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1917年創業の容器製造メーカーが新たな視点で取り組むSDGs推進につながる広報PR|東洋製罐グループホールディングス株式会社

缶やペットボトル、食品のレトルトパウチ、洗剤の詰め替え用パウチ、エアゾール製品など、私たちの身近な生活の中にあるさまざまな包装容器を製造する、世界有数の総合容器メーカー、東洋製罐グループホールディングス株式会社。

2022年4月に「サステナビリティ推進部」が新設され、創業100年以上という長い歴史の中で初めて本格的な広報PR活動がスタートしました。

なぜ、今のタイミングで広報部門を立ち上げたのか。その背景や成果、今後の展望について、サステナビリティ推進部サステナビリティ推進部長 兼コーポレートコミュニケーショングループリーダーの遠藤宗広さんにお話を伺いました。

東洋製罐グループホールディングス株式会社の最新のプレスリリースはこちら:東洋製罐グループホールディングス株式会社のプレスリリース

東洋製罐グループホールディングス株式会社 サステナビリティ推進部サステナビリティ推進部長 兼コーポレートコミュニケーショングループリーダー

遠藤宗広(Endo Munehiro)

大学卒業後、森永乳業株式会社、HOYA株式会社ビジョンケアカンパニー、日清食品ホールディングス株式会社などに勤務し、海外事業拡大の中心的存在として携わる。2014年より東洋製罐グループに参画。事業会社の海外事業統括や経営企画関連業務に従事する。また、長期経営ビジョン2050「未来をつつむ」や、中期経営計画2025策定に携わり、同社で初めての発行となる「統合報告書2021」のプロジェクトリーダーを務める。2022年4月よりサステナビリティ推進部長として、グループのサステナビリティ推進と広報業務に従事。

創業105年目で初めて本格的な広報PR活動をスタート

──まず、広報PRの体制について教えてください。

広報PRとして組織化されたのはつい2022年4月のことで、サステナビリティ戦略を担当するグループと、社内外への広報PR活動を担当するコーポレートコミュニケーショングループからなる「サステナビリティ推進部」が新設されました。それ以前は、専門部署というものはなく、総務部の1機能として広報PR活動が行われていました。

100年という長い歴史がありながら、会社として広報PR活動に力を入れてこなかったのは単純にその必要性がなかったからだと思います。多くのBtoB企業もそうではないかと思いますが、その時々のニーズに合わせて売り上げが上下することはあっても、取引しているお客様がしっかりいるので、ビジネスとしては何の問題もなかったのです。会社の社風も、自分たちはどちらかというと黒子に徹し、前には出ないという社風だったことも影響していたと思います。

──そのような背景がありながら、広報PR活動に注力する方向へシフトチェンジしたのはなぜですか。

2021年5月に策定された「長期経営ビジョン2050『未来をつつむ』」の中で、お金の価値だけでなく、環境や社会に対しても価値を提供していこうという方向性を打ち出したことが大きいと思います。

例えば、家庭から出るゴミのうち、容器包装が占める割合は重量比で3割、容積比で約6割を占めるといわれていて、このインパクトをどのように変えていくのかということが、近年の社会課題としてクローズアップされています。弊社のビジネスもこの3割や6割に深く関わっている部分もあるので、社会課題を解決するためにも、長期経営ビジョンというものをしっかり前に出して、そこに対する情報発信をしっかりとやるべきではないかと考えたのです。

こういった環境問題や社会課題に対するさまざまな取り組みを通じて、あらためて東洋製罐グループを知っていただきたい、ということが広報PR活動に力を入れる原点になっていると思います。

東洋製罐グループホールディングス株式会社インタビュー01

世の中が変わる可能性を社内外に発信

──積極的にプレスリリース配信されていますが、何か工夫していることなどはありますか。

ひとつは、受賞関係のプレスリリースには受賞者の写真を掲載するということです。実はこれまで、受賞関係のニュースというのは社内外問わず発信していなかったのですが、プレスリリース配信してみたところ、社外からも社内からも好評でした。受賞した本人は周りの人から「おめでとう」と声をかけてもらえてうれしいでしょうし、社内の意識も前向きになります。そういう効果を感じることができたので、広報PRの体制ができてからは積極的に受賞関係のプレスリリースを写真付きで出すようにしています。

