コロナ禍において、社員の働き方、オフィスのありかたは大きく変わってきている。対面での実施が当たり前とされてきた会議は、現在ではオンラインでの実施が主流となった。オンライン会議においては、自宅からの参加者と、オフィスからの参加者が混在することも珍しくない。このような働き方の変化に合わせて、企業オフィスに関しても、変革を行っていくことが求められている。

そこで、ニューノーマル時代の新しいオフィスのありかたをテーマに、映像機器による情報の可視化で企業のオフィス変革をサポートする、バルコ株式会社 ミーティングエクスペリエンス事業部 事業部長 三浦剛彦氏と、オフィスのワークスタイルをトータルサポートする、株式会社ワークプレイスソリューションズ（以下WSI） 代表取締役社長 越田壮一郎氏による対談をお届けする。

コロナ禍で変わったオフィスのありかたとは

バルコはベルギーが本社のテクノロジー企業だ。エンターテインメント、エンタープライズ、ヘルスケアという3つの主力事業を約90カ国で展開している。三浦氏は、エンタープイズ事業部で、会議室周りのソリューション「ClickShare」などを扱う部門に所属している。WSIは、アメリカのオフィス家具メーカー「Steelcase」のディーラーとしてスタートした企業である。Steelcaseは、働き方や人の観察というところからものづくりをしている、世界最大級のオフィス家具メーカーだ。WSIは、Steelcaseの「なぜここに、このものを置かなければいけないのか」という思想をベースに、オフィスの設計から引っ越しまでトータルサポートしており、ニューノーマル時代の新しいオフィスのありかたについて語っていただくのにうってつけのお二人である。

最初に、コロナ禍によってオフィスのありかたがどう変わったのか、今後どうなるのかについてそれぞれの立場から語っていただいた。

越田氏

「今後の働き方として、在宅勤務、オフィス勤務に加え日本で増加しているシェアオフィスなども含め、従業員が自由に働き方を選択できることがポイントになります。今後は、『ハイブリッドな働き方』を選択できるオフィスがベースとなっていくでしょう。在宅勤務の最大のメリットは、通勤時間が不要となることで、自分自身の時間を創出できる点です。その一方で欠けてきてしまうことが懸念されるのは、帰属意識です。この2点のギャップをどう埋めていくかが重要になってきます。

オフィスはもともと、イノベーションを起こしていくための場所です。イノベーションを起こすためには、ソーシャル・コラボレーション・ラーニング・フォーカスの4つのモードがとても大切です。コロナ禍においては、さらにバーチャルの要素がプラスアルファで加わりました。リアルとバーチャルのハイブリッドコラボレーションという形をどう実現していくかが、コロナ禍における最も大きな課題であると考えます。

株式会社ワークプレイスソリューションズ 代表取締役社長 越田壮一郎氏

三浦氏

「自分も在宅でこの1年半くらい仕事をしてきましたが、大方の人が感じているのは、『家でも仕事できるんだ』という感覚だと思います。やっとコロナが収束してオフィスに戻ろうとしているわけですが、『そもそもオフィスは何をする場所なのか』という疑問を持つ方も多いと思います。私はオフィスとは、越田さんと同じくコラボレーションの場だと思っています。リモートツールを通してのコミュニケーション自体は可能であるからこそ、オフィスに関しては、ゴールに向かって物事を進めていくコラボレーションのための場であるという認識に移っていくと思います。これは、我々バルコが提唱している『ハイブリッドワークスペース・ソリューション』という考え方にも近いと思っています」

バルコ株式会社 ミーティングエクスペリエンス事業部 事業部長 三浦剛彦氏

ClickShareが実現する快適なリモート会議

バルコがオフィス向け製品としてここ数年注力しているのが、ボタン一つでリモート会議を開始できる「ClickShare」である。ClickShareの現状について三浦氏に、またWSIが取り扱っているSteelcaseの新製品について越田氏に訊いてみた。

三浦氏

「ClickShareはそもそもオフィスの会議室で使うツールとして展開していましたが、2020年からリモート会議対応の新製品ClickShare CXシリーズをグローバルで投入しました。コロナ禍において、特に大企業さまを中心に在宅勤務者とオフィス勤務者をどうやって結びつければよいかという課題がありました。ClickShareを使えば、社内からの会議参加者とリモートでの会議参加者が円滑にコミュニケーション、コラボレーションできるようになるという点について好評いただき、続々と導入いただいています。緊急事態宣言が明けてからは、オフィスリニューアルに合わせた製品導入のご相談も増えてきました。リモート会議対応版のClickShare CXシリーズであれば、PCのUSBポートにボタンを挿して押すだけで、スピーカー・マイク一体型のデバイスやモニター等の会議周辺ツールと瞬時に同期を行い、スムーズに会議をスタートすることができます。この点が、ClickShare最大のメリットであると考えています。」

