フランスベッド株式会社は、ベッド・マットレス製造の他、介護用品・福祉用具・在宅医療機器の販売・レンタルなど、様々な事業を行っています。

この度、フランスベッドを代表する最上位マットレス「THE FRANCEBED（ザ フランスベッド）」において、こだわりの寝心地や製造方法はそのままに、マットレスに使用する素材や構造を環境負荷の少ないサステナブル仕様にリニューアルし、5月19日（金）から全国展開しております。

本ストーリーでは、フランスベッド株式会社がマットレスをサステナブル仕様にリニューアルするまでのプロセスや、そこに関わった社員の奮闘を、インテリア事業本部の上席執行役員 上山直樹がご紹介します。

フランスベッド(株)上席執行役員　上山直樹

フランスベッド創業の経緯

フランスベッドの始まりは、1949年にさかのぼります。当社の前身は、東京都三鷹市で誕生した「双葉製作所」という会社です。当時、自動車製品のシート作りを中心に売り上げを伸ばしていましたが、1956年に日本初となる分割ベッド「フランスベッド」を発売したところ、それが大ヒット。その成功にあやかって、社名もフランスベッドに変更しました。フランスベッドというから外国のベッドなんだと思われる方もいらっしゃいますが、実は日本のベッドメーカーなのです。その後、1983年に現社長の池田茂が、療養ベッドの家庭向けレンタルを開始しました。当時、高齢化社会に突入し約10年が経ったころであり、レンタルの需要は徐々に高まっていました。そして、1987年には療養ベッドの家庭向けレンタルを日本で初めて事業化し、フランスベッドメディカルサービス(以下、メディカルサービス)を設立。その後2009年、フランスベッドとメディカルサービスが合併し、今日へと至ります。

1956年に発売された日本初の分割ベッド

SDGsが採択される前から環境に優しい取り組みを実施

フランスベッドは、一般家庭用ベッドをメインとしたインテリア事業と福祉用具のレンタルサービスをメインとしたメディカル事業それぞれの事業で環境課題に対する取り組みを行っています。

フランスベッドでは、2000年に介護保険制度が制定される15年以上前から介護ベッドのレンタルサービスを開始。使わなくなったものを廃却するのではなく、メンテナンスして再度使える状態にし、必要としている人に貸し出すという循環型の仕組みを日本に普及させました。これが現在のメディカル事業の柱になっています。

インテリア事業では、2010年に一般家庭向けのスプリングマットレス「リコプラス」で業界初のエコマーク認定を取得。それとともに「リコプラス」は廃棄時にカッターナイフ1本で解体ができ、スプリングや詰め物などの素材を簡単に分別できる構造を採用しました。適正処理困難物に指定され、廃棄時に困難を要するスプリングマットレスにおいて「リコプラス」の解体構造はリサイクル促進の第一歩となるはずでした。しかし、現在ほどスプリングマットレスにおける環境配慮やSDGsの概念が世間一般に浸透していなかったこと、また、寝心地についても限定的だったため思うように実績は上がりませんでした。

2010年当時の「リコプラス」

その後もスプリングマットレスの廃棄問題に対応するため、解体構造の改良を続けました。そして2021年には工具なしで簡単に解体できる構造「MORELIY®（モアリー）」を開発。フランスベッドの基幹マットレスに採用しました。基幹マットレスへの採用により、これまで「リコプラス」で実現が難しかった、個人の好みによる寝心地や機能の選択が幅広くできるようになり、生活者がより環境保全に関わる活動に参加しやすくなるよう推進しています。SDGsの広まりもあり、「MORELIY®」は「適正処理困難物に指定されているマットレスの問題に対して、個人での解体を可能にし、分別資源化するための解体できる工程・構造を製品化し、社会実装できたこと」 が評価され、2021年度グッドデザイン賞を受賞しました。

「MORELIY®（モアリー）」の構造図

エシカル消費に目を向け「THE FRANCEBED」をサステナブル仕様に

「THE FRANCEBED」は、「フランスベッドの技術を結集した最高級の寝心地」をコンセプトに、2007年より展開しているフランスベッドを代表するマットレスです。製造する際は、いくつもの専用工程を経るため、熟練したトップクラスの職人が完全受注生産でひとつずつ丁寧につくり上げています。

