“極上のととのい“を届けたい。日本初、建築基準法に適合したアウトドアサウナ「PIONEERI（ピオネーリ）」の開発ストーリー

開発秘話

2025年1月31日 18時40分株式会社ロイヤルコーポレーション

　感動を広めたいと47歳で独立。アウトドアサウナブランドSAUNEAは、30社以上もの製材会社に断られても諦めずに作り上げた1台のサウナキャビン（小屋）から始まった。

SAUNEAマネージャー　田島裕二（株式会社ロイヤルコーポレーション　ウェルネス事業部　部長）

　SAUNEA（サウネア）は株式会社ロイヤルコーポレーション（埼玉県さいたま市、代表：田島永一）が運営するアウトドアサウナブランド。サウナキャビン（小屋）やペレットストーブを製造販売しています。

　SAUNEAマネージャーの田島裕二は47歳の時に体験したテントサウナでアウトドアサウナに魅了され、当時はまだ一般的でない本格的なアウトドアサウナを日本で普及させることを決意しました。

　しかし、設計図の描き方もわからない。相談した埼玉県内の全ての製材所に断られる。それでも、諦めず、一切妥協することなく、2022年に日本初となる国産木材を使用したキューブ型サウナ「RIISI（リージ）」を発売。その後、最高の環境でサウナを体験できる一日一組限定のアウトドアサウナ付きイベントスペース「SAUNEA浦和」をオープン。そしてこの度、今まで建築基準法による制限の為にアウトドアサウナを設置できなかった地域に設置できるように、2024年11月に日本初（※）となる建築基準法に適合した可動式アウトドアサウナ「PIONEERI（ピオネーリ）」を発表しました。

（※）日本国内における建築基準法に適合し、けん引も可能なアウトドアサウナキャビンとして（2024年10月時点当社調べ）

　今回は、「PIONEERI」の開発経緯やこだわりについてマネージャーの田島裕二よりお話しさせていただきます。

SAUNEAマネージャーの田島（右）と広報の新改（左）。建築基準法に適合した可動式アウトドアサウナ「PIONEERI（ピオネーリ）」のウッドデッキにて撮影。

PIONEERI（ピオネーリ）。1日1組限定のアウトドアサウナ付きイベントスペース「SAUNEA浦和（埼玉県さいたま市）」にて撮影。

”極上のととのい”のために、品質とデザインに徹底的にこだわる。

高品質なアウトドアサウナを日本で普及させ、癒される人を増やしたい。そんな思いで、2021年、アウトドアサウナブランド「SAUNEA（サウネア）」を立ち上げました。

　サウナの品質とデザインには徹底的にこだわり抜いています。例えば国産木材を使用したキューブ型サウナ「RIISI（リージ）」では、当時流行していた一般的なバレル（樽型）サウナの壁が1層構造でサウナ室内の温度が上がらないといった課題を抱えていたのに対し、3層構造にしてより高い断熱性を確保しました。また、大自然の景色を楽しめるように一面をガラスにした上で、印象を決める丸味を帯びた角の部分は何度も何度も作り直しました。

　そして、「PIONEERI（ピオネーリ）」を2024年11月に発表。この新製品は、これまでプロデュースをしてきたサウナ施設を越える断熱性能に加え、不燃材でありながらも木のぬくもりが感じられる内装材を採用しました。そして何といっても建築基準法に適合していながらも、けん引用のシャーシに載せることで車両のままでも楽しめる仕様に。どこでも”極上のととのい”を体験できるようになりました。

夜間でライトアップされたPIONEERI（ピオネーリ）。「SAUNEA浦和」で不定期に開催されるパブリックデー（一般公開日）にて。パブリックデーの詳細はこちらのサイトをご確認ください。

理想のサウナを作ってもらおうと製材所を回るが30社以上に断られた。

　初めてアウトドアサウナを体験したのは2021年。コロナ禍でアウトドアレジャーが盛んになっていた頃、テントサウナを買った友人が竹林の中の施設へ招待してくれました。お世辞にも綺麗とは言えない施設で、水風呂も無く、サウナ後にホースから出る水を直接浴びただけでしたが、その気持ちよさに感動しました。

