EC事業を展開する株式会社ファーストペンギンは、3月27日（月）に『柿渋サウナハットZERO』の発売を開始しました。この商品は、岐阜県の革新的＆伝統的技術を融合させて作った、断熱性・耐久性・抗菌力に自信ありのサウナハットです。

商品をリリースするにあたって構想から1年以上が必要だった『柿渋サウナハットZERO』について、発売までの裏側を本ストーリーで伝えます。

ないなら作る！サウナ好きのワガママから始まった。

熱で髪が傷まないように保護し、頭部を熱から守ることで、のぼせずに長くサウナに入れるようにするサウナハット。本場フィンランドで使われていたことから、日本でもサウナブームをきっかけにサウナ時の必需品となっています。

流行り始めた当初、フィンランドでよく使われている「羊毛フェルト生地」のサウナハットがよく売られ、多くの方がそれを使用していました。確かに断熱性は素晴らしいものの、天然ウールを素材としているために臭うことや、手洗いで選択をする手間に課題感を感じていました。

（耐熱性に優れた羊毛フェルトだが、臭いと洗濯の面倒さがあった）

次に、気軽に洗濯できるタオル地のサウナハットが多く出回り始めますが、今度は断熱性が犠牲となってしまいます。そのため、サウナ内ではすぐにのぼせてしまって、物足りなさを感じることがありました。

断熱性と利便性が両立するサウナハットが無いことから、理想のサウナハットを探す長い旅が始まります。サウナブームも手伝い、様々な生地を使ったもの、おしゃれなサウナハットも多く出てきましたが、どうしても「コレ」とはまるものに出会えません。

そんな2022年3月、ついにしびれを切らし「こうなったら最強のサウナハットを自ら作ってしまおう！」と会社での商品化を思い立ちます。それが、『柿渋サウナハットZERO』立上げ第一歩となったのです。

開発をスタートし、120℃の環境で到達した“異なる生地の二重構造”

自ら最高のサウナハットを創ろうと決意し、満たすべき条件の設定から始めました。最終的に決まったのは、下記の5点。

・羊毛フェルトに迫る断熱性

・洗濯可能である気軽さ

・抗菌で耐久性にも優れている

・機能重視でポケットとか余計なものはいらない

・デザインは飽きのこないシンプルなスタイル

その条件を満たすべく、様々な素材の収集や組み合わせを行い、早速実験を行っていきます。その場所として選んだのは、岐阜県山県市にある「神サ」こと『神崎川サウナ』でした。ここで使用されていたテントサウナは世界最熱のもので、120℃という超高温設定が可能。断熱性と耐久性をテストするにはもってこいの場所だったのです。

（神崎川サウナ。120℃の高温が作り上げられるMorzh（モルジュ）でテスト）

オーナーの河合さんは、サウナ好きであることはもちろん、今までアウトドアライターとして登山道具のレビューなどをかなり細かい目線で行っています。そのため、妥協を許さないサウナハット作りのアドバイザーとして、本プロジェクトチームに加入してもらうことになりました。

そして、同じく山県市のハンドメイド作家『Goen』の山田さんにも参加していただき、様々な生地や形状のサウナハットを試作してもらってテストを重ねていきます。

試した生地の中で最も断熱性で優れていたのが「帆布」でしたが、1枚では厚みが足りないことから、断熱性は羊毛フェルトには遠く及びません。そこで帆布の二重構造で作ってみたところ、想像よりも良い形となりました。「では外側を帆布生地にし、内側をボリュームがあって肌触りがいいタオル地の二重構造にしてみたらどうだろう？」とテストしてみたところ、明らかに断熱性がアップしたのです。

（試作品の頃。多くのパターンを経て、この二重構造スタイルに到達した）

しかし、遂に理想の組み合わせに到達したと誰しもが思っていたところ、ある時この二重構造スタイルを裏返して使うことがありました。外側がタオル生地で、内側が帆布のパターンです。すると、なぜかこちらの方がさらに断熱性能が上がったのです。その謎を整理するにつれて、下記の様な推測ができました。

・外からの熱い熱を一旦タオル内の空気の層に取り込む

・溜まった湿度は飽和状態となってそれ以上の高温にならない

・その上で内側の断熱性の高い帆布生地がさらに熱をブロックした

タオル地が肌側にいた方が良いだろうと勝手に思いこんでいたものの、まさに逆転の発想で最善の組み合わせが見つかったのです。しかも帆布は吸水しにくいため、タオル地のようにベチャつかず、サウナ内では意外と肌当たりがいいことも大きな発見でした。

このような実験を経て、外側にタオル地、内側に帆布という、異なる生地の二重構造スタイルが確立されたのです。

最強を目指すためにこだわったタオル地。岐阜県にあった革新的な技術を取り入れる。

最強のサウナハットを作るべく、「生地」と「構造」を最初に研究していきました。

外側に採用するタオル地は奥が深く、様々な種類があります。現在のサウナハットでは「今治タオル」が多く使われているものの、私たちが選んだのは、岐阜県安八郡にある『浅野撚糸』のタオル生地でした。

このスーパーZERO®という撚糸技術は、多くのテレビ番組でも取り上げられるほど革新的で（がっちりマンデー、ガイアの夜明け、カンブリア宮殿など）、まさに知る人ぞ知るタオル生地の最高峰。その技術で作られたタオルは「魔法のタオル」とも呼ばれ、異次元の吸水性・速乾性・耐久性・伸縮性を誇っています。タオルブランド「エアーかおる」に使われている生地だと言えばピンとくる人も多いでしょう。

