静岡県焼津市に本社を構える、杉村精工株式会社。1949年の創業以来、工作機械を主軸とした産業機械全般の設計から精密部品の加工・組立までを一貫して行い、多分野の製造ニーズに応えています。
今年6月に配信された、半世紀ぶりとなるユニフォーム刷新のプレスリリースは、プロダクトや社員、顧客に対する愛と情熱が最も感じられるプレスリリースに贈られるヒューマン賞を受賞。「製造業」に対するパーセプションの変化を狙ったユニークな発信として評価されています。
【受賞プレスリリース】静岡の町工場・杉村精工がユニフォーム刷新 ネガティブなイメージがつきまといがちな製造業の見え方を変えていく
【受賞理由】
工場で働くことをかっこよく。パーセプションの変化を狙った、とても面白い取り組みだ。さらに注目を集めた上で、商品販売というBtoC事業につなげている点も工夫が感じられる。(中村 勇介)
ブルーカラーに対するイメージの刷新を狙ったプレスリリースはほかにも多く見られますが、ユニフォーム更新という具体的な取り組みを軸にしている点が印象に残りました。外部に向けてネガティブな印象を和らげる一方、内部では従業員の矜持・誇りを促す効果があり、両方面からシナジー効果が期待できる内容になっています。(河 炅珍)

杉村精工株式会社 取締役
静岡県藤枝市出身。大学卒業後、大手フィットネス企業に勤務。アプリコンテンツの企画・マーケティングなど経験後、アトツギとして杉村精工に入社。広報を起点とした町工場のブランディング強化に務めている。
杉村精工株式会社:ヒューマン賞受賞
──まず、今回の受賞プレスリリースを配信することになった背景を教えていただけますでしょうか。
創業77周年を迎える節目に、社員の声を反映して半世紀ぶりとなるユニフォームの全面刷新を行いました。新ユニフォームのデザインや素材の選定理由、変更に至るまでのストーリーや目的を伝えるためにプレスリリースを配信しましたが、その背景には、町工場として「製造業全体の見られ方を変えたい」という想いがありました。

製造業には、「キツい」「汚い」「危険」といった、いわゆる「3K」をはじめとするネガティブなイメージがつきまといがちで、若い世代の関心も薄れてきています。日本企業の9割以上を占めると言われている中小企業、その中でも特に製造業界を下支えする町工場は発信力が非常に弱く、街中にある小さな工場で一体何が作られているのかはほとんど知られていません。そのような現実を発信によってまずは知ってもらいたいと思ったのです。
ユニフォームの刷新は、企業文化の変化を象徴する重要なできごとです。「ただの風景になりがちな町工場の見られ方を変えたい」という姿勢を社内外に明確に示すために、今回初めてプレスリリースという形で発信しました。
──プレスリリースを配信後、どのような反響がありましたか。
弊社としては初めてとなる『日刊工業新聞』に掲載していただいただけでなく、Xのインプレッション数もプレスリリース配信前後で4倍に増加しました。
また、今年8月にはランニング関連のギアメーカー「INNER-FACT」とのコラボも実現し、オリジナルランニングシャツを受注販売するなど、協業にもつながっています。
──審査員からは、製造業のイメージをポジティブに変えつつ、インナーブランディングにも効果的な点が高く評価されていましたね。
類似した業界や同じような内容のプレスリリースを徹底的に調べてそれらを参考にしつつ、発信の背景をストーリーとして組み立てることで、新規性や独自性を打ち出せるようにしました。スポット的にブランディングデザイナーと連携して、社内撮影を実施。文章だけでなくビジュアルで最大限の良さが伝わるように心がけています。
私たちにとっては初めてのプレスリリース配信でしたので、単発で終わらせず次のストーリーにつなげる仕掛けも意識したポイントのひとつでした。まさに「ランニングシャツの受注販売」は狙っていたため、実現できてよかったです。
──配信後に意識的に行っていることはありますか。
プレスリリース配信後は社内チャットでの共有はもちろん、SNSやホームページ、採用サイトなどにも併せて掲載するように心がけています。せっかく情報を発信するなら、メディアだけでなく社内や地域の方々、お客さまなどすべてのステークホルダーに「私たちが挑戦している姿勢」をしっかりと伝えたいからです。
単なる広報活動にとどまらず、ブランディング活動の一環として位置付けて、「どう見せるか」よりも「どう伝わるか」を意識しています。
──最後に、受賞が決まってからの想いや周囲の反響をお聞かせください。
正直なところ、プレスリリースを配信した当初は、このような形で評価していただけるとは思ってもいなかったため、とても驚いています。
今回のプレスリリースは、私たちにとって初めての試みでした。これまではホームページの新着情報も数年間更新が止まっているような状態でしたが、会社や町工場の良さを少しでも多くの方に知っていただきたい。社員が誇りを持って働けるきっかけをつくりたい。そんな思いから取り組みました。
「ユニフォーム刷新」という、一見するとどこにでもあるできごとに、きちんとストーリー性を持たせ、単発で終わらせずに次につなげていく。その姿勢や想いを評価していただけたことが、何よりも嬉しく思います。
私たちの77年の歴史の中で、「発信」という分野で会社が評価いただく機会はありませんでしたので、今回の受賞には家族や社員もとても驚き、そして喜んでくれて、よかったです。
まとめ:製造業界、家族や社員。多くのステークホルダーの心を動かす
創業77年の節目にユニフォームを刷新した杉村精工株式会社は、「製造業の見られ方を変えたい」という想いを発信の原点に据え、社員や顧客への誇りを取り戻すきっかけを生み出しました。初めてのプレスリリースながら、丁寧に背景を伝えた発表は業界や地域の共感を呼び、ヒューマン賞を受賞。
発信を単なる広報ではなくブランディング活動の一環として位置づけ、ストーリーある情報発信が新たな事業展開へとつながった好例として、プレスリリースの持つ可能性を力強く示しました。
製造業界全体への思いのもと取り組む杉村精工の広報PRに今後も注目です。
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