Crevo(クレボ) 株式会社が運営する、日本最大級の動画制作サービス「VideoWorks(ビデオワークス)」は、2021年6月に流通総額20億円を突破し、同年8月に登録クリエイターの総数が1万人を突破した。

新型コロナウイルスの影響で、動画需要も急激に高まったことも影響し、右肩上がりの成長を遂げている。しかし、ここまでの成長するまでに、様々な失敗も経験してきた。

■代表取締役 柴田の経歴

代表の柴田は愛知県で育ち、5歳の頃からアイスホッケーを始めた。16歳でU18日本代表に選出され、高校時代はカナダへ2年間、アイスホッケー留学も経験している。そのカナダで様々な衝撃を受けた。日本とは違うフラットなチームの雰囲気、専門性の高い組織、色々な面で日本との違いを体感した。そして、良いことだけでなく、人種差別という社会問題にも直面した。

そんな柴田が起業を意識し始めたのは大学時代。進学した中央大学で体育会アイスホッケー部に所属するが、2年生の夏に全治11ヶ月という大きな怪我をしてしまった。ここからリハビリをして現役復帰を目指しても残りの大学生活は僅か。柴田は現役を諦め、サポートに回る決意をした。ちょうどその頃、アントレプレナーシップゼミに入り、そこで学生起業家と出会った。自分と同年代がビジネスの第一線で活躍していることを目の当たりにし、アイスホッケーという夢中になる事を失っていた柴田は、「いつかは自分も起業したい」と漠然と思うようになっていた。

その後自らの経験を積むため、ネット広告代理店、リクルート、DeNAと複数のインターンを経験。2009年にソフトバンクグループに入社した。そして起業への決意を固める大きなきっかけとなったのが、在職中に1期生として入校した「ソフトバンクアカデミア」での経験。ソフトバンクアカデミアは、ソフトバンクグループを担う後継者発掘・育成を目的に、孫正義社長が立ち上げた学校である。そこで、孫社長直々に経営について学び、ビジョナリーな考えに触れ、「事業作りにチャレンジしたい！」と思うようになった。孫社長が講義の中で語っていた、「会社員として働きながら、力がついたら起業しようと考える人は多いが、社長の力は社長にならないと身につかない」という話に感銘を受け、「あれこれ考える前に、まずは起業しよう！」と考えるようになった。そして、より起業を考えるきっかけになったのが2011年3月の東日本大震災。「人間は、いつ死ぬかわからない。今の時間を大切にしよう。」柴田はソフトバンクグループを2年半で退職し、2012年6月、Crevoの前身の会社であるPurpleCow株式会社を創業した。

■起業、そして挫折

退職後、半年ほどかけてさまざまな事業テーマを検討した。これからの時代は、インターネットを経由して、よりスピーディーに取引が広がる時代になると予測。また、会社の成長に必要なブランディングやPR、コミュニケーション手法として、クリエイティブが事業の中でより重要になってくるだろうと感じていた。たどり着いたのが、世界のクリエイターにグラフィックデザインを依頼できるグローバルクラウドソーシングサービス「designclue」。このサービスの可能性を測るために、スタートアップの登竜門である、ベンチャーキャピタル主催の大規模ピッチイベントに出場したところ、高い評価を得て賞を受賞することができた。この受賞が自信となり、「絶対にうまくいく！」とサービスを開始した。

しかし、順調には進まなかった。マッチングサービスはボリュームを獲得することが必須であるにも関わらず、ユーザー数はなかなか増えなかった。売り上げも伸び悩み、結果的には事業開始後約1年で、資金ショート寸前にまで追い込まれてしまった。敗因は明らかだった。「顧客がこのサービスを求めていなかった」ということ。いくらコンセプトが良くても、ニーズに合っていなければ意味はない。こんなシンプルなことに、全く気づけていなかった。ビジョン先行で動き、顧客に向き合えていなかったことを、今さらながら後悔した。

失敗に気づいたものの、すぐにはピボット(方向転換)できなかった。というより、失敗をなかなか受け止められなかったのだ。心理的にもかなり追い込まれていた。でも、周りが親身になって前を向くよう支えてくれたこともあり、ようやく、資金ショート寸前のところまで来て、現実を受け入れ、新しいチャレンジをすることを決断した。

