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認知拡大のため、代表取締役が前面に出る広報活動における広報担当者の役割を解説

本稿は、株式会社ニットの広報担当者 小澤 美佳氏による寄稿です。

自社のメッセージを世の中に向けて発信し、認知を広めると同時にブランド価値を高めることは、広報担当者の重要な役割です。その際、「何を」「どのように」発信するのかを明確にすることはもちろん、「誰が」発信すると大きな効果が得られるかを考える必要があります。

特にまだあまり知られていないベンチャー企業では、行動者が発信するとより効果的であるとされています。また、BtoBや無形のサービスを扱う企業の場合、例えば、代表取締役が自社の理念や目指す理想などを語り、世の中からの共感や理解を得ることが認知拡大の第一歩ではないでしょうか。

本記事では、企業の認知拡大のため代表取締役が前面に出る広報活動の3つの機会や、そのプロデュースにあたって広報担当者が意識すべきポイント、実践する際の4つのフェーズごとの注意点とその効果についてご紹介します。

代表取締役が前面に出る広報活動

広報活動の中でもメディア出演やイベント登壇などでは、自社の代表取締役を前面に出すことは欠かせません。経営の中枢が広報活動に参加することで、企業としての本気度が伝わるからです。例えば、他社では人事担当者が登壇するような採用イベントでも、自社は代表取締役がスピーカーとして出席することで差別化を図ることができます。

まだあまり知られていないベンチャー企業の場合、代表取締役の顔や考え方、パーソナリティを広めることが、企業の認知度を上げる第一歩だといえます。それにともない、世の中に対して自社の代表取締役をどのように見せるかというプロデュースも、広報担当者の腕の見せどころです。

代表取締役が全面に出ることで良い影響をもたらす3つの機会

代表取締役が前面に出ることで良い影響をもたらす機会としては、次の3つが挙げられます。

  • メディアからの取材依頼への対応
  • イベントへの登壇
  • 社外・社内イベントへの参加

メディアの取材対応やイベント登壇など外部への発信だけではなく、社内での発信においても、企業理念や経営方針などを自ら伝えることは重要です。立ち上げたばかりの企業などでは、このような機会を積極的につくり出す姿勢が広報担当者には求められます。

認知度が高い大手企業の場合は、待っていてもメディアやイベント主催者から依頼されることもあるでしょう。しかし、まだ無名のベンチャー企業の場合は、自ら話題をつくり出し、世の中に向けてアピールすることが必要です。TwitterなどのSNSを活用することも有効な方法のひとつでしょう。

代表取締役をプロデュースするにあたって意識すべきポイント

代表取締役が前面に出る広報活動において重要なのは、まずは自社の代表取締役をどう見てもらいたいか、広報担当者が具体的なイメージを持つことです。自社の理念や目指す理想に根差した代表取締役像を基に広報戦略を立てていきましょう。

広報担当者が具体的なイメージを持ち、それをベースに代表取締役をプロデュースすることは、メディア取材やイベント登壇などの機会を通してブレのないメッセージを伝えるうえでも役立ちます。

プロデュースするにあたって広報担当者が意識するべきポイントは、以下の通りです。

広報

ポイント1.見た目の印象

代表取締役の見た目、つまり外見をコーディネートすることは、意図した通りのイメージを世の中に定着させるための第一歩です。大袈裟だと思われるかもしれませんが、視覚的な情報が人々の印象に及ぼす影響力は決して小さくはありません。

ポイント2.スピーチ

伝えたい代表取締役像を基に世の中に対する発信の仕方を考えることも、広報担当者の重要な役割です。例えば、代表取締役のイベント登壇が決まった時には、本人と一緒にスピーチ原稿を考える必要があります。

