鳩をモチーフとしたお菓子「鳩サブレー」で知られる株式会社豊島屋は、今年で創業130年を迎える老舗和菓子メーカーです。毎年8月10日の「鳩の日」に合わせて「鳩サブレー」に関連した限定品を販売し、話題を呼んでいます。今年は販売当日、鎌倉にある本店の前に鶴岡八幡宮まで続く長蛇の列ができたことをはじめ、そのほかの多くの販売店舗の様子がテレビでも中継されるほどの盛況ぶり。また、今シーズンのフジテレビ月9ドラマ『海のはじまり』でも登場し、注目を集めました。
本記事では、記念日「鳩の日」に合わせて実施する「鳩サブレー」の限定商品企画の誕生秘話や2年前から積極的に取り組み始めた広報PR活動の効果、これからの豊島屋としての展望について、笛田工場・工場長の久保田さんに伺いました。普段、メディアとのやり取りを行っている広報PR担当の宮井さんにもあわせてお話いただいています。
株式会社豊島屋:最新のプレスリリースはこちら
豊島屋製菓株式会社 笛田工場 工場長
2017年、慶應義塾大学経済学部を卒業後、みずほフィナンシャルグループへ入社。営業職を2年間経験した後、コンサルタントとして2年間のキャリアを積む。その後、2021年に株式会社豊島屋へ転職し、現在は鳩サブレーの製造工場で工場長として生産管理を担当。2022年には、神奈川県鎌倉市小町通りにて、焼きたての「わっふる」を提供する新店舗「豊島屋 瀬戸小路」をプロデュース。2023年8月より8月10日「鳩の日」の広報PRを担当し、ブランドの認知度向上に取り組んでいる。
馴染みのお客さまへの感謝を伝える「鳩の日」
──御社が制定した記念日8月10日の「鳩の日」に毎年販売している限定商品、大人気ですよね。
宮井さん(以下、敬称略):ありがとうございます。そもそもの始まりは1999年くらいからで、最初は地元の馴染みのお客さまに感謝を伝えたいということで、先代社長と現社長が始めた取り組みでした。当時は鎌倉、逗子にある直営店のみで鳩の語呂に合わせて、10枚ほど入った箱入り「鳩サブレー」を810円という価格で販売していました。
久保田さん(以下、敬称略):当初は販売価格を安くして日頃の感謝をお伝えする「お客さま感謝デー」でしたが、だんだんとイベント化して、2015年ごろから限定グッズを販売するようになったんです。「鳩サブレー」をモチーフにしたトートバッグやポーチ、今年は2019年にも販売して人気だった「1枚入缶」に限定色を入れて新たに生産したものです。
参考:【8月10日は鳩の日】1枚入缶の鳩サブレーを限定販売。
──2019年当時はプレスリリースの配信をされていませんでしたが、プレスリリースを配信する端緒となった出来事は何だったのでしょうか。
宮井:2022年に小町通に「わっふる」の新店舗「瀬戸小路」をオープンするにあたり、ここにいる久保田さんからプレスリリースを出したほうがよいと提案があったことがきっかけです。
──こちらもとても話題になりましたね。
久保田:新店舗をオープンするなら、より多くの方に知っていただきたいと思っていました。しかし、弊社で広報PRを行うツールといえば会社のホームページと、Instagramくらいです。これだけでは広く知っていただくのは難しいだろうなと思ったんです。
そこで、私自身、前職の銀行で勤めていたときからよく見ていた「PR TIMES」を使ってプレスリリースを出そうと思いました。
参考:鎌倉土産「鳩サブレー」の豊島屋が9月30日(金)に鎌倉市で新店をグランドオープン!
