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生活者の声・調査データをもとに「多様な価値観」に応え、共感を育む広報PR|パナソニック株式会社

2025年8月、パナソニックは単身世帯やふたり暮らしといった「小世帯」の暮らしに寄り添い、「コンパクトなのに上質で心地よく過ごせる家電」を発表。多様化する生活スタイルに即したストーリー性のある広報PR活動として、反響を呼びました。

本記事では、同社の広報PRを担うパブリックリレーションズチームの多田薫子さんにインタビュー。企画立ち上げから発表に至るまでにどのように進めてきたのか、話題が生まれた背景にある「生活者の声」とその集め方などを伺っています。

パナソニック株式会社(東京都港区):最新プレスリリースはこちら

パナソニック株式会社 デザイン本部 コミュニケーションデザインセンター メディアプランニング部 パブリックリレーションズチーム

多田 薫子(Tada Kaoruko)

パナソニック株式会社に新卒で入社。美容家電やオーラルケア商品、メンズシェーバー等の商品PRやテレビ局広報横断窓口の担当を経て、2025年より国内家電全体のサービス・流通に関わる事業広報や、生活者視点で社会課題・くらしに役立つテーマのPR企画を担当。日々、メディア発表会の企画運営やプレスリリースの作成、露出分析、取材対応などを行う。

社会背景を捉えた「小世帯に寄り添う家電」で共感を獲得

──本日はよろしくお願いします。早速ですが、多田さんが所属されている「パブリックリレーションズチーム(PRチーム)」について、どのような部署か教えていただけますでしょうか。

よろしくお願いします。私たちPRチームは、宣伝やデジタル広告などの運用も行う「コミュニケーションデザインセンター」に所属し、国内家電のBtoC広報を担っています。

コミュニケーションデザインセンターのミッションは「パナソニックを次の100年も選ばれ続けるブランドとして確立する」ことです。そのためPRチームも、商品のプレスリリースや発表会などを広報PR活動のベースとしつつ、パナソニックブランドを軸とした生活者視点でのストーリーを設計し、メディアに合わせて最適な切り口でアプローチする戦略的な広報PRを行っています

体制としては、各商品の広報PRを担う「カテゴリユニット」と、国内家電に関わる事業広報や生活者視点を軸とした企画を推進する「横断ユニット」の2つに分かれています。私はカテゴリユニットで、ドライヤーや美顔器などのパナソニックビューティ商品と、オーラルケア商品やメンズシェーバーなどパーソナルケア領域の商品の担当経験を経て、今年の4月より「横断ユニット」に異動しています。

──広報PRの方法に違いなどを感じることはありましたか。

そうですね。ビューティパーソナルケア領域では、どうしても「美容」「健康」を軸とした発信にとどまることが多かったのですが、横断ユニットでは国内家電全般を担当するためパナソニックを主語にした発信が中心です。今年8月に発表した「小世帯向け家電」のような取り組み、生活者の課題に寄り添った発信など、より「生活者起点」で考えることが色濃くなったと感じます。

──「小世帯向け家電」の企画が話題になっていましたね。PRチームの皆さんはいつごろから動き始めたのでしょうか。

2024年6月ごろからです。単身世帯やふたり暮らしが増えているという社会背景がある中で、経営者からの「小世帯向けの商品を束ねて面として発信してはどうか」という提案をきっかけに、スタートしました。

今回発表した7つの商品にはそれぞれに商品のコンセプトがあり、開発までの思いがあります。それをどのように「小世帯」というテーマでひとつのストーリーにまとめるのか、どのようにお客さまに伝えていくのか。関わる人たちの思いを丁寧に汲み取りながら、社内のプロジェクトメンバーとブレストを重ねて方向性を探り、最終的にひとつの大きなストーリーにまとめていきました。

参考:小世帯のくらしに寄り添う“コンパクトなのに上質で心地よく過ごせる家電”を提案

──発表に至るまでの過程で、多田さんがもっとも苦労されたことや大変だったことは何でしょうか。

そうですね。単身やふたり暮らしといった小世帯が増えていたり、都心部では住宅の面積がどんどん小さくなり、狭小住宅も増加している。そうした背景を踏まえつつ、小世帯に向けた7商品をどう束ねて、いかに価値が浮き彫りになるストーリーを作るか、という点でしょうか。

「商品の機能が優れています」というだけでは、メディアには取り上げられません。そこで、小世帯の方々が実際にどんな暮らしを求めているのかという声を集め、「小世帯の暮らしで大切にされている3つの価値観」を導き出し、その価値観に応える形で7つの商品を提案するというストーリーを組み立てました。

プレスリリースでは、小世帯の暮らしに合う家電で「シンプルで上質な小さいくらしを送りたい」と回答した人が約85%にのぼることを明らかに。一方で、従来の小世帯向け商品については「必要な機能が十分に備わっていない」と感じる生活者も多いのではないでしょうか。単にコンパクトだったり、シンプルすぎたりすることなく、上質さや価値ある機能が求められている結果を伝え、「小世帯向け家電」の期待を裏付けています。(PR TIMES 取材担当者より)

──私も発表されたプレスリリースを興味深く拝見したひとりです。その後、どのようにメディアに取り上げられているのかが気になり検索してみたのですが、実にさまざまな切り口で取り上げられていましたよね。

