PR TIMES MAGAZINE|広報PRのナレッジを発信するWebメディア
記事検索
title

創業100年の米菓メーカー。5代目が挑む売上拡大と地域貢献への広報PR|日の出屋製菓産業

「しろえび撰」「しろえび紀行」など富山銘菓として人気の商品を多数展開する日の出屋製菓産業株式会社。長い歴史がありながら、新ブランドや新店舗を次々と展開し、情報発信にも積極的なことで目にする方も増えているのではないでしょうか。特に今年は100周年を迎え、5代目社長に代替わりした記念の年でもあることから周年企画をはじめ、より一層の注目を集めています。

本記事では、なぜ老舗企業が広報PRを強化することになったのか、またどのような効果があったのかについて、代表取締役社長の川合洋平さんと、広報担当の松邑瑠菜さん、福澤徳子さんにお話を伺いました。

日の出屋製菓産業株式会社(富山県南砺市):最新のプレスリリースはこちら

日の出屋製菓産業株式会社 代表取締役社長

川合 洋平(Kawai Yohei)

1986年、富山県生まれ。高校卒業と同時にミュージシャンを志し上京後、全国CDデビューを果たす。2009年家業である日の出屋製菓産業に入社。音で幸せを届けることからお菓子で幸せを届けることを決心。営業第一部長、常務取締役本部長を経て、2024年春創業100周年を機に代表取締約社長に就任。富山県や米菓の価値を高め全国に発信していくため新ブランド「SHIRO SASARAYA」「おこめぢゃや」など立上げを行う。また海外への輸出展開にも力を入れ始める。

日の出屋製菓産業株式会社 経営推進本部 リーダー

松邑 瑠菜(Matsumura Runa)

富山県生まれ。商業高校では模擬株式会社にて副社長を務め、専門学生ではデザイン関係の勉強を行う。専門学校卒業後、2010年日の出屋製菓産業に入社。パッケージデザインをはじめ店舗ディスプレイや新ブランド立上げ、イベント運営などのディレクター業務を含め幅広く活動。趣味は、ガーデニングやゴルフ、小3の娘を連れてランニングなど日々アグレッシブ。座右の銘は「なんとかなる」。

日の出屋製菓産業株式会社 経営推進本部 販促・広報担当

福澤 徳子(Fukuzawa Noriko)

富山県生まれ。大学在学中に、趣味である美術館巡りに影響され、ポスターなどの販促にも興味を持つ。卒業後、東京都内のデザイン専門学校に通い、デザイン関係などの職種で約10年勤務。2014年に富山へUターンし、日の出屋製菓産業に入社。現在は社内プロジェクトに参加しつつ、販促物や広告等の制作の他、プレスリリースやSNSの更新などを通じて生まれる新しい縁を大切に発信している。

コロナ禍を境に始めたWebの「空中戦」

──本日はよろしくお願いいたします。まずは御社の事業と広報PR体制のご紹介をお願いします。

松邑さん(以下、敬称略):はい、よろしくお願いいたします。

日の出製菓産業は富山県南砺市で創業し、今年2月に100周年を迎えた米菓メーカーです。富山県産のお米を使ったおせんべいやあられを製造しており、主力商品に「しろえびせんべい」があります。広報PRの専任部署は設けておらず、私や福澤が所属する経営推進本部で広報PRの役割を担っています。商品の広報PRにつながる業務を広く行っており、商品のパッケージや店舗の販促物の制作、店舗の内装なども担当しているんです。

──2021年まではプレスリリースの配信はされていませんでしたが、配信しようと思った目的、広報PRを強化することになった契機などがあったのでしょうか。

川合さん(以下、敬称略):当社は、富山というローカル性や独自性を打ち出した付加価値のある商品を自社の直営店舗で販売することをメインにしてきましたが、コロナ禍で店舗での販売が厳しくなったことがひとつのきっかけですね。

富山の方々には支持していただいていましたし、口コミなどで商品の良さを伝えていただくことも多く、特に広報PR施策は行ってこなかったんです。ところがコロナ禍によって突然店舗での販売が厳しくなってしまいました。通信販売も行っていましたが、紙のカタログで発注を受けていて、かなりアナログだったんです。しかし、今はSNSやWebコンテンツが主流の時代です。従来の方法では通用しなくなってきたのは明らかでした。そこで、それまで大切にしてきた店舗でのいわゆる「地上戦」メインから、Webを主体とした「空中戦」との合わせ技でブランディングしていこうと考えたわけです。

