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誠実を大切に、正しく伝える。人材サービス業界のプレゼンスを高める広報PR活動|パーソルホールディングス株式会社

「はたらいて、笑おう。」をグループビジョンに掲げるパーソルホールディングス株式会社。1973年の創業以来、求職者と企業を結びつける人材サービスをはじめ、人と組織に関わるさまざまな事業を展開しています。

本記事では、同社グループコミュニケーション本部の出石司織さんと岩下育未さんを取材。メディアリレーションの深め方や、質の高い情報発信を実現するための工夫、自社のメッセージや価値を正しく伝えるために大切にされていることなどをお伺いしました。

パーソルホールディングス株式会社のプレスリリースはこちら:パーソルホールディングス株式会社のプレスリリース

パーソルホールディングス株式会社 グループコミュニケーション本部 広報室 室長

出石 司織( Izushi Shiori)

2006年インテリジェンス(現パーソルキャリア)入社。人事部 新卒採用チームで企業説明会、内定者研修、インターン受け入れなどを担当。その後、事務派遣事業へ異動しコーディネーターや企画業務に携わる。2017年よりパーソルホールディングス広報室に配属。コーポレート広報としてメディアリレーションズ活動や危機管理広報対応を経験、2021年より室長として広報戦略の立案、グループ各社広報や人事・財務・ガバナンス・ITなど関連部門との連携強化を推進。

パーソルホールディングス株式会社 グループコミュニケーション本部 コミュニケーション部 エキスパート

岩下 育未( Iwashita Ikumi)

2005年インテリジェンス(現パーソルキャリア)入社。法人の中途採用支援などを経て、2008年にマーケティングへ異動。Web編集、ユーザー調査、マーケティングPR、転職サービス「DODA(現doda)」のリブランディングを担当。関西支社の事業企画部門立ち上げのあと、2015年にテンプホールディングス(現パーソルホールディングス)へ異動。サービス広報、コーポレート広報、TVCMプロモーション企画、ブランド活動のROI測定に従事。2020年コロナ禍に家庭のため一度転職するも、2024年に復帰し現職。社外広報を中心に、社内広報やマーケティングにも横断的に従事している。

どんな切り口でも答えられる情報が価値に

広報PRが担うビジョンへの共感と体現

──本日はよろしくお願いいたします。早速ですが、広報PRの組織、体制について教えてください。

出石さん(以下、敬称略):社内外のコーポレートコミュニケーション全般を担うグループコミュニケーション本部の中に、私たちが所属する広報室があります。広報室の中で社外広報を担うメンバーは4名で、社外に対するコミュニケーションやプレスリリース配信、危機管理広報を担っているんです。また、パーソルグループには事業領域ごとにSBU(Strategic Business Unit)があり、それぞれにグループ会社が連なっています。グループ各社の広報PR担当者、総勢30名と連携を図りながら進めています。

私たちの役割は、パーソルグループが何を考えていて、どのような価値を社会に創出しているかを正しく理解していただくために、経営が考えていることや事業が提供している価値をわかりやすく伝えること。そして、グループビジョンである「はたらいて、笑おう。」に共感する人、体現する人を増やすことです。そのために、メディアのみなさんときちんとコミュニケーションを取れる関係性を築くことを大切にしており、メディアリレーションズにも積極的に取り組んでいます。

メディアが気になるネタの選択肢を広く

──メディアリレーションズの話が出ましたが、具体的にどのようなことに取り組まれているのでしょうか。

出石:当社主催で、メディア向けの勉強会を定期的に開催しています。扱う題材はさまざまですが、パーソルグループ内の事業や取り組みに関するものです。例えば、先日は当社グループ企業のパーソルキャリアが「相互副業プロジェクト」を開始するのに併せて、副業に関するマーケット情報や最新動向についての勉強会を開きました。

また、今年度からは複数のメディアが参加する形式の勉強会のほかに、個別の記者レクチャーにも積極的に取り組んでいます。これは、担当領域が変わったばかりで人材サービス業界のことをあまりご存知ない方や、特定の領域について深く知りたい方を対象としたもので、グループ内で知見のあるスポークスパーソンにレクチャーを依頼して実施しています。

──勉強会のご案内だけでは、多くご参加いただくのは難しいかと思いますが、メディアの方に興味・関心を持っていただくために意識されていることはありますか。

出石:「今、これを売りたいんです!」と積極的にアピールするのではなく、まずはメディアの方がどのようなことに興味や課題意識を持っているのか、どのような記事を書きたいと思っているのかを伺います。そのうえで、「それならこんな情報が提供できそうです」とお答えしながら、グループとして伝えていきたい重点テーマに関する情報も発信していくのがわれわれのコミュニケーションの取り方です。

