応募した会社の最終面接で

「実は内定ではなく、開業資金がほしいんです」

とプレゼンし出す、そんな資金調達が許されるのでしょうか？

しかし、それを実践した起業家がいました。

後に株式会社シニアジョブの代表取締役となる中島康恵（なかじまやすよし）です。

それだけでなく中島は、有名大学の講義に潜入して創業メンバーを集めるなど、独特で破天荒な手法を駆使し、起業を成功させ、途中でシニア層に特化した転職・再就職支援サービスへと業態変更し、最大で売上前年比300%に達する大きな成長を続ける企業を作りました。

個性的でドラマチックな中島の創業ストーリーをご紹介します。

◆株式会社シニアジョブ　代表取締役　中島 康恵 （なかじま やすよし）

1991年、茨城県に生まれる。少年〜学生時代はサッカーに打ち込み、J1のユースチームで活躍。大学4年生の時、自力で出資者と仲間を見つけて起業。翌2014年8月、株式会社シニアジョブの前身となる会社を登記。2016年よりシニア転職支援を手掛け社名を変更。売上前年比が最高で300％に及ぶ成長を続け、現在に至る。

サッカーにすべてを捧げた少年時代

中島は大学に入るまで、サッカー一筋の半生を歩んできました。

柏レイソルのユースに所属し、高校ではインターハイ出場を果たします。

大学もサッカーでの推薦で強豪校である国士舘大学に進みました。

茨城県ひたちなか市出身で、柏レイソルのユースに所属した中学時代は、千葉県柏市まで2時間以上かけて通学。

宿題・勉強はすべて電車内でやるなど、ほとんどすべての時間をサッカーに賭け、プロサッカー選手になることしか考えない生活を送りました。

しかし、常に全力、常に限界までサッカーに力を注いだ中島のチャレンジは、大学一年に終わりを迎えます。

自分の限界を超える、チームメイトの高い実力を目の当たりにし、自身の努力ではチームメイトを超えられないと悟った中島は、サッカーを辞める決意をしました。

「努力をし続ければ乗り越えられることにチャレンジしたいと思いました」

どれだけ努力をしてもピッチにすら立てない、体格差にも左右される、そうした要素も大きいスポーツではなく、中島が新たなフィールドを探し始めた瞬間でした。

挫折、そして未来を創るビジネスを目指して

人生の目標だったサッカーと決別した中島でしたが、すんなりと起業を次の目標に据えたわけではありませんでした。

しかし、やがて中島の心中にビジネスと経営者への道が浮かぶようになります。

この時、中島が自分自身に問いかけたものは二つ。

• 「自分は未来を創ることができるか？」
• 「自分は社会課題を解決できるか？」

お金を稼ぐことは大切だが、誰もがお金を稼ぐ中、それだけではトップを目指せない。

未来を大きく変えるようなチャレンジが必要で、そのためには単なる市場のニーズではなく、社会のニーズを見据える必要があるのではないか？

中島は徐々にこうした考えを固めていきましたが、合理的な手順として、起業ではなくどこかの会社にまず就職してビジネスを究めていくことも考えており、同期たちと同じように就職活動もしてみました。

しかし結局、「この会社で自分は未来を創る！」という会社には出会えなかったのです。

もはや自分で起業するしかないと思った時、もっとも重要なものは開業資金でした。

そこで中島は、直前までやっていた就職活動を継続し、社長面接まで進んで、そこで「お金を持っているであろう」社長に事業計画をプレゼンして資金提供を依頼する手法を思いつきました。

社長面接で資金調達、東大潜入で創業メンバー確保

「当時は、すごい方法を思いついた！これしかない！と思ったのですが、今、冷静に考えると随分と無茶ですね」

と中島が振り返るように、社長面接で開業資金を得る戦法は苦戦。

15社で失敗し、警備員を呼ばれて追い出されたことまでありました。

しかし、15社の面接経験で中島は、「どんなに事業計画を練っても、未経験の自分のプランは既にベテランの経営者には稚拙にしか映らない。ならばプランではなく、自分の熱量をアピールし、信頼してもらうしかないのではないか？」と考えるようになりました。

