PR TIMES MAGAZINEは、広報PR活動に課題を感じている企業・団体向けに、日本全国の地域ごとにサービス導入の成功事例を紹介するインタビューを実施。
本記事では、福岡県に本社を置く株式会社ピエトロの広報室長、松田詩織さんに広報PRの体制や今後の目標などについてお聞きしました。
株式会社ピエトロ(福岡県福岡市):最新のプレスリリースはこちら
※取材内容は2023年7月公開日時点のものです。
株式会社ピエトロ 広報室長
2011年、株式会社ピエトロに新卒入社。社長室や営業企画を経て、15年から広報業務を担当。20年の創業40周年を機に、全社で「ファンベース経営」を進めるにあたり、同年新設の「ファンコミュニケーション室」の立ち上げに参画。2年間、広報室と兼務。22年3月より広報室長に。
始まりは一軒のレストラン
──まず、株式会社ピエトロの歴史について教えてください。
株式会社ピエトロは、福岡市で一軒の小さなパスタレストラン「洋麺屋ピエトロ」から始まりました。スパゲティの茹で時間をお待ちいただく間に出していたサラダにかけていたドレッシングが、ピエトロドレッシングのルーツです。
新鮮な国産たまねぎと、甘みのある九州のしょうゆをベースに、レストランの厨房でシェフが手作りしていたドレッシングです。日本人の味覚になじむ、まろやかな和風テイストが評判となり、「このドレッシングだと家族がサラダをよく食べるので分けてください」と何人ものお客様からリクエストをいただきました。そのご要望にお応えするため、ドレッシングをワインの空き瓶に入れた「おすそわけ」から始まったのです。
株式会社ピエトロの広報PR体制
──広報PR体制について教えてください。
社長直轄の広報室に、現在7名のメンバーが所属しています。2022年まで、広報室はPRチームとWebチームの2チームで構成されていましたが、今年からWebに関しては他部署であるマーケティングデザイン室が主担当となりました。そのためホームページや公式SNSの運用はマーケティングデザイン室が行いますが、広報室も多く関わる部分があるので、密接に連携を取りながら業務を進めています。
──地域に密着した広報PR体制を行う際、どのような体制で動いていますか?
弊社は、「スタートは『お隣さん』、ゴールは『日本中のお客様』 に、ピエトロを好きになってもらおう!」というスローガンのもと、地域ごとの広報PR活動にも力を入れています。社内横断的に広報PRに携わるチームとして「エリア広報ワーキングチーム」があるのも特徴です。
このチームは、全国(主に札幌・首都圏・中部・関西・中四国・九州)のさまざまな部署のメンバー約10名で構成されており、2021年度からスタートしました。メンバーは営業やレストラン店舗などを担当するさまざまな部署に所属しており、多角的視点をもって、自分のいるエリアを中心に新しいメディアを開拓しています。
CMをやめてもファンはついてきてくれた。地道な発信を大切に
──広報PR活動を行う際に大切にしている考え方はありますか?
広報担当者自身が一番のピエトロファンであることはもちろんですが、弊社では「ファンベース」という考えを大切にしています。「ファンベース」とは電通出身のコミュニケーション・ディレクター、佐藤尚之さんが提唱している、ファンを大切にして中長期的に売り上げや事業価値を高めようという考え方のことです。
創業40周年という節目の年でもある2020年の4月から、経営にもこちらの指針を取り入れています。一軒の小さなレストランから始まった会社だからこそ、日頃からピエトロを支えていただいているお客様やピエトロファンの皆様一人ひとりに寄り添い、感謝の気持ちを持って発信活動を行うように心がけています。
──「ファンベース」を意識してから、広報PR活動において変わったことはありますか?
