【新入社員意識調査2025】6割以上の新入社員「今の会社で働き続けたい」と回答、12年間で最大の割合
新入社員意識調査2025(3933人の勤続意向編)

累計20,000社420万人以上の組織開発・人材育成を支援するALL DIFFERENT(オールディファレント)株式会社(所在地:東京都千代田区 代表取締役社長:眞﨑大輔)および「人と組織の未来創り🄬」に関する調査・研究を行うラーニングイノベーション総合研究所🄬は、2025年3月25日~4月24日の期間で、2025年入社の新入社員 3,933人を対象に「新入社員意識調査」を行いました。本リリースでは、4月に入社式を迎えた新入社員の勤続意向に関する調査結果を公表いたします。
背景
人手不足に対する企業の動向調査結果(帝国データバンク)(*1)によると、従業員の離職や採用難等による人材不足関連の倒産件数は2021年から上昇傾向にあることが明らかとなっています。
日経新聞の「社長100人アンケート」(*2)でも、約半数の経営者が1年前と比べて人手不足感が「強まった」「やや強まった」と回答し、人手不足感を感じているようです。

このような人手不足解消の策として外国人労働者や高齢者、障がい者の雇用強化など、社員を増やす取り組みに注目が集まっています。しかし、日本市場全体の労働人口の減少が続いていることを鑑みると、社員を増やすだけでなく、今いる社員の離職を予防し活躍を促す取り組みも、並行して行うことが企業には必要でしょう。
今回は、人材獲得競争の中、苦労して採用した新入社員の「勤続意向」に焦点を当て、新入社員が「この会社で長く働き続けたい」と考える仕事や職場の条件について探ります。
(*1)帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査(2024年10月)」https://www.tdb.co.jp/report/economic/20250109-laborshortage-br2024/
(*2)日本経済新聞の「社長100人アンケート」 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC282EP0Y4A620C2000000/
調査結果の概要
-
「今の会社で働き続けたい」65.4%が回答し、12年間で最大の割合
-
今後取り組みたい仕事、勤続意向者は「チーム一丸で取り組む仕事」「楽しく、やりがいのある仕事」、離職意向者は「給与が上がる仕事」「自身のペースでやり切れる仕事」と回答する割合が高い
-
今の会社で働き続けたい条件「職場の人間関係」「高い給与・賞与」6割超が回答し、2大トップ
-
長く働きたい会社の雰囲気・文化「互いに協力し合い、チームワークを重視する文化」7割が回答
-
専門家による考察「新入社員が組織になじむための4大要素」
調査結果の詳細
1.「今の会社で働き続けたい」65.4%が回答し、12年間で最大の割合
初めに、2025年度の新入社員に対し、今の会社で働き続けたいか、質問しました。
結果、「できれば今の会社で働き続けたい」と回答した割合65.4%と最も高い割合となりました。
その他、「そのうち転職したい」(13.2%)、「いつかは起業したい」(3.5%)、「フリーランスとして独立したい」(1.7%)、「家庭に入りたい」(1.4%)となり、離職を視野に入れている新入社員が約2割いることが分かりました(図1)。

次に、今の会社で働き続けたいか、2014年度から12年間、各年度の新入社員に質問した結果を比較しました。結果、「できれば今の会社で働き続けたい」と回答した新入社員の割合は、2019年度に全体の半数まで減少したこともありましたが、それ以降は増加傾向にあり、今年度は過去最大の割合となりました(図2)。

