「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」コンテストは、2021年7月31日まで開催中のコンテストです。家族、恩師、友人など、「あの人」への感謝の気持ち、想い出、当時言えなかったこと、亡くなってから伝えたくなったことなどを手紙に綴ったお手紙を募集し、入選した100作品を書籍「今は亡きあの人へ伝えたい言葉8」に収録します。

私たちは、今もなお悲しみを抱える人が、今は亡きあの人やペットに向けて手紙を綴ることや、手紙を収録した書籍を手にすることで、人生を明るく前向きに生き抜くためのサポートができると信じています。

本コンテストは「無縁社会」が話題になった2010年にスタートし、第8回を迎えます。しかし、2016年の第7回から5年間、手紙の募集は行ってきませんでした。

今回、長期間、活動を止めていたプロジェクトをなぜ復活させたのか。

プロジェクトを推進する鎌倉新書、井野貴亮さんに話を聞きました。

このプロジェクトを推進している“井野さん”について教えてください

2015年に、ご遺族に葬儀社を紹介する「いい葬儀」というサイトのwebディレクターとして、鎌倉新書に入社しました。

この時に初めて「今は亡きあの人へ伝えたい言葉（以下、「今は亡き」）」という、大切な故人に宛てたお手紙を募集して、書籍にする、そんな取り組みが世の中にあるということを知りました。

その後、すぐに亡くなった方とのお別れ会をプロデュースする「Story」というサービスを立ち上げることになって、大切な方を失ったご遺族と深く関わることになりました。

もともと私が鎌倉新書に入った理由に、「日本の高齢化社会の課題を解決したい」というのがあったのですが、亡くなった方に対してご遺族が心の中でなかなか区切りがつけられないという姿を目の当たりにして、何かできないかと感じていました。

お手紙とお別れ会、故人への思いをかたちにするというコンセプトは共通していますね

そうですね。

お手紙を書いてくださる方と、お別れ会を開こうという方とでは、大切な方を失い、心の中で区切りをつけたいという思いは同じです。

ただ、タイミングはやや異なります。

時間の経過によって、感情の大きさや現れ方は変化します。

お別れ会を開きたいという方は、大切な方がお亡くなりになられてから時間を空けずに準備を始めることが多いのに対して、「今は亡き」にお手紙をくださる方は、もう少し時間が経ってからという方が多いように感じます。

大切な方と共に過ごした時間と同じくらい、お別れした後の時間も意味があるのではないかなと思っています。

ところで、お手紙の募集を5年間停止していたのはどのような理由があるのでしょうか？

いくつかあるのですが、そのひとつに運営体制があったと思います。

今は亡きはもともと、通常の事業とは異なり、お客様から対価を頂くサービスではありません。

ところが長く続ける間に、運営している側もその辺が曖昧になってしまい、ほかの事業と同じように売り上げや利益といった軸で考えるようになってしまったのではないかと思います。

もちろん、「何も見返りもない慈善事業」では企業は成り立たないでしょうが、利益を求める部分とそうではない部分が、会社全体でメリハリがついていれば良いのではないか。つまり、もっと広い視野で、鎌倉新書全体のプロジェクトに取り組みめれば良いのではないかと思っています。

では、継続できるプロジェクトにするためにはどうすれば良いのでしょう？

今回、「今は亡き」を再スタートさせるにあたっては、スタンスを変える必要があると感じました。

企業の経営には、いくつかの軸があります。

その中で、鎌倉新書について言えば、これまでバランスはとっていたつもりでも、短期的な売り上げを生むことに目を向け過ぎていたということはあったのではないかと思います。

そのことを会長の清水と話す中で、これからの鎌倉新書についても話し合いました。

では中長期の視点でどんな活動ができるか？と考えた時に、中止していた「今は亡き」を再開することを思い至ったのです。

手紙をくださった方や、手紙を収録した書籍を手に取ってくださる方が増えれば、鎌倉新書のビジョンに触れる方も増えるでしょう。

その中で、共感してくださる方が増えれば、鎌倉新書に価値を感じてくださる方も増えるのではないでしょうか。

それが巡り巡って、企業の成長にもつながるのではないか？と。

「今は亡き」を復活するにあたって大変だったことはありますか？

復活フェーズに限って言うと、全く大変なことはなかったです……。

もちろん、今後大きな壁があるかもしれませんが。

通常なら、企画を考えるときには、承認会議や、関係者の説得、人員の募集など、色々大変なのですが、「今は亡き」に関して言えばそうした苦労が一切ありませんでした。

社内のメンバーに「協力してほしい」と相談をしたら二つ返事で受けてくれたり、「この企画をやりたい」と経営陣に訴えたら「どんどんやるべきだ」と、全く反対意見もありませんでした。

