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めざしたのは、プリントに気づかない「静かさ」とイライラのない「速さ」の両立 キヤノンのオフィス向け複合機の特長はこうして生まれた!

#開発ストーリー  #複合機  #静音化

2020年9月28日 09時03分 キヤノン株式会社

オフィスに欠かせないネットワーク複合機。どんな複合機でも、使い心地はさほど変わりないと思っている方もいるのではないでしょうか。しかし、複合機の前でプリントがなかなか出てこずにイライラしたり、近くに複合機があると音が気になる、うるさいからとオフィスの遠くの方に置くとプリントを取りに行くのが大変!という経験も、みなさまお持ちではありませんか?コワーキングスペース、サテライトオフィスなど働き方が多様化する環境になればなるほど、静かでかつストレスなく使える複合機が求められるようになっていくのではないでしょうか?


キヤノンが今年発売した最新の複合機「imageRUNNER ADVANCE DX」シリーズは、高速・高品質スキャナーや、クラウドサービスとの連携強化により業務を効率化し、オフィスのデジタルトランスフォーメーションの加速を実現します。その一方で、前機種である「imageRUNNER ADVANCE Gen3」(以下Gen3)シリーズを引き継ぎ、ファーストプリントが速く、音が静かという特長をもっています。こうした本当の意味での使いやすさを実現した開発者の1人、前野正樹さんが、開発の裏側を語ります。


―― 前野さんは、複合機の開発でどのような役割を担っているのでしょうか?


複合機は、メカ、化学、電気、ソフト、クラウド、セキュリティーなど、多種多彩の技術を結集して初めて形になる製品です。私はその多種多様な技術とメンバーを取りまとめる役割です。


これまで複合機は、お客さまのビジネス環境の変化に合わせて、機能を進化させてきました。かつてはコピーをとるだけの機能だった複写機が、デジタル化に伴ってPCやプリンターとつながり、さらにインターネットの普及でネットワークとつながるようになってクラウドサービスとの連携機能を提供、といったようにです。


キヤノンのimageRUNNER ADVANCEシリーズでは、「お客さまの利便性を徹底的に追求する」をコンセプトに、ハードウエアでは①オフィスに溶け込む静粛性、②お客さまを待たせない速さ、③安定した画像の提供の3つに特にこだわって性能の向上を図っています。Gen3では、デザインから操作性、機能性、スピード、静音性、画像表現、セキュリティーなど、細部に至るまで検討と試行を重ね、全てをいちから見直して開発を行いました。


―― 複合機の静寂性?近くにはないからなあと思う方も多いかと思いますが、静かさに対しては、市場からはどのようなニーズがあるのでしょうか?


お客さまからは、やはり音が大きいという声が多かったのです。ちょっとショッキングだったのが、あるオフィスに見学に行った時に、複合機をはじめとした機器が別室に隔離されていたんですね。他のいろいろな機械もだんだん静かになってきていて、複合機は音が大きいというイメージがあるのかもしれないですね。


音の大きさというのは、もちろん数値でも測れるのですが、多分に感覚的なものでもあります。

たとえば、空調も元から音はしているんですけど、大きくなった時だけ気になりますよね。「使っている人以外は、動作していることに気づかない」ことをめざし、音の大きさだけでなく、音質と音の増減にこだわって開発を進めました。


―― 音の増減を少なく、とはどういうことですか?


複合機というのは、先ほどお話ししたように、多種多様な技術が入り混じり、プリントが出てくるまでに、いろいろな動作をさせていて、音源もさまざまなんです。

たとえば、紙の先端が内部に当たってパチンパチンと音がしたり、いろいろな所が同時に動いているので、どこからともなくカチャカチャと音が出たり。

そういう耳障りに感じる突発的な音などに対して、最新の計測手段をつかった音の数値化やシミュレーションを活用しながら、目立つ音源に集中的に対策を講じて、音の増減を少なくしていきました。


ところが、「この音を下げれば」という答えを見つけるのは簡単なことではありませんでした。

1つのユニットを静かにすればするほど、他のユニットの音が目立ってしまうんです。メカ設計だけでなく、電気・ソフト設計の力も合わせなければ達成できず、一つひとつの音にみんなで取り組んでいきました。


―― スピードに対するニーズも大きいと思いますが、速さについては、どのように取り組みましたか?


