【遺伝子医薬品を効果的に製造し、患者の手に届く価格で提供できるように】

新型コロナウイルスが社会にもたらした変化の一つとして、組み換えウイルスやmRNAワクチンへの関心の高まりが挙げられます。これらは、目的の遺伝子を体内に届ける「遺伝子デリバリー技術」の一例です。

現代生物学は遺伝子デリバリー技術と共に進歩してきました。最近まで、これらの技術は研究用途に限られていました。しかし近年、遺伝子医学は小さな実験室を飛び出し、急速な発展を見せています。新型コロナウイルスワクチンとして一躍有名になったmRNAワクチン、遺伝子改変技術を利用したがん免疫療法であるCAR-T細胞療法など、耳にされたことがあるのではないでしょうか。他の様々な疾患に対しても、遺伝子・細胞治療は臨床応用を目指し急速に進歩しています。

「一部の専門家の間では、今後10年から20年の間に、遺伝子医薬が低分子薬やタンパク質基盤の生物製剤に次ぐ医薬の第3の柱になると予測しています。」と、ベクタービルダー社創業者のBruce Lahn博士は熱を込めて語ります。

「そのニーズに対応すべく、研究開発能力と製造能力を拡大し、研究をより効率的にすること。そして遺伝子医薬品を効果的に製造し、患者の手に届く価格で提供できるように、革新的な遺伝子デリバリー技術の開発をリードすること。それがベクタービルダーの使命です。」

ベクタービルダー社の創業者で最高科学責任者のBruce Lahn博士

Lahn博士はハーバード大学卒業後、MITで博士号を取得し、1999年に30歳でシカゴ大学人類遺伝学部にAssistant Professorのポジションを得ました。翌2000年にはHoward Hughes Medical InstituteのPIとなり、37歳でシカゴ大学人類遺伝学部のディスティングイッシュト終身教授になった気鋭の科学者です。これまでに、筆頭著者またはコレスポンディングオーサーとして80以上の論文を含む100以上の論文を発表し（平均IF≒11.5）、合計8つの特許を取得しました。また、多くの公的研究機関やバイオテクノロジー企業の設立にも関わりました。

そのLahn博士が、遺伝子・細胞治療の発展と遺伝子デリバリーの市場需要の発展を予見し、2014年に設立したのがベクタービルダー社です。

ベクタービルダー社は、顧客がオンラインでベクター（※）を設計・注文することをサポートできる世界で唯一の商業ベクタープラットフォームを提供しています。

同社は、世界中の4,000以上の研究機関や製薬会社に120万以上の遺伝子導入ソリューションを提供し、毎年30万以上のプロジェクトが生産に移され、その成果はScience、Nature、Cellなどのトップ科学誌に広く引用されています。過去5年間の年平均成長率は85％にも上り、快進撃を続けています。

（※）ベクター：目的の遺伝子を細胞や個体に導入する「運び屋」の役割を果たす物質

ベクタービルダー社のホームページでは、世界中の顧客が設計したベクターの総数がリアルタイムで表示されています。

【基礎から臨床まで　ベクタービルダー社の戦略と成長】

更に近年では、ベクタービルダー社は臨床応用の遺伝子導入までのフルチェーンのソリューションを提供し、遺伝子導入分野のグローバルリーダーに発展しています。

2019 年に開始した遺伝子デリバリーのCDMO事業では、研究初期のベクター構築から、前臨床試験用のベクター製造、GMPグレードのベクター製造まで、遺伝子医薬品の研究開発の全パイプラインを通じて、最新施設と高度な設備を使用した製造を実施しています。

現在は２施設が稼働中ですが、それらの施設に加え、4年後の完成を目指して総工費約600億円を投じて中国広州市に新しいR&Dおよび製造センターを建設しています。この新しい施設では、CDMO事業・CRO事業だけでなく、遺伝子デリバリー分野の科学者・技術者の育成を目的とした教育活動も行います。

4年後のフル稼働を目指す「遺伝子デリバリー研究製造キャンパス」（完成予想図）

また、2021年から2022年にかけて、GMPグレードのベクター製造能力向上のため、ユニバーセルズテクノロジーズ社、 Pall Corporation社と戦略的パートナーシップを提携しました。

