在宅勤務はIT業界にとって新しいことではありません。IT業務のかなりの部分でオンラインツールが使われ、リモートで作業が行われています。

しかし、コロナウイルスの影響により、誰もがほとんど無力になりました。ロックダウンにより、企業はほぼすべての従業員に在宅勤務の手配を強いられました。

現代では、通常の在宅勤務の人数を管理することは、さほど問題にならないでしょう。しかし、従業員のほぼ100％を在宅勤務とすることは、間違いなく難題と言えるでしょう。 中でもITチームは、在宅勤務承認のための管理者への確認から、インフラストラクチャの手配、その他の多くの技術的な複雑な事項まで、いくつかの課題を解決する必要があります。

東京に本社、インドに支社を持ち、世界をリードするIT・ローカライゼーション・翻訳企業の1つであるフィデル・テクノロジーズも、他の企業同様に、これらの課題に取り組む必要がありました。準備期間が短く、困難なタスクではありましたが、ITサポートチームのおかげで、コロナ禍でもフィデルはおそらく最短で在宅勤務への移行を成功させることが出来ました。

ビジネス継続性に対する会社のアプローチと、ごく短時間でシームレスな在宅勤務環境を築いたITチームの取り組みについてご紹介いたします。

フィデル・テクノロジーズのCEOであるスニル・クルカルニも、この移行を可能にするために絶え間なく取り組んだ彼のITチームの努力を称賛しています。そして、このストーリーを共有することで、この逆境に立ち向かっている他の企業がリスクを軽減してパンデミックによるビジネスへの影響を最小限に抑え、この在宅勤務への移行という困難なタスクを成功させるインスピレーションとなることを願っています。

ここからは、フィデルのIT部門のマネージャーの1人へのインタビューを行い、質疑応答形式で今回の移行についてお話しします。経営陣、マネージャー自身のサポートチーム、管理者、そしてこの困難に取り組んだフィデルの社員の経験を共有してもらいました。

１．コロナウイルスの状況に対抗する－システムを在宅勤務形式に移行するように経営陣から合図を受け取ったとき、どのくらいの準備期間がありましたか？

当時の状況を考えると、従業員、ITインフラストラクチャ、コンプライアンスの部分などの要素も考慮すると、実際にはあまり時間がなかったと思います。経営陣から在宅勤務の取り決めについて私たちに連絡があったのは、ロックダウンの約3日前でした。当初、在宅勤務への移行はほとんど不可能な作業だと思われましたが、その後全員で計画し、すぐに取り組み始めました。

2．在宅勤務のネットワークの準備をしている際はどのような課題がありましたか？また、どのように準備して克服しましたか？

課題はたくさんありました。そして、それらに対する計画と準備が必要でした。プロジェクトを遅らせることはビジネスのコストを増加させてしまう可能性があり、課題について批判しているヒマはありませんでした。私は、すべての状況で、また将来的に遭遇するかもしれないすべての問題を克服することに集中しました。

最初の、そして最も重要な課題の1つは、VPNセットアップを作成し、サーバーにリモートでアクセスする方法について社員に指導することでした。対応したチームは、リモートアクセスの許可、一時ファイルの削除、ウイルス対策の更新の確認など、技術者以外の社員をトレーニングする必要がありました。

もう1つの課題は、ネットワークベースのライセンスの管理でした。 SSL VPNを介してライセンスをアクティブ化するプロセスについて対応チームを指導する必要がありました。そして、チームは問題なく包括的にその業務を成功させてくれました。

3.在宅勤務への移行－3日間しか残されていなかった状況で、どのようなアプローチを取りましたか。また、その必要性についてプロジェクトチームにどのように認識を広めましたか。

アプローチはポイントを絞り、結果重視でなければなりませんでした。そのため、私たちの移行計画は組織のさまざまな部門にわたって包括的かつ効果的でなければなりませんでした。

移行計画、在宅業務の方針、および設定について説明するために、それぞれのプロジェクトマネージャーとSkypeや電話で話をしました。さらに、プロジェクトマネージャーを通じて他のチームメンバーにそれらのメッセージが確実に伝わっていることを確認する必要もありました。

さらに、在宅勤務移行の全体を通じてシームレスな運用を確保するために、ITサポートチームのシフト時間を計画する必要がありました。24時間体制のITサポートを促進し、技術的な問題が会社の生産性とプロジェクトを妨げないようにしました。

4．一般的な事項の対応－ほとんどの人がラップトップを持っていますが、ラップトップを持っていない人や、会社のデスクトップに完全に依存して業務を行っていた人への対応はどのように行ったのでしょうか？

フィデルではそのようなケースは多くありませんが、それでも1つの要件として対応する必要がありました。２～３名の従業員は、オフィスのデスクトップのみを使用して作業を行っていたので、これらのケースについて経営陣や管理チームと話し合い、それぞれに個別の計画を立てました。

該当の社員には自宅からオフィスまでの通勤パスを申請し、オフィスからシステムを受け取るように依頼しました。これらの従業員は、時間枠を管理チームと私たちに連絡し、私たちはその時間にCCTVカメラの下で彼らをサポートする警備員を手配しました。

5. 社員が在宅勤務に移行する際の技術的課題－ネットワークアクセス、資産管理、会社の階層全体のアクセス制御などの複雑な要素をどのように管理しましたか？

これらすべての要素を管理することは、私たちの能力が試されるチャンスでした。すべての要素に対しての個別の注意と、確実に成功させるためのカスタマイズされたアプローチが必要でした。

