【調査】若手社員58.2%が「勤務先に誇り」。入社年数が上がるにつれて減少傾向に

ファーストキャリア調査(従業員エンゲージメント編)

ALL DIFFERENT株式会社

累計20,000社450万人以上の組織開発・人材育成を支援するALL DIFFERENT(オールディファレント)株式会社(所在地:東京都千代田区 代表取締役社長:眞﨑大輔)および「人と組織の未来創り🄬」に関する調査・研究を行うラーニングイノベーション総合研究所🄬は、2025年8月1~27日の期間で、社会人1~4年目の若手社員1,793人に対し意識調査を実施しました。本リリースでは、若手社員の会社に対するエンゲージメントの実態を調査・分析します。

背景

近年、働き方やビジネス環境の変化を背景に、多くの企業が「人材の成長・活躍」を重視しています。特に、従業員の働きがいや企業への愛着を高める取り組みに力を入れる企業が増えており、エンゲージメント向上は、企業の持続的な成長に直結する重要な課題となっています。

中でも注目されているのが若手社員の企業に対するエンゲージメントです。企業の将来を担う存在である彼らが、ビジョン・方針に自己実現を重ね合わせ、企業への貢献意欲を持ち続けられるかどうかは、企業全体の活力や生産性に大きく影響します。しかし実際には、若手社員が職場に適応する過程で、様々な壁に直面し、企業への貢献意欲の低下や離職意向の高まりにつながることもあります。


そこで本調査では、若手社員が企業に対して感じる貢献意欲や愛着、すなわち「従業員エンゲージメント」に着目し、エンゲージメントの構成要素の1つである「会社で働くことに対する誇り」の実態を、様々な観点から明らかにします。

調査結果の概要

  • 58.2%の若手社員が、勤務先企業に「誇り」を実感。社会人歴が長くなるにつれて減少傾向(図1・図2)

  • 勤務先企業で働くことに「誇り」を感じる人ほど、勤務先で「働き続けたい」と思う傾向(図3)

  • 勤務先企業で働くことに「誇り」を感じる人ほど、組織への貢献を自ら考え、実行している傾向(図4)

  • 勤務先企業で働くことに「誇り」を感じる人ほど、知識・スキル強化への努力をする傾向(図5)

  • 安心して発言できる雰囲気や環境が整っている職場ほど、勤続先企業へ「誇り」を感じる傾向(図6)

  • 考察「勤務先企業への“誇り”を育み、若手社員のエンゲージメントを高めるコツ」

調査結果の詳細

1. 58.2%の若手社員が、勤務先企業に「誇り」を実感。社会人歴が長くなるにつれて減少傾向

まず初めに、社会人1~4年目の若手社員に対して、勤務先企業で働いていることに「誇り」を感じるか質問しました。結果、「感じる」と回答した割合は18.6%、「やや感じる」と回答した割合は39.6%となり、58.2%の若手社員が勤務先企業に「誇り」を感じていることがわかりました(図1)。

勤務先企業で働くことへの「誇り」を、社会人1~4年目の社会人歴別に分析しました。

結果、「誇り」を感じる(「感じる」「やや感じる」の合計)割合が、社会人1年目社員では68.0%、社会人2年目社員では61.2%、社会人3年目社員では58.6%、社会人4年目社員では49.2%となり、社会人歴が長くなるにつれて、勤務先企業で働いていることに「誇り」を感じる割合が減少することがわかりました(図2)。

2. 勤務先企業で働くことに「誇り」を感じる人ほど、勤務先で「働き続けたい」と思う傾向

次に、勤務先企業で働くことへの「誇り」と「勤続意向」の関係性を調査しました。

結果、勤務先企業で働くことへ誇りを「感じる」と回答した人のうち、勤務先企業で働き続けたいと「思う」と回答した割合は57.1%となりました。「どちらかといえば思う」(33.9%)と回答した割合も含めると、勤務先企業で働くことに「誇り」を感じる人の9割以上が勤務先企業で働き続けたいと感じることがわかりました。

一方、勤務先企業への誇りを「感じない」と回答した人のうち、勤務先企業で働き続けたいと「思う」と回答した割合は3.3%となり、働き続けたいと「思わない」と回答した割合は69.3%となりました。