Lahn博士：

「製薬業界は、低分子医薬品と高分子タンパク質医薬品の2つの革命をすでに経験しており、次の革命は遺伝子・細胞治療薬になるでしょう。遺伝性希少疾患から、循環器疾患、パーキンソン病、アルツハイマー病、さらにはエイズ、脳障害など、より多くの場面で遺伝子医薬品の適用範囲を示す臨床例が増えつつあります。

遺伝子医薬の最大の難関は、遺伝子をいかにして目的の臓器・細胞に届けるかというデリバリープロセスです。ベクタービルダー社は、十数種類のウイルスデリバリーシステム、mRNA+LNPなどの化学的デリバリーシステムなど、研究および臨床で使用されるほぼすべての遺伝子デリバリーシステムをカバーしています。それぞれのシステムに対して、デリバリーソリューション設計から臨床グレード遺伝子医薬のGMP生産まで、一気通貫で対応できるサービスを提供します。

研究用の遺伝子デリバリーサービスの市場は年間100億米ドル程度と推定されています。臨床CROサービスやCDMOサービスの市場もおそらく同程度の規模であり、今後大きな成長が期待されます。」

ベクタービルダー社の戦略は着々と実を結びつつあり、2022年7月には立て続けに大きな進展がありました。

• ベクタービルダー社のGMPレンチウイルスベクターが、登録番号MF28220で、米国FDA CBERのDMF (Drug Master File) に登録されました。
• ベクタービルダー社のレンチウイルスベクターがアメリカFDAのIND承認を得ました。
• 韓国のStand Up Therapeutics社と世界初の痙性対麻痺の遺伝子治療ベクター製造契約を締結しました。ベクタービルダー社は今後、Stand Up Therapeutics社が設計した遺伝子治療製品を製造し供給します。
• さらにその翌月には、細胞・遺伝子治療企業の 中国のLantu Biopharma社と提携し、メンケス病に対する遺伝子治療の医師主導治験をサポートしていることを発表しました。
• また、研究および創薬コミュニティ向けの「AAV Superbank」の構築を発表しました。この開発には今後40.6億円（30ミリオンUSドル）が出資されます。

【日本市場での成長】

ベクタービルダー・ジャパン株式会社代表取締役の亦勝実穂博士は、「日本ではアメリカ本国に次ぐ成長を実現しています。ですが、日本市場にはまだ伸びしろがあると分析しています」と語ります。

亦勝博士：

「今年は日本免疫治療学会、日本遺伝子細胞治療学会、日本RNA学会の附設展示会に出展し、確かな手ごたえを得ました。今年はこの後、BioJapan（パシフィコ横浜）と分子生物学会（幕張メッセ）でも出展およびセミナーを行います。BioJapanでは、GMP製造についてプレゼンテーションを行います。分子生物学会では、ベクタービルダーの名を冠した特設会場で、社内外の講演者を招いてエキサイティングなセミナーを実施します。皆様のご来場を心からお待ちしています。」

2022年7月に開催された日本RNA学会附設展示会のブース

【大学の研究室では科学的な成果が最高の報酬です。企業では実現できる社会的な価値がもっともっと大きいのです】

大学の研究者として数々の輝かしい業績を挙げたLahn博士ですが、現在はシカゴ大学終身教授の職をすっぱりと辞し、ベクタービルダー社の事業に邁進する日々を送っています。

折角のポストなのにもったいないのではという声に対して、Lahn博士は「大学の研究室では科学的な成果が最高の報酬です。企業では実現できる社会的な価値がもっともっと大きいのです。」と軽やかに微笑みます。

独創的でハリケーンのようにパワフルでフットワークの軽いLahn博士の下には、ビジョン・価値観に共鳴する多くの専門家が集まり、今日も知恵を絞り、汗をかき、時には口論をしながら、遺伝子・細胞治療の未来に向けて奮闘しています。

あなたもベクタービルダーと共に遺伝子デリバリー革命に参加しませんか。

お問い合わせは：

ベクタービルダー・ジャパン株式会社