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「生活者から広がるPR」への第一歩は社内のパーパスへの共感。LIFULLがリブランディングを行い、生活者に届くPRを目指す理由

2017年4月に株式会社ネクストから社名変更をした、株式会社LIFULL。社名変更と同時にマスターブランド戦略を推進し、約5年に渡りコーポレートブランディングに取り組んできました。そして2021年に開催された、企業のブランディング活動を評価する「Japan Branding Awards2021」にて、最高賞であるBest of the Bestを受賞。

LIFULLは受賞に至るまで約5年間、どのような課題と向き合いながらブランディングに取り組んできたのか。

リブランディングをした際の社内外それぞれの課題と解決方法、エンドユーザーである生活者へ自社を認知してもらうために行ってきたPRについてお伺いしました。

株式会社LIFULLの最新のプレスリリースはこちら:株式会社LIFULLのプレスリリース

株式会社LIFULL クリエイティブ本部 ブランドユニット長 

遠山 佳子(Toyama Yoshiko)

大手携帯キャリアにてプロモーション業務に従事した後、LIFULLの経営理念に共感したことから、2019年に株式会社LIFULLへ入社。
入社後はLIFULLグループ全体のコミュニケーション戦略立案やPR活動を担当している。

株式会社LIFULLクリエイティブ本部 ブランドユニット コミュニケーショングループ長 兼 未来デザイン推進室 イノベーションマネジメントグループ 

畠山 大樹(Hatakeyama Hiroki)

広告業界にてアカウント営業に従事した後、長期的なブランディングにチャレンジしたいという思いから、2019年に株式会社LIFULLへ入社。現在は企業ブランド戦略立案・実行を担当している。

創業20周年のタイミングでの社名変更・リブランディング実施の背景

── はじめに、創業20年のタイミングにあたる2017年4月に、旧社名である株式会社ネクストから現社名の株式会社LIFULLに社名変更をした背景を教えてください。

遠山さん(以下、敬称略):社名変更前より運営していたサービスに不動産・住宅情報サイトの「HOME’S(ホームズ)」がありますが、“住まい”に関する領域に留まることなく、生活者の「LIFE」にまつわるあらゆるサービスの展開を目指す中で、ブランドの強化が重要でした。そこで、企業の根幹となるマスターブランド戦略を推進するために社名変更を行うことになりました。

畠山さん(以下、敬称略):社名変更の際に、新社名は全社員から募ったんです。結果、約140案の中から「LIFE(人生・暮らし)」と「FULL(満たす)」を組み合わせた造語で「LIFULL」という社名が選ばれました。

LIFULL取材01

── リブランディングの際、考慮した点を教えてください。

遠山:まず社内については、お客様や取引先と接する社員一人ひとりが、リブランディングの背景を理解することが最重要でしたね。

そのため、全社員がリブランディングの背景や新社名の意味を理解して再スタートを切れるように、社内向けキックオフイベントを開催。社内向けムービーを作成して見てもらったり、経営層から直接リブランディングの背景を伝えたりする機会を設けていました。

テキストの資料だけでは伝わりにくい部分も、社内向けムービーを通して視覚的にイメージを掴んでもらったり、直接言葉で伝えることで熱量や思いを浸透させられたんじゃないかと思います。

畠山:社員一人ひとりがあらゆるステークホルダーと向き合った活動の総体が企業、我々でいうとLIFULLです。だからこそ、LIFULLがなぜ「あらゆるLIFEを、FULLに。」というコーポレートメッセージを掲げているのかを理解したうえで、納得して業務を遂行できる状態を作ることが、生活者にLIFULLを知っていただくための第一歩だと思っています。

生活者の会話から認知拡大を目指すPR

── 生活者にLIFULLという会社を認知してもらうためにはPR
(パブリックリレーション)が必要だったかと思います。あらためて、お二人からPRが必要だと考える背景などを教えてください。

遠山:1番の理由は、LIFULLを利用する生活者の会話からサービスや社名が広がっていくという形を目指したいという想いから来ています。

私たち社員から「LIFULL HOME’Sなどのサービスを展開しています」と、伝えるのはもちろん大切ですが、LIFULLが提供する各サービスのエンドユーザーは日々を生きる生活者のみなさまです。

だからこそ、「LIFULLのサービスを使ったらすごくよかった。あなたにもおすすめ!」と、日常の会話の中でLIFULLという名前や各サービスの名前が出て、自然と広まっていくのがベストだなと思っています。

そのためにも、「個人が抱える課題から、その先にある世の中の課題まで。安心と喜びをさまたげる社会課題を、視点を変える発想で解決していく」という企業姿勢を、CMやオウンドメディアといったLIFULLからの一方的な発信だけでなく、第三者からも語ってもらうためにPRに力を入れています。

── 実際にCMやオウンドメディアなどを通して、LIFULLの企業姿勢を生活者に伝えるために意識したポイントはありますか?

