はじめまして。

この記事はわたし、株式会社くうる代表取締役 武智勝哉が、会社・プロダクトに込めた想いを発信するとともに、未来を一緒に創っていける挑戦者・仲間を募集するために執筆したものです。

ぜひご覧ください。

「ともに悩もう、ともに歩もう。」

そんな素敵なスローガンを掲げたオンラインコミュニティが解散してから、1年が経とうとしています。

株式会社CAMPFIREのCEO 家入一真氏の発案・呼びかけによって発足されたコミュニティは、決してカリスマを称えるためのコミュニティではなく、「悩みをシェアし、一緒に解決もしくは耐えるための居場所」として非常にユニークな、言わば社会人向けのセーフティネットでした。

いまでも「ともに悩もう、ともに歩もう。」の精神はぼくに根付いています。

さて、今回われわれがリリースした"あなたのためのお坊さんアプリ

「Sion（しおん）」"ですが、実はこの寺子屋いえいりがきっかけで生まれたサービスでもあります。

弱いまま生きて何が悪い

とあるイベントでした。

そのときはたまたまわたしがイベントの企画をした会で、テーマは「みんなで悩みをシェアしおうぜ」というもの。

日頃の悩みを各々がmiro（付箋ツール）に書き出し共有するというグループワークから、みんなでどうしたら「ともに歩めるんだろう？」というディスカッションを行い、イベントは非常に好評で終わりました。

最後に参加者に感想を聴いていくと、「今まで誰にも話したことない悩みが言えた」「こういうワークがしたかった！」という声が多い中で、

「最近は"強くなれ"とか"強くないとダメだ"とかって風潮ばかりで息が詰まっている。」

「たとえ派遣で働いていたって、いまの自分が幸せだと思っているのになんで変化を強制されるのかわからない。しんどい。」

という感想というか心の叫びをもらいました。

正直、目から鱗で、こんな言葉それまで聞いたことがなかった。

たしかにぼく自身、そのころにはもう肩書きを名乗るような風潮に嫌気が差して名前以外の自己紹介をしないとか、「強い俺すげえでしょ？」みたいなアピール合戦が嫌だなって感じていたので、この言葉が真っ直ぐぶっ刺さりました。

そこで突然、

「悩みを吐くことができて、弱いことを咎められない居場所」を創りたい！という気持ちになったんです。

"変毒為薬"＝人々が感じる毒を集めて薬（サービス）を創り出すこと、をミッションとした株式会社くうるだからこそやらないといけない事業だと。

会社とミッションに込めた想い

「変毒為薬」は一部の宗派で仏教用語として使われていますが、株式会社くうるでは独自の解釈で「人々が感じる不安や悩み（毒）を知り、その予防や解決のためのサービス（薬）を創ること」を社のミッションとして掲げています。

これは、ひとえに武智勝哉個人がこれから何を為して生きたいかを考えたときに、「大切な人が"死にたい"と思ったときに力になれるサービスを創り続けたい」という想いがあり、その決意として会社に想いを込めたものです。

ちなみに「くうる」という社名は、仏教用語の「空（くう）」と商売の「売る」を掛け合わせた言葉で、「絶対的な価値を持つものなんてこの世にはない。だからぼくたちは何かを売りつけることはしない」という決意と、「相対的に無価値なものも存在しない。だからぼくたちは事業の提供によって生まれる個人の感情や他者との関係の動きを重視し、そこでしっかりと稼いで循環させていく。」という理念を込めています。

（空と売るを表現したロゴデザイン、カラの球体に破れた紙幣が舞っている）

ちなみに多くの仏教用語を用いており、お坊さんの事業を興していますが、武智個人はよくいる日本人の多宗教・無宗教派であり、特定の宗教を信仰・布教したい意思は一切持ち合わせていません。

目に見えて衰退していく仏教界の課題と、その負の遺産を未来の子どもたちに残したくないという想い、また死に対する免疫を学ぶことができない現代日本においてお寺やお坊さんが社会に与えられる価値はもっとあると信じているので、あくまで株式会社、利益を生む事業という形で仏教界と関わり挑戦を続けています。

なぜお寺や仏教なのか？をより知りたい方は創業の直前に執筆したnoteがございますので、ぜひご覧ください。

残念なことに、作るチカラがなかった

さて、話はSionの開発経緯へと戻ります。

前述のイベントが終わったあと、渋谷からの帰路で乗り込んだ電車の中ですぐ事業の構想を練り始めました。それから、ほぼほぼの座組みが完成したのが2019年の夏。これならいける。プロトタイプを持って投資家を廻ろう。

このときの構想は今のSionと「なんでも吐き出せる」という思想は同じものの、「お坊さんからコメントが届く」という仕様はなくお寺やお坊さんは一切登場しないものでした。

ただ、残念ながらその頃の自分には、サービスを生み出すためのスキルも、サービスを作ってもらうための資金も、お願いできる仲間もいなかった......

