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事業の成長スピードに負けない活動が役割。MVVCを大切にした広報PR|株式会社マネーフォワード

「お金を前へ。人生をもっと前へ。」をミッションに掲げ、個人・法人に向けた金融系Webサービスを提供する株式会社マネーフォワード。Great Place to Work® Institute Japanが発表した、2024年版 日本における「働きがいのある会社」ランキング ベスト100において、従業員1,000名以上の企業を対象とする大規模部門で、2年連続で10位に選出されるなど、サービスだけでなく組織としての魅力も話題です。

本記事では、同社コーポレートコミュニケーション室 副室長の矢頭ユミさんにインタビュー。チーム運営を強みとした広報PR体制、コミュニケーションガイドラインの作成やプレスリリース配信で大切にしていることなどを伺いました。

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株式会社マネーフォワード コーポレートコミュニケーション室 副室長

矢頭 ユミ(Yato Yumi)

大学を卒業後、株式会社レベルファイブに入社し企業広報とコンシューマーゲームの広報・宣伝業務を担当。関西に移住し株式会社サンワカンパニーに入社、広報部門の立ち上げに注力した後、創業70年余の食品メーカーでも社内外向けの広報に従事する。2021年10月に株式会社マネーフォワードに入社。

属人的になりがちな業務をチーム運営でカバー

──本日はよろしくお願いいたします。早速ですが、広報PRの組織や体制について教えてください。

広報PRを担う組織は、コーポレートコミュニケーション室と、マネーフォワードビジネスカンパニーの中にあるコミュニケーションデザイン室の大きく2つです。

コーポレートコミュニケーション室は、全社のSNSを含む主にコーポレートにおける広報PR全般と、お金の見える化サービス『マネーフォワード ME』などの個人向けサービス、『マネーフォワードエックス』で提供している金融機関向けサービスの広報PRを担っています。一方、コミュニケーションデザイン室はバックオフィスSaaS『マネーフォワードクラウド』を中心とした法人向けプロダクトの広報PRを担当しています。

マネーフォワードは多事業展開しており、対象となるユーザーや必要となる知識はサービスによってさまざまです。50以上あるサービスに対して機動的に対応するために、2つの組織が連携して広報PRに取り組んでいます

──多事業展開されているということですが、サービスごとに広報PRの担当者が決まっているのでしょうか。

メインで担当するメンバーはいるものの、最近はチームで動くことも意識しています。広報PRは属人的になりがちで、ひとりがすべてを担当するという体制ではその人が休んでしまったときに、仕事が回らなくなるリスクがあります。私も前職で「ひとり広報」を経験しましたが、やりがいを感じる一方「自分が倒れてはダメだ」というプレッシャーがある状態はサステナブルとはいえません。

チーム運営であれば、休みが取りやすくなることはもちろん、業務が立て込んでいるときにもほかの人がフォローすることができます。働いている一人ひとりが「マネーフォワードで働くことが楽しい」と感じられて、その人が目指すライフスタイルで働ける環境を、広報PRを担う組織でも実現したいと思っています。

──メンバーの中には、広報PRが未経験の方もいらっしゃるのでしょうか。

未経験の方もいますし、広報PR経験者でも異なる業界出身の方もいて多様性のあるチームだと思います。

私自身は長く広報PRに携わってきたので、経験に基づく思い込みや答えを持ってしまうこともあるんですよね。しかし、業種が違えばまったく異なるアプローチをしますし、職種が違うとコミュニケーションの手段も変わってきます。多様性のあるメンバーが揃うことで、今まで知らなかった知識や新しいインサイトが得られるので、そういう部分はチームで積極的にナレッジ共有の場を持つようにしています。