勤務先企業への誇りを「やや感じる」「あまり感じない」の結果も鑑みると、勤務先企業で働くことへの「誇り」と「勤続意向」には、相関の関係があることがわかりました(図3)。

3. 勤務先企業で働くことに「誇り」を感じる人ほど、組織への貢献を自ら考え、実行している傾向

次に、勤務先企業で働くことへの「誇り」と「主体性の発揮」の関係性を調査しました。「主体性の発揮」では、組織への貢献へ主体的な行動をしているかという質問*に対して、「している」「ややしている」「あまりしていない」「していない」の4段階の評価で回答いただきました。

*実際のアンケートでは「自身の業務に加えて、+αの行動として、上司・先輩・後輩など組織のメンバーに貢献できることを自ら考え、実行しているか」と質問

結果、勤務先企業で働くことへの誇りを「感じる」と回答した人のうち、組織への貢献行動を「している」と回答した割合は46.3%、「ややしている」と回答した割合は38.6%となりました。勤務先企業で働くことに「誇り」を感じる若手社員の8割以上が、組織に貢献できることを自ら考え、実行していることがわかります。

一方、勤務先企業で働くことへの誇りを「感じない」と回答した人のうち、組織への貢献行動を「している」と回答した人は4.3%、「していない」と回答した割合は51.7%となりました。

勤務先企業で働くことへの誇りを「やや感じる」「あまり感じない」の結果も鑑みると、勤務先企業で働くことへの「誇り」と、組織への「主体性の発揮」には、相関の関係があることがわかりました(図4)。

4. 勤務先企業で働くことに「誇り」を感じる人ほど、知識・スキル強化への努力をする傾向

勤務先企業で働くことへの「誇り」と「知識・スキル強化」の関係性を調査しました。「知識・スキル強化」では、知識・スキルを強化する努力をしているかという質問*に対して、「している」「ややしている」「あまりしていない」「していない」の4段階評価で回答いただきました。

*実際のアンケートでは「自身の業務につながる知識・スキルを強化する努力をしていますか」と質問

結果、勤務先企業で働くことへの誇りを「感じる」と回答した人のうち、知識・スキル強化への努力を「している」と回答した割合は40.5%、「ややしている」と回答した割合は47.5%となりました。勤務先企業で働くことへの「誇り」を感じる若手社員の約9割が、知識・スキルを強化するために努力していることがわかります。

一方、勤務先企業で働くことへの誇りを「感じない」と回答した人のうち、知識・スキル強化への努力を「している」と回答した人は1割も満たず、「していない」と回答した割合は56.7%、「あまりしていない」と回答した割合は29.7%となりました。

勤務先企業で働くことへの誇りを「やや感じる」「あまり感じない」の結果も鑑みると、勤務先企業で働くことへの「誇り」と自身の業務につながる知識・スキルを強化するための努力には、相関の関係があることがわかりました(図5)。

5. 安心して発言できる雰囲気や環境が整っている職場ほど、勤続先企業へ「誇り」を感じる傾向

最後に、「職場の雰囲気」と勤務先企業で働くことへの「誇り」の関係性を調査しました。「職場の雰囲気」では、安心して発言できる雰囲気や環境があるかという質問*に対して「感じる」「やや感じる」「あまり感じない」「感じない」の4段階評価で回答いただきました。

*実際のアンケートでは「安心して自分の考えを伝えられる雰囲気や環境が整っていると感じますか」と質問

結果、勤務先企業では安心して自分の考えを伝えられる雰囲気や環境が整っていると「感じる」と回答した人のうち、勤務先企業への誇りを「感じる」と回答した割合は56.3%、「やや感じる」と回答した割合は33.0%となりました。

一方、勤務先企業では安心して自分の考えを伝えられる雰囲気や環境が整っていると「感じない」と回答した人のうち、勤務先企業への誇りを「感じる」と回答した人は1割に満たない結果となりました。また、誇りを「感じない」と回答した割合は58.9%、「あまり感じない」と回答した割合は25.4%となりました。