　アメリカ留学中に田舎の森の湖畔で味わった気持ち良さを思い出し「これをみんなに共有したい！」と思いました。また同時に、当時独立を考えていたので「これはビジネスになる！」と確信しました。調べると海外では珍しくもないアウトドアサウナが日本ではまだなじみが無く、テントサウナやバレルサウナなど簡易的で断熱性能も低い製品が一般的でした。

　自分の理想のサウナ室とそのために必要な木材のデザインをエクセルで何とか描き、埼玉県内の製材所を回りましたが全て断られました。しかし諦めるという思いは全くなく、以前経営者勉強会でたまたまお話しした富山で製材所を営むエコーウッド富山株式会社（富山県小矢部市）代表の米澤様を思い出して連絡すると「やってみよう、できるよ。」とすんなり受け入れてくれました。

　今でも主力製品であるRIISI（リージ）を作ってもらっていますが、情熱だけの当時の私を受け入れていただいて本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

断られ続けた手書きの設計図を最初に受け入れてくださったエコーウッド富山株式会社（富山県小矢部市）代表の米澤様

初期のRIISI（リージ）。現在のものと比べて窓ガラスが狭く、構造も異なる。2022年にSAUNEA浦和にて撮影。

情熱で作り上げたSAUNEAの完成度。

　心地よいサウナ室には高い「断熱性」と快適な「ベンチレーション（吸排気）」が重要です。一般的なバレルサウナは木の板を樽型に組み立てている一層構造なので使用している間に木が痩せてしまい、熱気が漏れたり雨漏りをしてしまうことがあります。

　弊社の「RIISI（リージ）」ではアスファルトルーフィングという防水材を木の板で挟んだ3層構造になっており、「PIONEERI（ピオネーリ）」では施設よりも優れた断熱性になっています。そのため、どちらの製品も一面が大きなガラス張りという悪条件の中でも十分な温度を維持できます。

　また、ベンチレーション（吸排気）が悪いと空気が滞ってしまい、サウナ室内が汗臭かったり息苦しかったりします。SAUNEAでは「1時間に6回空気が入れ替わる」というフィンランドの一般的な規定をクリアできるように吸排気口の位置と大きさを調整しています。

　これらのこだわりは原材料費を高額にします。また、お客様の要望に応えようとすると毎回オーダーメイドになって手間が増えてしまうので協力会社の方にはいつも迷惑をかけてしまっています。しかし「SAUNEAのサウナしか入れなくなってしまった」と言って、設立当初から毎月欠かさず来てくださる有限会社宮野園（埼玉県狭山市）代表の宮野様のようなファンの方の笑顔を見る度に、心地よいサウナを追求する姿勢は間違っていないと毎回確信が持てています。

ライトアップされたSAUNEA浦和（埼玉県さいたま市）。10～14人収容可能なアウトドアサウナ「RIISI（リージ）2500ワイド」とチラー（冷却装置）付き大型プールが楽しめる。建物内では業務用キッチンも利用可能。詳細はこちら。

寒冷地用に前室が設けられたアウトドアサウナ「RIISI（リージ）2700」が楽しめる「SAUNEA白州（山梨県北杜市）」。6人まで宿泊可能。大自然の中でサウナやBBQ、たき火を楽しめる。詳細はこちら。

場所を選ばずアウトドアサウナが楽しる「PIONEERI（ピオネーリ）」の開発

　ありがたいことにたくさんのお客様から弊社の「RIISI（リージ）」を設置したいと依頼をいただいています。しかし、その中には「準防火地域」や「法22条/23条地域」など建築基準法が定める制限の為に設置を諦めざるを得ない方も多くいらっしゃいました。

　それらの条件をクリアするには延焼を防ぐ性能を持った建築物でないといけません。また、他にも「けん引できるサウナを作って欲しい」という要望をいただいていたので、「建築基準法にも適合していて、けん引もできるサウナ」を作ろうと思いました。

