憧れを持ったまま年を重ねてきた人の『表現するスイッチ』を再び押したい－

そう語るのは、LOST+FOUND（ロストアンドファウンド）株式会社 代表取締役の植松 和典氏。ファッションや音楽、生き方など個々のライフスタイルを「暮らし」にも反映させることをめざし住宅内装品を企画開発するロストアンドファウンドと、カーサ・プロジェクト株式会社の２社により、内装スタイル提案サービス『rozzo style（ロッツォスタイル）』の共同開発が進行中です。

テーマ毎にテイストの異なる床や壁などの内装建材、オリジナルキッチンに加え、照明や家具、雑貨がパッケージされた５つのスタイルを展開。今回は、カーサ・プロジェクト株式会社 取締役 佐藤 共之とともに『rozzo style』開発にかける想いを語っていただきました。

「グランデブル」スタイル

■ 自分らしい暮らしを見つけるための暮らしのベース提案

Q.カーサプロジェクトとLOST+FOUNDのコラボ企画『rozzo style』について教えてください

casa 佐藤

「『rozzo style』は、５つのスタイルに基づいた内装建材+アルファのスタイル提案サービスです。注文住宅はもちろん、中古住宅や中古マンションのリノベーションにもご利用いただけますし、DIY可能な賃貸住宅への需要も見込んでいます」

『rozzo style』の暮らし

1. モンターニヤ…遊びの効いたアウトドアスタイル
2. グランデブル…自由と海が似合う暮らし
3. クラッシカ　…正統派な暮らしを楽しむスタイル
4. ヴィッラ　　…週末のカントリーライフを楽しむような寛ぎのスタイル
5. ウルバーナ　…シンプルに美しく暮らすスタイル

「グランデブル」内装建材一部

LOST+FOUND 植松

「『rozzo style』は、建材や家具・雑貨などがパッケージされてはいますが、あくまでも“暮らしのベース”を提案することで、そこから“自分色の暮らし”をつくっていただく事をめざしています。

家を建てようとする時、０から組み立てるのが好きな人もいれば、土台がある事で「こうしたい、ああしたい」とアイデアが浮かぶ人もいると思います。実際、後者の方が多いのではないでしょうか。

たとえば「モンターニヤ」というスタイルは、山歩きやキャンプなど、アウトドアを楽しむ暮らしをイメージしています。自然の色合いを取り入れた内装部材や、楽しみながら旅の準備ができるワークテーブルなどを使いながら、自分なりにカスタマイズした暮らしを実現していく事ができます。

『rozzo style』は５つのスタイルを背景に、暮らしのきっかけが住宅の中に見えている、いわば“好きを表現できる箱”だと言えます」

「モンターニヤ」スタイル

Q.プロの審美眼が入ったインテリアや内装材は、住まう人にどのような事をもたらすでしょうか？

LOST+FOUND 植松

「私たちロストアンドファウンドは関連ブランドと共に、フルオーダー・レディメイド（既製品）・オリジナル雑貨と、およそ30年に渡りユーザーの思いを具現化してきました。中には、服屋・美容師など異業種の若いメンバーもおり、今の人たちが求めるものを考えながら商品開発をしてきた実績があります。

これらは押し付けではなく、住まう人の『こういう暮らしがしたい』という暮らしの目的を見据えた上でのバックアップの部分だと捉えています。このベースの存在は、真っ白なところから色を足していくのとは、大きく違ってくるのではないでしょうか。

『rozzo style』という暮らしのベースでワクワク感を提供することで、住まう人が“自分らしさ”を表現するスイッチを押し、自分なりの暮らしを楽しんでいただけたらと思います」

ロストアンドファウンド 植松氏、カーサプロジェクト 佐藤

■ 大人が置き忘れてきた“自分らしさ”を表現するスイッチをふたたび押す存在になりたい

Q.『rozzo style』の企画・開発に至った経緯を教えてください

casa 佐藤

「カーサプロジェクトが手がける規格住宅「casaの家」に、casa rozzo（カーサロッツォ）という商品があります。家の完成がゴールではなく、casa rozzoを人生づくりに対する背景として置き、自分らしい暮らし方への行動のきっかけにして欲しいと、こちらも植松さんと共に企画・開発しました。あらかじめ暮らしのベースがあることで、家づくりの打合せ時間も通常の10分の１と時間の効率化にも繋がっています。

casa rozzo イメージムービー

開発中の『rozzo style』は、そこから内装スタイル提案の部分を抽出したサービスです。内装スタイル提案を独立させる事で、戸建てだけでなくマンションや一部の賃貸住宅にも応用ができます。また汎用性を持たせることで、よりたくさんの人が“自分らしさ”のスイッチを押せるようになると考えています」

Q.どのような方に『rozzo style』を利用して欲しいですか？

LOST+FOUND 植松

「私たちの社名である『LOST+FOUND』には『遺失物取扱所』という意味があります。海外では実際に駅などの看板に載っている言葉で『置き忘れたもの、なくしたものを探しにいく場所』という意味合いがあります。

