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寄稿とは?広報が記事寄稿するメリット・流れ・書き方など基本事項を徹底解説

メディアキャラバン、取材対応、記者会見と広報手段はさまざまですが、自社の専門性をアピールするうえで有効な手段の一つが寄稿です。今回は広報手段として押さえておきたい寄稿のメリット、寄稿の流れ、効果的に執筆するポイントや注意点について紹介します。

そもそも「寄稿」とは?

寄稿」とは、新聞・雑誌・Webメディアなどの媒体に対して記事を提供、掲載してもらうことを指します。各媒体の記者が取材をして執筆する記事と違い、自ら書いた文章を提供するため、企業やサービスの魅力を表現でき、認知度向上が狙えます。媒体読者に読んでもらうことで、今までリーチできなかった生活者にPRするチャンスにもなるでしょう。

「寄稿」とは

広報活動として記事を寄稿する3つのメリット

多くの企業は、業界やサービスの知識を持つ関係者に執筆を依頼するか、広報担当者が意見を集積して記事を執筆します。ほかの業務もある中で執筆業務を行うには手間と時間がかかりますが、寄稿にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

メリット1.メディア関係者と信頼関係を構築できる

広報担当者として必要なのが、メディア関係者から信頼を得ることです。信頼関係を構築するには接触回数が大きく関係しています。通常の取材においてもメディア関係者とのやりとりを頻繁に行いますが、寄稿においても読者の傾向、構成、内容の確認を重ねていくため、場合によっては取材時よりも頻繁に連絡とり、メディア関係者との良好な関係構築が期待できます。

媒体にとって寄稿はコンテンツを用意してもらう、ありがたい存在でもあります。修正が多くなる場合もありますが、寄稿をきっかけに取材につながる、長期的な関係構築ができるケースもあります。

メリット2.企画と工夫次第でPRができる

寄稿記事は専門家として意見や情報提供をするのが一般的ですが、自社サービスの利用者インタビューをコンテンツにすることができます。宣伝のように自社サービスをメインに構成するのではなく、サービスの提供価値に着目し、業界に面白い変化が起きているという打ち出しをするのです。

例えば、「レガシー業界にも関わらずアプリを利用して売上を拡大した会社が行った〇つの工夫」など、読者のノウハウにつながる構成にすることで客観性が生まれます。筆者が事例をベースにした寄稿をした際、「宣伝にならない形ならサービス名も入れてよい」と承諾をもらいサービス名を1文だけ入れたところ、記事公開日に問合せが4件寄せられた経験があります。宣伝と違い、情報収集を目的として閲覧する人が多いため、自然な形で自社サービスを印象に残すことが期待できます。

メリット3.書籍化・自社メディアへの活用など寄稿が可能性を広げる

寄稿が書籍化するケースも珍しくありません。自社で本を出すには相当な時間と費用がかかる一方、知名度や信頼度が高いメディアが出版する書籍に自社の情報が掲載されるというのは寄稿ならではのメリットです。

オウンドメディアを運営する企業は、寄稿時に利用した企画・構成を元に新たなコンテンツをつくることも可能です。もちろん寄稿文をそのまま引用する、リライト(語尾や言い回しのみ修正)するのではなく、プロである編集者からもらったアドバイスを活かし、ほかの企画で複数記事を作成します。企画を変えるだけで読みやすく、内容が詰まったコンテンツ作成ができます。

広報担当者が効率的に寄稿の準備を進めるための3ステップ

業務を沢山持つ広報担当者、スタートアップでは兼任をしている方も多くいます。他の業務もあるけれど、寄稿に挑戦してみたいという広報担当者が効率よく準備をすすめるポイントをまとめました。

STEP1.企画の洗い出し・媒体選定

自社の情報を「誰に対して何を伝えたいか、どのような印象を持ってもらいたいか」、広報戦略において前提となる考えに基づいて企画を決めていきます。最も伝えたい人はどの媒体のどのようなコーナーを見るだろうという発想のもと、寄稿形式の記事を探します。

どうしても知名度や閲覧数で媒体を決めたくなりますが、優先すべきはペルソナの思考、行動に沿うことです。広報知識のない経営者が有名媒体への掲載を指示するケースはよく耳にしますが、広報担当者として自信を持って社内の説得をする価値がある、大切な考えです。

STEP2.過去記事の分析と提案準備

大筋の企画と媒体が決まったら、該当媒体の寄稿記事をできるだけ多く読み込み傾向をつかみます。対象となるコーナーの内容に合わせて、自社ならどのような寄稿文が書けるか企画書を作ります。執筆者のメディア出演やセミナー実績、著書がある場合はプロフィールにまとめ、専門的な知識を持ち合わせているとアピールできるように準備します。

企画書に数種類の記事パターンを作っておくのも効果的です。3パターンほどタイトル、見出しを作っておくといずれかの企画に興味を持ってもらえる可能性があります。多忙を極めるメディア関係者に対して企画を「考えてもらう」のではなく、「選んでもらう」ことを意識しましょう。

STEP3.媒体へのアプローチ

多くの媒体は寄稿投函ページや問合せフォームがあるため直接連絡することもできますが、媒体研究、企画の洗い出し、コーナーの選定までできている場合は電話でのプレゼンがおすすめです。メディア関係者は常に企画を探しているので、考えられた内容なら電話でも喜んで受け入れてくれる場合が多いのです。