安心して自分の考えを伝えられる雰囲気や環境が整っている職場では、勤務先企業への「誇り」を感じる傾向にあることがわかりました(図6)。

まとめ

社会人1~4年目までの若手社員を対象に、現在勤務している企業に感じる「誇り」について、調査を実施しました。結果、約6割の若手社員が現在の勤務先企業で働いていることに「誇り」を感じていることがわかりました。

社会人歴が長くなるにつれ、業務知識だけでなく、組織のビジョン・ミッション、構造や文化、また人間関係や、制度の仕組み、社会貢献性など、企業の内側をより深く理解することになります。この理解が企業に対する「誇り」につながることが理想ですが、今回の調査では、社会人歴が長くなるにつれて「誇り」を感じる割合が低下する傾向が見られました。

そこで、勤務先企業への「誇り」がどのような要素と関係しているか、様々な観点から分析しました。まずは、勤続意向との関係を見たところ、勤務先企業に「誇り」を感じる社員ほど、「この会社で働き続けたい」と思う傾向が強いことがわかりました。

次に、行動面に着目し、主体性の発揮や、自身の知識・スキル習得について調査しました。結果、勤務先企業で働いていることに「誇り」を感じる社員ほど、組織に貢献できることを自ら考え行動する傾向があり(主体性の発揮)、業務に関連する知識やスキルの習得にも積極的であることがわかりました。

最後に、勤続先企業への「誇り」と、職場環境との関係を分析しました。結果、「安心して自分の考えを伝えらえる職場」で働く社員ほど、勤続先企業へ「誇り」を感じる割合が高いこともわかりました。

考察 勤務先企業への“誇り”を育み、若手社員のエンゲージメントを高めるコツ

本調査では、勤務先企業に対する「誇り」が、若手社員の知識・スキル強化への意欲や主体性の発揮度合い、そして勤続意向と関連している可能性が示唆されました。

若手社員が勤務先企業に「誇り」を持つことは、組織全体に好ましい影響を及ぼします。例えば、組織を「もっと良くしたい」「改善したい」という気持ちが自然と芽生え、業務プロセスの見直しや職場環境の改善が進んだり、また、新しい業務に積極的に取り組み、各社員の能力・経験の幅が拡大するなど、組織の活性化と持続的な成長につながる好循環が生まれます。

社員が勤務先企業に対して「誇り」を持てるようになるための取り組みには様々なものがあります。組織開発・人材育成の領域においては、「自分の行動が、企業の成長・拡大に寄与できている」と感じられる取り組みを行うことで、勤務先企業への誇りにつながるでしょう。具体的には次のような取り組みが有効です。

(1)意見を言い合える組織風土・文化の醸成

若手社員が意見を発信しやすくなるためには、制度面と風土面の両面からの支援が求められます。制度面では、改善提案制度や年次別の意見収集などが意見を引き出す仕組みとして有効です。一方で風土面では、上司や先輩が日常的に若手社員の意見を傾聴し、対話することで信頼関係を構築することが重要です。

(2)組織貢献への期待の伝達と、組織貢献への自己認識を促す活動

若手社員は経験が浅いため、自分の業務が組織にどう貢献しているかを把握しづらい傾向があります。1on1や評価面談の場などを活用し、組織からの期待を明確に伝えたり、表彰制度や成果共有会などで組織への貢献を可視化・称賛したりすることが効果的です。

(3)学ぶ意欲を高めるようなフィードバックの実施

前述した1on1や評価面談の場で期待の伝達をする際に、どのようなマインド・知識・スキルを身につけると組織貢献につながるかを伝えることで、成長への意欲を高めるとともに、意見や提案の質を高め、正しい方向へと成長を導くことができるようになります。

社員が自社に誇りを持てる環境を整えることは、組織の持続的な成長と人材定着の基盤創りにつながるといえるでしょう。

ALL DIFFERENT株式会社
事業開発推進本部 コンテンツマネジメント部 ユニットリーダー
宮澤 光輝(みやざわ・こうき)

東京大学卒業後、ALL DIFFERENT (旧トーマツ イノベーション/ラーニングエージェンシー)に入社。コンサルタントと研修講師を兼務し、サービスの企画・開発、研修講師育成、中堅~大企業に対して研修の企画・提案および実施などをはじめとした人材育成支援に従事。複数の全社プロジェクトでプロジェクトリーダーを担当。現在はサービスの企画・開発チームのリーダーとして、対面研修、オンライン研修などの新サービスの企画・開発、研修講師育成を担う。研修講師としては公開講座や企業内研修等で、OJT指導者向け、管理職向けの研修を中心に年間100回以上実施。