マネーフォワード取材01

価値ある発信の指針となるコミュニケーションガイドライン

──マネーフォワードにはコミュニケーションのガイドラインがあると伺いました。なぜ作成することになったのでしょうか。

マネーフォワードは共通の価値観・目指したい世界観をMVVC(ミッション・ビジョン・バリュー・カルチャー)として掲げ、すべての活動をしています。私が入社したときにはすでにコミュニケーションガイドラインが存在していたのですが、その当時から広報PR以外の組織からの発信も活発で、「ステークホルダーとのコミュニケーションをみんなでやっていくんだ」という思いが会社として大きかったからではないでしょうか。ガイドラインといっても意識してほしいところを押しつけるのではなく、マネーフォワードらしさをみんなが自由に発信するためのよりどころになっています。

──どのような内容が書かれているのか教えていただけますか。

簡単にいえば、「こういうスタンスで発信しましょうね」ということが書かれていますね。マネーフォワードのMVVCを実現するために、広報PRがどのようなことを大切にしてコミュニケーションをしているのか、マネーフォワードらしいキーワードとは何か、反対にマネーフォワードらしくないものは何かなど、コミュニケーションの質を上げるためのポイントを明記しています。

──広報PRの発信が事業の目標達成に寄与したエピソードなどはありますか。

メディアに掲載されたアプリのダウンロード数が増えたり、昨年テレビ取材を受けたときの番組を見てマネーフォワードの存在を知ったという方が採用につながったりしたケースがありました。また、私が現在広報PRを担当しているベンチャーキャピタルでは、記事を見た起業家の方からお問い合わせがあったり、金融機関とのコミュニケーションのお役に立ったりしたという話も聞きます。

広報PRは短期的な結果が見えにくいものではありますが、広報PRの発信によって事業成長に貢献したり、目標実現の後押しとなったりすることはあるのではないでしょうか。

マネーフォワード取材02

正確かつ公平。そして「らしさ」を伝えるため

──ここからは、プレスリリースについてもお話を伺いたいと思います。プレスリリースを配信するうえで大切にしていることはありますか。

プレスリリースは主にメディアに向けての発信ではありますが、私たちはコミュニケーションツールのひとつとして、メディア以外のステークホルダーの方にもそのまま届けることを意識しています。

大切にしているのは、正確かつ公平であることに加え、マネーフォワードのMVVCに基づいた「マネーフォワードらしい表現」で発信すること。未来を思い描きワクワクするような表現や、マネーフォワードのマインド「Let’s make it!(共に創り、実現しよう!)」を感じる表現など、マネーフォワードの思いが込められているのかどうかは、プレスリリースの確認をする際にも意識しているポイントです。

また、「“なぜ”それに取り組むのか」「それをすることでユーザーは“どう”便利になるのか」「それによって“どのような”未来になるのか」という部分も必ず入れるようにしています。

──4月に統合報告書の発表をプレスリリースで配信されていましたね。配信された狙いを教えてください。

プレスリリースの拡散力を活かして、直接ユーザーに届けられることを期待して統合報告書『Forward Map 2024』の公開について配信しました。

ステークホルダーに届けたいという思いから、投資家向けの内容だけではなくユーザーのインタビューやマネーフォワードのサステナビリティに対する考えなど、マネーフォワードの「今」が1冊にまとめられています。

ただ、統合報告書を発刊しただけではステークホルダーに届かないので、プレスリリースを配信することによって目にしていただきたいと思ったのです。

──以前プレスリリース配信された「産休育休ガイドブック」の発表もとても印象的でしたが、同じような狙いでしょうか。

産休育休ガイドブックは、従業員に対し、産休育休制度をきちんと活用してもらいたいというメッセージを発信することが目的でした。ユーザベースさんのものを参考にさせていただき、自社の状況に合わせた構成にしています。

産休育休に関する情報が網羅的にまとめられているものはあまり多くないこともあり、多くの従業員が自主的にシェアしてくれましたし、社内の反応は明らかにポジティブだったと思います。実際に男性社員の育休取得率は約9割まで上がり、3ヵ月から半年間程度の育休を取得する男性従業員も増えています。

