PR TIMES MAGAZINEでは、広報PR活動に課題を感じている企業・団体向けに、日本全国の地域ごとにサービス導入の成功事例を紹介するインタビューを実施。愛媛県で温泉施設などのアミューズメント事業を展開するキスケ株式会社の「鬼サウナ」は、ユーザー投票による「ニフティ温泉 サウナランキング2023」で「全国1位」に選ばれています。
本記事では、同社執行役員兼広報PR担当の田中誠さんにインタビュー。「テレビ局から取材オファーが殺到したプレスリリース事例」「反響獲得のために心がけていること」などの具体的なポイントについてお聞きしました。
キスケ株式会社(愛媛県松山市):最新のプレスリリースはこちら
キスケ株式会社 執行役員 エンターテインメント事業部長 新規事業開発室長
愛媛県でみかん農家の息子として生まれる。専門学校を卒業後、建築、アパレル、飲食など幅広い業界で経験を積む。1998年11月にキスケ株式会社に入社し、現在はエンターテインメント事業部長および新規事業開発室長を兼務。イベントの運営や企画、サウナの監修など、幅広い領域を担当している。
灼熱&瞑想が楽しめる「鬼サウナ」で日本全国の頂点に
──カラオケ・ボウリング・雀荘などの「アミューズメント事業」から「賃貸事業」まで幅広い事業を手がけるなか、今一番ホットな事業のひとつが「温泉」とお聞きしました。
田中さん(以下、敬称略):私たちは愛媛県内で、2つの温泉施設を運営しています。いずれも、地元の皆様に支えられて、利益を伸ばしています。松山市の「伊予の湯治場 喜助の湯」は、2022年度の売り上げが過去最高を更新しました。
──温泉施設が人気を博している理由は何でしょうか?
サウナブームの中で2022年6月にオープンした「鬼サウナ」が、全国のサウナファンの皆さんから「愛媛の伝統工芸とサウナのコラボがおもしろい」と感じていただけたのだと思います。「鬼サウナ」は2種類あります。1つは、約110℃に達する灼熱サウナ「炎(ほむら)」。もう1つは、水のせせらぎ音と、青色の照明の中で「瞑想サウナ」が楽しめる「蒼(あお)」です。どちらも、ユーモラスな顔が描かれた鬼のサウナストーンを置くなど、徹底して世界観づくりにこだわっています。
「鬼サウナ」は、ユーザー投票による「ニフティ温泉 サウナランキング2023」で「全国1位」にも選ばれました。栄えある賞をいただけたのは、とてもありがたいことですね。
「反響獲得」のために心がけている3つのポイント
田中さんがプレスリリースを配信する際に心がけているポイントを3つお伺いしました。
ポイント1.「SEOキーワード」を複数盛り込んだタイトルにする
田中:私が一番気にかけているのは「SEOキーワードを盛り込んだタイトルをつけること」です。メディア記者の方々は、プレスリリースを探すときに、何らかのキーワードを入力すると思います。そのため、旬なトピックや流行りのトレンドがらみのキーワードを、複数、タイトルに入れるようにしていますね。
──なるほど。キーワード検索によるヒットを狙うのですね。具体例を一つ、教えていただけますか。
一例に「スラムダンクで人気再燃『B.LEAGUE』の『愛媛オレンジバイキングス』と鬼サウナの「喜助の湯」が コラボした温泉入浴付き観戦チケットを販売開始♨」という記事があります。この記事は「伊予の湯治場 喜助の湯」の入浴、地元のプロバスケットボールチーム「愛媛オレンジバイキングス」の観覧がセットになった「コラボチケット」を発売することを伝えたものです。
こちらのプレスリリース配信の2ヵ月ほど前に、漫画「スラムダンク」の劇場版が公開されました。世間的に注目度が高まっているタイミングだったので、タイトルに「スラムダンク」というキーワードを入れました。
「コラボ」や「サウナ」も検索されやすいキーワードだと思います。こういったホットなキーワードを複数盛り込むようにしています。このテクニックを使うと、PR TIMESのサイト上だけでなく、Googleなどの検索エンジン上でも、上位ページに表示されることがあります。非常におすすめのポイントです。
ポイント2.半数は1,000PV以下。それでも「月10本」を打ち続ける
──田中さんは「PR TIMES」の利用をスタートしてから、7ヵ月間で70本以上ものプレスリリースを配信されていますね。
田中:そうですね。プレスリリースは「質」だけでなく「量」にもこだわることが大切だと思っています。目安は月10本程度。5本くらいだと、正直少ないかなと思います。
──本数を増やすメリットは何ですか?
