「シェアレストラン」は、吉野家ホールディングスグループのベンチャーサービスで飲食業界に新たな風を吹き込む革新的なプラットフォームです。

シェアレストランサイト　https://share-restaurant.biz/

飲食店の廃業数はコロナ禍前から全産業中、断トツのトップです。年間10,892件（※）が減少していると言われています(※営業施設数。平成21年総務省経済センサスより)。飲食店の新規開業件数が多いにもかかわらず廃業率が高いという社会課題に対する私たちの答えが「シェアレストラン」でした。私たちは、開業希望者が「初期投資ゼロ」で挑戦し、飲食店経営の支援を行い、成功を手にする新しいビジネスモデルを提供すると同時に、「グレーな間借り業界に公正な取引を持ち込む」という使命も果たしてゆきたいと考えています。飲食業界の変革と未来を切り拓く私たちのストーリーをご紹介します。

飲食店の開廃業の問題解決に挑む、株式会社シェアレストランとは

飲食店にとって生きにくい環境において、株式会社シェアレストランは、飲食店同士をマッチングするプラットフォームを提供し、個性的な飲食店経営の支援を行っています。シェアレストランは、空きスペースを間貸ししたい人と、 間借りしたい人を結ぶマッチングするプラットフォームサービスですが、そのモデルは、単なるマッチングにとどまらず、飲食店の開業成功率低下や廃業率の増加に悩む業界に新たな可能性をもたらすものとなりました。

代表の武重は「はなまるうどん」の出身。「ファンを作ってから店を作る」というコンセプトを着想

シェアレストラン代表の武重

株式会社シェアレストランの起業者である私(武重)は、16年にわたり、はなまるうどんなどで出店や新業態の開発を担当し、飲食店の開業成功率の低さや廃業率の高さを目の当たりにしておりました。小さな飲食店でも1000万もの投資がかかります。それなのに成功確率が低い「ハイリスク、ローリターン」な飲食業のあり方を変えたい、そんな想いが年々高まる中、当時大阪を中心とした「間借りカレー」のビジネスモデルにインスパイアを受けました。間借りカレーは、居酒屋やバーなどの空いている時間に営業して初期投資を最小限に抑えつつ、個性的なカレーを提供することで話題となっていました。中には成功して実店舗を出店している方も現れていました。その事例から「今までの開業の流れを逆にすることで廃業率が下がるのではないか?」という着想を得たのです。つまり、借金して店を作ってからお客様をつくるのではなく、ファンを作ってから店を作るのです。これにより、安定した顧客ベースを築きながら、個性的な飲食店が成功を収める可能性を広げています。

各地の間借りカレーを調査。「カレーおじさん＼(^O^)／」との出会いを経て、事業化へ

2006年から毎日カレーを食べ続けているカレーおじさん＼(^O^)／

私は、誰もが気軽に飲食店を開業し、失敗しても何度でも挑戦できる環境を創りたいという願いを持ち、各地の間借りカレーを調査していました。ちょうどその時(2018年2月)に「マツコの知らない世界」という人気テレビ番組で「間借りカレーの世界」の特集がありました。番組でマツコさんに対してプレゼンテーションしていたのが「カレーおじさん＼(^O^)／」という方で、当時10年以上3食カレーの生活を送っており、間借りカレーの世界にも精通しておりました。「こんな方がいるのか?」と感銘を受け、直ぐに彼に連絡をしました。幸い快くお会い頂き、飲食業界の問題を解決するために、シェアレストランという間借りのマッチングサイトのアイデアを聞いて頂きました。その時にカレーおじさん＼(^O^)／に紹介頂いたのが「カリガリカレー」でシェアレストランの第一号店となりました。カリガリカレーはその後も、神田カレーグランプリで優勝するなど活躍のフィールドを広げています。

カリガリカレー本店

「飲食店の在り方を変える」。吉野家ホールディングスのビジョンのもと、企画を進行

シェアレストランの開発は、飲食店オーナーと開業希望者の間のマッチングをスムーズに行える仕組みを構築することから始まりました。企画段階ではこのアイデアに賛同する人もいれば、グループに対するメリットが希薄な事や間借りという商慣行がグレーな事もあり、異論や反対意見もありました。しかし、「グレーだからこそ、我々のような会社が間に入る価値がある」そして、吉野家ホールディングスのビジョンでもある「飲食店の在り方を変える」という事を強く訴えかけて、社内ベンチャー制度を活用して、シェアレストランの企画を進めました。