遠山:LIFULLとして企業活動を行っていくうえでブランドパーパスを設定していますが、ただ「LIFULLは社会課題に向き合っています」と唱えるだけでは生活者には届きません。だからこそ生活者に伝わりやすいコンセプトとして生まれたのが、弊社のCMなどで登場している「しなきゃ、なんてない。」というメッセージです。

これまで「しなきゃ、なんてない。」にまつわるエピソードをお届けするオウンドメディア「LIFULL STORIES」を開設したり、著名人の方にご協力いただきTwitterで「#しなきゃなんてない」をつけて、さまざまな考えを発信したり、「しなきゃ、なんてない。」を体現する著名人を表彰するアワードを開催するなどSNS・オウンドメディア・イベント等多角的なコミュニケーションを展開してきました。

LIFULL取材02

各SNSに展開後は、ソーシャルヒアリングを行い、反響を確認しています。データを確認すると、露出量は少ないけれどSNSでの拡散率が高いなど…発信したタイミングでは想像していなかった結果が集計できるので注視していますね。今後はこのデータを元に、さらに拡散するための趣向を凝らしていくことが課題のひとつでもあります。

畠山:例えばLIFULL STORIESでは「しなきゃ、なんてない。」というコンセプトのもと、既成概念にとらわれず、多様な人の、多様な生き方に関するエピソードをお届けして、より自分らしい人生へと踏み出す人を応援しています。掲載しているストーリーは、ジェンダーや結婚観など、実は世の中にいる誰しもが抱えている悩みなどです。

全社で一貫したブランド構築が評価。Japan Branding Awards 2021受賞

apan Branding Awards 2021受賞

── この度は企業のブランディング活動を評価するJapan Branding Awards2021にて、最高賞の「Best of the Best」受賞おめでとうございます。ブランドの定義や戦略立案、情報発信の戦略など、過去3年間に渡る活動を評価するアワードですが、受賞したいまのご感想をお願いします。

遠山:まず、率直に嬉しいです。いま仰っていただいたように、Japan Branding Awardsは過去3年間に行ってきたブランドの立案から開発、コミュニケーション活動を含むマーケティング活動全般を審査するものなので、これまでやってきた一連の取組がひとつの評価を得られた喜びを噛みしめています。

畠山:2017年に社名変更・リブランディングを行い、着実に企業総体としての活動を積み重ねてきたなかで、今回応募させていただきました。

これまで社員全員でブランディング活動を行ってきましたが、あらためて全方位で一貫性あるブランド構築を推進してきたことが、評価されたのは嬉しいです。

LIFULL取材03

── 今回Japan Branding Awards 2021に応募されるにあたり、工夫した点などはありますか?

遠山:あくまでも過去3年間の取り組みを評価するものなので、今回のために特別な工夫などはしていません。けれども、今回エントリーする際に応募書類作成するにあたって、自分たちクリエイティブ本部だけでなく、他部署の活動への理解や連携が必要不可欠でした。

畠山:ブランディングに対する多角的な審査視点での評価であったので、他部署の方にもかなり協力していただきましたね。あらためて、社内関係者との協力体制や信頼関係を深める機会になったと感じています。

日本のソーシャルエンタープライズと言えば「LIFULL」を目指していく

── 社名変更から5年間リブランディングに取り組み、Japan Branding Awards 2021も受賞されましたが、まだ通過点と考えているかと思います。そこで今後、どこを目指してどのような活動をされていきたいですか?

遠山:今後行っていきたいと考えているポイントは、大きく分けると2つです。

まずは、LIFULLが取り組む事業をファクトとしてさまざまな社会課題解決に取り組んでいる企業姿勢を伝えていきたいですね。

また5年後には、LIFULLが社会課題解決型企業のリーダーシップ的存在で在れるよう日々精進したいと思っています。世の中にはまだまだ顕在化していない社会課題がたくさんあるはず。だからこそLIFULLが、社会課題の発掘から行い、問題を提起。そして既存サービスや新規サービスを通して課題解決できる存在を目指します。

将来的に「日本の社会課題解決型企業(ソーシャルエンタープライズ)と言えば、LIFULLだよね」と言ってもらえるように頑張っていきたいですね。

── 最後にブランディングの面からも、今後の活動の軸やポイントを教えていただけますでしょうか?

畠山:これまでもコーポレートブランディングに取り組んできましたが「LIFULLは世の中に対してこういう存在意義があります」と言うだけではなく、存在意義を生活者に対して果たしていく必要があると考えています。今後は事業ファクトと合わせて、有言実行していかないと、生活者から認められないでしょう。

また、これまで「しなきゃ、なんてない」という、既成概念から生じる社会課題をオウンドメディアであるLIFULL STORIESをはじめ、LIFULLの事業を通して解決したいという未来、意思を描いたコミュニケーションを行ってきました。

今度は、いまのLIFULLがどういう社会課題に向き合って、どのように解決していくのかを新たに描くことが重要なポイントになるでしょう。そして、これまで以上に生活者の方を巻き込んで共感を得られるコミュニケーションを行っていきたいですね。

LIFULL取材04

まとめ

  • 全社員が同じ方向を向いて進むためには、パーパスへの共感が必要不可欠
  • わかりやすいコンセプト×多角的なコミュニケーションが、生活者(エンドユーザー)からの認知・拡散につながる

リブランディングに際して、社内・社外両方の課題解決に努め、一歩ずつ着実に歩んできたLIFULL。

これまで全社員が同じ方向を向いて歩めるように、キックオフイベントなどを通してリブランディングの背景を共有。そして、オウンドメディアやSNSでのコミュニケーション、メディアリレーションなどを通して、LIFULLの企業姿勢を生活者に伝えてきました。

しかし「まだまだ通過点です」と、遠山さんと畠山さんは仰っていました。それは自社のパーパスをわかりやすいコンセプトで発信していくのはもちろんですが、有言実行して認められていく、より生活者のLIFEを豊かにしていく必要があるという想いからでしょう。

今回お話を伺い、あらためて全社員が同じ方向へ向いて歩み、社外に発信していくためには、リブランディングの背景やパーパスへの共感が第一歩であると感じました。

(撮影:原 哲也、取材はリモートで行いました)

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この記事のライター

笹まい

笹まい

専門商社などで営業職・営業アシスタントの経験を積んだ後、副業からライター活動をスタート。現在はフリーランスライターとして活動中です。広報・採用担当経験が浅い方にも伝わる、読みやすくてわかりやすい記事をお届けします。

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