大きく変えた部分では、2020年春に俳優の中村倫也さんを起用した「ピエトロ おうちパスタ」のテレビCMを放映したのを最後に、CMを打たなくなりました。「ファンベース」を意識してから、大規模な広告に予算を投じるやり方を見直したのです。
本当のところ、「テレビCMなしに、今まで通り売れるのだろうか」と思いました。確かに、CMを打っていた時と比べて、売り上げが落ちてしまったことはありました。しかし売り上げの数字を見ると堅調な需要があることが分かり、「おうちパスタ」にしても、ドレッシングにしても、我々の想像以上に根強いファンがいて、変わらずにリピートしてくださることを知りました。
自信というとおこがましいですが、商品の魅力を知っているお客様はずっと買い続けてくださるはず。もちろん情報を広く発信するということも大事なのですが、今はこうした、目の前にいるお客様との信頼関係を大切にしながら、地道にコツコツとPR活動を進めていきたいと考えています。
プレスリリースは戦略的かつ効果的なトピックスを厳選
──プレスリリース配信までの流れを教えてください。
広報室で毎週実施しているMTGにおいて、会社のトピックスを共有し、リリース担当者がその中で戦略的に発信したい内容、発信日などを検討します。その後、広報室メンバーからの意見も踏まえて内容・発信日・リリース作成者を決定し、リリース作成者が構成を考えます。そして広報室長である私がそれを確認し、社長に直接相談するという流れです。広報室は社長直轄の部署なので、社長の高橋とは非常に近い距離で仕事をしているのも特徴のひとつです。
プレスリリースの初稿が完成したら、関係部署に確認を経て、福岡経済記者クラブをはじめ、日頃お世話になっているメディアの方やPR TIMES、その他Webメディアを通してプレスリリースを発信しています。
──プレスリリースにおいて、配信本数のノルマなどは設定していますか?
現在は、配信本数のノルマは設定していません。一時期はネタ集めのため「月に3本」などと決めていましたが、おかげさまで年々発信したいことが増えてきている状況です。そのため、配信本数を目標にするのではなく、会社として発信したい内容を厳選して、いかに効果的に配信するかを考えています。
──PR TIMESでのプレスリリースの配信を導入したきっかけは何ですか。
もともとは福岡に本社を置く企業として、福岡経済記者クラブをはじめ、福岡県内のメディアを中心にニュースリリースを配信。それ以外は、お付き合いのあるメディアに個別にメール送付などをしていました。
2018年9月にマルイファミリー溝口にある店舗で「ピエトロステーション」というイベントを開催したときに、丸井グループ様が「PR TIMES」を利用し、弊社イベントのプレスリリースを配信してくださり、集客につながった事例がありました。これをきっかけに、まだお付き合いのないメディアを含めて幅広く情報を浸透させていく目的で、PR TIMESのプレスリリース配信を導入しました。
配信して効果を実感したプレスリリース
松田さんに、実際の配信後に手ごたえを感じたプレスリリースについてお聞きしました。
PR TIMES専用のサムネイル画像を作成し、見た人にインパクトを与えるプレスリリースを作成
参考:かけるだけで、チリうまっ!「CHILLIES! (チリーズ)」新発売
今までは紙媒体を中心にしてリリースを行っていたので、紙媒体で使用するデータをそのままPR TIMESのプレスリリースに流用していました。しかし、PR TIMESの拡散力の高さを再認識し、より発信に力を入れていこうと考えました。
そこで着目したのが、サムネイルです。他社様のリリース記事などを研究していくなかでサムネイルの重要性に気付き、PR TIMES専用のサムネイル画像の作成を行うようになったのです。印象的な赤色+大きなボトル画像+コピーの画像を入れたところ、そのプレスリリースをきっかけに日経MJから掲載のお声掛けをいただきました。サムネイルがきっかけとは断定できませんが、大型メディアへの取材につながったきっかけのひとつだと思っています。
新工場設立に関するプレスリリースで、ピエトロの未来への期待感を醸成