2018年に開発スタート。飲食店が安心できる保険の仕組みなどを整備

オーナー募集ページ　https://share-restaurant.biz/for_owner/

シェアレストランの開発は、2018年に社内ベンチャーとしてスタートしました。その当初から、個性的な飲食店の開業支援を目指し、間借りのマッチングサイトを実現するために、システムやプラットフォームの構築に取り組みました。

奥さんのいきつけの居酒屋など毎月100店舗以上の飲食店オーナーにヒアリングしたところ、「間借りは怖い、グレーな取引で事故が心配」という方が多かったため、そんなイメージを払拭する仕組みや取引形態に重点を置き、飲食店を説得致しました。店舗総合保険の仕組みなどはその中から生まれたものです。

開発中の失敗を経て、オーナーと開業希望者の契約や責任範囲を明確化

開発中、シェアレストランはさまざまな苦労や失敗を経験しました。とあるラーメン店がオープンした際には飲食店オーナーが家主に断りなく進めた為、営業中に家主が怒鳴り込んできた事件がありました。そのビルの別のフロアには別のラーメン屋さんが入居しており、そこからのクレームのようでした。そこですぐに開業希望者をマッチングするプロセスを変更致しました。また、飲食店オーナーと開業希望者の契約や責任の範囲に関する問題を明確にすることに注力致しました。

「初期投資ゼロ」「無償販促」が多様性と創造性のカギ。世界中探しても他にないサービスになった

収益化出来ている飲食店間借りプラットフォームは世界中探しても他にないと認識しておりますが、シェアレストランが成功を収めた要因は、個性的な飲食店の開業希望者と飲食店オーナーがシステムを通じてマッチングし、新たなビジネスチャンスを生み出したことです。シェアレストランが提供する「初期投資ゼロ」「無償販促」の仕組みは、多くの個人や新規参入者が業界に参画するきっかけとなり、飲食店の多様性と創造性を引き出しました。

予約の取れない人気シェアレストランに成長した鮨ゆう子

2020年3月に正式リリース。コロナ禍に成長を続け、業界の新たなビジネスモデルに

2018年5月にベータ版をリリース、2020年3月に正式にサービスを開始したシェアレストランは、コロナ禍渦においても成長を続け、2023年現在では5000名の開業希望者と1200店舗の飲食店オーナーが登録して700件のマッチングを行いました。シェアレストランは、開業希望者と飲食店オーナーが協力し合いながら、飲食業界の常識を覆す新たなビジネスモデルを築いていきました。

人気のシェアレストラン「だしと麵遊泳」が実店舗を出店した日は大行列が

シェアレストランは、飲食業界に新たな風を吹き込み、多くの個性的な飲食店が誕生するきっかけとなりました。シェアレストラン卒業後に100店舗以上の方が実店舗を開業して成功しております。また、120店舗以上の規模となったブランドやフォロワー数16万以上のブランドも現れました。特に、間借り業界におけるグレーゾーンの問題解決や、個人オーナーの休みを確保するメリットは、業界内外から高く評価されました。シェアレストランは、飲食業界全体にポジティブな影響をもたらす存在となりました。

シェアレストランで開業した後の課題は「集客」。無償のオープン販促と、SNSでの発信で解決したい。

私たちは、シェアレストランを通じて、多くの飲食店オーナーや開業希望者が新たなビジネスチャンスを手にすることができる環境を提供してきましたが、せっかくシェアレストランで開業しても2～3ケ月程度で営業を辞めてしまう事例もありました。調べてみるとそのほとんどが「集客」に問題を抱えておりました。そこで、シェアレストランではオープン販促を無償で行うのと同時に販促方法のレクチャーも行うようになりました。今どき、誰が作ったのかわからない食べ物は怖くて誰も食べませんので、シェアレストランでは自分が何者なのか？をどんどんSNSなどで発信して頂いています。顧客との接点が高いシェアレストランに魅力を感じていただけるお客様も増えてきました。

私たちは、これからも飲食業界の変革を牽引し、新たな可能性を切り拓いていきます。

（エリアマネージャー・山崎）

今後の展望について

「すぐに結果が出ないものにこそ価値がある」そう思って活動しておりましたが、黒字化まで4年を要しました。飲食店業界の利益率を上げる、世界中で例を見ないエキサイティングでオンリーワンでユニークなプラットフォームを目指して、今年度も大きなシステム改修投資や社員の増強を予定しております。私たちは今後も、飲食業界の未来を切り拓くために、積極的な活動を続けていきます。