スタートアップが日本を押し上げる。そのための「エンジニア採用」を本気でやっていきたい。

スタートアップ

2020年9月30日 17時00分株式会社Value market

株式会社Value marketは、“スタートアップ×フリーランスエンジニア”のマッチングと成長支援を行う「Code Climber」を運営している会社です。2020年9月16日の新サービスリリースに伴い、スタートアップのエンジニア採用がなぜ難しいのか、代表の内田に話を聞きました。

ーなぜスタートアップ向けのサービスを作ったのですか？

スタートアップは痛みが強い領域だからです。

まだ事業が確立していないところが多く、スケールするためには成長の原動力となる人材の採用が欠かせません。でもお金も時間も足りないので、採用に工数が割けない。情報やネットワークも少ないので、ちゃんとした一次情報にリーチできない。その状態で採用を進めると、非効率なことを繰り返してしまうんです。さらに採用のミスマッチが起きた場合、大手と比較しても会社へのダメージは甚大です。

採用支援をしていて強く感じるのは、「いい人がいれば、決まる」という単純な話ではないということ。特にエンジニアの採用は高度専門領域なので、片手間ではなかなか難しい現状があります。

ー具体的にいうと、現場ではどんな課題が多いのですか？

本当に必要な人材像を具体化できていない会社が多いですね。

例えば求人要件を見てみても、記載されている基準が曖昧で、「なぜこの人が必要なのか」あるいは「対象外なのか」を、具体的な要件に落とし込めていないものもすくなくない。仮に要件に落とせていたとしても、面談で何を質問して、返ってきた回答をどう判断したらいいのかが分からずに、悩んだ結果、その都度、自分の感覚で判断してしまうパターンも多く見られます。

ーなるほど、では、どんな軸で見極めを行ったら良いのでしょうか？

私たちは過去のミスマッチ情報を分析した結果から、「契約条件」「技術力」「ビジネススキル」「カルチャー」の4つに分類してミスマッチが起きないように見極めを行っています。

「契約条件」と言っても報酬だけでなく、始業時間、服装、PC貸与有無、常駐頻度…と様々な項目があります。

「技術力」の場合も、言語・FW・ツール・年数をはじめ、開発機能や工程、企業業種・組織フェーズ・参画ポジション、そしてエンジニアの立場から解決した課題についてヒアリングを行うなど、広範に質問をする必要があります。また、Webデザイナーとフロントエンド、PMとPdMなど、職種によっても企業ごとに定義や要件の揺れが見られるため、質問フローにも様々な分岐が発生します。

これらを確認するために、職務経歴書から情報を読み取り、面談で網羅的な質問を行う。そして、相手の言葉をきちんと汲み取れているか注意しながら回答の一貫性を確認していきます。

ーかなり細かく分析して採用を行っているのですね。

はい。採用をマッチングの問題と捉えている方もいらっしゃるのですが、実はとても専門的なスキルが必要な領域です。逆説的ですが、だからこそ、これだけ課題に感じてる方も多いんですよね。

採用スキルについても、大きく分けて次の2つの要素があると思っています。

①知識で得られるもの

②能力として身につけるもの

1の知識は、例えばエンジニアのニーズで、いま何を求めていて、どういう会社で働きたい／働きたくないと思っているかといったものですね。これは企業とエンジニアの間の情報の非対称性が引き起こしている問題なので、努力しなくても知っていれば解決が可能です。初期フェーズほど回り道がなくなるので、効果が高く、一定の水準まではすぐに採用の精度が上がります。

ただ情報もすぐに陳腐化していきますので、定期的にアップデートする必要があります。スキルや相場観、他社の動向等もここに分類されますね。

2の能力は、自社に最適化された“採用ノウハウ”です。これは知識で解決できるものではなく、経験を通して改善するしかありません。目安の期間としても、どれだけリソースをかけられるかにもよりますが、少なくとも6ヵ月以上は定点観測でPDCAを回していく必要があります。

また、1は知っているかどうかが問題になりますが、2は自社を客観視することが不可欠です。企業と求職者の需給ニーズをチューニングしていく作業は一定の経験が必要なので、最初のうちは客観的な第三者の力を借りた方がスムーズかもしれません。

ーなるほど、最初のうちは外部の手を借りるという選択肢もあるのですね。

スタートアップにおける人材採用については、色々な考え方があると思いますが、採用は入口だけではなくその後の組織づくりに直結する工程です。

個人的には費用だけでなく時間的なコストも考慮して、自社のリソースは事業の成長に直結するところに使ったほうがいいと思っています。もちろん、事業の立ち上がりに応じて採用の内製化を進める方が良いのですが、最初はムダな時間とお金をかけずに、スピーディーに採用体制を作ることが大事だと思います。

ー今回、元UUUMのCTOである尾藤正人さんを株主に迎えたとのことですが、今後の展望を教えてください。

尾藤さんは複数のCTO経験があり、今もスタートアップ数社で技術顧問を担当されています。エンジニアとしてキャリアを積み、また採用する企業側の立場も経験されているので、両方の側面から開発組織づくり、成長できる環境の構築をされてきました。

今後は尾藤さんからのアドバイスをサービスに落とし込みながら、企業とエンジニアが成長するためのサポートに力を尽くしていきたいと思っています。