また、産休育休がガイドブックの発表後、他社から「同じようなものを作ってもよいか」と多数のお問い合わせもいただきました。社内に向けたメッセージでしたが結果的に社会に対しての価値も提供できた事例だったと思います。

──社内のさまざまな情報を積極的に発信することが、よいコミュニケーションにつながっているんですね。

統合報告書や人事制度の情報は必要とする対象者が限られ、ある意味ニッチなもので、一般の生活者にはあまり影響がないように思われがちですが、実は会社の姿勢をもっとも如実に表すものでもあります。今後も「私たちはこういう考えを持っています」と伝える発信は、折に触れてしていきたいですね。

その際、ただホームページに載せるだけでは情報がどうしても埋もれてしまうので、メディア掲載につながらないとしても、「マネーフォワードの宣言」としてプレスリリースを配信することには意味があると思っています。また、プレスリリースの一覧は情報が見やすくまとまった媒体としての役割を果たすものでもあるので、ステークホルダーや将来入社する可能性がある方など多方面からの反応をいただくことも少なくありません。それが巡り巡って、メディアの方に「おもしろいね」と取り上げていただければうれしいですが、直接ユーザーに届けるため、会社の姿勢を表すために活用していきたいと思っています。

事業が成長するスピードに負けないユーザーとの信頼関係を

──最後に、コーポレートコミュニケーション室、広報PRとしてのこれからの展望についてお聞かせください。

今、マネーフォワードとしての100点満点の広報PRができているかというと、まだまだ道半ばだと思っています。経営層からの期待値としては、もっとスピード感を持ってユーザーに価値を届けていき、事業スピードに追いつけるような発信をしていくことにあると認識しており、その点にきちんと貢献できるような広報PR活動をしていかなくてはなりません。

マネーフォワードのさまざまな事業で、新サービスの提供以外にもお届けしたい情報があるはずなので、私たちがきちんとキャッチして、ユーザーに届くコミュニケーションをあますことなくしていかなければならないと考えています。

また、マネーフォワードが成長することでどれほどユーザーに便利があって、どのような未来を届けることができるのかをしっかりと発信し、信頼関係を築くようなコミュニケーションをこれからも気を引き締めてやっていきたいですね。

マネーフォワード取材03

まとめ:チーム運営が強み。マネーフォワードのMVVCを大切にした広報PR

MVVCを大切にした株式会社マネーフォワードの広報PRについて、コーポレートコミュニケーション室の矢頭ユミさんにお話を伺いました。

矢頭さんが大切にしている広報PRのポイントは以下4つ。

  • チーム運営:属人的になりがちな広報PRは、チーム運営にすることによってフォローしあえる体制をつくる
  • コミュニケーションガイドライン:自社らしい発信のよりどころとしてコミュニティガイドラインを作成、価値ある広報PRにつなげる
  • プレスリリース配信:メディアの向こうにいるステークホルダーに情報を届けることを意識。正確性と公平性に加え、自社のカルチャーが伝わる内容も取り入れる
  • 社内データの発信:人事制度や統合報告書をはじめ、自社の考えやスタンスを表す社内データは、積極的に開示する

多事業展開する企業の広報PR担当者の方や、自社の魅力発信をめざす企業の方にとって、大いに参考にしていただける事例ではないでしょうか。

マネーフォワードの会議室

今回の取材は「YUKICHI」部屋で行いました。「Let’s make it !(共に創り、実現しよう!)」のマインドで社内からの公募やアンケートの結果を反映し、「日本の紙幣に描かれた人物」が会議室名になっているそう。聖徳太子をはじめ、旧紙幣の人物たちがお出迎えしてくれる部屋、どこに通してもらえるかたのしみになりました。新紙幣の発行が始まり、現時点で会議室名の変更はないそうですが、いつか「EIICHI」ができたら見てみたいものです。

マネーフォワードの会議室

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