参考:東洋製罐のドローン用遠隔型スプレー缶噴射装置「SABOT-3」が「Japan Drone & AAM Awards 2023」において「オーディエンスアワード」を受賞

また、製品の研究に関するプレスリリースを配信するときには、極力わかりやすい言葉で伝えるようにする、ということも工夫しています。例えば、「CBR」という缶底の耐圧強度向上技術を使った飲料缶の国内初生産を伝えるプレスリリースを配信した際には、缶底の加工を工夫することで、容器の厚みを薄くすることができ、薄くすることで使う材料が減って資源の節約やCO₂の削減につながるということを、どのようにしてわかりやすくメディア関係者に伝えればよいのかかなり苦労しました。

──「缶底から環境貢献」というタイトルが印象的です。

東洋製罐グループホールディングス株式会社 プレスリリース01

参考:缶底から環境貢献 独自製缶加工技術でCO2を削減、北海道地区から国内展開をスタート~世界最軽量アルミ飲料缶の実現に向けて

CBRは、従来の製缶技術と比べ、高い缶底耐圧強度を提供することができるなど、品質と軽量化を両立できる革新的技術です。1缶わずか0.6グラムの軽量化ですが、それが積み重なることで、アルミ材料の使用量削減や温室効果ガスの排出量の減少といったことが、実現されていくわけです。

一般の方たちには、東洋製罐グループがそうした部分にまで気を配っているということ、また社内の人には自分たちの日々の取り組みがそういった社会貢献に関わっているのだということが伝わるプレスリリースにしたいと思いました。

──社内に対する広報PRの意味もあるのですね。

長期経営ビジョンでは環境に関する話も出ていますが、2050年の話をされてもなかなかぴんとこない人が多いと思うのです。でも、実際は、CBRのように一見すると小さな取り組みに見えることであっても、世の中が少しだけかもしれませんが、変わったりします。当社の取り組みの何かを改善すると知らず知らずのうちに世の中の仕組みが変わっていくということはあるのだから、こういう取り組みをもっとしていこうよ、という思いも込めてこうしたプレスリリースを積極的に配信するように心がけています。

モノづくり力を生かし、個のニーズにも対応

──個々のニーズを敏感にキャッチする力は、会社としての文化や経営方針として醸成されてきたものなのでしょうか。

弊社は1917年の創業ですが、当初は日本の国力を上げるために海洋資源の輸出産業をやっていこうということで製缶事業に着手したり、高度成長期にはレトルトパウチを作ったりして、女性の社会進出の一助になったという感じで、その時々の社会課題を見つめながら事業を拡大してきました。

そうした考え方というのは実はあまり変わらないのです。社会課題を見つめて解決していくというのは当社としては普遍的な考え方なので、課題や困りごとに対する解決策を提案していくというスタイルは今も昔も変わっていないと思います。

──他社とのコラボレーションや個のニーズに対応するなど、新しい取り組みも積極的に行っているんですね。

最近では、食品や飲料製品のレシピ開発から製品化までを、少量からトータルでサポートする「Future Foods Labo-ふふら-」というサービスを新たに立ち上げました。横浜市にある東洋製罐のテクニカルセンターが手がけるサービスで、食品や飲料のレシピ開発から少量試作までを食品は1個、飲料は1ケース(24本)の少量から行うことができるというものです。

例えば、容器に入れた食品を殺菌するのに、レトルト(加圧加熱殺菌)という方法がありますが、牛肉などの場合は熱を加えるとどんどん固くなっていってしまいます。ですが、当社のノウハウを使うことで、柔らかさを保つことが可能です。そうした技術を活用し、一般向けの商品を柔らかくして、高齢者にも食べやすく加工したり、余った食材を他の形で売ったりということもできます。

実際に、多摩のジビエ関係の顧客と、ジビエの肉を「ふふら」で加工し、柔らかく食べやすいように販売しているところもあるんですよ。

参考:「ちょっとつくってみたい」を実現するサービス-「FOODEX JAPAN 2023」に「Future Foods Labo. -ふふら-」が出展2023年3月7日~10日、東京ビッグサイト