多くの人に読まれるようになることです。私たちのプレスリリース記事の月間PVは2万3,000ほどで、比較的満足のいく結果が得られています。もちろん、PV数が低い記事も多いです。それでも、打席に立たなきゃ、読まれるプレスリリース記事は生まれません。だから「量」の担保が大切なのです。配信したプレスリリース記事の内、50%くらいは1,000PV以下だと思います。
──1本1本のプレスリリースの積み重ねが大切なのですね。ただ、ほかにも業務があるなかで毎月「10本」は、なかなか大変そうですね。
広報担当者は私ひとりなのですが、月10本を配信するのは至難の業です。ですから、無理なく10本を達成するために、いくつか工夫しています。
当初から取り組んでいたのは「最終仕上げの外注」です。私自身、文章を書くのが得意ではありません。そのため、核になる部分は自分で書き、読み物としての体裁に整えるフェーズは、校正のプロにお任せしています。また、全部ひとりで担当するのも大変なので、6本は自分が受け持ち、残りの4本は、事業ごとの責任者などに一任しています。
さらに、最近では上記の「分業&分担」に加えて「Chat GPT」も活用しています。イベント内容や企画をWord上でバーっと書いたあと、プレスリリースらしいストーリーに整え、読みやすくするために使っています。もちろん、一発できれいにはなりませんし、修正が必要な箇所もあります。ファクトチェックは必須という前提ですが、それでも、2時間かかっていた原稿作成時間が15分に短縮できました。書くのが本当に楽になりましたね。
ポイント3.予約配信をできる限り使用しない
田中:気をつけているのが「投稿時間」です。予約配信をできる限り使用せず、原則として「土日・祝日」の、8時22分とか、10時10分とか、キリのよくない時間に配信するようにしています。例えば10時などのジャストタイムに配信すると複数の記事に紛れてしまう可能性が高いため、前後の配信本数が少ないタイミングを見計らって配信するのがポイント。このように工夫することで、長時間新着ページに残る可能性を高めています。
──記事が集中する日時を避けることで、ほかの記事に埋もれないようにしているということでしょうか。
そうですね。やはり平日朝の9時ぴったりなどに配信すると、同時に配信された他社の記事が20個くらい、画面を埋め尽くされることが多いです。こうした状況では埋もれてしまうので、もったいないです。
プレスリリース配信でキー局からの取材が実現
──ユニークなサウナ体験を提供するなかで、2022年10月に「PR TIMES」でプレスリリース配信をスタートしました。きっかけは何だったのでしょうか?
田中:もともと、他社の配信サービスを2~3年ほど使っていましたが、なかなか「メディア取材」には結びつきませんでした。
そうしたなかで、個人的にベンチマークとして発信をチェックし続けている企業がPR TIMESを利用していることを知りました。地域を取り上げた特集ニュースなどでも転載記事をよく見ていたので、乗り換えてみようと思ったのです。
──実際に利用してみて反響はいかがでしたか?
PR TIMESに切り替えてからメディア取材を受ける機会が増えました。私が書いたプレスリリースが、オンラインニュースに転記されたり、プレスリリースがきっかけで、雑誌からの取材を受けたり。
温泉業界の方からは「この前の記事、見たよ」「鬼サウナのキスケさんですよね」などと声をかけられることが増えましたね。県外の方からも「キスケ」の名前を知っていただけるようになってきたので、とても嬉しいです。全国放送のテレビ局から、取材を受けたこともありました。キー局で取り上げられることは、念願の目標だったので、とても嬉しかったです。
予想外の反響が得られたプレスリリース
田中さんに、実際の配信後に手ごたえを感じたプレスリリースについてお聞きしました。
事例1.テレビ局の取材オファーが殺到した「みかんサウナ」の記事
参考:サウナ好きの社員が作ったサウナシリーズ第5弾!愛媛の魅力が詰まった「みかんサウナ」がいよいよ3月4日(土)にオープン【愛媛県・今治市】
田中:テレビ局からの取材申し込みが多かったのは「みかんサウナ」のオープンを告知するプレスリリースです。キー局を含む4社のテレビ局に取り上げられました。加えて、愛媛県内のローカル誌や経済レポート、「愛媛新聞ONLINE」や「ニフティ温泉ニュース」などのWebメディアにも掲載されましたね。
──「みかんサウナ」は、どのようなコンセプトのサウナですか?