ありがとうございます。プレスリリースがきっかけでいくつかの取材にもつながりましたし、世の中の流れを捉えた発信ができたことを実感しています。

私たちの強みは、総合家電メーカーとして幅広いラインナップを持ち、暮らしのいろいろな場面に寄り添える総合力です。高品質なものづくりや、購入後も安心して使っていただけるサポート体制もある。お客さまやメディアがそのような「安さよりも上質」という部分に価値を感じてくださったことは嬉しかったですね。販売店さんからも「小世帯向けのコンセプト発表を見たよ」という声をいただき、タイムリーなテーマに沿って商品展示ができることに対して好意的な意見を多くいただき、励みになりました。

その一方で、単身者やふたり暮らしの増加についてはもっと前から言われていて、「今回の発表は少し遅かったのでは」という声があったのも事実です。その点は真摯に受け止めています。今後はより早く社会の変化を捉え、お客さまの声や生活者の動きを先取りする取り組み、発信をしていきたいと思っています。

「生活者の声」を軸にストーリーを設計

──実際に生活者調査を実施してみて、意外な結果になったものはありましたか。

調査設計の段階で、社内メンバーとブレストを重ねたこともあり、ある程度予想どおりの傾向になったと思います。「自分時間」を優先した高い「タイパ」ニーズや、食材を無駄なく最後まで「食べきれる」こと、健康を意識した「自分のからだと向き合う」ことなどが重視されるだろうという仮説をもとに調査設計を行いました。結果、「最後までおいしく食べきれる」「時間と空間にゆとりを作る」「自分のからだと向き合う」という小世帯の求める「3つのくらし」の価値を編み出すことができています。

また、「家電に求めること」に関する調査では、「安心して長く使えるメーカーのものを選びたい」という回答がもっとも多く得られていました。「安くてすぐに買い換えること」よりも「暮らしに根ざして長く使い続ける」ことを重視している表れと捉えています。「パナソニックは安心」という信頼性の高さは私たちの大きな強みなので、しっかりと価値を提案していきたいですね。

パナソニック株式会社 インタビュー01

さまざまな選択肢を提供し「心地よい社会」を実現したい

──「社会に提案する」。PRチームの役割ですね。

そうですね。広報PRの役割は人々の多様な暮らしや価値観に寄り添い、企業として、いち人間としてどのようなお役立ちができるかを社会に伝えていくことだと思います。

──それでは、多田さんが広報PR活動を行ううえで、大切にされていることは何でしょうか。

私は、それぞれの価値観が尊重され、心地よく生活できる社会に貢献したいと考えています。「パナソニックであれば実現できる」というのが、入社理由のひとつなんです。

パナソニックでも、以前は「4人家族」をモデルケースとして描くことが多かったのですが、今はひとり暮らしやふたり暮らし、結婚にとらわれないパートナーシップなど、多岐にわたる暮らしの形に寄り添った提案をしています。また、美容や美しさといった価値観もかつては女性に向けた提案が多かったですが、今は性別や年齢を問わず多くの方が楽しむものになっていますよね。

そうした世の中の変化に合わせ、共感を持ってもらえるよう取り組み、一人ひとりの多様な選択肢を支え、それを社会に伝えていくことが求められていると考えます。

またこれからも「くらしのさまざまな選択肢」を生活者と共に見つけていきたいなと思っています。生活者一人ひとりの課題や困りごと、例えば防犯・防災に関するものや犬猫の保護など、さまざまな社会課題に対して、「パナソニックだからこそできることは何か」を考えて行動していきたいです。それが結果的には、パナソニックが「次の100年も選ばれ続けるブランドになる」ことに寄与できるのではないかと考えています。

パナソニック株式会社 インタビュー02

まとめ:多様化するくらしに寄り添い、選ばれ続けるブランドに

1918年の創業以来、社会のさまざまな課題に向き合いながら新しい価値観を世の中に届けてきたパナソニック株式会社。多田さんのインタビューを通して見えてきたのは、同社のパブリックリレーションズチームが「くらしの視点」を大切にしながらストーリーを紡ぎ、ブランド価値を高め続けている姿でした。

社会背景や生活者の声を丁寧に拾い上げ、社内外の多様な視点をつなぎ合わせて形にすることで、人々の共感を呼ぶコミュニケーションを実現。社会の変化に寄り添う柔軟さと、「次の100年も選ばれるブランドへ」という使命感の両輪が、パブリックリレーションズチームの活動を支える原動力になっていそうです。

また、あらゆる分野で業界をリードしている印象があった同社ですが、「追われる立場のプレッシャーを感じることは」という質問に対し、「さまざまな強みをもった企業が増えている中で後れを取らないように努力していきたい」という回答。時代に合った広報PR活動が今後も楽しみです。

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この記事のライター

PR TIMES MAGAZINE執筆担当

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『PR TIMES MAGAZINE』は、プレスリリース配信サービス「PR TIMES」等を運営する株式会社 PR TIMESのオウンドメディアです。日々多数のプレスリリースを目にし、広報・PR担当者と密に関わっている編集部メンバーが監修、編集、執筆を担当しています。

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