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【脱・属人化】広報担当者向け!チームで成果を最大化するマネジメント|鈴木恵美

これまで、複数の企業でインハウス広報を担ってきましたが、どの企業でもはじめは広報担当者は1名でした。立ち上げから取り組んだ企業では、それからメンバーが増え組織化することもありました。

本記事では、ひとりから複数名になった際に、チームで成果を最大化するためにどうすればよいか、筆者の経験を踏まえお伝えします。

ブックオフグループホールディングス株式会社 広報・SDGs推進室/アークランドサービスホールディングス株式会社 社長室 広報

鈴木 恵美(Suzuki Emi)

食に興味があり、学生時代に栄養士免許を取得。新卒で入社した弁当・惣菜チェーンでは、10年の店舗運営を経て社長秘書と能動的な広報の立ち上げを担う。2019年8月アークランドサービスホールディングスに入社し、プレスリリース配信やユーザー視点のウェブサイトリニューアルなど、企業やブランド認知向上に努める。これまで経験してきた食に関わる業界はもちろん、新たに広報として貢献できる場所を開拓するために2024年3月よりブックオフグループホールディングスの広報を、副業でアークランドサービスホールディングスの広報として世の中に必要とされる企業を目指し、ブランドロイヤルティを高める役割として奮闘中。

(この記事を読んでいただく方へ)
私は、弁当惣菜チェーンの店舗運営に10年携わった後に広報としてのキャリアをスタートしました。
広報以外の職種を経験している者の一例として、広報職を経験してマネジメントされる方はもちろん、広報職が未経験でマネジメントに携わる方にとっては、こんな思考もあるんだなとお役に立てたら嬉しいです。

業界も広報職もいずれも未経験のメンバーには6ヵ月後に目指す姿を

まず、業界も広報職も共に未経験で入社した後輩と取り組んだ内容を共有します。

面接の際に、とても前向きな姿勢で広報への期待を話してくれた後輩は、飲食業界も広報という職種も未経験でした。そこで、まずは入社から半年後の目指す姿を決めて、広報の役割や求められていることを理解してもらうことを始めます。

6ヵ月後に目指す姿は【会社の理解を深め、対象者に合わせたコミュニケーションが取れるようになる】と定めました。

対象者別に目指す姿は、下記の通りです。

  • 生活者
    生活者にとっても、ブランドとしても伝えたいことが伝わる投稿やコミュニケーションが取れるようになる
  • メディア
    担当する10ブランドでファクトシートを作成し取材対応ができるようになる
  • 社内
    オフィスで働く方の顔と名前、店舗で挨拶した方の顔と名前が一致するようになる

未経験メンバーが自走するために行った4つのこと

1.アウトプットイメージを共通認識にする

目指す姿を決めたら、インプットとアウトプットのバランスを設定します。始めにチームとしてアウトプットイメージを共通認識にしておくと、限られた時間で得られる成果物のクオリティが高くなります。

例えば、新商品の試作会には何のために参加するのでしょうか。味がおいしいか、好みかどうかなど、そんな会話をするために時間を割いているのではありません。

では、なぜ広報担当者として新商品の試作会に参加するのでしょうか。

目的は、公式アカウントの投稿文やプレスリリースに記載する開発背景、取材対応時の回答作成に必要な情報収集です。「おいしい」のは当たり前として、誰のための商品でどのようなシーンで利用されることを想定しているのか、答えを探すために参加しています。加えて、ホールディングスや事業会社の社長、営業の責任者が出席しており短時間で検討がなされ、その理解が深まる貴重な時間です。

情報収集といっても、アウトプットイメージを共有できずに機会に触れても求めている成果物になりません。本人も何のためにやっているのかがわからないまま過ごし、結果的に提出したものが期待はずれと言われたら、どうしたらいいのかわからなくなります。

お互い、生産性の低い結果にならないためにも前提の共有が欠かせません

2.対象者の立場になるための実体験を用意する

広報とは、このように定義されています。

組織や個人が、目的達成や課題解決のために、多様なステークホルダーとの双方向コミュニケーションによって、社会的に望ましい関係を構築・維持する経営機能である。

日本広報学会

双方向コミュニケーションとあるように、一方通行の発信は広報として機能していません。飲食業の場合は店舗へ足を運び、お客さまの立場になる経験をしてもらいます。

本社で議論していることは、実際の店舗でお客さまはどのように捉えているのか。当事者になるため店舗へ足を運び、誰のためにある店舗やサービスなのか、対象者にとって利用したい店になっているのかを体験します。

伝えたい価値は何なのかなど、自身で考え言語化し各ブランドの責任者や商品開発者へ報告してもらいました。

自社を利用者の立場でみることを徹底できたら、次のステップとして情報を発信し伝わるように伝える手段に移ります。

3.「伝わる言語化」が体得できる業務をアサインする

いきなりプレスリリースなど文章量の多いものを書くとなると、それに費やす時間で他を経験する機会を失ってしまいます。伝わるような言語化に慣れてほしいので、まずはGoogleビジネスプロフィールとInstagramの投稿を担当してもらいました。