いかにタオル地内の空気の層にサウナ熱（湿度）を多く、そして密に閉じ込められるか。そしてサウナ熱や、幾度となく行われる洗濯への耐久性を持たせられるかどうか。その全てを高次元で実現しているのがこのタオル生地だったのです。

この記事へほれ込んだ私たちは、浅野撚糸さんを直接訪問し、熱意とサウナ愛を伝えました。そのプレゼンテーションが功を奏し、スーパーZERO®の生地の使用許可をもったのです。

岐阜県で、最新技術と伝統の融合。良いサウナハットには“柿渋染め”が最適だった。

更なる耐熱性と耐久性アップの方法を模索する中で、耐熱性・耐久性プラス抗菌力まで付けられる方法が見つかりました。辿り着いた答えが、日本古来からある伝統的な「柿渋染め」です。柿渋染めとは、古来から漆器や布やロープ、建築材や家具や紙、漁網や和傘など、あらゆるものの下地として広く使用されていたものです。柿渋染めには、高い「防水・防腐・抗菌・耐久」効果があると知られています。

この柿渋染めを、サウナハット内側の帆布生地に施せば、防水効果で外側のタオル地からの高温湿度の流入をさらに抑えることが可能。さらに、抗菌効果で防臭にもなり、かつ狭いサウナ室内での抗ウイルス効果も期待できました。柿渋染めは、経年による色の変化を楽しめることもあり、「サウナ歴とともに味が出てくるサウナハットなんて最高じゃないか！」とメンバー一同が興奮しました。

そこで協力いただくパートナーを探す中で、岐阜県山県市の『柿BUSHI』と出会います。世界でもこの地域にしかない希少品種「伊自良大実柿」を使用した柿渋染めの工房です。その品質の良さと、丁寧かつ繊細な染め技術は高い評価を得ており、ここで染めたエプロンはジブリパークのスタッフ用としても採用されたほどの技術を持ち合わせていました。

（柿BUSHIさんで染められた衣類。経年とともに味が出てくる）

代表の加藤さんにもプロジェクトメンバーとして多くのご意見をいただきながら、完成品を仕上げていきました。

遂に完成。多くのサウナ好きへ届けていく。

タオル地と帆布生地の二重構造で、前者には革新技術のスーパーZERO®、後者には伝統技術の柿渋染め。岐阜の贅沢をぎゅっと詰め込み、Goenさんにて一つ一つ丁寧にハンドメイドで作られていった『柿渋サウナハットZERO』。

革新的なスーパーZERO®技術と伝統的な柿渋染めが融合し、120℃の神崎川サウナでテストを重ね、ハンドメイドで一つ一つ丁寧に作り上げる。まさにサウナ好きたちの熱意と、岐阜の技術が詰まった、オンリーワンのサウナハットが誕生しました。

（誕生の地となった神崎川の清流のほとりにて）

帆布生地を選んだことによって、速乾力と軽量化は犠牲になってしまいましたが、耐熱性と耐久性と抗菌力を徹底的に尖らせました。

水風呂に入るときはサウナハットを脱いで濡らさないようにすれば速乾力は必要ないし、ちょっとくらいの重量アップなんて気にもならない。純粋に「サウナ中に快適であること」という一点に集中して作り上げています。

また、何度も試作を重ねて、MとLの2サイズ展開にまとまりました。Mは、頭のサイズが小さめな人はもちろんのこと、実は頭のサイズが大きい人にもメリットがあるものに。

隙間が埋まった額回りで空気の流入を防ぎつつ、頭頂部に空間ができて空気の層ができます。それによって、溜まった熱が飽和状態になって内部の温度が上がりにくくなっています。これもテストを重ねた結果の発見でした。

ゆったり被りたい人や、髪を束ねて入りたい人向けにはLサイズがお勧めです。深くかぶれば目元まで隠れるので、心行くまで自分の世界に浸ってサウナタイムに没頭することができます。

カラーに関しては、チャコール、アイボリー、ミントの3色展開です。形状もカラーも飽きがこない色味をというテーマでやっていましたが、それに付け足して「アウトドアサウナになじむ色味」ということで、自然になじむアースカラーの展開をチョイスしました。

また、施設内のサウナでも、黒などのパキッとした色味は少々目立って恥ずかしい思いをしてしまうんですが（特にサウナハット率少なめの街の銭湯など）、このカラーであればタオルをかぶってる人と大きな違いはありません。違和感なく使用でき、ナチュラルな色味であることも相まって、女性にも人気のカラーとなっています。

（裏返してかぶれば、柿渋染めの渋みも楽しめる）

副次的な効果として発見したのが、サウナ終わりにサウナハットを裏返してかぶると、スーパーZERO®の生地がみるみる髪の水分を吸い取ってくれたこと。これはドライヤーなどないアウトドアサウナでは非常に重宝します。柿渋染めのハットとしても渋くオシャレで、普段使いとして街での使用も可能です。汗も吸ってくれるから野外フェスにももってこいです。

岐阜のサウナ好きたちが、長いテストと今考え得る最高の技術を結集させて開発した「柿渋サウナハットZERO」。現状のサウナハットに満足がいっていない人、初めてのサウナハット購入で失敗したくない人、大切な人へプレゼントしたい人へ、自信を持ってお勧めいたします。

タフに長く使え、柿渋染めの経年変化も楽しめる。ぜひこのサウナハットをかぶって、更なる深いととのいの世界へと旅立っていただくことを願ってます。

商品ページ（Makuake内）：https://www.makuake.com/project/sauna_hat_zero/

＜仕様＞

◎商品名：柿渋サウナハットZERO

◎カラー：チャコール・アイボリー・ミント

◎生地 表：タオル地（スーパーZERO®撚糸使用）

裏：帆布（伊自良大実柿の柿渋染め加工）

◎サイズ：M/L