(TOMOSHIBIで仲間を集め、CAMPFIREでクラファンに挑戦しようとしていた)

今思えばまだまだ方法はあったんだろうと思いますが、その頃のぼくは「いつか絶対やってやろう」と寝かしてしまいました......。

本当に悔しかった。そんな起業家いねえだろうと。

何がいつかやるだ、「やったらええやん」を座右の銘に掲げる奴が聞いて呆れる。

（その頃のぼくはやりたいと思うことはすぐやろうぜと誰にでも言っちゃう奴でした、いまでもそうですが笑）

正直、ここで一度"「起業家」武智勝哉"はぽっきりと折れました。

未知のウイルスが言い訳もできない世界を創りだした

それから少し経って2020年の春、新型コロナウイルスの大流行により世界は大きく変化しました。

われわれもご多分に漏れず、それまで安定して契約していた仕事もなくなり、新たに大きな挑戦をするにはあまりにも厳しい現実が、そこにはありました。

それでもなんとか足掻こうと思ったとき、ふと家入さんがよく言っている「手紙を書くようにサービスを創ろう」を思い出し、「身近な誰かのためのサービスを創ろう！」と生まれたのが、地方の飲食店と住人を助けるための「全国共通テイクアウトマッププロジェクト」です。

少し前から盛り上がっているノーコードという手段を使って、技術者もいないような田舎に対して、安価（というかタダ）で迅速にマッピングアプリを作り、少しでも飲食店のテイクアウト情報を住人の方々に届けて楽しんでもらうことを目的としたプロジェクトで、新潟県の弥彦村と鹿児島県は種子島にある中種子町の2つでアプリを立ち上げました。

（ホントはもっと全国に展開したかった...力及ばず...無念......）

新潟県弥彦村は、以前から交流のあったお坊さんが勤めているお寺があることから、地域のために何かできないかと言う話になり、地元の役場や観光協会を巻き込んで飲食店情報を集めたテイクアウトマップアプリを作成しました。コロナが落ち着いていた9月末には観光アプリとなり、地元の協力を得て今も少しずつ進化しています。

鹿児島県の中種子町は、前職時代にインターンで来ていた子が、のちに結婚し夫婦で地域おこし協力隊としてコロナ禍真っ只中で就任したことを知り、Facebookで連絡を取ったところからアプリ開発が進みました。

この2拠点については、引き続き継続的な支援ができるように関わっていきたいと考えています。

あれ、作れた......!?

このテイクアウトマップはGlideというツールで作ったWEBアプリで、開発者はわたし1人でした。こちらはExcelシートにデータをまとめたものを表示するというだけの非常に簡単アプリなのですが、作れてしまった。

そこでふと気づいたんです。

あれ？これ作りたかったサービスも作れる世の中なんじゃね？

そこからすぐ、多数あるノーコードツールを一通りインプットし、スマホアプリとしてストアに申請することができる「Adalo」というツールに出会いました。

ちょうどそんなときに、とあるお坊さんたちと「仏教を気軽に学んでもらうためのアプリを作ろう」みたいな話が上がってきていて、1人でも作れちゃうから無料で作ってもいいよという話を始めていたんです。せっかくなんで練習がてらAdaloで作ってみようと。

すると、あれよあれよと「お坊さんが悩みに答えるアプリが作りたい」という方向に話が進んでいきました。ぼくがずっと創りたかったサービスとお坊さんが関わるか否かという違いはあれども、さすがに競合サービスを自らしかもタダで創り出すわけにはいかないので、だったら一緒にやろうとなり、Sionの原型が生まれました。2020年の9月の中旬のことです。

ずっと創りたかったサービスをすぐ形にして見てもらい、彼らがお坊さんとして提供したいサービスと世界を合わせていく、という形で開発は進み、いまのSionの7割くらいが出来上がったのが10月の終わり。ここまでの開発作業は実質1週間も掛かりませんでした。ノーコード凄すぎる...作れちゃったよ......

ベースが出来上がって最初のお坊さんの募集を開始したのが10月30日。お坊さんたちが集まって最初の会議を行ったのが11月14日でした。

そして意見を出し合って創りたい世界観を統一し、アプリがリリースされたのが先日の12月8日。成道会（じょうどうえ）という、お釈迦様（ブッダ）が悟りを開いたとされる仏教界で縁起の良い日にちにリリースしました。

"予定通りリリースできる"のが当たり前じゃない！

0から10までアプリストアへの申請を行うのは人生初。

少しASOのためのストア掲載情報や、スクリーンショットのクリエイティブ作成に自分以外の力を借りたものの、95%は独力。なんかできてる気がするけどものすごい不安、でも申請してみよう。

そう決意して製品版の申請を初めて上げたのがなんとリリースの4日前、12月4日（金）のことでした。

いや、次の日も次の日も休みやん、、んで明けても目標の8日まで1日しか余裕ないよ......Appleさま、Googleさまどうか1回で通してください.........