参考:2025年秋 稼働予定 ピエトロ新製造工場(福岡県古賀市) 計画について
こちらのプレスリリースは8ヵ月間で2022年度の平均PVをはるかに上回り、累計で4200PV以上を獲得。スマホでの閲覧割合が約50%と、店舗や商品情報ではない、IR系のプレスリリースとしては、他のものと比べかなり高い結果となりました。新工場の設立は企業や地域に与える影響も大きく、メディアだけでなく一般のユーザーにも興味を持ってもらえたのではないかと考えています。
新工場の設立は少し先ですが、ピエトロの未来に期待していただくという意味でも影響のあったプレスリリースなのではないかなと感じています。
「ピエトロおじさん」を活用した累計出荷本数3億本突破記念のキャンペーンはSNSで反響
参考:【ついに3億本突破】「ピエトロドレッシング 和風しょうゆ」発売から42年目の記録更新
弊社には「ピエトロおじさん」というキャラクターがいるのですが、2020年12月に創業40周年を迎えるタイミングで、「ピエトロおじさん」を全社で見直す機会がありました。「実はピエトロおじさんのファンは多いのでは……?」という社内の声もあり、積極的に前面に出すようにしたのです。
「ピエトロドレッシング 和風しょうゆ」の累計出荷本数3億本突破を目前に、皆様に感謝の気持ちをお伝えするため、「ピエトロおじさんがあなたの願いを叶える『ありがとうチャレンジ』」という企画を立案しました。合計で3000件以上のご応募をいただくなど、大きな反響を生みました。企画は現在進行中ですが、社内では少し「ピエトロおじさん」の底力を侮っておりまして、お子様を含めて想像以上にピエトロおじさんのファンが多くいることを再認識しましたね。
また、このリリースではピエトロドレッシングのこだわりについても詳しく記載をしました。具体的には、1日あたり約5トンのたまねぎを、ひとつひとつ人の手でカットし品質をチェックしていることや、工場のことを「大きな厨房」と呼び、大型タンクではなくて1つあたり約180本しかつくれない「寸胴鍋」で製造していることなどを写真とともに紹介しました。ピエトロドレッシングのことを詳しく知らない人のためにも、そのようなドレッシング作りの裏側についても積極的に伝えられたリリースとなりました。
今後の広報PRの目標
──今後の広報における目標を教えてください。
いつも応援してくださるお客様やファンの皆様、メディアの方々への感謝の気持ちを常に持ち続けたうえで、ピエトロという企業そのものや、歴史、大切にしていることを発信し、ピエトロファンになっていただきたいと考えています。
ピエトロは、福岡市・天神の一軒のパスタレストランからスタートしました。そこで出していたサラダにかけていたドレッシングがおいしいと評判になり、口コミでお客様に広めていただいたことから、今につながっています。おかげさまで、地元福岡での知名度は高いのですが、全国で見るとまだまだなので、ピエトロをさらに全国へ発信していくことを目標としています。
企業として全国の注目度をさらに上げること、商品だけでなく、経営、人、会社の価値を伝え、全国の皆様に唯一無二のピエトロを知っていただきたいと考えています。日本全国に自発的にPRをしてくれる「ピエトロLOVERS」が多くいる状態を目指しています。
今回の事例ポイント
株式会社ピエトロは広報PR活動に組織的に取り組むことで、効果的な広報PR活動を実施しています。取材を通して、広報室長である松田さんの熱い「ピエトロ愛」を感じることができました。株式会社ピエトロの広報室の施策には、以下のような特徴がありました。
- 「ファンベース」に基づいた広報PR活動
- ピエトロの歴史やストーリーを広くユーザーに発信
- 商品キャラクターを用いたファン参加型企画の実施
地元福岡県だけでなく、全国での知名度アップを目指しているという松田さん。たくさんの魅力的な施策を打ち続ける株式会社ピエトロの広報室の活躍に今後も目が離せません。
PR TIMES MAGAZINEでは、ファンを大切にした広報PR活動やペルソナなどについてもご紹介しています。こちらの記事も参考にしてみてくださいね。
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