また、2021年に和と洋を融合させた新しい米菓ブランド「SHIRO SASARAYA」を作ったことも大きかったです。百貨店や駅ナカ、空港などでの販売を開拓しているところですが、ありがたいことに、このブランドは売り上げ面においても重要な存在に成長しているんですよ。

日の出屋製菓産業株式会社 2021年3月10日10時00分発表プレスリリース素材より作成
日の出屋製菓産業株式会社 2021年3月10日10時00分発表プレスリリース素材より作成

参考:和と洋を融合させた新感覚のブランド しろえび米菓専門店「SHIRO SASARAYA」(白・ささらや)がデビュー

売上拡大に留まらないプレスリリース

──プレスリリースの配信を始めてから、効果を実感する場面はありましたか。

川合:プレスリリースは新商品の発売や新店舗の出店、イベント開催など、さまざまなテーマで配信してきたのですが、毎回いろいろなところから反応がありました。ギフト商品の発売についてのプレスリリースを配信したときに、小売店の方から商品を卸したいとお問い合わせいただいたことがありますし、プレスリリースを見て店舗に来てくださったお客さまもよくいらっしゃいます

また、リクルートでの効果も感じていますね。プレスリリースを通して商品の背景や想いを伝えてきたので、私たちがどんな会社なのかを知って入社してくれたメンバーもいるんです。求職者とはできるだけ多くのタッチポイントを作ることがとても大事になりますが、プレスリリースはそのひとつとして、大切な役目を担ってくれていると思います。

松邑:プレスリリースの目的は社外への情報発信がメインですが、ランディングページの代わりになるというのも大きいです。プレスリリースには必要な情報をすべて掲載するようにしているので、お客さまや取引先さまなどにうちの商品や店舗を説明するときに、プレスリリースのURLを送るようにしているんです。それさえ見てもらえればわかっていただけるように情報を充実させているので、重宝しています。

──商品の売り上げだけでなく、採用面でも寄与したり、営業ツールとして活用したりしているんですね。実際に作成するときはどんな点に気を付けているのでしょうか。

川合:Web施策を強化するにあたって、店舗や営業などいろいろなところからメンバーを選抜してデジタルマーケティングプロジェクトチームを作ったんです。「PR TIMES」もそのときに利用し始めたので、プレスリリースの文章は携わっているメンバーみんなで添削するようにしていました。いろんな人の目で見てもらって、それぞれの意見を取り入れて作成してきたので、今でもその際に培ったものは大事にしています。

松邑:始めはプレスリリースについてすごく勉強しましたね。注目されている他社さまのプレスリリースを研究して、タイトルにはこういう要素を入れたらいいのか、リードはこう書けばいいのかなど、たくさん学ばせていただきました。最近は当初ほどみんなから添削が入ることはありませんが、このときに学んだことを踏まえて作成しています。

ただ、伝えたいことがとにかく多くて、毎回長文になってしまうことが悩みです。ランディングページの代わりに、ということも考えるとつい長くなりすぎるのですが、最後のほうはあまり見られなくなってしまうので、ちょうどよい長さを模索しています。それから、わたし自身、図や画像が多いほうが見やすいと思っているので、視覚的に伝えることも意識しています。

福澤(以下、敬称略):コラボレーション関連でのプレスリリースも難しいと感じています。例えば、主催者から許可をいただいたうえで、自社が共催したイベントのプレスリリースの配信をした際は、何を第一に持ってくるのが良いのか頭を悩ませました。ただ、大変な面もありながらもSNSでシェアされやすかったり、いつもとは異なるお客さまに興味を持っていただいたりするチャンスでもあるので、自社のこともPRできるように意識して人気のプレスリリースを参考にしながら書くようにしています。

【自社主催ではないイベント】

日の出屋製菓産業株式会社 プレスリリース

参考:【創業100周年企画】合計41店が集結!富山県最大級のお酒と飲食のイベント「バッカスとやま」福光会場はささら屋福光本店にて 日の出屋製菓産業

【自社主催のコラボイベント】

日の出屋製菓産業株式会社 プレスリリース

参考:創業100周年企画【日の出屋製菓×藤岡園コラボイベント】ささら屋富山婦中店にて「藤岡園のお茶と楽しむ おこめぢゃやのスイーツフルコース~スイーツに合うお茶とのペアリングで優雅な時間を~」開催!