2.今後取り組みたい仕事、勤続意向者は「チーム一丸で取り組む仕事」「楽しく、やりがいのある仕事」、離職意向者は「給与が上がる仕事」「自身のペースでやり切れる仕事」と回答する割合が高い
「新入社員意識調査 (仕事の価値観編)」(*3)では、新入社員が取り組みたい仕事の1位は「楽しくてやりがいのある仕事」、2位は「自身の成長につながる仕事」であることをご紹介しました。
(*3) 新入社員意識調査(仕事の価値観編)https://www.all-different.co.jp/app/uploads/all/news_20250605.pdf
では、その結果は勤続意向・離職意向別で分類すると違いがあるのでしょうか。図1の、入社した今の会社で働き続けたいかという質問で、「できれば今の会社で働き続けたい」と回答した人を『勤続意向者』、「そのうち転職したい」「いつかは起業したい」「フリーランスとして独立したい」「家庭に入りたい」と回答した人を『離職意向者』と分類し、分析しました。(「わからない」と回答した人は除く)
今後どのような仕事をしていきたいかと質問した結果、『勤続意向者』『離職意向者』どちらも、「楽しくてやりがいのある仕事」と回答した割合が他項目より突出し、トップの結果になりました。次に、「自身の成長につながる仕事」がそれぞれ41.4%、41.6%と続きました。
回答割合の差に注目すると、『勤続意向者』は『離職意向者』よりも「チーム一丸となって取り組む仕事」が11.9ポイント、「楽しくてやりがいのある仕事」が5.2ポイント高くなりました。一方、『離職意向者』は『勤続意向者』よりも「成果次第で給与が上がる仕事」が7.4ポイント、「自分のペースでやり切れる仕事」が6.5ポイント高くなりました(図3)。

3.今の会社で働き続けたい条件「職場の人間関係」「高い給与・賞与」6割超が回答し、2大トップ
次に、新入社員が今の会社で働き続けたいと思う条件を質問しました。
結果、「職場の人間関係が良い」と回答した割合が65.7%、「高い給与・賞与をもらえる」と回答した割合が62.2%となり、この2つの項目が6割を超え、他項目より突出しました(図4)。

新入社員が今の会社で働き続けたいと思う条件を、性別で比較しました。
結果、男性のトップは「高い給与・賞与をもらえる」(65.4%)、次に「職場の人間関係が良い」(60.0%)が続きました。女性のトップは「職場の人間関係が良い」(73.5%)となり、次に「高い給与・賞与をもらえる」(57.9%)が続きました。
男性・女性の割合を比較すると、男性は「業績が安定している」と回答した割合が女性よりも6.0ポイント高く、女性は「頑張りを認めてもらえる」と回答した割合が男性よりも7.0ポイント高くなりました(図5)。

次に、新入社員が今の会社で働き続けたいと思う条件について、2020年度から6年間、各年度の新入社員が回答した結果を比較しました。結果、「職場の人間関係が良い」と回答した割合が全年度6割を超え、トップを維持していました。
年度別に変化があった項目は、「高い給与・賞与をもらえる」と回答した割合で、2020年度は51.5%のところ、徐々に増加し2025年度は6割を超えました。一方、「仕事を通じて成長できる」と回答した割合は、2020年度は45.4%のところ、2025年度は33.5%に減少しました(図6)。

4.長く働きたい会社の雰囲気・文化「互いに協力し合い、チームワークを重視する文化」7割が回答
最後に、どんな雰囲気・文化の会社だと、長く働きたいと思うか質問しました。
結果、「互いに協力し合い、チームワークを重視する文化がある」と回答した割合が72.8%で、他の項目よりも突出した結果となりました(図7)。