岩下さん(以下、敬称略):われわれは総合人材サービスの広報PRを担う立場として、「人と組織に関することなら何でも答えられる」状態を目指し、メディアの「今困っているネタ」に対して何かしらの情報提供をさせていただけるよう日々活動しているんです。

パーソルグループ各社の広報PR担当者ともうまく連携していて、各社がどのようなプレスリリースを出しているのかなどの情報共有ができていることは、大きな強みになっていると思います。

──たくさんのサービス、事業を展開され、それぞれの部署との連携をとれていることは大きな強みですね。それでは、情報の質を高めるために工夫されていることはありますか。

出石:メディアからの取材をお受けするときに備え、「〇〇のことならこの人」とある程度は領域ごとのスポークスパーソンを決めているんです。また、あらかじめスポークスパーソンにメディアが求めていることをきちんと伝えておくことで、その意を汲んだうえで話をしてくれたり、時にはその領域であれば別の方の方が適任、などとご提案いただくこともあります。社内でのコミュニケーションを大切にすることが、私たちの情報のアップデートにもつながり、メディアに提供する情報の質を高めることにもつながっているかと思います。

パーソルホールディングス株式会社01

会社の姿勢を正しく伝えるためのプレスリリース

──ここからはプレスリリースについてお伺いさせてください。サービスや事業に関することだけでなく、社内の取り組みや従業員向けのような情報も積極的に配信されていますが、どのような意図があるのでしょうか。

出石:そうですね。メディアの先には投資家をはじめ、法人・個人のお客さまや従業員などのさまざまなステークホルダーがいます。その方々に向けて、自分たちがどのようなポリシーを持って、どのようなことを従業員に対して取り組んでいるのかを開示することは、われわれの人的資本に対するスタンスを明示することにもつながると思うんです。

それは結果的に、投資家や株主だけでなく、未来の仲間になってくれるであろう方々にも影響を与えると考えています。「こういう制度があるからすごいでしょ」というアピールのためにプレスリリースを出すのではなく、私たちの会社としての姿勢を正しく伝えることが目的です。すべてのプレスリリースでメディア掲載を獲得することを目的にしないというのが前提にありますね。

──管理職比率や育休取得率やワーケーションなどのデータも積極的に出されていますよね。

岩下:パーソルホールディングスの人事部門は「Advanced HR Showcase(業界のリーダーとして人事のショーケースになる)」というポリシーを掲げていて、それを社外にも発信することで、ほかの人事のお客さまにも伝わるコミュニケーションを取っていきたいと考えているんです。

人事部門と私たちとがそのポリシーを共有しているため、女性管理職比率や男性育休取得率といったDEI(Diversity, Equity & Inclusion)にまつわる人事データ、そのほかのあらゆる人事施策に対しても積極的にプレスリリースとして出していこうとしています。

──人事領域のデータを出したことで、何か効果や成果につながったことはありますか。

岩下:今年1月にパーソルグループ初となる「人的資本レポート」を出し、プレスリリースでも配信したのですが、人的資本レポートの作成方法に関するお問い合わせや、法人のお客さまから「人事部門に話が聞きたい」と当社営業担当へご要望をいただくなどの依頼が数十件ありました。まさに私たちがポリシーとして掲げている「業界のリーダーとして人事のショーケースになる」を体現できていると感じたエピソードです。

また、リリース後は人的資本レポートを手にメディアキャラバンを実施し、ある経済メディアでCHROのインタビューにつなげることができました。CHRO自身からも「掲載後に反響があった」と聞いています。

参考:パーソル、初となる「人的資本レポート」を発行

パーソルホールディングス株式会社02

メディア視点を伝える勉強会で情報の質・量を高める

──「メディアの視点」を共有するための社内向けの勉強会も実施されているそうですね。

出石:はい。メディアがどういう視点で記事を書きたいと思っているのか、ということのほかに、例えば施策のローンチ後は記事にはなりにくいので「このタイミングまでには広報PR担当者に情報をください」といった基本的なことをレクチャーしています。昨年度は人事とIRの担当者を対象に「広報PRとの目線合わせ」のような取り組みをしました。

──勉強会を行ったことで、アウトプットされる情報の質や量は変わりましたか。

岩下:プレスリリースの配信に関する相談のタイミングは圧倒的に早くなったと思います。以前は「先週から始まったこのことについてプレスリリースを出せますか?」というようなことも多かったのですが、そういう初歩的な部分がまずなくなりましたね。