ClickShareをUSBポートに接続し、ボタンを押すだけでリモート会議をスタートできる

越田氏

「コロナ禍を経て、オフィスづくりの際重視すべきポイントに、『安全』というキーワードが加わりました。安心安全で、なおかつ人を魅了する場をつくっていくことが求められています。社員間で適度な距離を取りながら安全に働くためには、従来の画一的なオフィスから、流動的かつ柔軟なオフィスにシフトしていく必要があります。流動的なオフィスづくりと、バーチャルでのコミュニケーションの2つを結びつけるという点では、Steelcaseのフレックスというオフィス家具シリーズと、バルコのClickShareの組合せは最適です。フレックスシリーズは、必要に応じて自らの手でスペースを構成、変更できるように設計された家具コレクション。これからの時代においては、可動式の家具を用いた流動的なオフィスづくりと、バーチャルコミュニケーションを円滑に進行する先進的なデバイス機器のコラボレーションが進んでいくのではないでしょうか。」

WSIのコラボレーションスペース

「誰もが直感的に使用できる」のがClickShareのいいところ

今回、WSIがオフィスを改装した際に、バルコのClickShareを導入した経緯について越田氏に訊いた。

越田氏

「Steelcaseがコラボレーションにおいて重視していることは、公平性です。アクティブに議論を進めるなら8人以下というルールもあります。会議スペースの机を少し斜めに配置しているのは、全員の顔がしっかり見える位置で会議を行うことで、コラボレーションを最大限発揮するためという意味も込められています。

我々はこのオフィスを今年8月に改装し、その際にClickShareも導入させていただきました。実はClickShareは5年以上前にも使わせていただいたことがありますが、新しいClickShare CXシリーズは、機能も使いやすさも格段に向上していますね。デバイス機器については、誰もが簡単に、直感的に操作できるという点を重要視していますが、ClickShareはワンアクションで簡単に操作可能なため、社内会議だけでなく、来客時にもスムーズに活用できる点が気に入り、導入を決めました。」

WSIのオフィスにはさまざまなスタイルのコミュニケーションスペースがある

また、WSIのオフィスにはバルコのClickShareと組み合わせてオールインワン会議用USBデバイスBOSE VB1も導入されている。

ボーズ合同会社　プロシステム事業部 マーケティング＆オペレーション 長谷洋樹マネージャーはBOSE VB1について、

「WEB会議用のプラットフォームが急速に普及し、多くの人が遠隔会議を利用するようになりました。ただ、PCに搭載されているマイクやカメラ、スピーカーだと収音性能の低さや画角の狭さ、音割れなどで見にくい、聞こえにくいという問題が起こりがちです。

そこで、クリアな音声と高画質映像を 1 台で実現するBOSE VB1のようなオールインワン会議用 USB デバイスを使用することで、よりスムーズでまるで同じ部屋にいるかのような会議環境をつくることができます。

さらに、周辺機器と PC 間の接続をワンクリックで無線化できる ClickShare CX シリーズを組み合わせれば、今まで以上につながるリモート会議をケーブルレスで実現できるようになります。」

と、会議用ツールの重要性を語ってくれた。

ClickShareの反響は上々

ClickShare導入後のご感想、従業員やお客様の反応を訊かせていただいた。

越田氏

「誰もが自然に使えるという点が、やはり最も気に入っている点です。お客様からの反応も非常にいいですね。先日こちらのオフィスに、様々なお客様に来訪いただくような機会もありましたが、ClickShareを実際に使っていただくと、『ほしい』という声をあげてくださった方もかなりいらっしゃいました。

今、Steelcaseでキーワードとして掲げているのが、レジリエントです。在宅勤務についても推奨しつつ、『ここに来て働いた方が生産性が上がるな』と思ってもらえるようなオフィスづくりを今後も心掛けていきたいです。そのためには、ClickShareのような新たなテクノロジーの風が絶対に必要だと思っています」

屋内にテントを張ってその中で仕事をするというスタイルも提案

オフィスには「これが正解」というものはない

最後に、これからオフィスを改革しようと考えている経営者のために、お二人にアドバイスをいただいた。

越田氏

「オフィスには、これが正解というモデルがあるわけではありません。企業にはそれぞれの文化があり、目指すところもそれぞれ異なりますので、オフィスも個々に考えるべきだと思います。『経営者が今考えるべき4つのマクロ的視点』ということで、まずは生産性。イノベーションを起こすには、個人ワークとチームの協働スペースが不可欠です。2つ目は安心安全。3つ目は柔軟性。最後が一体感、この4つの視点を念頭に置きながら、これからのオフィスを個別に考えていくことがとても大切だと思います」

三浦氏

「例えばリクルーティングという観点から見ても、無味乾燥で何のテクノロジーも導入されていないようなオフィスよりも、コラボレーションの場としての環境が整えられたオフィスの方が、企業としての魅力も感じてもらいやすいのではないかと思います。オフィスへの出勤頻度が以前よりも減っている今だからこそ、オフィスづくりや導入するテクノロジーにこだわり、社員に『心地よいオフィス』だと思ってもらえるような環境づくりを率先して行っていくことが大切なのではないでしょうか。」