まとめ
本レポートでは、新入社員の早期離職予防や定着のために企業ができることを探るべく、新入社員の勤続意向に焦点を当てて調査・分析を行いました。結果、2025年度の新入社員のうち65.4%が「今の会社で働き続けたい」と考えており、その割合は12年間で最大の割合となりました。
「今の会社で働き続けたい」と考える新入社員がどのような仕事を取り組んでいきたいか質問したところ、7割超が「楽しくてやりがいのある仕事」と回答しました。一方、離職を視野に入れている約2割の新入社員は、勤続意向のある新入社員より「成果次第で給与が上がる仕事」や「自分のペースでやり切れる仕事」を求めていることもわかりました。
今の会社で働き続けたいと考える条件では、「職場の人間関係が良い」「高い給与・賞与をもらえる」が他の項目より突出する結果となりました。特に「職場の人間関係が良い」ことは、2020年度から6年連続で6割を超え1位を維持し、働き続ける条件として、いつの時代も非常に重要であることがわかります。また、近年の物価高騰の影響もあるのか、「高い給与・賞与をもらえる」という回答の割合は年々増加しており、特に男性の新入社員では働き続けたい条件に「高い給与・賞与をもらえる」をあげる傾向が強く出ています。
長く働きたいと思う会社の雰囲気・文化では、7割超の新入社員が「互いに協力し合い、チームワークを重視する文化」と回答する結果となり、ここからも一緒に働くメンバーと良好な関係を築ける心理的安全性の高い職場で働きたいという思いが読み取れました。
専門家による考察「新入社員が組織になじむための4大要素」
今年の新入社員は、6割以上が「今の会社で働き続けたい」と回答し、過去12年間のうち最大の割合となりました。また、今の会社で働き続けたいと思う条件は、「職場の人間関係が良いこと」「給与・賞与」が2大トップであり、雰囲気・文化については「互いに協力し合いチームワークを重視する文化」であれば長く働き続けたいと考えていることがわかりました。
新入社員が「この職場は人間関係が良い、チームワークを重視している」と感じるには、既存社員同士の関係が良好であることが欠かせません。ただ、既存社員同士の関係が良いものであったとしても、新入社員自身が新しい組織にうまく適応できなかった場合、「自分はこの会社の人たちと上手くやっていけない」と感じ離職を考えるようになる可能性があります。
新しい組織に適応していくプロセスを「組織社会化」といいます。「組織社会化」のポイントには次の4つがあり、これらの実現には本人の努力だけでなく、上司や先輩からの支援も必要不可欠です。
<組織社会化の4大要素>
①政治人脈知識の獲得
「この業務については誰が一番詳しいか・影響力を持っているか」や組織構造、各部門の役割について理解することです。役割分担表の作成や、新入社員から先輩社員へのインタビューツアーをすると理解促進につながります。
②学習棄却(アンラーニング)
学生時代に身につけてきた物事の考え方や振る舞いを見直すことで、新しい組織での考え方や振る舞いを身につけやすくすることです。新入社員が学習棄却を十分に行えていないようであれば、先輩社員が振り返りの場などでフィードバックすると学習棄却を促せます。
③評価基準・役割の獲得
会社からの期待は何なのか、どのような言動なら好ましい評価をされるのかを理解することです。新入社員が目指すべき人物像を、全社や各部門の目指すべき人物像をもとに設定し、新入社員がイメージできる言葉で伝えるとよいでしょう。
④知識・スキルの獲得
業務で必要な知識やスキルを身につけることです。必要な知識やスキルを洗い出すにあたっては、「業種や職種に固有な知識やスキル」と、「あらゆる職種・業務に共通して必要不可欠な社会人スキル(バイタルスキル🄬)」の両方で考えると漏れや偏りを防げます。

ALL DIFFERENT株式会社
事業開発推進本部 コンテンツマネジメント部 ユニットリーダー
宮澤 光輝(みやざわ・こうき)
東京大学卒業後、ALL DIFFERENT (旧トーマツ イノベーション/ラーニングエージェンシー)に入社。コンサルタントと研修講師を兼務し、サービスの企画・開発、研修講師育成、中堅~大企業に対して研修の企画・提案および実施などをはじめとした人材育成支援に従事。複数の全社プロジェクトでプロジェクトリーダーを担当。現在はサービスの企画・開発チームのリーダーとして、対面研修、オンライン研修などの新サービスの企画・開発、研修講師育成を担う。研修講師としては公開講座や企業内研修等で、OJT指導者向け、管理職向けの研修を中心に年間100回以上実施。