今治市にある「しまなみ温泉 喜助の湯」内にオープンしたサウナです。愛媛県西部の「肱川(ひじかわ)」では、朝霧が川を下る「肱川あらし」という現象がみられます。その「肱川あらし」の霧を想起させるミストに、みかんのアロマを含ませた「スチームサウナ」が自慢です。
シンボルツリーである「みかんの木」や、柑橘類を模したオブジェを設置しました。オブジェは、愛媛の伝統工芸品「砥部焼(とべやき)」によるものです。新進気鋭の女性作家さんに制作・プロデュースを依頼しました。
──随所に地元への愛が感じられますね。
高齢化が進む中で、愛媛県では、みかんの耕作放棄地が増えています。そうしたなかで「やっぱりもう一度、愛媛のみかんを」との想いがありました。私自身、みかん農家の出身なので「地域活性化につなげたい」という気持ちが強かったです。
また、プレスリリース後の来館者数は「前年比130%」になりました。コロナが収束した時期と重なるので、プレスリリースだけで得られた成果ではないかもしれません。しかしプレスリリースの配信で「メディア露出」が増えたのは間違いないことです。
事例2.社会活動の記事はケーブルテレビの取材獲得
参考:キスケグループ、「こどもの日」を前に愛媛県上島町の離島の小・中学校の児童・生徒・教職員366名にケーキを寄贈
田中:もう1つは、私たちが行った社会活動を伝えるプレスリリースです。こちらは、ローカルのケーブルテレビ局から取材を受けました。今治市上島町にある4つの島々(生名島・岩城島・弓削島・魚島)の小学校・中学校に通う生徒さんと教職員の方々366名に、カットケーキをプレゼントした取り組みです。普段、なかなかケーキが食べられない離島の子どもたちに「美味しいケーキを食べてもらいたい」という想いから行ったことでした。
地域密着で商売をさせていただくからには、地元の皆さんのお役に立ちたい。それが私たちの想いです。そのため、こういった事業に、継続的に取り組んでいます。ただ、広報PRの観点でいうと「みかんサウナ」ほどの反響は得られていないのが、正直なところです。
PR TIMESで70本以上配信してきた経験上、社会活動を伝える記事は、PV数が伸び悩むことが多いです。PV数が伸びやすいのは、飲食系やサウナ、企業コラボに関連した配信が多い印象です。
──PVにつながらなくても、社会活動に関するプレスリリースを配信するのはなぜでしょうか?
キスケが大事にしている想いを、地域の皆様にお伝えしたいからです。愛媛に愛があり、地元の方々のために活動していても、伝えなきゃ伝わらないですよね。だから、その伝達手段として、プレスリリースを活用しています。
──しっかりと伝えることで、地元の方やファンとの「つながり」や「信頼関係」が深まりそうです。
採用広報の分野でもプラスになります。地道な活動を続けるなかで、少しでも多くの求職者の方が「こういう企業だったら、就職してもいいかな」と思ってもらえたら嬉しいです。私自身、愛媛のために頑張っているキスケが好きです。
今後はさらに「キー局からの取材を増やす」
──今後の「広報PR活動」に関する目標を教えてください。
田中:僕がPR TIMESで投稿を始めたときから、目標にしていることがあります。それは「キー局で取り上げられる機会を増やす」ということです。全国ネットワークのテレビ局で、キスケが、全国的な話題になる機会を増やしていきたいと考えています。この目標は「みかんサウナ」のプレスリリースで実現したので、これからも、同じような実績を増やしていきたいですね。
「キスケって、いつもおもしろいことやっているよね」って言われるのが一番だと思っています。それが、愛媛でアミューズメントを提供するキスケの企業価値の向上にもつながることだと考えています。私たちのミッションは「遊びを通じて、喜びを創り続ける。」ですから。
今回の事例ポイント
プレスリリース配信がもたらす成果を最大限にするため、攻めの姿勢でアグレッシブに配信を続ける田中さん。取材を獲得するためだけではなく、企業活動を次のフェーズへと加速させる可能性を秘めたニュースを、頻繁に発信しています。
- 「SEOキーワード」を複数盛り込んだタイトルにする
- プレスリリースを「月10本」配信する
- 休日の「中途半端な時間」に配信する
ミッション、バリューの実現を目指す軸で発信した情報は、採用、ブランディング、地元のファン育成などにもつながります。メディア取材を引き出すノウハウ、遊び心あふれる企画の数々から、今後も目が離せません。
なおPR TIMES MAGAZINEでは、地域の活性化につなげる広報PRのノウハウや、セミナーレポートなどの記事を公開しています。こちらもぜひ参考にしてみてくださいね。
<PR TIMES MAGAZINE編集部>
PR TIMESのご利用を希望される方は、以下より企業登録申請をお願いいたします。登録申請方法と料金プランをあわせてご確認ください。
PR TIMESの企業登録申請をするPR TIMESをご利用希望の方はこちら企業登録申請をする