ベンチマークをしている媒体に同業種の企業が寄稿している場合、寄稿者側にアプローチをして紹介をしてもらう方法も考えられます。同業種の広報担当者は競合ではなく、一緒に企画を提案していける心強い存在です。寄稿といっても断られる可能性もあるので、考えられる全ての手段を講じてアプローチをする心意気が必要になります。

広報としてチェックしたい!寄稿記事の書き方3つのポイント

媒体の編集者になった気持ちで読者を意識すると自ずと寄稿記事にふさわしい内容になります。そのためにも、メディア関係者との入念な打ち合わせにより方向性をすり合わせることが大切です。実際にどのようなことを確認し、気を付けるべきなのでしょうか。

ポイント

ポイント1.自社らしさが崩れないよう企業を人格化する

企画書の内容をブラッシュアップするときに改めて意識するのは、媒体の読者。読者はどのような人で、何を求めているか、今までの寄稿記事の構成を参考にします。媒体特性を優先しすぎて寄稿文章が自社のイメージとかけ離れても本末転倒なので、企業を一人の人格として考え、キャラクターを崩さぬよう、会話形式・語り口調どちらが適切なのかも含めメディア関係者と確認しておきましょう。「書いてみないと分からないから」と書き出してしまうと、修正に手間がかかるため、最初に構成や大筋の内容を確認していくことが大切になります。

ポイント2.事実を客観的に伝えて公平性を保つ

読者の共感を得られる読後感の良い寄稿記事を作成するには、読者を意識して一人称でサービスを語らないことが大切です。

例えば、業界の動向を数字を用いて説明し、競合含めサービス提供企業はどれくらいあるか、その差は何かなど、理解度を深めてから、優れた企業やサービスを選ぶポイントを示唆します。寄稿記事は広告ではないので、「弊社は素晴らしいですよ」と自社のことを過剰にアピールすることは避けましょう。「ちなみに、自社のユーザーからはこのような意見がありました」など、第三者の語り口を用いて事実を客観的に伝えられると良いでしょう。

ポイント3.「そこまでやってくれたんですか」寄稿のためのアンケート調査

せっかく執筆して寄稿するなら、メディア関係者の期待値を越えたいですよね。それには、やはり読者を意識するに尽きます。ペルソナとなる読者は何を知りたいのか、どうやったら伝わりやすいのかを考えると、場合によっては寄稿記事用にインターネットを活用したアンケートや調査などを行うのも一つの方法です。世論が加わることで記事に説得力や信ぴょう性も増します。

自社サービスのユーザーインタビューや調査も有効かつ寄稿記事のクオリティーを上げる材料になりえます。寄稿のためとはいえ、自社サービスを改良するためにも役に立つデータになるため、これを機にひと手間かけるのも十分意義があります。

広報が記事を寄稿するときに知っておきたいこと

メディア関係者との良好な関係を構築していくためにも、トラブルは未然に防ぎたいものです。寄稿による多くの問題がコミュニケーションロスによる修正にかかる工数と、その後の権利の問題です。そこで、最低限確認をしたい寄稿先のルールや著作権について知っておきたい2つのポイントについて解説します。

1.寄稿先のグランドルールを確認

重要なのがグランドルールの確認です。納期、文字数、引用時のルールやリンクの貼り方は媒体によって異なるため必ず確認をしましょう。寄稿に関わらず文章を作成するときによく起きるのが、「です・ます」と「だ・である」の混在や、お客「さま」、お客「様」などの表記ゆれですが、寄稿先によってルールがある場合があるので注意が必要です。

2.著作権

著作権は寄稿先の契約によって帰属が変わりますが、著作権を含む知的財産権は基本的に「納品した時点で委託者に移転(譲渡)する」とするのが一般的です。しかし、委託者が寄稿文章を通知なしで変更、二次利用する権利までは譲渡されません。契約内容により権利の扱いは変わるため、事前によく目を通しておくことをおすすめします。

手間と時間を惜しんでも寄稿にチャレンジする価値はある

寄稿は企画、執筆、修正と準備に手間と時間がかかります。執筆以外の業務を持つ担当者にとっては、寄稿文が採用されない可能性がある中でメディアアプローチをするというのはリスクだと思うかもしれません。一方でメディア関係者との関係構築、書籍化の可能性、なにより自社を魅力的に伝えるための手段が増える有効的な広報手法になります。

寄稿をきっかけにサービスプレゼンのアイディアや会社概要資料に使える調査を取ったり、重要なものの緊急度が低く後回しにしていたことに向き合う良い機会にもなります。多くの方に情報が伝わる可能性がある寄稿、是非一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

広報が記事を寄稿するメリット・流れ・書き方などに関するQ&A

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この記事のライター

坂下 彩花

坂下 彩花

合同会社KOUYO代表。スタートアップ企業で広報と人事を兼務しながら、広報業務を一通り経験。提供する情報がない中での企画作り、メディアアプローチが強みです。これまでの広報経験を生かして広報担当者さんの役に立ちたいと思いPRTIMES MAGAZINEに参画。現在シェアハウスの愉快な仲間たちと賑やかに暮らしています。

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