RightTouch、東京科学大学とAIを活用した「問い合わせ予測」に関する共同研究を開始
問い合わせ前の顧客課題を先取りする、予測・検知アルゴリズムの開発と、実用化に向けた取り組み
データとAIでカスタマーサポートを変革する株式会社RightTouch(東京都港区、代表取締役 野村 修平/長崎 大都、以下「RightTouch」)は、東京科学大学と共同でAIを活用した「問い合わせ予測」に関する研究を開始しました。この研究では、Web行動データと顧客の声(VoC:Voice Of Customer、以下「VoC」)データを活用し、カスタマーサポート領域におけるAI活用の推進と顧客体験(CX:Customer Experience)の向上を目指します。

■取り組み背景と目的
昨今、カスタマーサポート領域ではAI活用が急速に進んでいます。しかし、その多くは問い合わせ後の対応効率化やFAQの自動生成といった、企業内の業務改善にとどまっており、顧客体験そのものに変化をもたらす取り組みはまだ限られています。
一方で、顧客体験の向上という観点では、問い合わせを行わずに離脱してしまう顧客である「サイレントカスタマー」への対応はカスタマーサポート業界の課題として注目されています。従来は、こうした顧客の存在を把握する手段が乏しく、適切なサポートを提供することが困難でした。サイレントカスタマーの増加は、顧客離れや売上減少、さらには商品・サービス改善の機会損失といった課題を引き起こします。こうした背景からも、彼らの課題をいち早く察知し、支援につなげる仕組みの構築は、業界にとって極めて重要なテーマとなっています。
RightTouchはカスタマーサポート領域に特化したSaaSを提供しており、これまで4つのプロダクトと生成AI機能群をリリースし、顧客体験向上や業務フロー最適化を支援しています。複数のプロダクトにより、VoCや問い合わせ前の顧客Web行動、企業ナレッジなどのデータを一元的に管理・連携し、従来分断されていた顧客接点やワークフローをデータでつなぐことで、これまでカスタマーサポートが抱えていた課題に対し、より深い課題解決や価値創出を実現しています。
今回の研究では、顧客のWeb行動データとVoCデータを統合的に分析し、問い合わせ前の段階で顧客の課題を予測・検知できるアルゴリズムの開発および、実サービス上での有効性の検証を行います。
この研究により問い合わせ前の段階で顧客の課題を予測検知できれば、これまで以上に自己解決を促進し、顧客体験のさらなる向上が期待できます。加えて、これまでサポートが難しかった、サイレントカスタマーの救済にも繋がります。
従来、RightTouchでは、Web行動データをもとに、問い合わせ前の要因分析や、顧客の困りごとに応じた解決策や最適な解決窓口の提案を手動で行ってまいりました。
本研究により、問い合わせ発生前の顧客課題を広範囲に自動で検知できるようになるとともに、それに応じた施策も自動で幅広く展開できるようになります。これにより、顧客の自己解決促進の質とスピードがさらに向上することが期待されます。
■東京科学大学 藤澤研究室と研究を実施する意義と期待
東京科学大学 総合研究院 デジタルツイン研究ユニット 藤澤研究室(藤澤 克樹教授)は、数理・計算科学の最新技術による超スマート社会の実現を目指し、様々な企業と共同研究を実施しています。
藤澤研究室は数理最適化・機械学習を得意とし、今回、カスタマーサポートデータの解析と困りごとに応じた解決策や最適チャネルの自動提案を行っていきたいRightTouchの方針が合致し共同研究を開始することになりました。この連携により、顧客のWeb行動データとVoCを統合的に解析し、FAQクリック率や自己解決率を高めるモデルの研究開発及び社会実装が期待されます。
■共同研究概要
複数プロダクトで得た顧客のWeb行動ログとVoCを統合解析し、問い合わせ前に潜在する「困りごと」を推測して最適な FAQ やサポートチャネルを提示するモデルを構築します。
しかし、ログデータには「実際に提示したFAQへの反応」しか含まれておらず、提示しなかったFAQに対する反応は記録されていません。このような選択バイアスを含むデータに対し、適切なアクションを学習する方法として注目されているのが反実仮想機械学習です。
「別の案内を提示していたらクリック率や自己解決率がどう変わるか」を推定するモデルを学習し、オフラインでその妥当性を検証します。その後、オンラインA/Bテストを実施し、実サービス上でKPIの変化を確認することで、顧客体験を能動的に改善できるサポート基盤の実現を目指します。


■東京科学大学 総合研究院 デジタルツイン研究ユニット 藤澤研究室 藤澤 克樹 教授からのコメント
RightTouch社が保有する豊富な顧客行動・VoCデータと、当研究室の機械学習の知見を組み合わせることで、FAQの提示方法を改善し、顧客が自己解決に至るまでのプロセスを支援できると期待しています。
本研究では「どの案内が、どのような状況で有効か」を明確にし、企業と生活者双方の利便性を高める実践的手法を構築したいと考えています。得られた知見を学術的に発信するとともに、現場で使える形に落とし込み、継続的な改善サイクルに寄与することを目指します。
■共同研究グループ
株式会社RightTouch
取締役CTO 籔 悠一
BizDev 田中 彬寛
AIエンジニア/データサイエンティスト 古賀 淳也
東京科学大学 総合研究院 デジタルツイン研究ユニット / 情報理工学院 数理・計算科学系
教授 藤澤 克樹
研究員 吉田 明広
修士課程 平井 真次郎
学士課程 箱山 颯大
特定准教授 瀋 迅
特任助教 石倉 弘貴
特任助教 山村 圭一郎
修士課程 河野 健
修士課程 淵上 響
修士課程 藤澤 馨彦
学士課程 他1名
■国立大学法人 東京科学大学
東京医科歯科大学と東京工業大学が統合して2024年10月に誕生した国立大学です。「『科学の進歩』と『人々の幸せ』とを探求し、社会とともに新たな価値を創造する」をMission に掲げ、両大学のこれまでの伝統と先進性を生かしながら、どの大学もなしえなかった新しい大学の在り方を創出していきます。
株式会社RightTouchについて
「あらゆる人を負の体験から解放し、可能性を引き出す」をミッションに、カスタマーサポート(CS)領域に特化したエンタープライズ企業向けSaaS事業を展開。生成AIを活用し、CS部門の生産性・顧客体験・従業員体験の向上、プロフィットセンター化を支援するWebサポートプラットフォーム「RightSupport」をはじめ、VoC分析・ボイスボットなど、コンタクトセンター業務を支える4つのプロダクトを提供。金融、通信、小売など大手企業のCS部門に多数導入されています。
株式会社プレイド(東証グロース 4165)からカーブアウトしたスタートアップ。
名称 :株式会社RightTouch
所在地 :東京都港区三田3-2-8 THE PORTAL MITA 5F
代表者 :代表取締役 野村修平/長崎大都
設立日 :2021年10月27日
事業内容:「RightSupport by KARTE」「RightConnect by KARTE」の開発、提供
企業URL:https://righttouch.co.jp/
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