■新たな挑戦「Crevoの誕生」

再起を図るため、まずはいろいろな人に片っ端から話を聞きに行った。我々に求めているものは何か、どんなサービスなら利用してみたいのか、じっくりヒアリングした。そして、アニメーション動画、3DCG制作、インフォグラフィックス制作、パースの4つに絞り込んだ。そこから、リーンスタートアップの考え方で、4つのサービスとそれぞれ最低限の体制を整え企業に提案に向かった。結果的に、4つの中で圧倒的に反応がよかったのがアニメーションのサービス紹介動画。「すぐにやりたい」と前のめりな企業が多く、「このサービスは求められている」と確信。そして2014年3月、デザインから動画へと方向転換を決め、サービス名を「Crevo」として、世の中に発表することになる。

■体験から得たヒント

起業当初の経験も大きなヒントとなった。もともと、起業の頃から動画は事業として取り組みたいと思っていたこともあり、自社の企業動画を作ってPRしようと考え、いくつかの動画制作会社から見積もりを取ったのだが、料金がバラバラ、しかも高額。内訳も不明瞭で、不信感を抱き発注できなかった。このような現状を解消するために、「Crevo」では料金プランをパッケージ化し、29万円からと明示した。かつ、制作費をすべてオープンにして透明化を図り、安心して利用いただける工夫をした。

また、「designclue」で世界に構築したクリエイターネットワークはそのまま活用。数千名を超えるクリエイターが所属し、案件ごとに最適なチームをマッチングするというシステムも支持され、すぐに受注が舞い込み、売り上げも右肩上がりに拡大することに成功したのだ。

■動画の可能性

この頃から柴田は、動画制作業界は、ウェブサイト制作業界に似ていると感じていた。2003年頃から、企業はHPを持つべきと言われ、数多くのHP制作会社ができた。ただ、人脈のネットワーク化がされていなかったし、HPを作る上でのソリューションも整っていない。また、企業サイドにもWEBの担当者がいないのも当たり前で、他の業務と兼任してやる、という状況だった。それが今では、WEB担当者やディレクターがいるようになり、様々なソリューションも出てきた。まさに、動画制作業界も同じような経験をしてきている。数年後には、動画自体がホームページやWEBサイトと同じようなレベルで使われる時代が到来し、企業には動画担当者が置かれることが当たり前になると予測。そのためにはまず、動画を作れるクリエイターとのネットワーク強化が急務だった。

■新型コロナウイルスによる動画制作市場の変化

2020年、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、外出の自粛など、我々の生活スタイル、仕事スタイルにも大きな変化が起こった。これまで対面でのコミュニケーションが主流だったが、急速にオンラインでのコミュニケーションへ切り替えざるを得ない状況に陥った。動画制作側も非対面・非接触の完全オンライン制作が求められる事を予測。コロナ前から簡易的な制作管理ツールは開発していたが、よりコロナ禍でも活用できる機能を追加し、動画制作管理ツール(現VideoWorksクラウド)をリリース。コロナ禍で、対面でのコミュニケーションが難しい中、動画の制作業務を、完全なオンラインで完結することが可能な体制を整えた。

※VideoWorksクラウド

https://cloud.videoworks.com

動画の活用に関しても大きな変化が起こっている。動画活用の案件は、これまで販促や広告がメインだったが、新型コロナウイルスの影響により、営業DX(サービス説明動画、フォローアップ)、人材育成DX(マニュアル・チュートリアル)、インナーコミュニケーション(社内イベント、周年動画など)といった、コミュニケーション手段として、幅広く活用されるようになってきた。

■VideoWorksのリリース

2020年11月には、動画制作サービス「VideoWorks」をリリース。企業とプロ動画クリエイターが直接つながることで、「安く」「早く」、そして「クオリティ」の高い動画制作を実現することが可能となった。

