複雑で膨大な情報をひと目で伝える、インフォグラフィック。 

カーツメディワークスは、日本におけるインフォグラフィックのパイオニアとして、その制作技術や活用・伝達手法を、さまざまな企業や団体へ提供しています。 

2017年には、依頼を受けて制作したインフォグラフィック「文京区版地震防災マニュアル」がグッドデザイン賞を受賞。同作品の制作指揮をつとめたのが、取締役兼デザイナーの前島直紀です。 

インフォグラフィック・デザイナーの先駆けとして、優に1000点以上のインフォグラフィック作品を手がけてきた前島に焦点をあて、知られざるインフォグラフィック制作の舞台裏をお伝えします。

そもそも、インフォグラフィックとは？ 

インフォグラフィックとは、テキストや数値だけでは伝わりにくい情報を、図解やイラストを用いてわかりやすく伝えるための情報伝達手段であり、視覚表現です。 

その語源は、「インフォメーション（情報）」と「グラフィック（視覚表現）」を組みあわせた造語です。 

１０年ほど前、欧米の大手IT企業が、自社商品の説明にインフォグラフィックを用いて情報発信をしたことが話題を呼び、ほかの企業もそれに追随。同様の情報発信が盛んにおこなわれるようになり、インフォグラフィックという言葉が世界中に広がっていきました。 

意外に身近。日常に溢れるインフォグラフィック 

では、具体的にインフォグラフィックとはどういうものを指すのか？ 

じつは、わたしたちは日常生活のなかで、たくさんのインフォグラフィックに触れています。 

『代表的なインフォグラフィックとして、もっと身近なものが「地図」です。 

地図は位置情報を得るために遥か昔から現在に至るまで有益な情報を分かりやすく提供してくれます。さらに、地図から派生して、フロアマップや路線図などテキストだけでは分かりにくい情報を体系的にグラフィックでまとめられており、非常にインフォグラフィックとして優れたツールだと思っています。　 

また、“データをわかりやすく表現する”という意味では、「棒グラフ」や「円グラフ」「折れ線グラフ」などもインフォグラフィックと捉えることができます。（前島）』 

上記以外にも、わたしたちは至るところでインフォグラフィックを目にしています。 

例えば、商品やサービスの特徴をわかりやすく伝えることを目的としたWEBページや営業資料、動画、パンフレット、ソーシャルメディア用コンテンツなど、その形態は、じつにさまざま。いまや、インフォグラフィックは、生活に浸透していると言っても過言ではありません。 

（インフォグラフィックを用いた動画 　https://youtu.be/vzum2nbhzJ8）

PR会社がなぜインフォグラフィック制作？先駆者として総力を注ぐわけ 

さて、日本においても、インフォグラフィックの認知はゆるやかに高まっています。 

しかしながら、カーツメディワークスがインフォグラフィック事業に取り組み始めた2011年当時、インフォグラフィックというものを知る人は、ごくわずか。 

本来、PR会社であるカーツメディアワークスが、なぜ、インフォグラフィック事業に力を注ぐことになったのか？その理由は、次のことにあります。 

『カーツメディアワークスは、PR、デジタルマーケティング、ソーシャルメディアマーケティングなど幅広い領域でお客様の声や想いをより広く届けるための支援をしています。そのためには「情報の届け方」と同様に「情報の見せ方」も非常に重要なポイントです。 

他の事業と連携を取りながら、インフォグラフィック事業はその見せ方を追求することで、情報発信者・情報消費者の双方にとって豊かな情報体験を提供できる組織でありたいと思っています。（前島） 』 

こうして、インフォグラフィック事業スタートから6年後、カーツメディアワークスのインフォグラフィック作品「文京区版地震防災マニュアル」は、日本で唯一の総合的デザイン評価・推奨の仕組みであるグッドデザイン賞を受賞しました。　 

しかし、この受賞の背景には、幾多の苦労がありました。 

インフォグラフィック制作数1000以上。グッドデザイン賞受賞までの道のり 

インフォグラフィックは、通常のグラフィックデザインに比べて、制作に時間と労力を要します。 

インフォグラフィック・デザイナーとして1000点を超える作品を生み出してきた前島ですが、インフォグラフィックは静止画一枚に約1ヶ月、動画は約2ヶ月以上の制作期間を設けています。 

インフォグラフィックは、データとイラストを組み合わせれば簡単にできあがる、というわけではなく、複数のスタッフが携わり、６つ以上の工程を経てつくられます。 

 『インフォグラフィック制作については、データから“お客様が何を伝えたいのか”を理解するところから始まり、そのメッセージをどのようなストーリーでどのようなデータをどのような表現で構成していくのが良いかを幾度も検討し、実際のグラフィック作成に入っていきます。 

グッドデザイン賞をいただいた「文京区版地震防災マニュアル」は、対象読者が日本に居住する外国人です。インフォグラフィックのストーリー設計や情報表現、掲載情報の精査など、グローバルな表現は難しく、多くの苦労がありました。その分、完成時の喜びも大きなものでした。（前島）』 

（インフォグラフィック「文京区版地震防災マニュアル」。日本に居住する外国人の方向けに地震防災マニュアルを英語版、中国語版で制作したリーフレット。） 

言葉の壁を超えるインフォグラフィック、その役割とは？ 

言葉の壁を軽やかに超え、視覚によって情報コミュニケーションを成立させるインフォグラフィック。ある調査結果からは、情報発信において、視覚に訴えるコミュニケーションは、効率的な情報理解と記憶の定着に大きく影響するとされています。 

このようなことから、インフォグラフィックが果たす役割とは、「煩雑な情報やデータを整理し、そのデータのもつ面白さや、気付きなどを効率的に理解してもらうこと」と「ビジュアルコミュニケーション（視覚を通じた情報のやりとり）を活性化すること」だと前島は語ります。 

（インフォグラフィックの真骨頂。言葉では一度に伝えられないデータを、視覚を通して効率的に理解できるように作成されたパンフレット） 

前島が携わったインフォグラフィック作品の一部は、以下の特設WEBページからご覧いただけます。 

https://infogra.me/

ぜひ、たくさんのインフォグラフィック作品をお楽しみください。 

人と情報の接面となるコンテンツ（インフォグラフィック）をつくる上で、型にはまらず、豊かな情報体験を提供できるよう、カーツメディアワークスはインフォグラフィック制作の先駆者として、日夜、インフォグラフィックの可能性を追求しています。