J.D. パワー 2024年カスタマーセンターサポート満足度調査℠<EC・通販業界編>

コールセンター満足度向上の一方、停滞が見られるチャットサポート満足度

J.D. パワー

 CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である株式会社J.D. パワー ジャパン(本社:東京都港区、代表取締役社長:山本浩二、略称:J.D. パワー)は、J.D. パワー 2024年カスタマーセンターサポート満足度調査℠<EC・通販業界編>の結果を発表した。


 本調査はEC・通販業界におけるカスタマーセンターサポートの利用者満足度を調べるもので、今回で3回目の実施となる。「総合ECサイト」、「テレビ通販」、「カタログ通販」の3業態を対象に、「コールセンター」、「オペレーターによるチャットサポート(有人チャット)」、「自動応答によるチャットサポート(AIチャットボット)」、「メール問い合わせ/問い合わせフォーム」、「FAQ(よくある質問)ページ」の満足度について聴取している。


コールセンター満足度は継続的に向上 

 本年のEC・通販業界全体の総合満足度は、前回調査(2023年10月発表)から-3ポイントの696ポイント(1,000ポイント満点)とほぼ同水準となったが、サポート機能別に見ると、コールセンターの満足度は前年比+13ポイントと向上が見られた。総合満足度を構成する全4ファクターのうち、特に「問題の解決や対応に要した時間」と「利用のしやすさ」のファクターで前年比での向上幅が大きいことがわかった。また、調査対象となった企業のうち、半数の企業*¹ で、コールセンター満足度が前回から向上しており、多くの企業が改善に取り組んでいる様子がうかがえる。なお、コールセンター満足度は、本調査を開始した2022年以降、2年連続で10ポイント以上の継続的な向上となった。

*¹ サポート機能としてコールセンターの提供がある企業14ブランド中7ブランド。


満足度の低下が見られたチャットサポート

 コールセンターの満足度は上昇傾向にある一方、オンラインサポート*² の満足度は、前年から-12ポイントの低下となり、特に「オペレーターによるチャットサポート(有人チャット)」で-29ポイント、「自動応答によるチャットサポート(AIチャットボット)」で-15ポイントと、チャットサポートで満足度の低下が見られた。

本調査では、問い合わせ用件の解決に要した労力を聴取し、労力レベルを高負担、中負担、低負担に分類しているが*³ 、有人チャット利用者では「高負担」と感じた割合が前年比で5ポイント増加した。有人チャット利用時の経験では「回答や説明がわかりやすかった」、「問い合わせの内容はすぐに理解された」、「あなたの用件に対して十分な知識をもって説明していた」といった項目を中心に低下が見られ、オペレーターとのコミュニケーションの中で手間取ったことが、負担感の増加、満足度の低下につながったと考えられる。

 また、AIチャットボットは負担感に大きな変化は見られなかったものの、利用時の経験では「何回も質問を入力せずに、目的の用件に合った問い合わせ内容の選択肢が提示された」、「あなたの知識や理解度にあった回答となっていた」、「提示された回答の情報量は十分だった」と回答した割合が前年より減少しており、目的の用件に合った選択肢が示されにくいことや、情報量が不十分であることが、AIチャットボット利用における満足度の低下に影響したと考えられる。

 本年調査より、次回の問い合わせ時に優先的に利用したいチャネルと、そのチャネルを選択した理由を聴取しているが、コールセンターは「的確な回答を得ることができるから」、有人チャットは「手軽に/気軽に利用できるから」、AIチャットボットは「利用したい時間帯/タイミングで利用できるから」(いずれも47%)が最も多く、それぞれのチャネルを選択する理由には違いが見られた。

 有人チャットは、メッセンジャーアプリ同様にテキスト形式で気軽に利用できることが利点である一方、用件解決にあたりオペレーターとのコミュニケーションに負担感が感じられると、その魅力が薄れる可能性がある。また、AIチャットボットは時間帯を問わず、手軽に対話形式で回答を得られるという利点があるものの、検索精度が向上されないことでその利点が活かされない可能性もある。有人チャットとAIチャットボットは、今後も企業における導入率が高まっていくと想定されるが、これらのサポート機能の改善がユーザーの利用拡大につながり、コールセンターの負荷軽減と各企業のカスタマーセンターサポート満足度向上に重要な役割を果たしていくと考えられる。

*²「オペレーターによるチャットサポート」、「自動応答によるチャットサポート」、「メール問い合わせ/問い合わせフォーム」、「FAQページ」。


*³ 高負担は「非常に労力がかかった」と「労力がかかった」の合計、中負担は「やや労力がかかった」と「どちらともいえない」と「あまり労力はかからなかった」の合計、低負担は「労力はかからなかった」と「全く労力はかからなかった」の合計。