──銀行で勤めていた際、どんなときに見ていたのでしょうか。お取引先の情報を知る用途などでしょうか。
久保田:お取引先に限らず、情報収集の一環として活用していました。ニュースサイトと同様に、いろんな情報にアクセスできるのがいいですね。
いち生活者として私自身使っていた経験もあったので、「この新店舗を絶対にいろんなお客さまに届けたい」という思いを社長に伝え、納得してもらって配信に至ったというわけです。
この時の効果を感じて翌年からは、いつも以上に盛り上げ、多くの方のお手元に届けるために「鳩の日」については必ずプレスリリースを配信しているんです。
1本のプレスリリースが寄与し、注文が殺到
──実際にプレスリリースを配信してみて、反響はいかがでしたか。
久保田:確実にホームページやInstagramだけでは知ってもらえなかっただろう方々に、情報を届けられたと思います。
2023年、「鳩の日」としては初めてのプレスリリースを配信。「もこもこ刺繍入り 鳩もこトート」を限定で販売したのですが、多くのメディアに取り上げていただきましたね。その影響もあって、オンラインストアは一次つながりにくくなるほどアクセスが集中。お客さまにご迷惑をおかけしたことは反省点でしたが、プレスリリースやメディアの影響度をあらためて感じました。
そして今年は、昨年の反省を活かしてお客さまをお待たせしないようにいろいろ対策したうえで限定品「鳩サブレー 1枚入缶セット」を発売。昨年以上に多くのメディアに取り上げていただいたのですが、対策の甲斐もあって無事に乗り切ることができました。
【「鳩の日」の販売にあたって豊島屋が対策した一例】
- 多くの方のお手元に届けられるように十分な量を生産
- 「鳩の日」特設サイトを通常オンラインストアと別で立ち上げ
- 「鳩の日」特設サイトで受注販売を実施
- プレスリリースには「鳩の日」特設サイトURLを掲載
- 「鳩の日」特設サイトの販売受付時間を変更
2023年:8月10日0:00~8月10日23:59
2024年:8月10日 8:10~8月11日8:10
ご希望するすべてのお客さまにお求めいただけるように、工場の稼働ラインを増やし、働く全員で協力して十分な数を用意したそうです。また、プレスリリースを配信することでオンラインショップへ誘導し、お客さまが店舗に集中することを避ける。プレスリリースに掲載しているオンラインショップのURLは、通常のオンラインショップではなく限定品専用とし、通常のオンラインショップへのアクセスも分散する。販売時間を8:10開始にすることで、お客さまからのお問い合わせに対応しやすい環境をつくり、翌8:10まで受け付けることで発注タイミングをずらしていただけるようにするなど、昨年の課題を解消できる対応をしています。(PR TIMES 取材担当者より)
──テレビやSNSでたくさん目にしましたし、翌日の電車では隣のグループが「鳩の日」の会話をしているのを耳にしました。多くの方にお求めいただいたと思いますが、実際にどのくらい売れたのでしょうか。
久保田:おかげさまで、結果的にオンラインでの受注販売、店舗での販売ともに昨年の倍以上の反響がありました。生産量でも過去一です。
オンラインでは、受付開始から1時間で今回の販売数の3分の1ほどの注文があったのですが、これは販売日となる「鳩の日」よりも前にプレスリリースを配信したのも大きかったと思います。ちなみにプレスリリースのアクセス数も130万PVと過去最高で、「PR TIMES」のランキングでも1位になり、生活者の方にも届いていることを実感。やはり「PR TIMES」で配信する効果はすごいと思いましたね。
参考:8月10日は「鳩の日」。鳩サブレーの豊島屋が、お客様への感謝を込めて限定商品や特別価格での販売を行います。
老舗だからこそお客さまへの感謝を
──御社のような老舗企業が広報PRを行う意味は、どんなところにあるとお考えでしょうか。
久保田:いろいろなメリットがあると思いますが、プレスリリースを配信することでオンラインショップへ誘導できます。また、会社のホームページと社長のInstagramだけでは、なかなかインターネットユーザーのお客さまにまで伝えるのは難しいので、新たなお客さまへ届けるという意味で「PR TIMES」でプレスリリースを配信するメリットは大きいと思っています。
お客さまがプレスリリースをSNSで投稿してくださって限定品を「かわいい!」とコメントされているのを見ると、やはりうれしいですね。
宮井:てまえどもは売り上げの多くを「鳩サブレー」が占めており、馴染みのお客さまが多いんです。ただ、「鳩サブレー」以外にもたくさんおいしいお菓子があって、年間100商品以上も扱っていることはあまり知られていません。店舗に来られて「こんな和菓子があるんだ」とおっしゃるお客さまも多い。だから、それをもっと広めたいという思いがあります。てまえどものお菓子はおいしくて、原料は良いものを使っているし、職人も優秀です。地元のお客さまにはそれを知っていただいていますが、もっと広く知ってもらいたいですね。
久保田:本当にそのとおりで、ずっと長く買ってくださるお客さまがたくさんいらっしゃるんです。その方々に支えられてきましたが、そこに甘えていてはいけないとも思っています。「鳩サブレー」の味はしっかり守り続けながら、もっと多くの方に手に取っていただけるように、限定品などのパッケージも含めて広報PRを大事にしていきたいですね。
まとめ:プレスリリースは新たなお客さまと出会う手段
本当においしいお菓子だからこそ、馴染みのお客さまだけでなく、もっと多くの方に食べていただきたい。そんな思いを込めたプレスリリースは毎回大反響となり、記念日にちなんだプレスリリース配信の効果を実感できるお話でした。
今回のお話のポイントは以下です。
- 記念日に合わせた広報PRは、新たなお客さまの認知獲得に効果的
- プレスリリースの反響を踏まえ、事前の対策を行うことが大事
- プレスリリース配信は売り上げへの貢献につながるツール
「鳩サブレー」は、「鳩の日」の限定品の人気もさることながら、話題のドラマ「海のはじまり」での登場も重なり、あらためてそのブランドが注目されています。「ドラマ内では、鳩サブレーって自分のために買うものではなく、お土産でもらうものでは、というようなニュアンスで話されていましたね」と笑うお二人は、ドラマによってこれまで「鳩サブレー」を購入したことのない層の方々が食べてくれていると、嬉しそうに話していました。老舗であることにあぐらをかかずに、これからも特別な日には必ずプレスリリースを発信したいと語る姿勢は、老舗企業の広報PRへの向き合い方として参考になるのではないでしょうか。来年の「鳩の日」にはどんなすてきな限定品が販売されるのか、今から楽しみです。記念日の活用法などもぜひ参考にしてみてください。
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