人間国宝｜野村万作の狂言を後世に残す、記録映画「川上」製作プロジェクトドキュメンタリー映画制作のためクラウドファンディングに挑戦中

野村万作

2024年8月14日 18時28分株式会社万作の会

これまで株式会社万作の会は、狂言師・野村万作、萬斎を中心に国内外で狂言公演を実施して参りました。このたび、野村万作の文化勲章受章をきっかけに、狂言「川上」のドキュメンタリー映画製作を計画し、クラウドファンディングサービス「READYFOR」にて、資金調達をに挑戦しています。

支援募集終了日までに集まった支援金をプロジェクト実行者は受け取ります(All-or-Nothing方式)。支援募集は8月19日（月）午後11:00までです。

企画の趣旨

　650年以上にわたり受け継がれ、日本人の心を魅了し続けてきた狂言は、世界の誇る日本の伝統芸能です。その第1人者であり、人間国宝の狂言師・野村万作は、2023年文化勲章を受章致しました。

　野村万作は、若い頃より「釣狐」をはじめとする数々の狂言に挑んでまいりましたが、近年ライフワークの１つとして取り組んでいるのが、盲目の男をシテ（主役）とした狂言「川上」です。師父・故六世野村万蔵をはじめ、先人の舞台成果の上に自己研鑽と独自の解釈を積み重ねた舞台は、日本国内はもとより海外でも上演され、万作の芸境の深淵を示すものとして、高く評価されています。

　このたび、万作の文化勲章受章を記念する狂言公演を2024年6月22日に開催、この狂言「川上」を上演・収録すると共に、物語の舞台である奈良県川上村の原風景や、川上地蔵が安置された金剛寺なども収録し、「川上」の世界観をドキュメンタリー映画の形で残すことにしました。93歳で現役の狂言師として舞台に立つ万作の芸境を克明に記録し、後世に伝えることは、大きな意義を持つものと考えております。

狂言「川上」とは

　狂言は、今から650年程前、室町時代に能と共に成立した伝統芸能です。現在、狂言は能と合わせて「能楽」と呼ばれ、2001年にユネスコの世界無形文化遺産に登録されました。能楽の大成者・世阿弥は、品のいい笑いを生み出す「幽玄の上階のをかし」であれと言っています。この狂言の笑いこそ、真に人間らしい感情の表出であり、健康で大らかな人間への讃歌であるといえるでしょう。

　狂言「川上」は、そんな中でも”笑い”をテーマにした一般的な狂言とは異なり、ある夫婦の運命の選択を描くシリアスな物語です。

　10年程前に目を患い、盲目になった男は、霊験あらたかという「川上」の地蔵の話を聞き、参詣することにします。参篭の甲斐あって目は開きますが、地蔵のお告げは「連れ添う妻が悪縁ゆえ離別せよ」というものでした。迎えに来た妻はそれを聞いて腹を立て、地蔵をののしり絶対に別れないと言い張ります。そこで究極の選択を迫られた夫の出した結論は…。