2023年10月7日(土)にMakuakeで先行販売を実施する「いつもネコと キャリーバック/ボックス」。プロジェクト責任者の柴岩根さんに、猫にも飼い主にも優しいこの商品の開発秘話をインタビューしました。

「猫と人とのキモチをつなぐ」をコンセプトにする新ブランド「いつも ネコと」。今回発売するキャリーバッグとボックスは、プロジェクト責任者である柴岩根(しば いわね)さんのこれまでの経験や人脈があわさって生まれた素晴らしい商品でした。

商品情報

◯ いつもネコと ねことキャリーバッグ（グリーン／グレー）

　　キャットハウス・キャットハンモック・キャリーバッグを兼ねた便利商品

　　Makuake 発売日：2023年10月7日(土)

　　 一般発売日：2024年2月下旬を予定 　※変更可能性あり

　　本体価格：17,600円（税込）

◯ いつもネコと ねことボックス

　　「いつも ネコと キャリーバッグ」専用の取り付けボックス

　　Makuake 発売日：2023年10月7日(土)

　 一般発売日：2024年2月下旬を予定 　※変更可能性あり

　　本体価格：132,000円（税込）

いつもネコと キャリーバック/ボックス

商品開発者：柴 岩根（個人事業 radix）

元東急ハンズでモノと触れ合う経験を積み、その後は健康美容雑貨を企画販売をする株式会社ドリーム（名古屋市東区）でモノづくりのキャリアを重ね、現在は個人事業「radix」としてペット防災「いっしょに逃げてもいいのかな」の展示やペット関連の商品企画を手掛けている。全国の自治体やペット系のイベントから依頼を受けて、「もしものとき」の「モノ・コト・キモチ」をペットの飼い主に伝えている。

商品開発者のradix 柴岩根さん

Q： ペット防災を手掛ける柴さんがバッグを扱うことになったきっかけは何だったんですか？

全ては株式会社ドリーム時代の後輩から一本の連絡を受けたところから始まったんです。

その後輩は名古屋市にある大同大学プロダクトデザイン学科のOBで、毎年卒業制作を見に行っており、私に紹介したい作品を見つけて連絡をくれたんです。大同大学の学生さんの卒業制作作品の中に、ペットとの暮らしの役に立つ作品があったとのことでした。

作品の紹介資料を送ってもらい確認すると、それは猫用ハンモック・キャリーバッグ・キャットハウスの機能を併せ持ち、「nekoto.」と名付けられていました。何よりも制作者の猫への愛も溢れていて、これまでペット系の商材の企画・開発を手掛けたことのある私から見てもとても完成度の高い作品でした。十分に製品化の検討ができるクオリティだと思ったのをよく覚えています。

Q： そこまでクオリティの高い作品を制作したのはどのような方だったんですか？

「nekoto.」を制作したのは大同大学プロダクトデザイン専攻卒業の宮崎 佑奏さんという方でした。

後輩のツテを頼って宮崎さんを指導していた教員である大同大学准教授の舟橋 慶祐先生にコンタクトすることにしました。実は、舟橋先生はこれまでに３度もグッドデザイン賞を受賞し、海外のデザインコンペでも複数の受賞歴のあるデザイナーだったんです。

舟橋先生は喜んで、宮崎さんと私を含めた3人の面会を設定してくれました。

宮崎さんにお会いして、作品を初めて目にしたときは「これが商品化出来れば多くの飼い主様のお役に立てる」と確信したのをよく覚えています。また、宮崎さんと話していると「ネコといつも一緒にいたい」という想いの強さを感じることができ、この想いの強さがあれば製品化まで一緒にやりきれるだろうと思いました。早速、様々な商品デザインを世に送り出してきた舟橋先生とともに、宮崎さんに商品化までの流れを説明することにしました。

大同大学卒業 宮崎 佑奏さん

宮崎さん作成の卒業制作

※ いつもネコと キャリーバック/ボックスとは異なります

Q： なるほど、その流れで製品化までも順調に進んだのですか？

製品化まではかなり苦難がありました。「こだわり」と「コスト」とのバランスを取るのが本当に大変でした。

まずは設計の観点ですが、分かりやすいのは「いつもネコと ボックス」の内側についているフックの部分です。宮崎さんの作品では、１本の木材から削り出して丸みのある木の枝を上手に再現していました。とても見栄えが良いのですが、製品化を考えたときには職人技が必要な部品は少ないに越したことはありません。結局、木材の型抜きと丸みをつける加工で部品を生産できるように変更することにしました。

また、素材についても紆余曲折がありました。木材は非常に堅牢であらゆる部屋と馴染むのですが、加工にお金がかかるという側面があります。素材原価・加工原価が安いダンボールの試作品を制作したり、プラ素材での検討もいたしました。しかしながら、ダンボールでは木製の雰囲気を出せず不採用となり、プラスチックも見た目の安っぽさを拭い去ることができずに不採用となりました。結局、製品の値段は上がってしまいますが、木材の丈夫さや家具としての見た目の美しさを優先いたしました。

「いつもネコと キャリーバッグ」の素材についても、宮崎さんは見た目のあたかかさ・柔らかさなどから全てフェルト生地を採用していました。しかしこれではバッグとして強度が不十分で、また手入れがしにくいという問題もあります。様々な議論を経て、内側のバッグの生地はナイロンに落ち着きました。ナイロンは強度や汚れの拭き取りやすさで優位性があります。しかし、外側はフェルト生地のままにして宮崎さんの作りたかった優しさやあたたかみのある雰囲気をそのまま残しました。

Q： 大変でしたね・・・では、柴さんのこだわりは製品には取り入れられましたか？

もともと最初から、バッグを床置き・ハンモック・お出かけの3wayで、勝手良く使い分けられる工夫がされていました。

ただ、ハンモックとして使うには、専用ボックスも必要となるため、椅子下に取り付けるフックベルトを用意することで、キャリーバッグ単体でも3wayとして使えることを提案いたしました。家のスペース的にボックスを購入しない場合でも、おうちにあるダイニングや書斎などにある椅子に掛けていただくことでハンモックのように使用することができます。

内側のバッグの生地をフェルトからナイロンにしたことで、生地の丈夫さがかなり上がりました。もともと底面は正方形であったため、ポンと床に置くだけで、形が崩れること無く自立して猫が入れるバスケットのように使えるようになりました。

最後に、猫と一緒にお出かけするためのバッグの使用ですが、家で飼育されている猫は外出になれていないことが多く、外に出るとビックリしてしまう猫も多くいます。外に連れ出すことは必ずしも必要ではありませんが、私個人としては、できれば外の雰囲気や空気には慣れてほしいと思います。最初は外の景色があまり見えないネットに猫を入れてからバッグで持ち運ぶことで、少しでも暴れや逃亡のリスクを下げることができるようにしました。このネットを「あんしんネット」と名付け、バッグの付属品として同梱しています。

Q： アイデアいっぱいの商品なんですね。発売を少し先に控えて、どんなお気持ちですか？

何度も試作を繰り返して改善を重ねた商品なので、とても愛着を感じています。また企画デザインの宮崎さんの愛猫への「いつもいっしょに」という想いのこもったこの商品を、多くの飼い主の方のお手元に届けられるのを心待ちにしています。

Makuake 商品画像

発売後は皆様から色々なフィードバックが届くと思いますが、そのようなありがたいお声を大切にしながら第二弾の開発も視野に入れております。

これからも、全国の猫ちゃんとその飼い主さんがもっと安心して一緒にいられるための商品を世の中に送り出していけるようにがんばります。

＜インタビュー・執筆＞隅蔵 亮