AI時代、なぜ「判断できる人」が育たないのか ― 実践研究から見えた「判断経験が残らない4つの構造」を公開
AIに答えを求める、リーダーが答えを教える、判断を上司へ戻す、特定者へ集中する。管理職をさらに忙しくする循環と、日常業務に置くべき4つの要素を全6ページで可視化
980社・33.8万人のデータを基盤とする組織行動科学®のリクエスト株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役:甲畑智康)は、AI時代の人材育成と仕事設計に関する実践研究をまとめた資料、「AI時代、なぜ『判断できる人』が育たないのか―判断経験が本人とチームに残らない4つの構造」全6ページを公開します。
AIは、情報の整理、分析、論点の抽出、選択肢の生成などを支援し、仕事を前へ進めることができます。
しかし、AIの回答を使って仕事が完了しても、本人が、
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何を事実として確かめたのか
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どの条件を比較したのか
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なぜその案を選んだのか
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結果から何を学んだのか
を経験していなければ、本人にもチームにも判断経験は残りません。
今回の資料では、問題を「AIを使うこと」に置くのではなく、AIや上司の答えによって仕事は進んでも、判断経験が人と組織へ蓄積されないことに置きました。
さらに、判断経験が残らない状態が、相談の上司回帰、特定者への案件集中、管理職の多忙化を引き起こし、再び答えだけを渡す状態へ戻っていく循環を可視化しています。
仕事を完了するだけでは、判断できる人は育たない
AIから回答を得ることと、本人が判断することは同じではありません。
本人の判断経験となるためには、回答を受け取った後に、前提や不足条件を確かめ、仕事の状況に照らして選択肢を比較し、自ら決定する過程が必要です。
さらに、その判断の背景と結果を共有しなければ、本人の中に残った経験も、チームが再利用できる知見にはなりません。

この図で重要なのは、AIとチームの間にある「実務担当者の判断」です。
AIの回答をそのまま採用するのではなく、
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何を確かめたのか
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なぜそう決めたのか
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他に選択肢はなかったのか
を本人が考えることで、AIの回答が初めて本人の判断経験へ変わります。
仕事が完了したかどうかだけを評価していると、この中間過程が見えなくなります。
そのため、「仕事が進むこと」と「判断力が育つこと」を分けて捉える必要があります。
問題は「AIを使うこと」ではない
本研究では、AIの利用そのものを問題としているわけではありません。
上司や熟練者から助言を得ることも、仕事を安全かつ迅速に進めるうえで必要です。
問題になるのは、AIや上司の回答が、本人の判断を支える材料ではなく、本人の判断を代わりに行う最終回答になってしまうことです。

回答によって仕事が進んでも、次の三つが抜けると、判断経験にはなりません。
前提確認が抜ける
回答が適切かどうかは、前提条件によって変わります。本人が事実や不足条件を確かめなければ、回答を使った経験は残っても、状況を見て判断した経験は残りません。
理由が言語化されない
どの案を、なぜ選んだのかが残らなければ、似た状況が起きたときに再現できません。結果が良かった場合も悪かった場合も、次の判断へつなげにくくなります。
チームに学びが残らない
判断の背景や結果が本人の中で曖昧なまま終わると、周囲へ共有することもできません。個人の経験が、組織の知見へ変わらない状態です。
実践研究から整理した「判断経験が残らない4つの構造」
本研究では、判断できる人が育ちにくい状態を、本人の意欲や能力だけではなく、仕事の構造から捉えています。
現場では、次の四つが連鎖して起きやすくなります。

第一と第二の構造では、本人が判断する機会そのものが小さくなります。
AIに答えを求め、その回答を十分に検討せず採用する。あるいは、リーダーが業務に追われ、本人へ問い返す前に指示と正解を渡す。いずれも短期的には仕事が速く進みますが、本人が条件を見て選ぶ経験は残りにくくなります。
第三の構造では、本人が判断に必要な基準や責任範囲を持たないため、失敗や説明責任を避け、難しい案件を上司へ戻すようになります。
第四の構造では、その結果として、例外案件や難しい案件が一部の熟練者・管理職へ集中します。
つまり、四つは独立した問題ではありません。
判断する機会が減る
→ 自分で決められなくなる
→ 判断を上司へ戻す
→ 特定者へ判断が集中する
という、一つの組織構造として捉える必要があります。
判断を上司へ戻すほど、リーダーがさらに忙しくなる
判断が特定者へ集中すると、管理職や熟練者は、本来取り組むべき改善、育成、顧客対応、将来設計などに使う時間を失っていきます。
さらに重要なのは、多忙になった管理職ほど、本人へ問い返し、考える時間を確保し、判断の過程を振り返る余裕を失うことです。
その結果、時間を節約するために、再び答えと指示を渡すようになります。

