https://www.all-different.co.jp/corporate

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会社概要

ALL DIFFERENT株式会社

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URL
https://www.all-different.co.jp/corporate
業種
サービス業
本社所在地
東京都千代田区有楽町2-7-1 有楽町ITOCiA(イトシア) オフィスタワー15F〔受付〕・17F・18F
電話番号
03-5222-5111
代表者名
眞﨑 大輔
上場
未上場
資本金
-
設立
2006年02月