PR TIMES MAGAZINE|広報PRのナレッジを発信するWebメディア
記事検索
title

岡山デニムをデザインとPRの力で全国へ。デザイナー自らが挑むブランド価値向上|青木被服株式会社

2024年8月、岡山県の企業である青木被服株式会社と菅公学生服株式会社、両備ホールディングス株式会社の3社は共同で、デニムや制服の制作過程で排出される残布を使って装飾したアートバス「AOHARE号」企画を実施。この「AOHARE号」に関する広報PR活動について、それぞれの企業がかける想いをレポートしていきます。

まず第一弾は「AOHARE号」の空間デザインを監修した青木俊樹さん(青木被服株式会社)。

国産デニム発祥の地といわれる岡山県で、創業60年超を誇る老舗デニムファクトリーの青木被服株式会社のデザイナーです。以前はOEM生産が中心だった同社ですが、現在では自社ブランドを立ち上げて岡山から日本全国、そして海外にまで展開し、著名人の衣装提供などでも知られる存在に。さらに、広報PRの一環として地元企業とのコラボレーションにも積極的で、デニムや藍染を用いたグランピングドームやコンセプトカーを制作するなど、異色のコラボとして注目を集めています。

「AOHARE号」への想いと合わせて、地元企業とのコラボレーションを積極的に行う理由や、広報PRで実現したいこともお話いただいています。

青木被服株式会社(岡山県井原市):最新のプレスリリースはこちら

青木被服株式会社 専務取締役/デザイナー

青木 俊樹(Aoki Toshiki)

岡山県井原市出身。関西外国語大学卒業後、大手アパレル勤務。その後渡英しロンドン芸術大学に留学。在学中、2010年に自身のブランド「FAGASSENT/ファガッセン」を立ち上げヨーロッパを中心にデニム主軸のコレクション展開をスタート。長渕剛 /稲葉浩志(B’z)/TAKA(ONE OK ROCK)等のステージ衣装を手がける一方、「青木被服」オリジナルラインでは地元岡山企業とのコラボレーションを強化中。

岡山デニムを目にする機会を増やすコラボ企画

──アートバス「AOHARE号」企画を実施しようと思った理由を教えてください。

岡山県内にある企業の広報PR担当者が集まる会があり、そこに参加していた菅公学生服さんと「何か一緒におもしろいいことをしたいね」と話していたんです。そんな中、菅公学生服さんが両備さんのバスを活用したPRを考えてくれ、「一緒にやらないか」と声をかけてくれたのがきっかけです。

私は常々「岡山デニム」が洋服以外のいろんなところで見られるようになるといいな、と思っていて、これまでも地元企業とさまざまなコラボレーション企画を行っています。今回は菅公学生服さんから子どもたちへの教育の機会にしたいという意向もあり、SDGsの「つくる責任、つかう責任」に焦点を当て、デニムや制服の生産現場で出る端材や残布を利用し、子どもたちにアート作りの部分を手伝ってもらったんです。

このバスのプロジェクトでは、子どもたちがいろんな種類のデニムに触れることができたと思います。「岡山デニム」に興味を持つきっかけになるかもしれないし、バスを目にするたびに「自分の作品が貼ってあるバスだ」と思い出し、岡山にはこんなかっこいい産業があるんだと自慢に思ってもらえるかもしれない。そういう想いで今回のバスを作りました。

どこの地方都市でも同じかと思いますが、岡山県の若者は大学や就職のために都市部へ出ていくケースが多いんです。でも、私たちが地域産業に焦点を当てていろんな形で情報を発信し、地元の産業を盛り上げることができれば、彼らが戻ってきて関連企業に就職したいと思ってくれるかもしれません。そういう想いもありました。

青木被服株式会社01

参考:デニムファクトリー青木被服 と MINI岡山が協業。自社ブランド「FAGASSENT/ファガッセン」が疾走する藍の景色を岡山デニムで表現したコンセプトカーをプロデュース!

参考:【デニムをテーマにしたグランピングドーム】藍色のラグジュアリー空間の全貌とは?!昼と夜で異なる表情が魅力!プレミアムドーム-藍-が一挙公開!

──これまでのコラボレーションは2社間で行ってきたものが多かったと思いますが、今回の「AOHARE号」は3社間での実施。3社で行うことの大変さなどはありましたか。

企画段階で少し悩んだのが、今回のテーマに置いたSDGsとの関連性です。確かに端材を再利用する点は菅公学生服さんと共通していますが、当社は小規模で、端材の量は多くありません。洋服を作る際も高付加価値を提供するために天然の素材にこだわったりしていて、サステナブルを主軸にデザインする製品は多くはないんです。

ではどういうところでコラボできるだろうと考えたときに、当社のデザインの力で華やかなバスをプロデュースするのが一番いいのではという結論に至りました。また、当社の場合はデニムだけでなく、高価なレザーの端材などもたくさんあったので、そういうものも提供。デニムも制服もいろいろな素材があるので、組み合わせは無限です。当日の子どもたちの反応を見ていると、みんな楽しそうに想像を膨らませながら取り組んでいたのではないでしょうか。

参考:[岡山発]デニムと学生服でバスを制作!アートバスAOHARE号が完成!青春をテーマに自由な発想で制作したアートが彩る、独創的空間とデザインに込めたストーリー。