速さというと、昔はスタートボタンを押して紙が出てくるまでのことを言っていました。近頃は、プリントの仕方が「自分の席で印刷指示をしたあと、複合機の前で個人認証をしてその場で印刷する」というスタイルに変わってきているので、お客さまが自分の席を立ってから印刷物を受け取るまで、「どのフローでも待たせない」ことが大切です。



Gen3からは、お客さまが近づくと、人感センサーによって、お客さまの到着前に起動を開始し、複合機の前に立つとすぐに画面操作が出来るようにしました。簡単そうに見えますが、それを実現するには、機械をスリープ状態から復帰させる速さ、印刷準備の速さ、印刷自体の速さの全てを見直すことが必要でした。


これまでのように複数の機能を順に立ち上げていくのではなく、全ての立ち上げ機能を並列で行えるようにして、起動時間を半分以下に短縮しました。そのために、各ユニットでの動作時間を100分の1秒単位で短縮することに取り組んで、さらに起動プロセスをできる限り同時に行えるよう、設計をいちから見直したんです。


―― 静かさと速さの両立については、どのように実現したのでしょうか?


音という切り口でいうと、例えばトレーに紙を置いたら、これまでだとスキャンなのかコピーなのか機械がわからないまま、とりあえず全力で準備運動をはじめていました。それを操作画面でスキャンのボタンを押したとわかったらスキャンのために必要な動作だけを行う、というような方法で静かさを追求していきました。そうなってくると、短い時間で印刷までもっていくことが目標になってきて、「お客さまの快適のため」というコンセプトに全てつながり、開発を進めていくことができました。


実際に、お客さまから「速くなったのに、すごく静かになりましたね」と言っていただけている、という話を販売担当者から聞いたときに、こだわり抜いて良かったと実感しましたね。


―― 開発を振り返ってみて、いかがですか?


複合機は、「動くからくり」がぎっしり詰まった機械で、メカ設計者としてはそれを作り上げていくという大きな楽しみがあります。複雑な動きを具現化させつつも部品は少なく、軽く、それでいて高機能。一つの部品にどれだけの機能を詰め込めるか、それが腕の見せ所でもあります。とても楽しくやりがいのある仕事ですね。


静粛性を追求するときは気を付けなければならないことがとても多かったですが、高い目標にチャレンジするのもとてもやりがいがあります。開発を進めていくにつれて、チーム内でのお互いの信頼感と一体感も、強くなっていった気がします。


―― 最後に、複合機の将来についての考えを聞かせてください。


複合機というのは、お客さまの業務をアシストするのが仕事です。クラウドサービスや業務効率化など、複合機の使われ方が変わっていくなかで、お客さまの働き方にあわせて、いつでもどこでも簡単にプリントができて、スキャンしたら最終成果物が効率的に出来上がっていく、というのが理想です。これからもそういうところを追求して、お客さまの利便性に常に貢献していくことが、複合機の一貫した理想の姿だと考えています。


オフィス環境の変化にあわせて進化を続ける複合機。ワークスタイルの変化に伴って生まれるニーズにいかに応えるか、どうすればもっと便利に快適になるのか。開発者たちはその答えを求めて、日々挑戦を続けています。


<参考情報>

「開発者が語る」では、キヤノンのさまざまな製品の開発者が開発裏話を語っています。

https://global.canon/ja/technology/interview/


キヤノンの技術に関する情報は、こちらからどうぞ

https://global.canon/ja/technology/


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