その際に重要なのは、代表取締役自身の考えや言葉を原稿に盛り込むことです。ほかの人が考えた原稿を読むだけでは聴衆を引き込むことは難しいでしょう。

広報担当者としてはスピーチの大枠だけを作成し、細かな部分については本人とのディスカッションを通じてブラッシュアップしていきましょう。あくまでも自身の言葉で語ることができるよう、原稿をつくり込みすぎないことが重要です。

当日スライドなどを使用する場合は、代表取締役とすり合わせた内容を基に作成します。広報担当者自身が作成してもよいですが、特に重要なイベントに登壇する際には、資料作成を専門とするプロフェッショナルやデザイナーに依頼するのもひとつの方法です。

登壇時に使う資料にはメモ欄を設けて、スライドごとに話し方の注意点などを記入しておくとよいでしょう。例えば、重要な箇所はゆっくりめ、声を大きく、などです。

ここぞというイベントの前には、代表取締役と一緒に入念なリハーサルをしておくと安心です。その際、可能であればビデオ会議システムやスマートフォンの動画撮影などでスピーチを録画し、振り返りを行うとよいでしょう。

スピーチの最中は、自分自身がどれくらいのテンポで、どのような話し方をしているかを把握することは困難です。本人が想像した以上に早口になってしまうケースも多々あります。広報担当者がフィードバックをするだけではなく、話す本人に録画を見てもらうことで、客観的に自らを振り返ることができるのでおすすめです。

ポイント3.メディア取材対応

メディアの取材対応がある際には、事前に代表取締役に話してほしい内容を箇条書きでまとめて共有しましょう。イベント登壇時の原稿と同様に、つくり込みすぎないことが重要です。

場合によっては、メディアから質問項目の提示がないこともあります。その際には、自社がアピールしたい点を基に広報担当者が質問項目を作成し、先方と調整するとよいでしょう。受け身になることなく、一緒に取材現場をつくっていこうという姿勢を持ちましょう

4つのフェーズに必要な工夫

では、代表取締役に広報活動へ参加してもらうにあたっての課題は何でしょうか。基本的に、どの企業の代表取締役も多忙ですし、人によっては協力的ではないケースもあるかもしれません。そこで、「依頼時」「調整時」「準備時」「本番時」の4つのフェーズごとに工夫すべき点をご紹介します。

フェーズ1.依頼時

依頼を受けて、代表取締役に取材対応やイベントへの登壇を要請する際に大事なのは、「なぜ自らが前に出て発信をする必要があるのか」を論理的に説明し、心の底から納得してもらうことです。

また、代表取締役が世の中に向けて発信する機会を増やすためにメディア関係者と交渉することも、広報担当者として重要な役割です。世の中に向けて「何を話すか」はもちろんのこと「誰が話すか」は内容に説得力を持たせるうえで大きな意味を持つといえます。仮に先方からの指名がなかったとしても、代表取締役が語る必然性のあるテーマや話題をこちらから積極的に提案し、交渉するとよいでしょう。

フェーズ2.調整時

メディアとの良い関係を築いていくにあたってスピード感は欠かせません。例えば、メディアから「御社の代表取締役を取材したい」と依頼があった場合に、その都度スケジュールを確認していてはスピード感が損なわれてしまいます。メディアから打診があったその場で回答できるのが理想でしょう。

そこで、代表取締役のスケジュールを押さえられるよう、事前に話し合っておくのもひとつの方法です。そうすることで、タイムラグを生じさせることなく、スムーズにスケジュール調整ができます。

この進め方を代表取締役に打診する際には、ダブルブッキングを防ぐために、Googleカレンダーなどのスケジュール管理ツールを常に更新し、最新の情報を共有できるよう促すことも忘れてはいけません。プライベートの予定も含め共有してもらうことで、スケジュールの調整ミスを防止することができます。

フェーズ3.準備時

前述したように、代表取締役が前面に出る広報活動の機会を得た際、その中身について本人に任せきりにするのは避けましょう。必要に応じて一緒にスピーチ原稿を練ったり、リハーサルをしたりすることが重要です。

