新品の糸で作るよりも機能が高まる不思議なリサイクル手袋。職人や漁師が愛用する「特殊紡績」作業用手袋です。一般向けに売り出す背景には、祖父が創ったニット工場の原点に立ち返る三代目社長の想いがありました。

#SDGs  #ソロキャンプ  #開発ストーリー

2020年7月21日 09時00分 石川メリヤス有限会社

※作業用手袋「サイコロ印シリーズ」に関するプレスリリースはこちら


はじめまして。石川メリヤス有限会社で社長をしている大宮裕美と申します。石川メリヤスは愛知県西尾市の吉良町という小さな町にあるニット工場です。1957年に祖父が創業し、2016年に父から私が引き継ぎました。

従業員数は30名弱。いわゆる町工場です。作業用手袋を主力にしつつ、ニット小物ならば「何でも」作れる気概のある従業員が揃っており、多品種小ロット生産で全国の取引先とお付き合いをさせていただいています。

三代目社長の大宮裕美です。社長に就任して丸4年が経ちました。最近、「うちの会社の原点は軍手(作業用手袋)だ」と感じています。


先日、嬉しいことがありました。弊社の若手社員である浅井くんが自社製品の作業用手袋を公私ともに愛用していることを知ったからです。

浅井くんは工場で機械を動かしつつ、製品の原材料である糸の管理も担っています。

軽い糸でもまとまると数十キロになり、持ち運びは大変です。工場から離れたところにある倉庫で糸を出し入れし、トラックで運んでいる浅井くんにも作業用手袋は欠かせません。

浅井くんはこんな感想を聞かせてくれました。

「石川メリヤスに入るまでは軍手は使い捨てだと思っていました。ホームセンターなどで買ったのは使って洗うとすぐにほずける(三河弁で「ほつれる」の意味です)からです。でも、石川メリヤスの軍手は何度洗ってもしっかりしています。柔らかくて丈夫だし、指先から手首までしっかりフィットするので、作業していてもズレる心配がありません

プライベートではキャンプを愛している浅井くんは休みがあると長野や岐阜の山中に行っています。そこでも自社製品を使ってくれているそうです。まずは社員に愛される製品を作らねばならないと思っている私はホッとしました。

荷運び中の浅井くん。腰を痛めない運び方を引っ越し業者の友人に教わっているそうです


浅井くんは年に10回ほど、ソロキャンプを楽しんでいるそうです。「なーんにもしない時間が最高です」とのこと。写真提供:浅井雄三


 この1、2年でSDGsが産業界のトレンドになっています。繊維業界も例外ではありません。弊社にも、残糸や残反の再利用について取引先や他メーカーから相談が寄せられるようになりました。

 岡崎市や西尾市を中心とする西三河地方では、戦前からリサイクル繊維が盛んでした。落綿や残糸、残反をワタに戻す工程を担う反毛(ほんもう)工場が数百軒もあり、そこから供給される再生綿を主原料とした特紡(特殊紡績)が発達。昭和50年代に特紡糸の生産はピークを迎えたと言われています。生産量は愛知県が常に全国1位(2位は大阪府)で、その中核を担うのが西三河地方です


原料工場から集められた繊維くず。これを細かく裁断することからリサイクルが始まります。撮影協力:鈴木カット工場(岡崎市)


反毛の一工程。大きなドラムの表面には小さな金属針が無数に植え付けられており、原料を引っ掻くことでワタに戻していきます。撮影協力:金原商店(岡崎市)


リサイクルのワタを糸に紡ぐ工程が特紡です。古い紡績機械も現役で、職人の経験と勘が必要となります。撮影協力:谷崎特殊紡績(西尾市)


 石川メリヤスはまさにこの特紡糸を使った作業用手袋の生産から会社の歴史が始まりました。OEMもたくさん受けさせていただいていますが、自社のオリジナルブランドは浅井くんも使っている「サイコロ印」です。

特紡糸の特徴は、バージン(新品)と比べてふわっとしたボリューム感があること。手袋にすると、強度も増し風合いも良くなります。鉄工場や漁業をはじめ、様々なプロフェッショナルに愛用いただいています。

 しかし、反毛工場も特紡工場も近年は減少の一途をたどっています。現場を見学させていただいて強く感じるのは、いわゆる3Kの職場であり、後継者も働き手も少ないことです。このままでは特紡が消滅し、石川メリヤスもこの定番商品を作れなくなってしまいかねません。


若き工場長の磯村くん。自社工場で機械を直すときはもちろん「サイコロ印」を装着しています。


 本当の意味のある高付加価値のリサイクル商品を作り出し、安定的に売り続けることが特紡の存続と発展に不可欠だと私は考えています。

 トレンドに流されて一時的に大量の仕事を発注することも現場に無理を生じます。機械を動かすには職人が必要だからです。一定量の仕事を継続して発注することが安定供給につながります


手首のオーバーロック(かがり縫い)を行う先代社長の石川君夫。まだまだ現役です。


 このたび私たちは、プロ用に生産している「サイコロ印」を個別包装にして小売することにしました。西三河が誇る特紡のストーリーと技術を体感しつつ、日常生活で気軽に使っていただけたらと思っています。当社の公式オンラインショップ(http://ishimeri.net/)にて販売中です。


「サイコロ印シリーズ」は用途に合わせて7種類からお選びいただけます。一双(一組)660円~990円です


【石川メリヤス有限会社】

所在地:愛知県西尾市吉良町大字富好新田紺屋堀27-2

代表者:代表取締役 大宮裕美

設立:1962年4月

資本金:900万円

従業員数:29名(パート社員含む)

URL:https://ishimeri.com/

問い合わせメールアドレス:info@ishimeri.com