自分たちの原体験から「副業・転職マッチング」を切り口にサービススタート。overflow創業者3人にOffersの立ち上げを開発秘話をインタビュー

#開発秘話

2020年12月25日 12時00分 株式会社overflow

株式会社overflowは副業・複業マッチングサービスOffersを提供しているスタートアップです。このOffers開発に至るまでの歴史を、鈴木 裕斗(代表取締役 CEO)、田中 慎(代表取締役 CPO)、大谷 旅人(共同創業者 CTO)にインタビューしてきました。

ー「時間をふやす」を会社のビジョンにしていますが、そのビジョンができた背景とその意図について教えてください。

鈴木「時間をふやす」というキーワードは、創業最初におこなった合宿で出てきました。

僕と田中の間で、そのキーワードはそれ以前にも何度も出てきていましたね。どういう事業をやるかを考えたときに、僕と田中の2人は「効率志向が強い」というのがあることに気がつきました。

世の中の無駄なことって沢山あるよね、という話から「パーソナルプラットフォーム」というキーワードにつながりました。

田中個人的な原体験としては、住民票を取りに市役所に並んでいるときに、簡単な手続きに相当時間がかかるし、人件費がかかっているのはわかるのですが、発行だけでなんで300円もとられるのかなと。

個人が照合できれば、あらゆる場所で簡単かつ低コストで発行できるはずなのに、あらゆる面でデータ連携とインターフェースの準備をして効率化できていないからこういった問題が起きているわけですよね。

僕らみたいな民間企業がどんどんサービスを生み出して、APIを公開すればいいんだと考えていました。

パーソナルプラットフォームを作れば、ある程度の課題が解決できるんじゃないかというのは、実現したいこととして僕は思い続けていました。

一つのIDで水平展開できる、いろんなプロダクトをガンガン作っていこうと思って「overflow」という名前を僕が提案しました。

ー日常での不満や無駄と感じる体験から、世の中の無駄な時間をなくしたいという発想につながったんですね!

田中事業を決める上で判断軸にしたのは、長期的に自分たちの興味がある分野というか、「一生考えられる課題」としました。会社を作るので、大きな長期課題に向き合おうと考えました。

それで僕らは色々な非効率を解決することで、「お金持ち=時間持ち」になるんじゃないか、という発想に至りました。お金の課題を解決することで時間を作れるよねという考え方から更に抽象度を上げていったら、「時間をふやす」じゃないか、というところに辿り着いて! 色々なアイデアが出ましたが、そこが結論になりました。

鈴木「時間をふやす」は、色々な解釈を含めるのがよいと思っています。

効率化することでこれまでなかった「余剰時間」を増やして、大切な人や場所で過ごすのもそうですし、これまでになかった「新しい体験の時間」を増やすということにも、チャレンジしていきたいと思っています。

幸せの定義は人それぞれにあるんですが、大きく三つぐらいの階層に分かれているのではないかと思っていて。最初は「お金」の問題が来て、次に「時間」。さらにその上に、各々が思う幸せな自己実現の形があるという仮説を持っています。

だから最初に解決しなきゃいけない、かつ解決しやすいのは「お金の問題」であって、お金から時間ときて、最終的に本当の幸せってなんだろうと見つめる余裕を持つ。だから、事業においても「幸せにならないな」と思うことはやりたくはない。

あとは、役割分担としてマネタイズもあるんですが、自分は本当にその辺りに興味が持てないので、田中にお願いできて助かっています笑

田中稼ぐというか、僕は数字が上がっていくプロセスが好きなんです。こうしたらもっと効率的になるんじゃないかとか、稼ぐということは裏側にある仕組みを考えたりすること。

鈴木そうだね、数字が上がっていくプロセスが2人とも好きだね。意味がある数字はすごい楽しい。

ー お2人が決めた「時間をふやす」というミッションを、大谷さんはどう見ていますか?

大谷2人がやろうとしていることはアグリーで、僕の役割は、いかに早く作れるかという縁の下の力持ちのポジションで、2人を支えていきたいなと。

プログラムでできることは最適化問題で、最適化が進むことで、「時間をふやす」ことにつながればいいかなと思っています。

ーお金や時間って、定義が広いですね。どこに焦点をあてるかが難しいと思いますが、どうやって決めているのですか?

田中マーケットと、自分たちが当事者意識を持てる課題かどうかですね。

起業して1年目のときは、自分で手を動かしたり、色々なサービスを立ち上げたりしていたので、副業でエンジニアの方にお願いしてやっていました。「自分らが解決したい課題」から始めていたのが多かったです。

その延長のOffers。小さいサービスは、局所的な課題を早く解決してサービスにしていこうと思っていたんですが、会社の目標を最初に立てたとき、最低でも時価総額1000億円を目指したいよねっていうのがみんなで決めたこと。

それに対して、当事者意識を持てる大きな課題を解決しないといけないなという思いを掛け算して、自分たちが考え、設定したテーマが「人材・働き方(副業・転職)」や「採用」でした。

ー「時間をふやす」というミッションに対してさまざまなアプローチがあると思いますが、なぜ副業という切り口で事業を立ち上げたのですか?