　しかし、今までとは全く異なる構造と素材を使用し、けん引するために道路交通法になどの制限も考慮する必要がありました。そこでトレーラーハウスの深い見識を持つスタジオスケッチ（東京都小金井市）の塚本様、建築のプロフェッショナルであるエイ・ワン株式会社（茨城県行方市）代表の荒井様、株式会社ヨコハウス（東京都千代田区）の大嶋様、トレーラーサウナ専用シャーシについてはトレーラーハウスデベロップメント株式会社（東京都中央区）の藤田様などにご協力いただき、何度も何度も打合せを重ねてようやく1号機を完成させることができました。

　「PIONEERI（ピオネーリ）」にはペレットストーブの老舗である有限会社シモタニ（岐阜県下呂市）代表の竹平様と共同開発したサウナ向けペレットストーブ「ALKU（アルク）」が搭載されているので、太陽光パネルとモバイルバッテリーを設置すれば電源設備の無い場所でも手軽に高品質なサウナを体験できます。

　「PIONEERI（ピオネーリ）」の完成により、お客様の環境に合わせたカスタマイズを加えればどんな場所でもサウナを楽しめるようになりました。私の要望を形にしてくださった関係者の皆様には本当に感謝しかありません。

PIONEERI（ピオネーリ）はけん引することでどんな場所でも手軽に本格的アウトドアサウナが楽しめる。（イメージ図）

PIONEERI（ピオネーリ）はウッドデッキなどに設置することも可能。使用材料などをアレンジすることで準防火地域にも対応可能。（イメージ図）

いままでにない製品や施設サービスで、“極上のととのい”を届けたい。

　今後も変わらず、サウナの心地よさをもっと多くの人に知って欲しいと思っています。昨今のサウナ人気の高まりを受けて、山梨県のようにアウトドアサウナを活用した町おこしをする自治体が出てきたり、良いサウナ施設もたくさんできました。

　しかし、今のままではまだ努力が足りないと思っています。もっと他の方法を探さないと、多くの人は本当のサウナの気持ち良さに気付けない。そのために、もっと手軽に「自宅サウナ」が楽しめるような製品を現在開発中です。

　また、ウィスキングやヨガ、エステなど「美と心身の健康」をテーマにした活動を強化していこうと考えています。他にも、都会の喧騒に疲れている人を田舎に連れて行き、サウナと自然に癒されるような導線も作っていきたいです。将来は泉の畔でフレッシュハーブが採れるようなプライベートサウナ施設も作ってみたいですね。

　やりたいことはまだまだたくさんありますが、サウナがもたらす”極上のととのい”を多くの人に届けられるように、今までにない製品や施設、サービスなどを作っていきたいと思います。

創業の想いからPIONEERI（ピオネーリ）が完成するまでを語るSAUNEAマネージャーの田島裕二。ぜひ動画もご覧ください。

アウトドアサウナ向けペレットストーブ「ALKU（アルク）」。アウトドアサウナ「RIISI（リージ）2000」室内にて撮影。詳細はこちら。

「ALKU（アルク）」の燃料である木質ペレット。間伐材などから製造される。温室効果ガスの排出量と吸収量が等しい「カーボンニュートラル」な原料としてSDGsの観点からも注目されている。

【SAUNEAについて】

”極上のととのい”をあなたに。

2021年、日本で初めて国産木材を使用したキューブ型サウナ「RIISI（リージ）」の製造・販売を開始。全国の高級旅館施設や大型温浴施設に導入される。2022年には埼玉県に1日1組限定のサウナ付きイベントスペース「SAUNEA浦和」を、2024年8月には山梨県にアウトドアサウナ付き貸切専用宿泊施設「SAUNEA白州」をオープンさせた。そして同年9月には日本初となるアウトドアサウナ向けペレットストーブ「ALKU（アルク）」を開発し、同年11月には建築基準法に適合した可動式サウナ「PIONEERI（ピオネーリ）」を発表。今後も高品質なアウトドアサウナの普及を目指す。