※日本最大級の動画制作サービス「VideoWorks」

https://videoworks.com

動画活用が多様化し、動画制作が初めてのクライアントも増える中、VideoWorksが順調に成長しているのには理由がある。それがコーディネーターの存在だ。コーディネーターは、クライアントとクリエイターの双方とコミュニケーションをとりながら、双方の満足度を考える。1万人を超えるプロクリエイターとコーディネーターの存在により、動画制作が初めてのケースでも、安心して依頼することが可能だ。時代にあったサービスを展開することができたVideoWorksは、2021年1月には流通総額15億を突破、それから5ヶ月後には20億円を突破するほど急成長を遂げた。

■今後の展開

動画を事業として取り組む際に予測していた、動画自体がホームページやWEBサイトと同じようなレベルで使われる時代が、確実に近づいている。これからは、動画を基軸に事業を作るシーンも増えてくるだろう。とはいえ、動画を導入する企業の規模や課題は様々だ。これからはCrevoとして、レイヤー毎にクライアントの経営課題を解決すべく、組織・サービスを作っていく。そしてプロクリエイターからも、使うメリットの高いサービスだと感じてもらえるよう、クリエイター支援の観点からもサービスを改善していきたい。

■ミッション「動画新時代のクリエイター経済圏をつくる」

Crevoが掲げるミッション「動画新時代のクリエイター経済圏をつくる」。テクノロジーの進化やSNSの普及によって、誰もが表現者となることができて、誰もがクリエイティブを発信することができる。そんな時代において、様々な角度からクリエイターを支援することで、世の中に存在するクリエイティブを幸せにしていき、ひいては社会をよりよくしていきたい。そんなクリエイティブの価値が常に創造される「クリエイター経済圏」という新しいインフラを私たちは社会に提供したい。新しいアイデアやイノベーションが生まれるために、制作フローはどう変えていけばいいのか。クリエイターが輝き、様々なイノベーションが生まれる。クリエイター経済圏によって、社会の豊かさを生み出していく。そのためのサービスを、私たちは常にアップデートしていく。

これまでの常識が大きく変わったニューノーマルの時代において、動画を通じたコミュニケーションはますます進んでいくだろう。そんな時代において、誰もが手軽にクオリティの高い動画をつくれるようなインフラを構築することは、とても意義があり、やりがいのあることだと感じている。私たちは、このプロセスが世界を動かしていくと信じている。

■代表取締役　柴田 憲佑

愛知県出身。高校時代に2年間留学したカナダで、日本と海外の文化や価値観の違いを体感。大学時代に所属したアントレプレナーシップゼミで学生起業家と出会い、起業を意識し始める。ネット広告代理店、リクルート、DeNAのインターンを経験し、2009年にソフトバンクグループへ入社。法人営業、営業企画職を経て、1期生としてソフトバンクアカデミアに入校。2011年3月の東日本大震災を目の当たりにし、「今の時間を大切にしたい」と起業を決意する。2012年6月、Crevoの前身となるPurpleCow株式会社を創業。多くの企業が動画を事業やコミュニケーションの中心として活用する時代がくるとの予測から2020年11月、動画制作サービス「VideoWorks」を正式リリース。1万人の動画クリエイターとクライアントが直接つながる日本最大級のプラットフォームに成長させる。

■Crevoについて

Crevoは「動画新時代のクリエイター経済圏をつくる」をミッションに掲げ、クリエイティブの価値が最大限発揮されるインフラの構築を目指しています。動画についてのあらゆる知見を備えた総合クリエイティブカンパニーとして、日本最大級の動画制作サービス「VideoWorks」や、グッドデザイン賞を獲得した制作管理ツール「VideoWorksクラウド」といったサービスをはじめ、大手企業からスタートアップまで2000社以上の動画制作実績を誇るプロダクション機能をご提供致します。

■会社概要

会社名 ：Crevo株式会社（英文名：Crevo Inc.）

事業内容：動画制作および動画制作サービス「VideoWorks」の運営

代表者 ： 代表取締役 柴田 憲佑

所在地 ： 東京都目黒区中目黒２丁目１０−１５ フロンティア中目黒 3F

設立 ： 2012年6月

資本金 ： 2億1,494万8,000円

URL ： https://crevo.jp