──街の飲食店の方たちにも参画しやすいサービスだと思うのですが、大手ブランドだけでなく個に向けてターゲットを広げようと思ったのはなぜですか。

やはり、個のニーズに対応できるさまざまなモノづくりの技術を持っていることが大きいと思います。以前から製品のテストパックをテクニカルセンターで行っていたのですが、「ふふら」はそうしたノウハウを広いところに展開できないかということで始まったサービスです。

かつては大量生産・大量消費の時代で、弊社でも個々の細かなニーズを掴み切れていない部分もあったのですが、今は世の中全体がそのような形にシフトしているので、そこにいかに対応していくのかというのが普通の流れになっているのだと思います。

SDGsを推進する広報PR活動

──遠藤さんは今回初めて広報PRの担当となったそうですが、これまでのご経歴とのギャップを感じることはありますか。

当部ができるまでは、環境や社会課題というのは、環境部やCSR部といった専門の部署で担当していたわけですが、「サステナビリティ」という言葉にしてしまうと、それはもうすなわち会社の経営そのものなんですよね。

経営理念の中で持続可能な社会を希求しているので、経営としてサステナビリティを推進していくということだと思うのですが、まだそれが一部の部署の担当と思われているところがあると感じています。そこをグループの経営のOS(オペレーティングシステム)に入れ込んでいくくらいのところまで持っていくというのが、私に課せられたミッションではないかと思っています。

とはいえ、私自身も実はそんなに環境やCSRに詳しくなく、専門的なことをいわれると、裏でこっそり勉強することもあります。でも本来はそれではダメで、一般の社員であってもある程度は環境や社会について理解して、自分の言葉で語れるような会社にしていかなくてはいけません。そのためにも、社内の広報PRというものが大切になってくるのだと思います。

私が所属しているのは、「サステナビリティ推進部」であって、「サステナビリティ部」ではありません。推進部というからには、推進して浸透したあとは、広報PRだけを残してまた違う役割を担っていくのではないでしょうか。推進というのはそういう役割なのではないかと思っています。

──SDGsの推進の役割を担っているわけですね。

SDGsの「持続可能な社会を実現する」という部分は弊社の経営理念にも入っています。そこから引き継がれた長期経営ビジョンを実践していくための取り組みをしていることを、広報PR活動を通じてしっかり伝えていくことが、結果的にSDGsの実現につながるのではないかと思っています。

東洋製罐グループホールディングス株式会社インタビュー02

広報PR活動として発信しやすいコラボ企画

──最後に、製造メーカーの方々がこれから広報PR活動に取り組む場合、発信したほうがよいことや、始めやすいことなどはありますか。

中小企業の製造メーカーですと、例えば経済産業省所管の独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する「ジェグテック」という、中小企業と国内外の企業を結ぶビジネスマッチングサイトがあるんですが、そのようなところでコラボレーションした取り組みを、プレスリリースで配信していくのもひとつの方法だと思います。コラボレーション相手である企業のネームバリューが強ければ、なお効果的ですよね。

実際に商売になったことを配信することで、ほかの企業がそれを見て「こういう取り組みいいね」「うちの会社でもやってみよう」という話につながっていくのではないでしょうか。特に、広報PRに会社が積極的ではない場合には、言い方は生々しいですけど、実利につながったというようなきっかけがあったほうが、「広報PRをやったほうがいいね」という流れになるのではないかと思います。

今回の事例のポイント

  • 社会課題に対する取り組みを伝える広報PR活動
  • プレスリリース配信は社内に向けた情報発信の側面も
  • 自社の活動や成果を一般の人にもわかりやすく伝える

長い歴史の中で培われた高い技術と豊富なノウハウを生かし、新しいサービスを積極的に展開する東洋製罐グループホールディングス株式会社。

環境や社会の課題を解決するために行われているさまざまな取り組みを、広報PR活動によって伝え、社外だけでなく、共に働く仲間をも鼓舞する熱量の高い情報発信に今後も注目です。

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