施策や制度をローンチする何週間か前に「プレスリリースを出せますか?」と聞かれるようになり、動き出すタイミングが早くなったと思います。

出石:タイミングを逃すということがなくなったことに加え、どんなに小さなことでも「何かチャンスがあるかもしれない」という考えを持ってくれるようになり、「広報PR担当者に相談してみよう」という関係性が築けたことで、われわれとしては情報収集がとてもしやすくなりました。

メディアからの取材協力をお願いした際に、非協力的な姿勢を見せる人がいないのと同じで、今は本当に良好な形でコミュニケーションが取れていると思います。社内で集まった情報をどのように発信していくのか、そこは広報PRの手腕の見せどころですね。

誠実な情報発信で人材サービス業界に対する信頼や期待につなげる

──幅広いステークホルダーに対して広報PR活動をする中で、どのようなことを大切にされていますか。

出石:「誠実であること」ですね。「メディアのみなさんが何を求めているのか」「われわれの発信が社会や労働市場に対してどのような気づきや示唆を与えることができるのか」を大切にしています。

そうでなければ、メディアの方に興味を持っていただくことは難しいと思いますし、広報PRを担う者としては会社と社会の間を中立的な目線で情報提供するように心がけています

──メディアが書きたいことと、企業側が伝えたいことに乖離が生じてしまうこともあると思いますが、そうならないためにはどのようなコミュニケーションを取るべきだとお考えでしょうか。

出石:結局のところ人と人との信頼関係ですね。一朝一夕でできるものではなく、普段から双方コミュニケーションが取れる関係性を築いておくことが大切だと思います。

例えば「派遣」という雇用形態に対して、ネガティブな印象を持っている方もいらっしゃいます。事実と異なる報道や乖離が生じても、メディアと双方向にコミュニケーションできる関係性があれば、私たちも事実を臆することなく伝えることができるはずです。

最終的にどう書くか、報道するかはメディアに委ねるしかありませんが、明らかに事実と異なることやこちらの意図が正しく伝わっていないときには、事実を理解していただけるように何度でも根気強くコミュニケーションを重ねてます。

──最後に、これからパーソルホールディングスの広報PR活動において、目指したいことを教えてください。

岩下:現在、パーソルグループはありがたいことに、人材サービス業界のリーダーに近い立ち位置として業界の中でプレゼンスを発揮できていると思います。それはつまり、われわれの発信が「人材サービス業界が世の中からどう見られるか」に影響することでもあるので、そこを意識した発信を継続していきたいですね。

出石:働く個人の価値観や雇用のあり方が多様に変化する中で、私たちが社会に対して一歩先の情報提供をしていくことが、みなさんの気づきや機会の提供につながると思っています。それを継続することによって、働くことに関して何か困ったことや聞きたいことがあったら「まずはパーソルに連絡しよう」と思ってもらえる存在になるはずです。

広報PRの役割は、パーソルグループのビジョンや目指す姿、われわれの事業やサービスが生み出す価値や社会へのインパクトを理解していただくこと。そして、われわれに対する信頼や期待を獲得し、業界全体のプレゼンスを高めることです。

メディアとの関係を丁寧に構築しながら、「顔の見える広報PR」としてホールディングスやグループ各社の広報PR担当者の一人ひとりが、誇りと誠実さを持って今後も活動していきたいと考えています。

パーソルホールディングス株式会社03

まとめ:パーソルホールディングスに学ぶ、業界全体のプレゼンスを高める広報PR

「誠実であること」を大切にしながら、社会に有益な情報を発信し続けるパーソルホールディングス。出石さんと岩下さんのお話には、参考になる取り組みが多数紹介されていました。

  • メディア向け勉強会の開催:メディアの興味や課題を把握し、それに応じた勉強会を開催。特定の領域に関する個別の勉強会も積極的に実施
  • 質の高い情報発信:メディアの取材に対応するスポークスパーソンを領域ごとに確保
  • プレスリリース配信:自社の取り組みや業界ならではのデータも積極的に発信し、自社のスタンスを明示
  • 正しい情報発信にこだわる:メディアリレーションズを大切にし、誤った情報を毅然と正せる関係を構築
  • 社内向け勉強会の実施:メディアの視点を共有するための社内向け勉強会を行うことで、情報の質と量が向上、情報収集を容易に

人材サービス業界はもちろん、業界問わず広報PR施策の参考にしてみてはいかがでしょうか。

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