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情報発信で社内の価値を見つけ、会社を内側から輝かせる方法|加藤いづみ

情報発信で社内の価値を見つけ、会社を内側から輝かせる方法|加藤いづみ

新聞社や制作会社で情報誌の制作に携わり、現在はホテルの広報PR担当者として活動する加藤いづみ氏に執筆いただきました。

「発信する内容がない」「この内容を発信することに意味があるのか」。そんな悩みを抱えていませんか。情報発信というと、何か特別なことを発表しなければいけないと思われがちです。しかし、実際には日常の中にこそ価値ある「発信素材」が眠っています。

筆者は地域情報誌制作での取材経験を通じ、それを実感してきました。その視点は現在のホテル広報の現場でも企業価値向上に役立っています。

本記事では、なぜ情報発信が大切なのか、そして発信素材の見つけ方と整理の仕方を解説します。小さな発信が大きな広がりを生むきっかけとなることを、お伝えします。

株式会社秋田キャッスルホテル 広報PR

加藤 いづみ(Kato Izumi)

地域情報誌制作会社と地元新聞社で情報紙の制作に携わり、企画・取材・DTPまで幅広く経験。2015年、株式会社秋田キャッスルホテルに入社後は、商品企画や広報PRに取り組む。「取材する側」と「情報を提供する側」の両視点を活かし、PRSJ認定「PRプランナー」として広報活動を行っている。現在は経営企画部に所属し、経営に寄り添った広報戦略の立案から実務までを担う。プレスリリース等の執筆実績はこれまでに180本以上。現場の思いに耳を傾けながら、日常の価値を伝えることを大切にしている。2025年よりPR TIMES公認プレスリリースエバンジェリストとしても活動。

はじめに:なぜ情報発信が大切なのか

情報発信は、単なる告知活動ではありません。企業が社会とつながり、人々の行動に影響を与え、さらには社員自身が自社の価値に気づくための重要な手段です。私が情報発信を大切に思う理由と、その背景にある経験、そして私が考える広報PRの目的について解説します。

「当たり前」に宿る価値を言語化する意味

「自分にとって当たり前のことでも、誰かにとっては特別な価値がある」。これは、地域情報誌の仕事を通じて学び、今も大切にしている視点です。取材では「特別なことはしていない」と控えめに話す方が多くいましたが、読者からは「勇気をもらった」「自分もやってみたいと思えた」という声が届くことがありました。日々積み重ねてきた活動が、誰かの心を動かし、目に見えないところで新たな広がりを生み出す。情報の価値を決めるのは発信者ではなく、受け取る相手です。だからこそ、私たちが日常的に行っていることを、丁寧に言語化し、その背景にある思いや工夫を伝えることが、広報PRの第一歩になります。

ホテル広報で実感したPRの2つの目的

現在、私は地方ホテルの広報PRを担当しています。宿泊、宴会、レストランなど多様なサービスを展開するホテルには、多くの専門職が働いています。その仕事には表から見えないこだわりや工夫が数多くあります。

こうした現場を見て、PRの目的は2つあると考えています。

1つ目は、生活者に役立つ情報を届け、暮らしの中に新しい選択肢や発見を生むことです。知らなければ出会えなかった贈り物や、イベントを通じた新しい体験は、人生に彩りを与えてくれます。

2つ目は、社内の仲間の思いや技術に光を当て、誇りを育むことです。日々の業務に価値を見いだし社会に届けることは、企業価値の向上につながり、会社を内から支える力になります。

では、社内の価値をどのように見つけ、発信につながる形に整えていけばよいのでしょうか。

レストランなどサービスを展開するホテル イメージ

社内に眠る「発信素材」を見つける方法

「発信する内容がない」と感じるとき、まずは社内を見渡してみてください。実は、日常の業務や人の思いの中に、伝えるべき価値が眠っています。この章では、私がどこを手掛かりにそれを見つけ、どのように深掘りしているのかを紹介します。

表に出ている情報を棚卸しして素材の土台をつくる

発信素材を探すときは、まずは目に見える情報の整理から始めます。自社がどんな価値を提供しているかを客観的に把握するための、いわば最初の棚卸しです。

例えば、以下のような項目を書き出してみてください。

  • 商品
  • サービス
  • 設備
  • 機能
寄稿者 加藤いづみ氏作成
寄稿者 加藤いづみ氏作成

これらは広報PR活動における基本的情報ですが、ここで終わらないことが重要です。何を提供しているのかを整理することは、その過程や背景にある「誰が」「どのように」「どんな思いで」取り組んでいるのかを深掘りする手掛かりになります。

裏側の思いや工夫からストーリーを掘り起こす

多くの現場に触れる中で、裏側にこそ伝えるべき価値が宿ると実感するようになりました。裏側には、表からでは見えない多くの工夫や思いが隠れています。例えば、工程の中にあるひと手間、始めた背景にある思い、長年続けてきた歴史など、目立たない部分ほど魅力的なエピソードが詰まっているものです。

ホテルで広報PRを担当していると、このような裏側の価値に触れる機会があります。シェフはよく「特別な作り方はしていない」と言いますが、実際には「オムライス専用のご飯を炊く」というこだわりの工程があります。本人にとってはごく当たり前でも、そのひと手間に気づくと、料理に込められた思いや姿勢が伝わるのです。