調査対象者 |
当社が提供する新入社員研修に参加した 2025年度入社の新入社員 |
---|---|
調査時期 |
2025年3月25日~2025年4月24日 |
調査方法 |
Web・マークシート記入式、または自記式でのアンケート調査 |
サンプル数 |
3,933人 |
属性 |
(1)業種 農業,林業 8人(0.2%) 鉱業,採石業,砂利採取業 4人(0.1%) 建設業 245人(6.2%) 製造業 580人(14.7%) 電気・ガス・熱供給・水道業 59人(1.5%) 情報通信業 828人(21.1%) 運輸業,郵便業 85人(2.2%) 卸売業,小売業 262人(6.7%) 金融業,保険業 259人(6.6%) 不動産業,物品賃貸業 162人(4.1%) 学術研究,専門・技術サービス業 217人(5.5%) 宿泊業,飲食サービス業 34人(0.9%) 生活関連サービス業,娯楽業 95人(2.4%) 教育,学習支援業 38人(1.0%) 医療,福祉 61人(1.6%) 複合サービス事業 138人(3.5%) サービス業(他に分類されないもの) 350人(8.9%) 公務 3人(0.1%) その他 401人(10.2%) 分からない 101人(2.6%) BLANK 3人(0.1%) (2)企業規模 50人以下企業 201人(5.1%) 51人~100人企業 567人(14.4%) 101人~300人企業 1389人(35.3%) 301人~1,000人企業 590人(15.0%) 1,001人~5,000人企業 660人(16.8%) 5,001人以上企業 305人(7.8%) わからない 217人(5.5%) BLANK 4人(0.1%) |
*本調査を引用される際は【ラーニングイノベーション総合研究所「新入社員意識調査2025(3933人の勤続意向編)」】と明記ください
*各設問において読み取り時にエラーおよびブランクと判断されたものは、欠損データとして分析の対象外としています
*構成比などの数値は小数点以下第二位を四捨五入しているため、合計値が100%とならない場合がございます
ラーニングイノベーション総合研究所
「人と組織の未来創り®」に関する様々な調査・研究活動を行っている当社研究機関。データに基づいた組織開発に関する解決策を提供。

ALL DIFFERENT株式会社
組織開発・人材育成支援を手掛けるコンサルティング企業。
人材育成から、人事制度の構築、経営計画の策定、人材採用までの組織開発・人材育成の全領域を一貫して支援。
《沿革》
2006年 トーマツイノベーション株式会社として人材育成事業を開始し、業界初や特許取得のサービスを多数開発・提供
2019年 株式会社ラーニングエージェンシーとして、デロイトトーマツグループから独立
2024年 ALL DIFFERENT株式会社へ社名変更
代表取締役社長 眞﨑 大輔
本社所在地 〒100-0006 東京都千代田区有楽町2-7-1 有楽町 ITOCiA(イトシア)オフィスタワー 15F(受付)・17F・18F
支社 中部支社、関西支社
人員数 328人(2025年4月1日時点)
事業 組織開発支援・人材育成支援、各種コンテンツ開発・提供、ラーニングイノベーション総合研究所による各種調査研究の実施
サービス 定額制集合研修「Biz CAMPUS Basic」/ライブオンライン研修「Biz CAMPUS Live」/ビジネススキル学習アプリ「Mobile Knowledge」/ビジネススキル診断テスト「Biz SCORE Basic」/IT技術習得支援サービス「IT CAMPUS」/デジタルスキル習得支援サービス「DX CAMPUS」/管理職アセスメント「Discover HR」「Competency Survey for Managers」/人事制度構築支援サービス「Empower HR」
経営計画策定支援サービス「Empower COMPASS」/転職支援サービス「Biz JOURNEY」ほか
URL https://www.all-different.co.jp/corporate
▼ALL DIFFERENT株式会社では事業拡大に伴い、採用活動にも力を入れています。
新卒採用 https://newgraduates.all-different.co.jp/
中途採用 https://career.all-different.co.jp/
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像