翌5日、なんとGoogleから「配信OK」の連絡が！！！！！！！！！

（土日休むと思ってました、マジで神！！）

喜んではいられません。実は申請を出した当日にAppleからはすでに連絡が。

「ユーザーが投稿者をブロックする機能がありません、申請は却下」

おおおおおおおお、そんなのどこに書いてたんですか............

でもお上が言うことには逆らえない、よし、やりましょ。

と、15分で投稿の非表示機能を追加して再申請。

これでいけるんじゃない？ノーコードほんとにすごい！！

次の日、

「ユーザーが投稿者をブロックする機能がありません、申請は却下」

ええええええええ、追加したじゃないですか...............

よくよく読んでみると、「特定のユーザーの投稿全てが非表示にできるようにブロック機能を追加してください」とのこと。

なるほど。やりましょう。

と、30分で投稿者をブロックできる機能を追加して再申請。

もう大丈夫でしょ。やっぱノーコード最高。ギリギリ間に合うかも。

次の日（12月6日）、

「ユーザーが投稿者をブロックする機能がありません、申請は却下」

うううううううう、どういうことですか..................

............そういうことですよね、実はわかってますよ。

「お坊さんをブロックできる機能」が必要なんですよね、やらなくて済むならやりたくなかったんです、心折れました、一日待ってください。（誰に許可取ろうと思ったのか笑）

次の日（12月7日）、

よし、やりましょう......！！

と、また30分ほどかけてお坊さんをブロックできる機能を追加して再申請。

最後の希望だ、Appleさま1日でレビューしてくれるだけでも本当に大好きです。今度こそ通してください。

次の日、、

になる直前23時52分、

キタァァァァァァァアアアアアアアアアア！

独りガッツポーズをして、メンバーSlackに喜びのメッセージを書き込み、寝室に行ってぐっすり寝ているカミさんと息子に向かって「やったー！」と消音で叫びました（笑）

そして無事、予定していた12月8日にリリースを行うことができました。

独りでできるもん、でも一緒の方がもっといい

今回の事業の立ち上げを通して発信したいのは2つ。

「やれば独りでもできる」と「やっぱり仲間と一緒の方が強い」ということ。

事業企画・デザイン・アプリ開発・テスト・マーケティング・金策、と多岐に渡り自分のチカラでなんとかできました。しかもほとんどお金掛かってません。だからきっと「仲間がいない」「スキルがない」「お金がない」とか言ってる暇あったら独りでもできるはずです。やりましょう！

でもやっぱり意見をくれるお坊さんたちがいたからこそ、良い機能ができたし良いデザインになったし良いメッセージが出来上がったと思ってます。それにこれから発展させるためにはまだまだ多くの力が必要だと痛感しています。なので、やっぱり仲間と一緒にやった方が楽しいし、良いもの創れるよ！

と、いうことで株式会社くうるおよびSionは仲間を募集していきます。お坊さんは随時募集しておりますが、弊社にジョインしてもらいたい具体的なポジションは以下の通りです。

・COO候補（実務面を安心して任せられるゼネラリスト！！！）

・CTO候補（技術選定からすべて任せられる人！！）

・CFO候補（金策一緒にやってもらえる人！！！）

・Noコーダー（現状のSionのメンテ及び機能追加を行ってくれる人！）

・Yesコーダー（Sionを進化させるためにノーコードから移行してくれる人！！）

・マーケター（本当に必要なユーザーさんへSionを届けてくれる人！）

・学生インターン（Sionに共感していて武智直下で学びたい人！）

※！の多さが緊急度と重要度を表しています（笑）

興味を持っていただいた方はぜひどんな方法でも構わないので武智までご連絡ください。

ちなみに年末にこんなイベントを行う予定です。話を聴いてみたい方はぜひご参加ください。

最後に

やっとスタートラインに立てました。まだまだ何も為せてないし、足りないことだらけです。でももうやっていくしかない。本気で挑戦します、しています。

Sionのロゴデザインでは、"n"が横幅の真ん中に来るようにデザインしています。これで、あなた"u"（nの反転）がスマホの向こう側にいることをぼくたちもお坊さんたちもいつも意識していて、一人ひとりと向き合っていきたいという想いを込めたものです。

ぜひ、Sionが当たり前に普及した世界を想像してください。

既存のSNSでは「強いイメージ」を崩せなくて吐き出せない言葉達がSionには集まってきます。

吐き出した言葉はきっと心を軽くします。

吐き出した先にはお坊さんたちが待っていて聴いてくれます。

あなたの大切な人がずっと吐き出せなくて困っている、ストレスを抱えている言葉をもしかしたらあなたは聴けないかもしれない。あなたには弱い自分を見せたくないから。

でも、Sionなら聴くことができる。

吐き出せなかった言葉を吐くことができる。

そんな世界を目指したい。

だから応援してください。

厳しく見守ってください。

ちょっと弱くなりそうなときに覗いてください。

あなたとあなたの大切な人の心を守るために、ぼくらは全力で挑戦を続けます。