調査概要

調査対象者

社会人1~4年目の就労者

調査時期

2025年8月1~27日

調査方法

調査会社によるインターネット調査

サンプル数

1,793人(社会人1年目社員335人、社会人2年目社員405人、社会人3年目社員523人、4年目530人)

属性

(1)業種

農業,林業 18人(1.0%)

漁業 8人(0.4%)

鉱業,採石業,砂利採取業 12人(0.7%)

建設業 93人(5.2%)

製造業 254人(14.2%)

電気・ガス・熱供給・水道業 74人(4.1%)

情報通信業 131人(7.3%)

運輸業,郵便業 60人(3.3%)

卸売業,小売業 117人(6.5%)

金融業,保険業 94人(5.2%)

不動産業,物品賃貸業 48人(2.7%)

学術研究,専門・技術サービス業 35人(2.0%)

宿泊業,飲食サービス業 33人(1.8%)

生活関連サービス業,娯楽業 30人(1.7%)

教育,学習支援業 97人(5.4%)

医療,福祉 270人(15.1%)

複合サービス事業 31人(1.7%)

サービス業(他に分類されないもの) 125人(7.0%)

公務 89人(5.0%)

その他 104人(5.8%)

わからない 70人(3.9%)

(2)企業規模

50人以下 282人(15.7%)

51~100人 268人(14.9%)

101~300人 312人(17.4%)

301~1,000人 336人(18.7%)

1,001~5,000人 294人(16.4%)

5,001人以上 301人(16.8%)

*本調査を引用される際は【ラーニングイノベーション総合研究所「ファーストキャリア調査(従業員エンゲージメント編)」】と明記ください

*各設問において読み取り時にエラーおよびブランクと判断されたものは、欠損データとして分析の対象外としています

*構成比などの数値は小数点以下第二位を四捨五入しているため、合計値が100%とならない場合がございます

ラーニングイノベーション総合研究所

「人と組織の未来創り®」に関する様々な調査・研究活動を行っている当社研究機関。データに基づいた組織開発に関する解決策を提供。

ALL DIFFERENT株式会社

ALL DIFFERENT株式会社

組織開発・人材育成支援を手掛けるコンサルティング企業。
人材育成から、人事制度の構築、経営計画の策定、人材採用までの組織開発・人材育成の全領域を一貫して支援。

《沿革》
2006年 トーマツイノベーション株式会社として人材育成事業を開始し、業界初や特許取得のサービスを多数開発・提供
2019年 株式会社ラーニングエージェンシーとして、デロイトトーマツグループから独立
2024年 ALL DIFFERENT株式会社へ社名変更

代表取締役社長 眞﨑 大輔
本社所在地   〒100-0006 東京都千代田区有楽町2-7-1 有楽町 ITOCiA(イトシア)オフィスタワー 15F(受付)・17F・18F
支社      中部支社、関西支社
人員数     328人(2025年4月1日時点)
事業      組織開発支援・人材育成支援、各種コンテンツ開発・提供、ラーニングイノベーション総合研究所による各種調査研究の実施
サービス    定額制集合研修「Biz CAMPUS Basic」/ライブオンライン研修「Biz CAMPUS Live」/ビジネススキル学習アプリ「Mobile Knowledge」/ビジネススキル診断テスト「Biz SCORE Basic」/IT技術習得支援サービス「IT CAMPUS」/デジタルスキル習得支援サービス「DX CAMPUS」/管理職アセスメント「Discover HR」「Competency Survey for Managers」/人事制度構築支援サービス「Empower HR」
経営計画策定支援サービス「Empower COMPASS」/転職支援サービス「Biz JOURNEY」ほか
URL       https://www.all-different.co.jp/corporate

▼ALL DIFFERENT株式会社では事業拡大に伴い、採用活動にも力を入れています。
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業種
サービス業
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電話番号
03-5222-5111
代表者名
眞﨑 大輔
上場
未上場
資本金
-
設立
2006年02月