SDGsがつないだ新たなパートナーシップ。NOLTY×就労継続支援事業所がコラボした「三方良し」の寄付つきノート開発ストーリー

プロジェクトの裏側

2023年6月16日 10時00分株式会社ＮＯＬＴＹプランナーズ

ビジネス手帳やノートを法人向けに企画・販売している株式会社NOLTYプランナーズ。このたび表紙にハンディキャップアーティストの作品をデザインした「NOLTY notebook ブリックメモボーダレスアートデザイン」の法人向け販売を開始しました。このノートの売上金の一部がアーティスト本人の収入につながります。

本製品は、共生社会実現の取組みの一環として岡山市表町に本社をかまえる就労継続支援A型事業所「ありがとうファーム」とのコラボレーションで生まれたものです。本プロジェクト立ち上げの経緯や製品に込めた想いについて、弊社取締役・企業営業本部本部長の川添よりお伝えいたします。

手帳を主軸に法人展開するNOLTYプランナーズ。SDGs事業にも取り組む

NOLTYプランナーズは70年以上の歴史を持つ『能率手帳』、現『NOLTY』の手帳を主軸としたビジネスサポートツールを、法人様・学校様向けにご提供しています。社員用手帳、販促用手帳、コラボ手帳、カレンダー、ノートブック、プレミアムノベルティといったラインナップから、お客さまの課題に即したご提案をしています。

弊社では、商品・サービスを提供するうえで、SDGsの中でも特に環境負荷の軽減を推進しています。2001年より環境問題に取り組み始め、主力商品の手帳においては、各メーカーと協力し積極的に環境対応資材を取り入れるほか、廃棄物の削減やリサイクルもおこなっています。

また、環境問題へ取り組んできた経験やノウハウ、そしてNOLTYプランナーズならではの手帳によるPDCA活用術やインナーコミュニケーション術を活かし、企業のSDGs事業を支援するワークショップ「NOLTYサステナ」を2022年9月より展開しています。NOLTYサステナはSDGsアクションに取り組もうとする企業や組織の課題に寄り添い、ワークショップを通じてSDGsの社内浸透や組織変革を共に目指していきます。

【SDGsアクションパートナーノート】

　NOLTYサステナでは、このノートを使用したワークショップに取り組みます。

SDGsの展示会が新たな出会いのきっかけに。就労継続支援事業所とコラボレーション企画の検討へ

2022年10月、NOLTYプランナーズはAICHI SDGs EXPOに出展しました。メインの展示はサービスを開始したばかりのNOLTYサステナです。

そこにたまたま視察に訪れていた、ありがとうファーム（※）の馬場氏（取締役副社長・パートナーシップ推進室）が弊社ブースを発見、「手帳の会社がSDGs？」と興味を持ち、声をかけてくださったことがきっかけでスタートしました。

※ありがとうファーム…岡山県岡山市表町商店街にあり、障がいを持つアーティストが多彩なアート活動をするとともに、生き生きと輝く毎日を応援する、就労継続支援A型事業所

SDGsサービス開発担当の郡山も加わり、その場でお互いの事業や取り組みを紹介し合いました。馬場氏の「障がい者の自立支援・生活支援の輪を広げていきたい」という熱意にとても感銘を受け、3人はすぐに意気投合。「両社でなにかコラボレーションできないか？」という計画が持ち上がりました。

展示会後から、馬場氏・川添・郡山で打ち合わせを継続。そのなかでありがとうファーム所属アーティストの作品を表紙にデザインした、寄付つきコラボノートの企画制作が決定しました。

表紙デザイン決定にあたっては、多数の作品の中からNOLTYプランナーズ社員による人気投票を実施。人気の高かった作品の中から製品化しやすいデザインを調整し、5デザインを決定しました。

コラボノートのプロジェクトチームが発足。アイデアを出し合いトントン拍子に進む

2023年1月、NOLTYプランナーズ内にコラボノートのプロジェクトチームが発足。川添・郡山に加えて、制作担当・佐藤、マーケ担当・石原の4名でプロジェクトを進めることになりました。2023年春のリリースを目指し、急ピッチで仕様の確定・販促物の制作を進めました。

ありがとうファーム・NOLTYプランナーズ相互に活発にアイデア出しが行われ、ノート内にアーティストからのメッセージと作品の制作工程を見ることができる動画のリンクを張ることなどがトントン拍子に決まっていきました。