まず、従業員がフィデルのインフラに安全にアクセスできるよう、SSL VPNを設定しました。さらに、社内のITポリシーに従って、ソフトウェアとハ​​ードウェアの資産インベントリを管理し、役職毎のユーザーアクセスポリシー権限を実装しました。IT資産の健全性については、レビューとチェックに関する通常のITポリシーに従いました。

6. 在宅勤務でITネットワークを制御する－システムがさまざまな場所に分散している状況で、ネットワークセキュリティをどのように制御しましたか？

すべてのシステムにITポリシーを導入することは、在宅移行プロジェクトの一部でした。USBとリムーバブルデバイスをブロックし、ユーザー/グループのアクセス許可を実装し、SSL VPNアクセスを許可しました。もちろん、フィデルの社員は責任感を持つプロフェッショナルです。しかし、コンプライアンスも必要であり、セキュリティの面にも力を入れて果たしてきました。

7. 会社をクラウドに移行する－どのように場所や時間を選ばずにシステムをクラウドに移行しましたか？

一般的な移行モデルに従い、ローカルからクラウドインスタンスへのデータとアプリケーションの転送を実行しました。

8.  ITネットワーク構成の管理－在宅期間中は、どのタイプのサーバー、ネットワーク、およびシステムを処理していますか？

ステージング/本番アプリケーションサーバー、Webサーバー、FTP、および請求システムを管理しています。

9. 長期在宅業務のためのITサポートの準備－ロックダウンが延長された場合はどうなりますか？ ITチームはどのようになっていますか？また、ITインフラストラクチャはどのように準備していますか？

フィデルのITチームと従業員は、ロックダウン延長の準備ができています。これまでの在宅期間と同じパターンで作業を続けます。私たちは、IT環境の課題が本番環境に影響を与える可能性があること、そして会社のプロジェクトに影響を与える可能性があることを理解しています。なので、会社全体で持続可能な在宅勤務計画を確保しました。

在宅勤務中の社員の様子

10. 在宅勤務への移行を計画している企業にとってのポイント－最適な効率と絶対的なセキュリティを確保するために、在宅勤務中に従うべきいくつかの推奨事項と禁止事項を教えてください。

はい、もちろんです。私たちはすでにそれを実践的に行っており、リストは網羅的です。意識が高ければ高いほど、会社のITセキュリティポリシーへの準拠が向上します。したがって、ここでは、在宅勤務中のフィデル・テクノロジーズのITセキュリティシステムの最も基本的な推奨事項と禁止事項について説明します。

推奨事項

• メールやフィッシング攻撃には注意する
• 返信する前にメールアドレスを確認する
• アンチウイルスを定期的に更新する
• VPNを使用してサーバーにアクセスする
• システムから離れる前に、システムをロックする
• 疑わしい活動やサイバーインシデントはすべてITチームに報告する

禁止事項

• 信頼できないソースからの非公式のリンク/添付ファイルを開いたり、アクセスしたりしない
• 許可されていないプログラムを仕事用のコンピューターにインストールしない
• システムを放置しない
• システムを使用していないときは、ワイヤレスまたはBluetoothをオンのままにしない

11. この移行に関して、他に共有したいことはありますか？

はい、もちろんあります。移行全体にわたる管理者のサポートと、タスクのブロック分けに対するサポートです。ブロッキングについては後でお話しします。

最初に、迅速な承認と、移行フェーズ全体を通して必要なときに常に私たちをサポートしてくれた経営陣に感謝します。私はITビジネスに12年以上携わっていますが、これほどまでに仕事で自由に情報に基づいた決定をする経験をしたことはありませんでした。

経営陣のダイナミックな決定と主要な承認に対するスピードに本当に感謝しています。いくつかの承認に関してはリクエストしてから1分以内に承認を得ることができました。信じられないですよね。

経営陣の継続的な支援と指導がなければ、プロジェクトは成功しなかったでしょう。主な管理の承認はすぐに実現しました。また彼らは、事業継続のためのアプローチ例を示してくれ、私たちはプロジェクトのあらゆる段階で励まされました。常に刺激を与え、活力を与えてくれた経営陣に感謝します。

また、タスクのブロック分けをサポートしてくれた管理者チームにも感謝します。チームは2日以上重要なタスクで立ち往生していました。しかし、管理者チームのガイダンスによる比類のないサポートにより、すべてのタスクを時間どおりに達成することができました。

経営陣は、進捗ミーティングに出席し、状況への対応をサポートしてくれました。CEOのスニル・クルカルニ氏と積極的に電話をかけたことが記憶に残っています。重要で時間がかかる課題について話し合いました。

スニル氏はこの移行プロジェクトがうまく機能するための重要なヒントを与えてくれました。そのおかげで、私たちはその日のうちに懸念を解決することが出来ました。この電話と、それにより問題を解決出来たという事実はプロジェクト全体を通して私の自信につながりました。他にも経営陣は常に協力的で、私たちが送ったすべてのメールとメッセージに対応してくれました。

フィデル・テクノロジーズ株式会社について

IT、ローカライゼーション・翻訳、人材紹介サービス（フィデル・コンサルティング株式会社）を提供している、世界をリードする企業の１つです。複数のビジネス分野にまたがり、さまざまな国と地域でリモートITサポートを展開しています。

ローカライゼーション・翻訳サービスでは、100以上のインド語と外国語の迅速かつ正確な翻訳を通じて、企業のローカル市場への進出・浸透を支援します。

ITサービスでは、オフショア開発からServiceNow運用、データ分析、クラウドインフラおよび仮想化、DX（デジタル・トランスフォーメーション）、SAPサポートまで包括的で柔軟なサポートをご提供しています。

HP：fideltech.jp