商品を通して富山の魅力を伝えたい

──御社のような地元で愛される老舗企業が広報PRを行う意味は、どんなところにあるとお考えでしょうか。

福澤:SNSで情報発信するようになってから、アナログ時代にはなかったさまざまな交流が生まれています。私は広報PR担当として、県内で行っているSNS担当者の交流会にも参加するようになり、そこでプレスリリースを紹介することもあるんです。それから、X(旧 Twitter)で地元のことを発信すると、意外に東京の会社の方にコメントしていただいたり、たまに有名人が反応してくださったりすることも。私たちは富山のローカル企業ですが、広報PRによってこんなに嬉しいエピソードがいくつも生まれたので、プレスリリースやSNS、ホームページなどで情報を発信することの重要性をすごく実感しています。

川合:当社が100年もの間続けてこれたのは、自社の利益だけでなく地域のためにいろいろやってきた結果、お客さまに信頼いただけたからこそだと思っています。今はアフターコロナの時代に突入し、地方の中小企業にとっては厳しい状況が続いているので、お客さまや地域の方に大切にされる会社であることが一層重要だと感じています。

だからこそ、地元や米菓業界を広報PRするような企画、取り組みを実施しているんです。本社がある南砺市は、消滅可能性自治体に入っている地域なんですが、広報PR活動によってひとりでも多くの方が富山を魅力的だと思っていただきたい。商品を通して富山の魅力を知っていただき、たくさんの方に富山に来てほしい。もちろん収益が合わないイベントもありますが、地元に還元できるなら、という想いで開催しています。

──最後に、これからの展望についてお聞かせください。

松邑:今年は100周年記念の年だったので、会社の歴史を社員のみなさんに伝える機会があったんです。そのときに、会社を築き上げた先輩達や今も一緒に働く仲間たちが、どういう気持ちで仕事をしていて、どういう気持ちで自社の商品を広報PRしたいと思っているのかを感じる場面がたくさんありました。そんな想いを汲み取ること、そしてそれを具現化することが、広報PRの役目だとあらためて感じています。これからも当社の広報PRとして、この100年に込められた想いをどんどん形にしていきたいですね。特にWeb施策をやり始めてからは、いろいろなところで自分達が書いた文章を見たというお声をいただくようになったので、プレスリリースも含めてWeb施策にますます力を入れていきたいと思っています。

川合:当社はこの100年間、日本の歴史とともに激動を乗り越えてきました。創業者である曾祖父から受け継いだ「類ありて比なし(類似したものはたくさんあるが、私たちは他人が真似できないオンリーワンを創る)」の精神を祖父と父が実践し、商売の道を開拓してきて今に至っています。そして今年、私が5代目としてこの精神を引き継ぎました。これからは日本の文化である米菓という産業をもっと盛り上げたいと思っています。百貨店などの大規模な小売店では洋菓子が圧倒的に強く、和菓子の盛り上がりがなくなってしまっているのが事実です。ここに切り込むべく、「SHIRO SASARAYA」を作ったわけですが、これからも伝統を引き継ぎながら開拓を続けていきたいと思っています。

参考:和と洋を融合させた新感覚のブランド しろえび米菓専門店「SHIRO SASARAYA」(白・ささらや)がデビュー

まとめ:時代の変化に合わせてブランディングも柔軟に改革

富山のローカル性、独自性に重きを置いたアナログなブランディングから、コロナ禍を経てWeb施策を強化している日の出屋製菓産業。広報PR戦略だけでなく、新商品の開発や販路拡大も時代に合わせて柔軟に対応されていることがわかるお話でした。

今回のお話の学びのポイントは3点です。

  • 時代に合わせた柔軟な対応:アナログでの販促だけでは通用しなくなりWebでの広報PRをスタート
  • 新たな広報PR施策:商品の販路拡大、お客さまのご来店だけでなく、営業ツールとしての活用、リクルートへも効果が波及
  • 一貫した地域への想い:商品の販促だけでなく地元富山を盛り上げるために広報PRを活用したい

商品を通して富山の魅力を発信し、たくさんの方に富山へ来てほしいというメッセージに、心打たれた方も多いでしょう。地域との関係性を大切にしている企業や、地元に古くから根付いている老舗企業の方に、ぜひ参考にしていただきたい内容です。

PR TIMESのご利用を希望される方は、以下より企業登録申請をお願いいたします。登録申請方法料金プランをあわせてご確認ください。

PR TIMESの企業登録申請をするPR TIMESをご利用希望の方はこちら企業登録申請をする

この記事のライター

PR TIMES MAGAZINE執筆担当

PR TIMES MAGAZINE執筆担当

『PR TIMES MAGAZINE』は、プレスリリース配信サービス「PR TIMES」等を運営する株式会社 PR TIMESのオウンドメディアです。日々多数のプレスリリースを目にし、広報・PR担当者と密に関わっている編集部メンバーが監修、編集、執筆を担当しています。

このライターの記事一覧へ