また、寄付金額として、販売するノートの売上金のうち、15%が「直接アーティストの収入になる」ことも決定しました。

ありがとうファームは、就労継続支援A型事業所として複数のアーティストと雇用契約を結び、アート作品を使ったグッズ販売や企業へのレンタルアート事業を展開。基本的にアートの使用料が「直接アーティストの収入になる」という形態をとっています。A型事業所（利用者と雇用契約を結ぶ）でアート活動を事業展開している事業所はB型事業所（雇用契約を結ばない）に比べてあまり多くありません。施設への寄付ではなくアーティスト本人をダイレクトに支援・応援でき、直接本人と喜びを共有できる点に弊社としては魅力を感じました。

新たなプロジェクト名は「5つの”えん”=ご縁」に着想

2023年2月、ノート本体の制作が順調に進んでいきました。

しかし肝心の「製品名」の決定は難航。ベースとなる製品の名称「NOLTY notebook ブリックメモ」と並べて表記しても長くなりすぎず、シンプルに「寄付つき製品」と伝わる名称がなかなか決まらず、さまざまな案が飛び交いました。その中で、これまで弊社製品には存在していなかった「日本語の製品名」というアイデアが出ました。

さらにプロジェクトメンバーでの話し合いが行われ、あえてひらがな表記の「えん」を軸とし、「えん」と読む漢字の中からこのプロジェクトにふさわしい「縁」「援」「円」「延」「巡」を選び、「５つのえん」（＝ご縁）が完成。NOLTYプランナーズが取り組むSDGs活動としてのプロジェクト名を「NOLTYえん」と命名しました。

ありがとうファームとのコラボノートは「NOLTYえん」のコラボアイテム第1段と位置づけ、「NOLTY notebook ブリックメモボーダレスアートデザイン」に決定。

ロゴとして使用する「えん」「縁」「援」「円」「延」「巡」の文字も、ありがとうファームのアーティストに書き下ろしを依頼しました。

アーティストたちとの交流で、一層強まったプロジェクトへの想い

2023年3月には弊社代表取締役社長髙梨文明・川添・石原の3名での岡山県にあるありがとうファームへの表敬訪問が実現。ここで「NOLTY notebook ブリックメモボーダレスアートデザイン」の表紙アーティスト5名をはじめ、他の所属アーティストとも直接交流する機会を得ました。

ギャラリーで実際の作品を鑑賞し、楽しく・全身全霊をかけて制作するアーティストの熱意を間近に見て、自分自身の胸も熱くなっていくのを感じました。「この人たちと一緒になにかやっていきたい」という思いをさらに強くするきっかけになった、とても意義深い訪問となりました。

この熱意を他の社員にも感じてもらうために、実物を拝見した作品の中から1点を選び、弊社オフィスにてレンタルアートとして展示することをその場で即決。不思議なエネルギーを感じさせる絵は社員にも来社されたお客様にも好評で、いまでは社内のパワースポットになっています。

　ありがとうファーム：かなっぺさんの作品「３じのおやつ」

全員が三方良しの姿勢で取り組めた。市販化も視野に入れ、さらなるコラボを展開予定

こうして2023年4月「NOLTY notebook ブリックメモボーダレスアートデザイン」を正式にリリースしました。売上金の一部がアーティストに還元され、障がい者の自立支援に役立てられます。このノートを販促品として取引先にお配りいただくことで、アーティストの作品が多くの人の目に触れる機会をつくり、さらなる支援の輪が広がっていくことを願っています。

最初の出会いから製品リリースまで、異例のスピード感でトントン拍子に進めていくことができたのは、片方向的な「寄付したい」「寄付してほしい」という思いではなく、ありがとうファーム・NOLTYプランナーズ双方がパートナーシップを組みながら、社会にも貢献でき、お客様にもアーティストにもメリットになる「三方良し（四方良し）」実現するにはどうしたらいいかを考えられたことが大きかったと感じています。また、関わった全員が熱意をもって取り組んでくれたことも一因です。

環境配慮だけではない、一歩先のSDGs活動の最初の取り組みとして、ありがとうファームとの出会いがあったことは、NOLTYプランナーズにとってとても大きな出来事・転機となりました。ありがとうファームとは引き続き様々な側面でコラボレーションを継続していき、現在は法人向け販売のみのノートも、いずれは市販化するなど活動を広げていく方向で計画を進めています。

今後も、アーティスト・ありがとうファーム・購入いただいたお客様・NOLTYプランナーズ、全方向にメリットがある“三方良し”の活動「NOLTYえんプロジェクト」を推進してまいります。