田中大きく分けて三つあります。

一つ目は、スタートアップやベンチャー企業の「エンジニア・デザイナーの人材獲得」に課題を感じていたこと

二つ目は、「エンジニア・デザイナーの評価制度の難しさ」を感じていたこと

三つ目は、「働き方の多様化」が加速していること

です。

スタートアップや企業のエンジニア・デザイナーの人材獲得に課題を感じていたこと

当社のようなスタートアップだと、どうしても資本が限られてしまうので、求人媒体への出稿も限られてきます。

現在もクライアントのコンサルティングやマーケティング事業を行なっていますが、当時はそれでもかなりお金を切り詰めて、少しずつ進めるしかなかった。

僕自身も開発者として手を動かすのですが、自分だけで全部を回そうとすると、経営や全体を考えながら進もうとするためにアウトプットの質が下がってきているのを感じていました。

質の高いプロダクトをリリースするならマネジメント側に回り、適切な人に依頼していかないと事業のスピード感が出ないと痛感していました。

幸いなことに、創業メンバーがこれまで仕事関わったことのある方々に副業でお手伝いしていただいたことで、現在行っている事業が回り始めた感覚がありました。

なので、「企業側の採用を効率化したい」「近しいかつ優秀な人に最短でアクセスしたい」をもっと汎用的に実現することを考えていました。

また、これは東京都内・首都圏だけの話ではありません。地方ではより人材獲得が難しい状態にあります。人口減少とともにさまざまな対応がされていますが、副業人材を活用した経営がより大事になると考えています。

「エンジニア・デザイナーの評価制度の難しさ」を感じていたこと

これまでのキャリアで規模の異なる会社でエンジニアやデザイナーとして勤めていました。

エンジニア・デザイナーの評価制度は難しく、どれだけスキルセットを細分化して評価制度をつくっても、人によって差が生まれることもありますし、360度評価で割れることも。

例えば、大ヒットしたとあるゲームの事業部にいる人が、同じレベルのスキルセットを持った他の事業部の人より給与が高い、ということがあります。

仕方のないことでありますが、そのような違いが分かるとモチベーションは下がります。企業としては成果を出している事業部とそうでない事業部を同じ評価にするのは中々難しい判断です。

正社員が多ければ多いほど人件費が上がってしまうので、評価制度を柔軟に変えることは難しくなります。

それゆえに「モチベーションが下がった、もしくは自分の能力を持て余してる、もっとプレイヤー部分での貢献を評価してほしい」などさまざまな要望が上がってきます。

このようなことを間近で見てきたので、エンジニアやデザイナーのために多様な働き方にマッチした受け口を準備しなければいけない、ということに気づき、「少し(副業)でも力を借りたい企業とマッチングさせるサービスが良いのでは?」と考えました。

「働き方の多様化」が加速していること

クリエイターにとって、もっと滑らかに働き方を選択できるプロダクトをつくりたいと思っています。

私たちもクラウドソーシングサービスを利用して、多くの人に仕事を依頼させていただいています。

しかし、僕らの周りの大手IT企業のエンジニア・デザイナーのメンバーは、このようなサービスをアクティブに活用していませんでした。

どのサービスも、副業に特化した受発注の流れがスムーズになっていないことや、発注者側に求められる知識やリテラシーに大きく依存することが原因なのではないだろうか、ということに気がつきました。

そこで、「エンジニア・デザイナーの副業・複業」に特化したUX・事業を突き詰めようと決めました。

鈴木最初は、副業のプロセス管理に関するサービスをつくって、実際にヒアリングしていきました。一定のニーズはあることが分かりましたが、大きな課題を解決しているイメージがわきづらく……。.

田中そこでヒアリング内容を整理していったら、今の段階では副業のマッチングを増やすことが重要で、その次にプロジェクト管理が必要になってくると気がつきました。今ではいくつかのフェーズに分けて、プロダクトを開発していくことにしています。

 

ーOffers Magazineは2018年12月に先行してリリースしたわけですが、Offersに先駆けてつくられたのはなぜですか?

「Offers Magazine」:働き方の多様性を発信しているwebマガジン

田中市場・副業人材を活用する企業への啓蒙のためです。Progateやドットインストール、TECH::CAMP、DMM webcamp、SHEなどのプログラミング教室や、デザインのスクールなども増えていますが、エンジニア・デザイナーの人手不足・人材不足はまだまだ改善の余地があると考えています。

就職や転職まではいかなくても、副業や業務委託でもいいからエンジニアやデザイナーが欲しいという会社も多くなってきていますが、受け入れ側のディレクション能力によって左右されているのが現状です。

フリーランスのように週2〜3日という働き方ではなく、週何時間という単位で細かくお願いしていくことで、うまく事業をされているスヴェンソンスポーツマーケティングさんなどの会社もあリます。

引用:

はい。現在、当社では10人の副業やフリーランスの方に関わっていただいています。

出典:https://offers.jp/media/313

しかし、副業エンジニア・デザイナーに仕事を依頼するときのコミュニケーションや契約形態、給与形態や使用するツール、仕事の割り振り方、管理の仕方など分からない部分が多い。

実際、色々ヒアリングを進めてみると、そのあたりの情報が少なく困っている企業も多かったんですよね。

弊社を手伝ってくれているエンジニアに聞いてみると、

「窓口である担当者がプロダクトの説明をする際に中々説明が通らず、先方のエンジニアとの伝書鳩的にコミュニケーションを取ることが面倒だと感じるようになってしまって」

「最初に提示された金額があまりにも低くて驚いた」

と、副業におけるコミュニケーション・契約・タスクでの金額の相場観が分かっていないなど、企業側の課題を打ち明けてくれました。

副業を受け入れる側の企業と、副業の働き手の両方に発信・啓蒙をしていきたいなと思っています。

税金などお金の面のサポートも含めて、網羅的にまとまった情報が無いと、副業は広がらない。

Offers」は、ハイレベルな人材が、副業として会社の外でも動きやすい土壌をつくるためのプロダクトでもあります。

そのために僕らが「Offers Magazine」でも発信していきたいなと。

overflowでは、隔月に一回「副業・フリーランスの方のための税金・保険・節税」などをテーマにしたセミナーを仲の良いファイナンシャルプランナーの方にお願いしており、単純に副業マッチングをするための場の提供ではなく、会社運営そのものから副業にやさしい環境づくりを目指しています