さまざまな形態のスパ運営と化粧品開発・販売を軸に事業を展開する、株式会社ザ・デイ・スパ/株式会社ザ・デイ・スパオペレーション。「Body, Mind, Spiritを満たす」をミッションに掲げ、心身の癒やしと自分らしさを取り戻す時間を提供しています。
コロナ禍では、飲食業界や観光・旅行業界と同様に大きな影響を受けたという同社。これまで取り組んできた広報PR活動が行えなくなったことで、新たな戦略に舵を切ったそうです。時代の空気を敏感につかみ、顧客ニーズの変化に合わせた広報PR戦略とは──。
本記事では、同社代表取締役の河﨑多恵さんと、スパ事業セールス部 部長の田中千代美さんにインタビュー。広報PR活動のターニングポイントや、効果につながっている活動についてお話を伺いました。
株式会社ザ・デイ・スパ(大阪府大阪市):最新のプレスリリースはこちら

株式会社ザ・デイ・スパ/株式会社 ザ・デイ・スパ・オペレーション 代表取締役
高校・大学をアメリカのカリフォルニア州にて過ごす。大学ではビジネス経済を専攻し、卒業後帰国。その後、台湾留学中にアメリカ系スパ化粧品会社にてスパ運営のノウハウを伝授される。現在は、株式会社The Day Spaの代表取締役として、様々な大規模なスパプロジェクトを手掛けている。

株式会社 ザ・デイ・スパ・オペレーション 執行役員 スパ事業セールス部 部長
大阪を拠点に、全国のスパ施設の運営・売上戦略を統括し、スパコンサルティング事業にも携わる。大手証券会社でのキャリアを経て、セラピストとしてホテルスパに従事。その後、トレーナーやマネジメントの経験を重ね、現在は同社勤務21年目。ファイブスターホテルでの豊富な現場経験と、現場に寄り添う誠実な姿勢で、スパ業界の発展に貢献している。
自ら変化点をつくり、よりパブリックな情報発信へ
──本日はよろしくお願いします。早速ですが、御社の事業について詳しく教えていただけますでしょうか。
河﨑さん(以下、敬称略):はい、よろしくお願いいたします。私たちは、ラグジュアリースパをはじめとするさまざまな形態のスパ運営と、化粧品開発・販売という2つを柱に事業を展開しています。全国に12店舗展開するスパの多くはホテル内にあり、ホテルとの連携を通じて、競争の激しい市場でいかに注目を集め、独自の魅力を発信できるかを常に考えています。
特にコロナ禍を経て、健康やウェルネスに対する意識が高まっている今だからこそ、ホテルでの滞在とスパを組み合わせた新しい過ごし方を提供できないかと、いろいろな試みを行っているところです。実際にホテルに足を運んで、現地で感じたことをもとに、新しいコンセプトを取り入れながらホテルの担当者の方と一緒に宿泊プランを企画することも多いですね。
──現場の情報を大切にされているんですね。こうして企画された情報は、どのようなチームやメンバーで進められているのでしょうか。
田中さん(以下、敬称略):スパ事業セールス部の中にPRチームがあり、私はその中でチームの責任者を務めています。年間を通した企画の立案をはじめ、情報発信の方向性の決定、新商品の発売時期から逆算したプレスリリース配信の調整など、マーケティングプロモーションの動きとも連携しながら広報PR活動の全体の流れを考えるのが主な業務です。
私自身、ザ・デイ・スパの事業に関わってきた年数は長いものの、PRチームの責任者になったのは1年ほど前なんです。今はまさに「新人広報PR責任者」として、会社の魅力を正しく、そして効果的に届けることを目指して試行錯誤しながら取り組んでいるところです。
PRまでを思い描いた企画づくりを
──ホテル側と一緒に宿泊プランを企画されるということですが、その際に大切にしていることなどありますか。
河﨑:私たちにとって、「地域」と「年齢層」はとても大切な要素です。例えば、沖縄への旅行を想像してみてください。沖縄ならではの美しい海での体験やリゾート感を期待するのではないでしょうか。このように、訪れる土地ごとに求めるものが異なります。だからこそ、地域の特性やどんなお客さまが訪れるのかを踏まえずにプランを考えることはできません。
「この年代の方にはこういうプランが響くのではないか」「このキーワードを使うと興味を持ってもらえるのでは」など、PRすることまでを想定して考えています。
田中:また、リゾートでの滞在時間は長く、ホテルの特性もかなり重要になってきます。例えば、「温泉が素晴らしい」「地の食材にこだわっている」などホテルによって魅力や強みは異なるので、「このホテルが持っている強みって何なんだろう」「お客さまはそれをどう楽しみにしているんだろう」というところをしっかり見て、そこからスパのプロモーション内容を考えるのも大切にしていますね。
──広報PRに取り組んできた中で、今につながるような方向転換のタイミング、転機になるような出来事はありましたか。
河﨑:コロナ禍が大きなターニングポイントになったと感じています。それ以前は、新しい化粧品が出るたびに商品を持ってメディアキャラバンを行い、旅行や美容系の雑誌の編集担当の方や、美容ジャーナリストの方に直接情報を届けていました。プレスリリースもそのキャラバンの中で見ていただくスタイルで、私たち自身が書くのではなく、外部のプロのライターさんにお願いしていたんです。
ところがコロナ禍で状況が一変しました。リゾートに関する情報は発信の機会がほとんどなくなり、またキャラバンにも出られず、これまで行ってきた広報PR活動ができなくなってしまったんです。さらに、SNSの普及によって、情報がよりパブリックに開示される時代になっていることも実感しました。
「このままではダメだ」と感じ、広報PRのあり方を見直すことにしたんです。社内でプレスリリースの作成から配信までを行える体制を整え、私たちの情報をもっと広く届けようと、PR TIMESを利用するようになったのもこの頃からです。

