事業者による後払い決済の導入をもっと手軽に。これまでにない新たなスタイルの「SaaS型BNPLシステム」開発の裏側

開発ストーリー

2023年9月21日 09時00分かっこ株式会社

かっこ株式会社は、「未来のゲームチェンジャーの『まずやってみよう』をカタチに」という経営ビジョンを掲げ、セキュリティ・ペイメント・データサイエンスの技術とノウハウをもとに、アルゴリズム及びソフトウエアを開発・提供しています。

2023年、後払い決済(BNPL※)を自社構築しようとする事業者向けの後払い決済導入パッケージ「SaaS型BNPLシステム」の提供を開始しました。導入コストと運用のハードルをなくし、かつ収益最大化と顧客状況の把握が可能な新たなスタイルのシステムです。このストーリーでは、「SaaS型BNPLシステム」開発担当者の岡田が、開発の裏側とサービスにかける想いをお伝えします。

※BNPL＝Buy Now Pay Laterの略称で後払い決済のこと

岡田知嗣

かっこ株式会社　取締役

システム開発部門管掌CPOシステムソリューションディビジョンマネジャー

10年以上後払い決済事業の支援をしてきたノウハウを活かし、より利便性の高い安全な後払い決済システムの開発へ

かっこ株式会社は、これまで蓄積してきた不正検知のノウハウを活用し、日本国内を中心に10年以上にわたり後払い決済事業の立ち上げおよびそれに伴うシステム構築、事業運用上のコンサルティングなど、後払い決済を提供したい事業者を支援してきました。

当時、事業者が後払い決済を自社で構築するには、システム開発に1年以上の歳月と1億円以上のコスト、未回収を発生させないための与信審査、運用ノウハウ等の課題がありました。

こうした課題から、自社での決済構築を断念し、債権ごと引き取ってくれる後払い決済代行事業者のサービスを利用するケースが多かったのですが、その場合にも、継続的にかかる手数料と支払有無のような顧客状況の正確な把握が難しく、適切な販促が行えない等の課題が残っていました。

このような課題を解消し、より多くの事業者に自社での後払い決済運営を実現いただけるよう、初期投資費用やランニングコストを抑え、当社がこれまで培ってきた不正対策における審査を活用した安全な後払い決済の仕組みを提供したいと考えました。それが、新たなスタイルの後払い決済導入パッケージ「SaaS型BNPLシステム」を開発するきっかけとなりました。

市場のニーズをカタチに。「SaaS型BNPLシステム」ができるまで

「SaaS型BNPLシステム」の構想は2013年から始まりました。

かっこでは2019年頃から後払い決済事業構築に関するご相談が急増しており、後払い決済に対する市場ニーズの高まりを感じていました。しかし、後払い決済事業の構築をゼロから自社で行うには、事業計画、運用構築準備および事業を支えるシステム開発のために、1億円以上の投資と1年以上の時間が必要ということもあり、せっかくご相談をいただいても断念されるケースが多くありました。

そのような背景から、お客様の「まずやってみよう」をカタチにするべく、コストと導入時間を圧縮し効率的な運用を実現するためのパッケージシステムとすることが基本方針となりました。

とはいえ、「SaaS型BNPLシステム」の開発には、大きな初期投資が必要だったこともあり、後払い決済事業をはじめたい事業者のあらゆる事情を想定しながら、様々な機能を取捨選択することにとても苦労しました。

事業者にとっての導入ハードルを下げ、運用を容易にすると同時に、コストもなるべく抑えたかったので、サービスを企画するうえでのバランスは非常に難しいものになりました。

効率的な運用に必要な機能のみに絞りながらも、決済機能として不足がないようにしたかったので、標準機能の範囲については、社内でも相談を重ね入念に進めました。

これまでにない新たな「SaaS型BNPLシステム」とは

こうしてこれまでにない新たなスタイルの「SaaS型BNPLシステム」が完成しました。

このシステムは、当社が10年以上後払い決済事業の支援をしてきたノウハウを、パッケージ化しています。従来の後払い決済システムの構築には与信審査のノウハウや膨大な期間とコストが必要でしたが、本サービスをご利用いただくことで期間とコストを大幅に短縮することができます。

【SaaS型BNPLシステム利用による効果・メリット】

１.初期投資リスク/運用コストを最小限に抑えた事業展開

ゼロから後払い決済システムを構築した場合、従来なら1億円以上かかっていたシステム初期費用を200万円に縮小できます。これにより削減できた費用は新規加盟店獲得やプロモーション等、売上拡大のための施策に注力できるため、事業計画の早期達成が見込めます。

2.収益性の改善

これまで当社が、導入累計実績11万以上のECサイトを審査するなかで蓄積してきた不正対策のノウハウが詰まった「O-PLUX(オープラックス)」を後払い決済の審査エンジンとして活用することにより、未回収リスクを最小限に抑えます。また、審査条件の作成や追加、様々なパターンの不正取引に対する審査チューニング等の運用についてもサポートがあるので、社内にノウハウや体制がない場合も安心してご利用いただけます。

さらに、決済事業の運用に必要な機能が絞り込まれていることから、審査以外の運用体制維持コストも抑制することができるため、事業収益性の最大化に貢献します。