これらの裏側の情報は、単なるスペックや告知ではなく、企業の価値観を伝えるカギになります。常に素材探しを意識する必要はありません。日常の対話の中で少しずつ積み重ねることが、いつか関連情報のプレスリリースを書く際に情報を底上げするヒントになります。

寄稿者 加藤いづみ氏作成
寄稿者 加藤いづみ氏作成

日常の気づきと対話から素材を見つけるコツ

発信素材を探すときは、日常の中にある小さな気づきを大切にします。社内を歩いていて「なぜ?」と感じたことは、宝物に出会う入り口。当たり前と思わず、好奇心を忘れずにいることが大切です。

次に、わからないことは社内の専門家に尋ねましょう。企業広報の強みは、現場の担当者に直接話を聞けることです。例えば、ホテルにはサービススタッフ、ソムリエ、バーテンダー、シェフなど、多彩な専門職がいます。事前に下調べをしてから質問すると、背景にある思いや工夫が見つけやすくなります。

さらに、こだわりや工夫を探すには、聞き方も重要です。唐突に「こだわりは?」と聞いても答えにくいものです。相手にとっては職人として当然のことで、こだわりだと思っていないことも多いもの。材料や工程などを一通り確認し、下調べした通常の工程と比べてどう違うのか、なぜその作業が必要なのかを丁寧に尋ねることで、隠れていた価値が浮かび上がってきます。

これらの素材が集まったら、次は整理し、優先順位をつけるステップへ進みます。

発信素材を整理し優先順位をつける方法

素材を見つけたら、次は整理して優先順位をつけます。集めた情報は、そのままでは魅力が伝わりにくいことがあります。だからこそ、企業にとって意味のある発信へと形を整える作業が欠かせません。この章では、私が実施している実務で使える素材整理のチェックリストと、発信の順番を決めるための基準を紹介します。

発信素材を整理する10のチェックリスト

発見した素材を整理する際には、視点をそろえて確認することが役立ちます。次の10項目を確認しながら、素材の魅力や背景を整えていきましょう。

寄稿者 加藤いづみ氏作成
寄稿者 加藤いづみ氏作成

1商品やサービスの特徴(基本情報)
・どんな価値を提供しているのか
・他社や類似商品との違いは何か

2その裏側にいる人(人のストーリー)
・誰が作っているのか
・どんな経歴やこだわりを持つ人なのか

3作り方・工程に潜むひと手間(工程ストーリー)
・本人が当たり前と思っている作業は何か
・工夫・苦労・意外性のある工程はどこか

4歴史や継続性
・いつから続いているのか
・なぜ続けられているのか

5始めた原点や背景にある思い(理念ストーリー)
・なぜこの取り組みが始まったのか
・どんな思いや問題意識があったのか

6社会的な意義・地域性
・地域課題、地産地消、SDGsなどと関連するか

7季節性やトレンドとの関連
・なぜ今取り上げるのか
・年中行事、季節行事と関連するか

8社員の挑戦や成長
・新しい資格取得やスキル取得はあるか
・開発や挑戦ストーリーはあるか

9数字・成果・評価
・実績データはあるか
・受賞歴や外部評価はあるか

10.お客様や地域からの声
・どのように喜ばれているのか
・SNSやクチコミの反響はどうか

そして何より大切なのは、本人が当たり前だと思っている部分にこそ価値が宿るという視点だと思っています。

発信素材の優先順位を決める3つの基準

発信素材が複数見つかったら、次の3つの基準で優先順位を決めます。

1つ目は、読み手にとっての有益性です。生活の選択肢を広げることや、新しい体験につながる情報は発信の価値が高くなります。

2つ目は、企業の戦略との一致度です。事業方針やブランドの方向性に沿った発信は、長期的にも企業の成長につながります。

3つ目は、タイムリーさです。季節性や話題性があるタイミングで発信することで、情報の受け取られ方が大きく変わります。

この3つの基準を意識することで、「どの素材を、いつ、どの順番で伝えるべきか」を判断しやすくなり、発信の効果も高まると考えています。

寄稿者 加藤いづみ氏作成
寄稿者 加藤いづみ氏作成

まとめ:情報発信が会社を内側から輝かせる理由

情報発信は、外へ届けるだけではなく、社内にも良い影響をもたらします。日常の仕事に光が当たることで、関わる人が自分の役割や取り組みの意義を見つめ直すきっかけにもなると考えています。外部からの反響は、自分たちの仕事が社会にどのように役立っているのかを実感する機会となり、社員のモチベーション向上にもつながる。小さな発信の積み重ねが、社内に前向きな気づきや誇りをゆっくりと育てていくのではないでしょうか。

本記事のポイント

  • 発信素材は当たり前の日常や裏側に眠っている
  • 素材を整理し優先順位をつけることで発信効果が高まる
  • 情報発信には企業を内側から輝かせる力がある

まずはチェックリストを使って、社内の宝物をひとつだけ見つけてみてください。その価値を信じて踏み出した一歩が、次の発信を生み出す力になると思います。

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