お客さまのニーズを素早くとらえて応えていく
──コロナ禍前後でスパを利用するお客さまの行動にも変化があったのではないでしょうか。
河﨑:かなり大きく変化したと思います。例えばコロナ禍前はご家族やご友人同士で1泊2日の旅行で温泉や食事を楽しんで、スパでリラックスして翌日帰るという定番のスタイルがありました。人気のリゾートホテルで質の高いサービスや体験を提供することで、お客さまにお越しいただくことができたんです。ところが、コロナ禍以降はお客さまのニーズはどんどん個人化して「今、自分が行きたい場所」「自分に合った滞在スタイル」が重視されるようになっていると感じています。おひとりでの滞在も増えていますね。
また、コロナ禍を機に、お客さまの年齢層に変化がありました。平日のお客さまは主にゆとりある暮らしを楽しむシニア世代が中心でしたが、「感染症が流行っているから、今回はやめておこう」と外出を控える方が増えました。一方で、働き世代の人たちは働き方が多様化したこと、以前と比べて平日に休みを取りやすくなったことで、これまでは土日や連休しか動けなかった人たちが平日にも旅行できるようになってきています。今後は平日に働く世代の方々をいかに取り込めるかが生き残るカギになるのではないでしょうか。
「伝えたい」ではなく「相手が知りたい」を発信
──ここからは、プレスリリースについてもお話を伺いたいと思います。配信後に予想外の反響があったものなど心に残っているエピソードがあればぜひ伺いたいです。
河﨑:新潟県にある「赤倉観光ホテル」のプランは広報PRの力を実感した事例のひとつです。1937年の創業以来、上質な高原リゾートとして愛され続けてきたリゾートホテルでしたが、当時は今ほど知名度は高くなかったと思います。
しかし、自然も温泉もホスピタリティも素晴らしく、もちろん私たちのスパも自信を持っていました。プレスリリースの配信やプレスツアーなど積極的に広報PR活動をしたことで、多くの方々にホテルの存在を知っていただけるようになりましたし、それらを継続することで多数のメディアにも取り上げていただいています。

参考:【赤倉観光ホテル ・Heavenly View Earth SPA】標高1,000mの絶景、「天空のウェルネスステイ」誕生
田中:反響やコンタクトが多かったプレスリリースというのは、やはりキーワードが響いたのかなという印象があります。例えば、今年3月に配信した、ハイアットリージェンシー東京の中にあるスパ「SPA+WELLNESS Joule」で、新たなシグネチャープログラムを発売するという発表は、今注目されている「ウェルネステクノロジー」というキーワード、日本独自の美学や哲学とテクノロジーの組み合わせの意外性がフックとなり配信直後から複数の問い合わせが入るほど大きな反響がありました。