この循環では、管理職が熱心に仕事を引き受けるほど、本人が判断する機会が減り、次の案件も管理職へ戻りやすくなります。
本研究では、管理職の多忙化を、仕事量や人員不足に加えて、『判断経験がどこで失われ、誰へ戻っているのか』という観点からも捉える必要があると考えています。
誰の判断経験が、どの仕事で失われ、その判断が誰へ戻っているのか。
この流れを確認することで、管理職へ仕事が集中する原因を、個人の能力ではなく仕事の構造から見直せるようになります。
解決は「もっと自分で考えて」ではない
判断できる人を育てるために、「自分で考えてください」と伝えるだけでは、行動は変わりません。
本人がどの場面で立ち止まり、何を基準に考え、どこまで自分で決めてよいかが不明確であれば、考えようとしても判断できないためです。
判断経験を残すためには、次の四つを日常の仕事の中に設計します。

1.判断の入口
どの状態になったら、通常の手順を続けるのではなく、本人が立ち止まり、判断を始めるのかを決めます。入口がなければ、判断が必要な状況に気づかないまま、AIの回答や前例を適用して仕事が進みます。
2.判断基準
何を守り、何を比較し、どの条件を優先するのかを明確にします。基準がなければ、本人の判断理由を説明できず、結果が良かった場合も、その判断を再現できません。
3.相談条件
どこまで本人が決め、どの条件になったら相談・承認・停止するのかを定めます。相談条件が明確であれば、相談は「判断を上司へ渡すこと」ではなく、本人の仮判断を確認し、質を高める機会になります。
4.振り返り
判断後に、本人、相手、仕事、成果、リスクへ何が起きたのかを確認します。振り返りによって、判断と結果の関係が見えるようになり、今回の経験が次の判断基準へ更新されます。
この四つを整えることは、仕事を細かく管理することではありません。
本人が安全に判断し、その経験を次の仕事へ持ち越せる条件をつくることです。
AI活用の成否は、回答の精度だけでは決まらない
AIの回答精度が高くなっても、その回答を使う人が、前提や条件を確かめず、判断理由を残さなければ、組織の判断力は育ちません。
AI時代に必要なのは、AIの能力を高めることだけではなく、AIを使った後に生まれる人の経験を、失わずに残す仕事設計です。

判断経験は、三つの場所へ残す必要があります。
個人に残す
何を確かめ、なぜ決め、結果から何を学んだかを、本人が自分の経験として認識できる状態にします。
チームに残す
判断の背景、基準、選択肢、結果を共有し、他の人も使える組織の知見へ変えます。
仕事に埋め込む
一度共有して終わるのではなく、判断の入口、基準、相談条件、振り返りを、日常業務の進め方へ組み込みます。
個人の記憶だけに依存すれば、人が替わったときに経験が失われます。
チームで共有するだけでも、日常の仕事で使われなければ定着しません。
判断経験を仕事の中に埋め込むことで、個人の成長と組織の学習が、日々の業務を通じて同時に進むようになります。
良い行動の上流には、良い判断。良い判断の前には、事実確認。
AIが答えを出せるようになるほど、人には、何を確かめ、なぜ決め、結果から何を学んだかを残す力が求められます。
この資料を使って確認できること
今回の6ページは、組織や職場の状態を確認するための共通言語として使用できます。
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AIの回答を使う前に、本人が前提や不足条件を確かめているか
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リーダーは答えを渡す前に、本人の事実確認や仮判断を聞いているか
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本人が決めてよい範囲と、相談・承認・停止する条件が明確か
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判断の背景と結果が、本人だけでなくチームへ共有されているか
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難しい案件や例外案件が、一部の管理職・熟練者へ集中していないか
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振り返りで得た学びが、次の仕事の基準や進め方へ反映されているか
一つでも曖昧な項目があれば、本人の能力を問い直す前に、判断経験が残る仕事の条件が整っているかを確認する必要があります。
全10ページは以下よりダウンロードできます。
d68315-218-b3a17c04e8b7261a9de1d60bda9cfbfd.pdf本研究の位置づけ
本資料は、複数の組織における対話、研修、職場実践、振り返りの記録から、繰り返し確認された状況を構造化した実務モデルです。
AIの利用を抑制することや、管理職による助言を否定することを目的としたものではありません。
AIや経験者の知見を活用しながら、本人が事実を確かめ、条件に応じて選び、結果から学ぶ経験を失わないために、仕事のどこを設計すべきかを整理しています。
また、本資料は、すべての組織で同一の因果関係が生じると断定するものではなく、それぞれの組織が、自社の判断の流れと仕事設計を確認するための構造仮説として提示しています。

組織行動科学®について
組織行動科学®は、組織で働く人の思考と行動が「なぜ起こり、なぜ続くのか」を、事業環境、歴史、経験から解明し、より善く再現するための手段です。
リクエスト株式会社は、980社・33.8万人の働く人のデータを基盤に、組織で働く成人の研究と教育開発を行っています。


会社概要
会社名:リクエスト株式会社
代表者:代表取締役 甲畑 智康
所在地:〒160-0022 東京都新宿区新宿3丁目4番8号 京王フレンテ新宿3丁目4F
事業概要:リクエスト株式会社は、「より善くを目的に」を掲げ、980社・33.8万人の働く人のデータに基づく「組織行動科学®」を基盤に、組織で働く成人の研究と教育開発を行っています。
公式サイト:https://requestgroup.jp/
会社概要:https://requestgroup.jp/corporateprofile
代表プロフィール:https://requestgroup.jp/profile

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