J.D. パワー 2024年カスタマーセンターサポート満足度<EC・通販業界編>No.1を発表

総合満足度ランキングは下記の通り。


【総合ECサイト部門】(対象5ブランド)

第1位:ヨドバシ・ドット・コム(721ポイント)

3年連続の総合満足度第1位。「利用のしやすさ」、「用件に対し提供された情報や回答内容の適切さ」、「説明の丁寧さ/応対の丁寧さ」、「問題の解決や対応に要した時間」の全4ファクターで最高評価。

第2位:Amazon、楽天市場(同点、678ポイント)

【テレビ通販部門】(対象4ブランド)

第1位:ジャパネットたかた(767ポイント)

「利用のしやすさ」、「用件に対し提供された情報や回答内容の適切さ」、「説明の丁寧さ/応対の丁寧さ」、「問題の解決や対応に要した時間」の全4ファクターで最高評価。

第2位:ショップジャパン(721ポイント)

第3位:ショップチャンネル(718ポイント)

【カタログ通販部門】(対象7ブランド)

第1位:ベルメゾン(743ポイント)

2年連続の総合満足度第1位。「利用のしやすさ」、「用件に対し提供された情報や回答内容の適切さ」、「説明の丁寧さ/応対の丁寧さ」、「問題の解決や対応に要した時間」の全4ファクターで最高評価。

第2位:ベルーナ(735ポイント)

第3位:dinos(731ポイント)

《J.D. パワー 2024年カスタマーセンターサポート満足度調査℠<EC・通販業界編>概要》

年に1回、直近1年以内にEC・通販サービスにおいて、困りごと解決や各種問い合わせ、情報収集でカスタマーセンターサポート*⁴ を利用した人*⁵ を対象に、利用状況や各種経験、満足度を聴取し明らかにする調査。

今回で3回目の実施となる。


■実施期間:2024年8月上旬~8月中旬 

■調査方法:インターネット調査

■調査対象:EC・通販サービスにおいてカスタマーセンターサポートを利用した人(20歳~74歳)

■調査回答者数:4,900人

(総合ECサイト部門:2,250人、テレビ通販部門:1,050人、カタログ通販部門:1,600人)


総合的な顧客満足度に影響を与えるファクターを設定し、各ファクターに関するユーザーの評価を基に1,000ポイント満点で総合満足度スコアを算出。顧客満足度を構成するファクターは、総合満足度に対する影響度が大きい順に、「利用のしやすさ*⁶ 」(28%)、「用件に対し提供された情報や回答内容の適切さ」(25%)、「説明の丁寧さ/応対の丁寧さ」(24%)、「問題の解決や対応に要した時間」(22%)となっている(カッコ内は影響度)。

*⁴「コールセンター」、「オペレーターによるチャットサポート」、「自動応答によるチャットサポート」、

「メール問い合わせ/問い合わせフォーム」、「FAQ(よくある質問)ページ」

*⁵ 既存顧客のみならず、見込み客からの問い合わせ等も含む

*⁶「利用のしやすさ」:問い合わせ先の見つけやすさ、利用できる時間帯、待ち時間、使いやすさなど


*J.D. パワーが調査結果を公表する全調査は、J.D. パワーが第三者機関として自主企画し実施したものです。


【ご注意】本紙は報道用資料です。弊社の許可なく本資料に掲載されている情報や結果を広告や販促活動に転用することを禁じます。


J.D. パワーについて:

米国に本社を置くJ.D. パワーは消費者インサイト、アドバイザリーサービス、データと分析における国際的なマーケティングリサーチカンパニーです。ビッグデータや人工知能(AI)、アルゴリズムモデリング機能を活用して消費者行動を捉える先駆者であり、消費者に関する鋭い業界インテリジェンスを提供してきました。J.D. パワーは半世紀以上に渡って、顧客とブランド・製品に関わり続け、主要産業における世界の大手企業から、顧客対応戦略の指針として信頼されています。

J.D. パワーは、北米、ヨーロッパ、アジア太平洋にオフィスを構えています。事業内容の詳細については、https://japan.jdpower.com/jaをご覧ください。

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会社概要

URL
https://japan.jdpower.com/ja
業種
サービス業
本社所在地
東京都港区虎ノ門5-1-5 メトロシティ神谷町8F
電話番号
03-4570-8445
代表者名
山本 浩二
上場
未上場
資本金
-
設立
1990年10月