画像と適度な文字量で、ブランドについて伝わるように言語化することから始めます。慣れたところで140文字という少ない文字量でX(旧 Twitter)の投稿をすれば、シーンに合わせた伝わるコミュニケーションが身につきます。

投稿の頻度については、以下の3つをマストとしました。

①新商品・新店舗リリース時
②新商品販売開始時
③終了間近

3つに絞った理由は、投稿をすることが目的ではなく、会社のことを理解して伝わるように言語化することを目指していたからです。

4.報告方法を明確化する

次に、報告方法です。内容は下記のように設定し、事実と感情を明確に区別できるようにしました。

  • 定量的な報告:週報
    →数値化できる内容。
    例)
     ・公式アカウントのインプレッション、リーチ数
     ・ブランドサイトのユーザー数
     ・プレスリリースの配信数、PVとUU数
     ・掲載実績数
  • 定性的な報告:日報
    →その日の業務で自分が感じることの変化を振り返れる内容。

広報のチームとして週次で経営陣に報告していることと、日々の業務を通じて自身が気が付いたことの共有を分けます。結果は数字で受け止めつつ、人としてどう感じているかを共有できると認識の齟齬もなくなりますし、どこでつまずいているのか、何にやりがいを感じているのか、相手の状況を慮ることができるからです。

数値に現れることは事実として受け入れ、感情が揺れることがあっても自分自身を振り返り、改善点を見つけ今後の行動につながるように促します。

未経験メンバーの成長、6ヵ月で広報担当者として認められる存在に

業界も広報も未経験で入社したメンバーに、この手順で研修をした結果どうなったのか気になりませんか。そして、マネジメントする立場の考えだけでなく、マネジメントされる立場の声も気になりますよね。

入社当初から、仕事に向かう姿勢が素晴らしかったですし、感情が揺れてもおかしくない指摘をされた際も、自身を振り返り課題を見つけ改善行動につなげてくれました。

「なぜ、そのように仕事に取り組めるのか」と尋ねると、自分の行動を客観的に見て何をどうしたらいいのか、感情はいったん置いて考えて行動しているそうです。

広報という職種柄、急遽決まる取材なども丁寧に対応しながら入社時に設定した計画を確実に達成しております。

短いものから始めた文章も、今ではプレスリリースを書く段階まできています。そして、社内の協力体制も構築し、広報担当者として認められる存在になりました。

参考:貢献できる広報担当者を目指すなら、まず社内の協力体制を構築しよう

広報経験者がパフォーマンスを発揮できるような環境をつくる

ここまで未経験者とのチームワークについて書きましたが、この章では広報経験者がメンバーに加わった場合のマネジメントについてお伝えします。

まず、具体的な手段の指示などはしません。目的を共有し、いつまでに何をどのような状態にしたいのか。目先のこともそうですし、3年後や5年後の姿が同じものを見られるような会話をします。

経験がある方の場合、小さな会話をするよりも全体感で捉えてもらったほうが、目的を達成する手段の選択などパフォーマンスを期待できるからです。

もし、マネジメントする方が広報の経験が浅い場合は、ぜひ目先のことだけでなく数年単位で目指していることを会話してほしいです。きっと、目的を達成するために何をすべきかが深まります。

経験問わず、マネジメントには「尊重」する

経験有無に関わらず、新しいメンバーを迎えるにあたって相手に求めることを書いてきましたが、マネジメントをする立場で気を付けなければならないことがあります。

それは、教える人も教わる人も対等であり、ひとりの人だということです。役職がなんであろうが、社歴が長かろうが短かろうが、人としてまず尊重されている状態を整えるのもマネジメントする立場の役割です。

名前を呼ぶときには、さん付けをする。間違っていることは、なぜ間違っているのか理由を踏まえお伝えし今後の改善策を検討する材料を提供するなど、今さらいうまでもない基本的なことですが、ひとりの人として対等に接することが大前提です。

まとめ:経験に合わせたマネジメントと尊重こそがチームとしての成果を最大化する

本記事では、ひとり広報から複数名になる規模のマネジメントについて書いてきました。メンバーを受け入れチームとして成果を最大化するためには、未経験者と経験者で異なりますが目指すことを共有するのは同じです。

目先のことに捉われると焦ってしまい、お互いにストレスがかかります。

いつまでに何をどの状態にするのか。これを共通認識にして定義されているような広報の役割を果たせるチームを目指す方にとって本記事がお役に立てれば幸いです。

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この記事のライター

鈴木恵美

鈴木恵美

ブックオフグループホールディングス株式会社 広報・SDGs推進室/アークランドサービスホールディングス株式会社 社長室 広報。食に興味があり、学生時代に栄養士免許を取得。新卒で入社した弁当・惣菜チェーンでは、10年の店舗運営を経て社長秘書と能動的な広報の立ち上げを担う。2019年8月アークランドサービスホールディングスに入社し、プレスリリース配信やユーザー視点のウェブサイトリニューアルなど、企業やブランド認知向上に努める。これまで経験してきた食に関わる業界はもちろん、新たに広報として貢献できる場所を開拓するために2024年3月よりブックオフグループホールディングスの広報を、副業でアークランドサービスホールディングスの広報として世の中に必要とされる企業を目指し、ブランドロイヤルティを高める役割として奮闘中。

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