昨今は生産から販売まで環境や人権、地域社会などに十分配慮された商品やサービスを買い求める「エシカル消費」への意識が高まりつつあります。サステナブル仕様にリニューアルした「THE FRANCEBED」は、従来のコンセプトに、環境配慮という考え方を加えています。詰め物でのこだわりは、100％海洋プラスチックごみからつくった再生ポリエステル抗菌綿。いろいろな企業がさまざまな製品に再生プラスチック綿を使用していますが、当社は、再生ポリエステル綿がつくられる背景にも着目しました。プラスチックバンク社が行っている、海洋プラスチックごみを仮想通貨で買い取って回収し、貧困層の救済（教育や生活）に役立てるという取り組みに賛同、導入しています。その他、環境に優しい製法でつくられるテンセル繊維綿や焼却しても有害物質は出ず、土に埋めると自然に還るという特質をもつ100％天然ラテックスフォームなど、環境への負荷が少ない素材を採用しています。

「THE FRANCEBED」

サステナブルな素材を使用し変わらぬ最高級の寝心地を実現する

フランスベッドでは、10年以上前からマットレスの廃棄問題に取り組み、環境に優しい商品の開発を続けてきました。企業名であるフランスベッドの名前がつけられた「THE 　FRANCEBED」のリニューアルは、これまでの環境への取り組みの集大成として打ち出したいという思いがあり、開発当時はさまざまな意見がぶつかりました。

フランスベッドには、新商品を出す前に、社長や開発部門、企画部門の社員が集まった「商品検討会」が行われます。「THE FRANCEBED」も試作の段階で何度も検討会に出しましたが、社長からは「こんな寝心地で最上位マットレスとして売り出せるの？」と厳しい指摘を何度もうけました。

とある日の社長検討会の様子

最も難しかったのは、寝心地とサステナブル素材の両立です。「THE FRANCEBED」は最高級の寝心地と謳っているとおり、寝た時にふんわりと身体を包み込まれるのが特徴のひとつでもあります。ただ、一般的な再生素材などを使用すると、繊維が硬いため思うような柔らかさを再現することができません。開発に携わる各人でこれは！という素材を持ち寄り、何度も議論しました。いろいろな素材で試作を重ねること6回、ようやくたどり着いたのが、きめ細かくふっくらとした感触のある海洋プラスチック綿と、特有の弾力と柔らかさをもつ100％天然ラテックスの組み合わせです。ふんわり感の中にしっかりとした寝心地を得ることで、これまでの「THE FRANCEBED」よりも心地よい感触になりました。さらに、表面に近い部分に柔らかな風合いでシルクのようなサラッとした特徴を持つテンセル綿を使用することで、サステナブル素材でも最高級の寝心地を再現。3度目の商品検討会で寝心地に対してやっと高評価をもらいました。社長からも「よし、これでいこう！」という一言があり、製品化となりました。

ベッド製造メーカーの立場で環境問題に貢献する

私たちは、ベッド製造メーカーの立場でみなさまの悩みに寄り添いながら、よりよい世の中を作るお手伝いをしたいと考えています。

2030年には生産する5割のマットレスを解体できる仕様とすることを目標に、環境負荷の少ない素材の選定、持続可能なシステムの構築など、環境配慮をコンセプトとした商品開発を行っています。

フランスベッドの目指す姿は、社会に役立つ企業社会に貢献する企業です。この理念のもと、ESG経営を推進する中で、環境においては資源の有効的な利用、CO2排出削減とエネルギー転換の二つを重要課題として位置づけています。フランスベッドでは今後も、高付加価値のある商品やサービスの提供に加えて、環境問題や社会問題に配慮した企業活動を一層推進し、「豊かさとやさしさ」のある暮らしの実現に貢献してまいります。

フランスベッド株式会社　https://www.francebed.co.jp/

プレスリリース：「エシカル消費を促進し持続可能な社会の実現に貢献　最上位マットレス「THE(ザ) FRANCEBED(フランスベッド)」をサステナブル仕様にリニューアル」（2023年5月18日）