また、代表取締役が本番でベストパフォーマンスを発揮できるよう、前日には代表取締役の体調管理にも気を配る必要があります。例えば、夜遅くまで仕事をしたり、外せない会食に出席したりといった際には、頃合いを見て声をかけるなどし、翌日に向けてコンディションを整えることができるよう取り計らいましょう。

フェーズ4.本番時

当日の代表取締役への再確認も忘れてはいけません。時間と場所に加え、取材やイベントの趣旨を改めて簡単に伝えておくとスムーズです。取材やイベント登壇の機会が増えると、話す内容が混同してしまう可能性もあるので、そのような気遣いも忘れないようにしましょう。

本番の時にできることは多くありませんが、なるべく近くにいて、代表取締役の言葉に頷いて話しやすい空気感をつくるとよいでしょう。特に、会話のキャッチボールがない、スピーカーが一方的に話すようなシーンでは、自分の話が聴衆に響いているかどうか不安に思う人もいます。そうならないための空気づくりも広報担当者の仕事のひとつです。

メディア対応やイベント登壇時の質疑応答の際には、代表取締役がスムーズに答えられるよう手元に資料やメモを用意しておくと安心です。代表が言葉に詰まったら、すぐにアシストできる態勢を整えておきましょう。場合によっては、広報担当者が代わりに回答したり、代表取締役の話を要約したりといった柔軟な対応が求められるシーンもあります。いつでも前に出る心づもりで本番に臨む姿勢が重要です。

代表取締役が前面に出る広報活動によって得られる3つの効果

代表取締役が前面に出る広報活動の機会を増やしていくことで得られる効果は、主に3つあります。

1つ目は、メディアからの取材やイベントへの登壇に慣れていない代表取締役でも、経験を重ねるごとに対応やスピーチが洗練されていくことです。自らが前に出て発信するシーンが限られていると、重要な局面での一発勝負になってしまいがちです。普段から人前に立つことに慣れていると、重要なシーンでも本領を発揮することができます。

2つ目に、代表取締役自身が広報活動に参加することで、その価値を肌で感じてもらうことができます。広報活動は短期的な定量効果が見えづらく、なかなか理解が得られないケースもあるでしょう。しかし、自らがメディア出演などを経て周囲からの反響を感じる機会があれば、少なくとも定性的には広報活動のインパクトを知ってもらうことができます。

3つ目に、広報活動が成功することで採用にも良い影響があります。届けたい人に情報が届くことで、応募の人数が増えるだけではなく、応募者の質が向上することも期待できるでしょう。代表自身が自社のビジョンや求める人材像を語ることが、そうした質の向上につながります。

広報担当者に求められる中長期的な目線

広報活動は、わかりやすい成果にはつながりにくい側面があります。例えば、マーケティングなら新規顧客のリード獲得数、人事なら応募者数や採用人数が成果であるといえますが、広報活動の場合は必ずしも効果がすぐに数字に表れるわけではありません。

一方で、中長期的な目線で考えると、広報活動はマーケティングや採用活動にも良い効果を与えているといえます。広報活動を通じて自社やサービスの認知を広げることが、間接的にリード獲得や人材応募につながるからです。

広報担当者の役割は中長期的な目線で企業の価値を上げることです。すぐに効果は感じられなくても、地道な広報活動は、3年後、5年後にきっと企業価値の向上につながるはず。その効果を最大化するためにも、代表取締役自身の言葉で発信し続けていくことが求められます。

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この記事のライター

小澤美佳

2008年にリクルートへ入社。中途採用領域の営業マネージャーを経て、リクナビ副編集長として数多くの大学で、キャリアの講演を実施。2018年中米ベリーズへ移住し観光業の会社を起業。2019年、ニットに入社し、営業・人事を経験後、広報部署の立ち上げ。1年半でメディア露出715件。Twitterのフォロワー数30000人。

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