かつて持っていた意識・憧れていたことを、いまの大人たちの大半はどこかに置き忘れている。子供の頃に思い描いた“自分らしさ”を、いい大人になる過程で、社会のどこかに置き去りにしてしまっている。それらを探し出すきっかけとして、“自分らしさ”を表現するスイッチをふたたび押すためのベースとして『rozzo style』が存在できたらと思っています。

一般的な家づくりは20代30代の若い方が多いですが、『rozzo style』はリノベーションにも適していますので、暮らしに対する憧れを持ったまま年を重ねてきた方たちにも響くと嬉しいですね。『rozzo style』をベースに、自分色の暮らしに変えていって欲しいです」

「グランデブル」スタイル

■ 暮らしに注力することで得られる『生きがい』や『やりがい』は人生を豊かにする

Q.自分らしさ探しの“きっかけ”でありたいと願う『rozzo style』ですが、植松さんにとってインテリアとはどのような存在ですか？

LOST+FOUND 植松

「私個人として考えるインテリアは、心地よい時間を過ごすことができる背景です。心地よい背景をとおして聴こえてくる音楽は、必然的に心地よいと感じるものだと思います。自分にとっての心地よさを求めていくことがインテリアだと考えます」

Q.では、植松さんが考える『暮らし』とはどういうものでしょうか？

LOST+FOUND 植松

「やりたいコトややりたいモノに対して、時間をとる暮らしができること。 暮らしに注力することで得られる『生きがい』や『やりがい』は、人生に豊かさをもたらすと考えています。

北欧は、幸福な国として常に上位にランクインしています。北欧の暮らしこそ、インテリアを通した豊かな暮らしだと思っています。ヒュッゲな暮らしと言われるものですが、実はこのヒュッゲな暮らしは、ロストアンドファウンドがやり続けてきた事と同じでした。北欧では、その実績があります。

日本はまだまだインテリアへの馴染みが浅い国です。日本が暮らしの中の“時間に対する価値”を見出した国になっていくと、もっと豊かな国になっていくのではないでしょうか」

ロストアンドファウンド　愛知ショールーム

■ 住宅に対する考え方や価値観が変化している今、暮らしに意識を向ける人が増えていく

Q.私たちの暮らしにも急速な変化が起きています。『コロナ禍の暮らし』に対してはどのように感じていますか？

LOST+FOUND 植松

「この一年でわかった事は、都会でしかできないと思っていた仕事は田舎でもできるという事です。優先順位も大きく変わりました。通勤１時間以内の中で生活することが基本ルールだったものが、郊外や県外、あるいは島でも仕事は成立すると、コロナ禍を通して多くの人が悟りました。

住宅に対する価値の考え方や、お金の使い方の基準までも変化しています。『暮らし』というものが、現在の居住地を基準に考えるものではなくなった分、より『暮らし』に意識を向ける人が増えていくようになるのではないでしょうか」

Q.最後に。住宅を建てる側であるビルダーとして、今後のビジョンがあれば教えてください

LOST+FOUND 植松

「寿命100年時代とされる日本において、ビルダーは行動しているか？とは、常々問いかけていることです。未来がどうなるかわからない中で、我々ビルダーが変身変化していく意識をどれだけ持てるか。

住まう人の価値観が刻々と変化している中において、家づくりに携わる大工さんや職人さんの経験を尊重するのはもちろんですが、経験や固定観念がある事で、施工や部材開発の発展のネックになってしまう現実は避けたいものです。

時代の潮流を見ながら、マーケットに対応した家づくりをすべきだと思っています。結果、日本の誇れる技術である大工や左官の仕事を増やすことにも繋がるのではないでしょうか」

casa 佐藤

「我々カーサプロジェクトも、創業当初から規格住宅を通して問題提起をしつづけてきましたので、植松社長の考えに共感できます。


『rozzo style』 は規格住宅に限らず、注文住宅やリノベーションなどあらゆる空間で利用できるサービスです。住まい手の機能的な満足はもちろんカバーしながらも、情緒的な満足を提供できるものになると思っています。

人々がもっと“自分らしさ”のある暮らしに目を向けていけるようになると、植松さんのおっしゃる日本版ヒュッゲのような豊かな暮らしが実現できると思います。住まい方、暮らし方の価値観が変わってきている今こそ『rozzo style』のスタイル提案の良さをちゃんと伝えていきたいですね」

『遺失物取扱所』には、どこかに置き忘れてきた“かつての憧れの暮らし”が届けられているのに、その存在を思い出さないことには足を運ぶことすらしないのかもしれません。

年齢や住まいの形態にとらわれず、『rozzo style』が“憧れの暮らし”を思い起こすための呼び水になって欲しいと二人は語ります。押し付けではない、住まう人の思いを尊重した“暮らし方の提案”というスタイルに、自分自身の“憧れの暮らし”が何であったか、あらたに思いを巡らせたインタビューとなりました。

■ casa rozzo イメージムービー「グランデブル」

『rozzo style』が反映された規格住宅『casa rozzo』イメージムービー。

自由と海が似合う暮らしをイメージした「グランデブル」は、サーフィンや海などラフに気軽に仲間と楽しむスタイルです。

イメージムービーには、プロサーファーの瀬筒雄太さんファミリーにご登場いただきました。ご主人のライフワークであるサーフィンの道具を中心に、奥様やお子様の時間が心地よく流れる『rozzo style』です。