非常にレアなケースというか、２月2週目の仕込みから3月の応募開始までここまでスムーズに進むことなんてあるんだろうか？と、自分でも驚いています。

苦労がない？　まるで盛り上がらないインタビューになってしまいました……

確かにそうかもしれませんが、これって逆にすごいことなのではないでしょうか？

通常、何かを始めようとする時には必ず壁にぶち当たるものです。その壁がない。

どうしてこんなにスムーズだったか？ということが重要だと思うんです。

そこでずっと考えた結果、これが鎌倉新書なんだという結論に達しました。

好き勝手なことをして良いというわけでは決してないのですが、何というか、世の中にとって「大切なこと」と判断できたら、いろいろなことを後押ししてくれるんですね。

そういう会社なんだなと。

新しい「今は亡き」はこれまでのものとどの辺が違うのでしょうか？

これまでは、趣旨に賛同してくださる業界事業者様のお力を借りつつお手紙を募集してきました。

でも言い換えれば、頼り切ってしまった部分があった。

もちろん、業界事業者様からもぜひ、ご遺族にご案内していただきたいです。

けれど、甘えてしまうようなことにはならないように。

私たち自身が、積極的に多くの方に呼びかけていきます。

次に、審査員の方々です。

今回は上智大学生命倫理研究所所長の浅見昇吾教授、そして作家・エッセイストの岸本葉子さんに審査員をお願いしました。

また、募集期間も延ばしています。

これまでは3カ月間の募集でしたが、今回は3月から7月までの5カ月間に期間を伸ばしています。

このような手紙は書こうと決意して書く方もいらっしゃれば、お彼岸、母の日、父の日、お盆などの「家族について考えるイベント」を経て、きっかけを得る方もいらっしゃると思いました。

少しでも多くの方の意識に上ってほしいと思っています。

審査期間も考慮する必要がありますが今後、通年募集もあるかもしれません。

そしてもうひとつ、命の現場で働く方々からのお手紙を選ぶ、今回は特別賞もご用意しました。

医療や介護などの現場で働く方々、ご葬儀のお仕事に従事している方々、そのほかいろいろな職業があると思います。

特定の業種のお仕事をされている方というのではなく、お仕事として命に深く関わっている方のお手紙の中から、1通選ばせていただきます。

今回はペットへの手紙も募集していますね

実は以前からもペットに向けたお手紙をお送りいただく方はいらっしゃいましたので、お声を受けて改めて募集することにしました。

ペットとの死別も、喪失体験としてはご本人にとっては相当にお辛いことです。

人ではないからダメですという理由はないと思います。ペットも家族ですから。

ここまで大きく違うのに、あえて「第8回」とし、継続しているのはどうしてでしょう？新しいプロジェクトとして進める方法もあったのではないでしょうか？

名前を変えようという選択肢は、私にはありませんでした。

先ほどの、企画が思いのほかスムーズに進んだという話とも共通するのですが、「今は亡き」というのは、鎌倉新書の根幹をなすものが、かたちになったプロジェクトなのだと思います。

内容を刷新しても、これまでの歴史があってこそのプロジェクトです。

最後に、この記事をご覧になった方へのメッセージをお願いします

これまでの「今は亡き」もそうでしたが、お送りいただいたお手紙は、すべて拝読させていただきます。

大切な方を失った思い。感謝の気持ちや楽しかった思い出、謝りたい気持ち、淋しさ、気持ちの整理がつかないもやもやなどを送ってください。

その手紙は、本当に故人に届くと、私たちは信じています。

一通でも多くのお手紙をお待ちしています。

ありがとうございました。

＜応募概要＞

募集テーマ

「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」を募集します。家族、恩師、友人など、「あの人」への感謝の気持ち、想い出、当時言えなかったこと、亡くなってから伝えたくなったことなどを手紙に綴ってください。入選した100作品は、書籍「今は亡きあの人へ伝えたい言葉8」に収録されます。

応募期間

2021年3月1日（月）〜7月31日（土）※当日消印有効

入賞発表

2021年9月頃を予定しています。発表は鎌倉新書のホームページで行います。

賞品

応募作品の中から、以下　金、銀、銅、特別賞、佳作の100作品を選出します。

・金賞　　賞状および賞金　10 万円（1名様）

・銀賞　　賞状および賞金 　 3 万円（2名様）

・銅賞　　賞状および賞金 　 1 万円（5名様）

・特別賞　賞状および賞金 　 5 万円（1名様）※

・佳作 　 Amazonギフト券　1,000円分

※第8回より、いのちに寄り添う仕事をされている方からの手紙から「特別賞」を1名選出します。

選考委員

・上智大学 生命倫理研究所 生命倫理研究所所長 外国語学部ドイツ語学科長：浅見 昇吾 氏

・作家 エッセイスト：岸本 葉子 氏

・株式会社鎌倉新書 代表取締役会長CEO：清水 祐孝

応募規定

(1) 文字数：400文字以上1,000文字程度

(2) 応募方法：応募フォームへの入力やテキストファイルの添付または郵送

応募先

Webでご応募の場合：https://e-seizen.com/letter

郵送でご応募の場合　：104-0031 東京都中央区京橋２丁目14-1 兼松ビルディング3階

株式会社鎌倉新書「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」実行委員会 宛

その他、応募概要をご確認ください。　応募概要：https://e-seizen.com/letter