参考:【ハイアット リージェンシー 東京・SPA+WELLNESS Joule】 2025年4月1日㈫より、新たなシグネチャープログラムを発売!
──キーワードやメディアフックの設定は大切ですよね。そのほかにもプレスリリースを作成する際に、どのようなことを意識されていますか。
田中:「私たちが伝えたいことではなく、相手が知りたいことを伝える」という視点を持つことです。しつこすぎる説明をやめたり、反対にお客さまが知りたい情報をしっかり伝えたりすることを心がけています。
正直なところ、数年前までは問い合わせ件数も少なく、それほど手応えを感じられていませんでした。ですが、プレスリリース配信後の反応を確認し、次の配信に向けて改善を重ねるうちに、少しずつ手応えを感じられるようになってきました。言葉選びや見せ方を意識することで伝わり方が大きく変わるんだなと実感しています。
また、PR TIMESでほかの企業のプレスリリースを拝見していて、「このプレスリリースはわかりやすくていいな」と、日々勉強させてもらっています。
河﨑:あとは、検索エンジンの結果でも上位に表示されることもあり、メディアの方だけでなく、生活者の方々も見ていますよね。そのため、私たちのプレスリリースはメディアや既存のお客さまだけを対象にするのではなく、これから来ていただきたい多くの方に刺さるキーワードやプラン内容を意識することが大切だと考えています。
田中:「リゾート」というと気軽には足を運びにくいと思われがちなので、プレスリリースを配信する際には写真や文章などを社内で検討しながら「行ってみたい」と思っていただけることを心がけていますね。
即効性だけでなく効果の「種まき」としてのプレスリリース
──御社のプレスリリースは、ホテルのプランやイベントの開催、事後レポートなど多岐にわたって配信されている印象です。プレスリリースを配信する際の基準などがあるのでしょうか。
田中:私たちの会社はスパと化粧品開発・販売の2つの事業を軸にしていますが、新しいメニューや新商品の発売など新規性のあるものは、基本的にプレスリリースを配信します。特に化粧品の場合は、メディアの方から後々お問い合わせをいただくことも多く、その際に過去のプレスリリースをお渡しするとやりとりがスムーズに進むので、できる限り出すようにしていますね。
──イベントの事後レポートを出すのは難しいと感じている企業も多いと思いますが、御社は「グローバルウェルネスデイ」のイベントレポートなど、積極的に配信されていますよね。
河﨑:グローバルウェルネスデイは、世界100カ国以上のボランティアによって支えられているトルコ発祥のソーシャルムーブメントなんですが、説明が難しいところもあって。興味はあるけれど実際に何をしたらよいのかわからないという方も多いんです。
そこで、私たちが「こういうことをしました」「こんなインパクトがありました」という内容をまとめてプレスリリースを作成することで、「来年は私たちもこんなことをやってみよう」と参考になると思い、配信しています。
──次年度の開催発表、募集の際に役立つということですね。
河﨑:そうですね。実際にプレスリリースを見た方が参加してくださることもあり、配信の効果は一定数あると感じていますし、「未来の種まき」という意味で配信する意義はあるかなと思っています。

参考:グローバルウェルネスデイ2024イベントレポート!自然とのつながりから考えるウェルネス
──たくさんのお話をありがとうございます。最後に、これから取り組んでいきたいことや、思い描いていることをお伺いできますか。
河﨑:私たちの会社は、「Body, Mind, Spiritを満たす」を一番のミッションとして掲げています。それはお客さまに対してはもちろん、従業員に対しても同じで、ウェルネス企業であり続けるというビジョンに基づき、「時代に合わせて常に一番良い状態でいたい」と考えているんです。
私たちのサービスは常にウェルネスな状態であり、それを提供している私たち自身もベストな状態でなければ、お客さまを一番良い状態に持っていくことはできないので、そこを軸にして今後も試行錯誤しながらやっていきたいと思っています。
田中:PRチームとしては、さらに事業の売り上げにつながる広報PR活動をしていきたいですね。私たちが自信を持っている体験価値や商品の魅力を発信し、それが実際にお客さまに届き、売り上げに着実につながる。そのような形で実績を積み重ねていきたいと思います。

まとめ:ザ・デイ・スパに学ぶ、時代に応える広報PR戦略
広報PRの在り方を見直し、より多くの人々に向けた開かれた情報発信へと舵を切った株式会社ザ・デイ・スパ。河﨑多恵さんと田中千代美さんのお話からは、「Body, Mind, Spiritを満たす」というミッションを軸に事業に向き合う熱い思い、そして「今、何が求められているのか」を冷静に見極め、誠実に応えていく姿勢が感じられました。
- 「伝えたいこと」ではなく「相手が知りたいこと」を軸にプレスリリースを作成
- プレスリリースは即効性だけでなく、将来の成果につながる「種まき」としての役割も意識
- 企業理念やミッションを軸に、一貫したメッセージでブランドの魅力を発信
時代の変化に合わせて手法を見直し、柔軟により効果的な方法を取り入れる同社の広報PR活動は、業界を問わずさまざまな企業にとって大いに参考になるのではないでしょうか。
話題に挙がった「Global Wellness Day 2025」についても取材後に発表されました。「Body, Mind, Spiritを満たす」というミッションのもと、人に寄り添う姿勢を貫く同社の今後の広報PR活動に注目です。
参考:2025年6月14日(土)に開催!世界規模のウェルネスイベント「Global Wellness Day 2025」参加企業・個人を募集!
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