青木被服株式会社02

「いい意味での違和感」がPRのこだわり

──いつも青木さんご自身でプレスリリースを書かれているかと思いますが、どんなことを意識されていますか。

今回のプロジェクトは合同でしたが、プレスリリースは3社それぞれで作成したんです。菅公学生服さんは学生さんや保護者の方に向けて、公共交通を運営する両備さんは地域の方々に届けたいという想いがきっとあると思うので、それぞれの視点で書いたほうがいいだろうと。

私の場合は、岡山デニムの価値をワンランク上げるというのを目指して活動しているので、プレスリリースでもスタイリッシュさを意識しました。写真の画質をモード系に寄せたり、アーバンな表情を出すようにしたりして、メディアの方が「おもしろいいじゃん」と思ってくれることを狙いました。どのプレスリリースもビジュアルではっとするような要素や、いい意味でちょっと違和感があるような内容を入れることを意識しています。

──いい意味での違和感というのは、青木さんらしいですね。

これはプレスリリースに限ったことではなく、広報PR全体として意識していることです。岡山の田舎のデニムファクトリーらしからぬビジュアルを見せたい。新しいプロダクトを出すときには、いつも意外性やいい意味での違和感を出したくて、仮に普遍的なものに仕上がったとしても、どこかにおもしろいポイントを持たせたいんです。

岡山デニムのブランド力を底上げしたい

また、当社の広報PRの最終ゴールは、岡山デニムに付加価値を与えてワンランク上のブランドにすることです。岡山デニムに関する仕事をしている方々が、今よりもっと注目されるようになったり、商売がしやすくなったりすることを目指しています。岡山デニムという言葉を使ってブランディングできるようになれば、きっと商売がしやすくなるはずだと思い、自分なりにいろいろな取り組みをしているというわけです。最近は広報PRのための映画製作をしています。岡山デニムや倉敷の美観地区を全面に出している映画で、自分で脚本・監督もしているんです。

──おもしろいですね。なぜ映画という手法を選んだのでしょうか。

例えば洋服のブランドのプレゼンテーションの方法として、メジャーなのがランウェイです。でも私たちの岡山デニムはランウェイブランドではないと思っていて。じゃあどんな広報PRができるかと考えたときに、岡山デニムは観光地で生まれたものであり、昔からの地域産業という特色があるので、倉敷という土地とうまく掛け算をして、岡山デニムとのパッケージでプレゼンテーションするのがよいだろうと考えたんです。自分たちの服を着て、空間も自分たちのもので演出して、そして倉敷の景色を映す。そこに惹きつけるものがあれば、きっとたくさんの方に興味を持ってもらえるはずです。シーズンごとにコレクションを作るかわりに、シーズンごとに映画を作る「デニムービープロダクション」というコンセプトでやっています。

実売の側面から、国内外、そして海外にもさらに店舗展開していく予定です。店舗ではもちろん売り上げを目指しますが、広報PRは直接的な売り上げが目的ではありません。長期的な効果を狙って行うものです。いつかこの両者(広報PRと実売)がどこかの時点で近づいていくというのが、一番の目指すところですね。それまで田舎のデニムファクトリーがこんなことやっているよという、いい違和感があるようなものを、どんどん打ち出していきたいと思っています。

青木被服株式会社03

まとめ:岡山デニムの価値を高め、地域の魅力を伝える

青木被服の広報PR活動を通し、岡山デニムのブランドを全国へ広めることで、岡山デニムの価値を高め、岡山デニムに関わる方によい影響を与えたいと話す青木さん。地元企業とのコラボレーションを行うのは、そんな想いからでした。

岡山県の企業3社で行った「AOHARE号」企画や青木被服の広報PR活動から見えたポイントは3点です。

  • 青木被服ができるだけ多くの場所で目に触れられることで「岡山デニム」の価値を上げ、関係者にもよい影響を与える
  • 地元企業による広報PRは、子どもたちが地元の魅力に気づくことにも寄与する
  • 「いい意味での違和感」を意識したプレスリリースと広報PR活動でメディアからの注目を集める

岡山デニムのブランド力を底上げするために、固定観念にとらわれることなく多方面から広報PR施策を実践する姿勢からは、学べることがたくさんあったのではないでしょうか。地元の企業とのコラボレーションを検討している企業や、地元に古くから根付いている老舗企業の方に、ぜひ参考にしていただきたい内容です。

青木さん渾身のPR映画の完成が、今から待ち遠しいなと思っています。

第二弾は、「AOHARE号」の企画発案者である菅公学生服株式会社の柄川麻紀さんです。

PR TIMESのご利用を希望される方は、以下より企業登録申請をお願いいたします。登録申請方法料金プランをあわせてご確認ください。

PR TIMESの企業登録申請をするPR TIMESをご利用希望の方はこちら企業登録申請をする

この記事のライター

PR TIMES MAGAZINE執筆担当

PR TIMES MAGAZINE執筆担当

『PR TIMES MAGAZINE』は、プレスリリース配信サービス「PR TIMES」等を運営する株式会社 PR TIMESのオウンドメディアです。日々多数のプレスリリースを目にし、広報・PR担当者と密に関わっている編集部メンバーが監修、編集、執筆を担当しています。

このライターの記事一覧へ