そして臨んだ16社目。

訝しむような経営者の眼差しが、いつしか中島自身への興味へと変わり、中島は自身の想定よりも大きい開業資金の出資を得ることに成功したのです。

この時点で中島は「ITで社会課題を解決する」ことを目指していました。

これまで解決できていない社会課題でも、最新のITを活用すれば突破口が開く。

そう信じていた中島ですが、情報工学を学んだわけではない自身の力のみでは難しいことを理解していました。

そんな中島が選んだ次の手法は、有名大学への潜入でした。

東大、早慶、関東にあり偏差値が高いと言われる大学の講義や食堂などに、中島は潜り込んでいったのです。

オフィス兼住居の四畳半で「皆を幸せにする！」と誓う

メガネをかけている学生は頭がいいだろう、という無茶苦茶な論理と勘だけを頼りに学生にさりげなく声をかけ、仲良くなり、最後は既に相手が内定を得ていても説得して辞退してもらい、自身を含めて4名の創業メンバーを確保しました。

こうして中島のビジネスがスタートしたのは2013年、中島が大学4年生の年の暮れでした。

最初のオフィスは、住居を兼ねた四畳半のアパート。

冬の寒さが身に染みる狭い一室で、中島は創業メンバーを前にこんな話をしました。

「大手の内定を辞退して、この部屋のように何もない、すべてこれからの事業に賭けてくれてありがとう。不安もあるだろうし、不自由も多いかもしれない。しかし、自分はみんなを必ず幸せにする！　この決断を後悔しない、しっかりと胸を張れる会社を必ずつくる！　その日までみんなで頑張っていこう！」

時を経て、現在新たに入社する社員にも、中島は同じような話をしています。

未来の可能性だけを信じて、中島のビジネスが動き出した瞬間でした。

翌2014年、中島たちは大学を卒業し、8月にはシニアジョブの前身となる会社が登記されました。

まったく売れないIT事業からシニア転職支援へ

最初に中島が手掛けたビジネスは、現在のシニア転職・再就職支援ではありませんでした。

税理士事務所向けにクラウド対応の顧客管理・営業支援システムを開発・販売していたのですが、まったくと言っていいほど売れませんでした。

「今思えばニーズからかなりズレていましたね。現在でも税理士事務所には顧客管理・営業に課題があるところが多いですが、税理士事務所とその顧客の関係上、もっとも必要なものは、クラウド対応の会計ソフトでした」

と、今でこそ中島は当時を笑顔で振り返りますが、身を張って獲得した開業資金が底をつく寸前でした。

しかしその時、大きな転機が中島に訪れました。

営業先の税理士事務所から「システムじゃなく人材がほしい。若手じゃなく高齢者の人材がほしい」との話があったのです。

実家が建設会社で、60を過ぎた父が普通に現役として現場へ出ていた中島は、もともと年齢だけで働けないというシニアの就職難に違和感を持っていましたが、この税理士の言葉で確信しました。

シニア人材を欲している企業もある。

つまり、シニアの働き口がないのではなく、働き口に巡り会えずにいるのだ、と。

シニアの涙にもらい泣き、シニア支援に人生を賭ける決意

中島は市場調査を開始し、日本は世界トップクラスの高齢化大国であり、世界トップクラスの人材会社数を誇るにも関わらず、シニアを専門に支援する人材会社がほとんどないことを知り、迷わずシニア転職・再就職支援事業に業態変更しました。

ノウハウも経験もない中でしたが、それまでのIT会社の轍を踏まぬよう、社員全員で巣鴨や三軒茶屋に繰り出し、シニアに直接声をかけては、生の声に耳を傾けました。

「しかし、シニアの転職支援を始めた時はまだ、お金儲けのチャンスという感覚でした。それが変わったのはシニア求職者の涙に接した時です。私は、就職難で涙するシニアをゼロにしたい、自分の一生を賭けてその事業をやりきりたいと思うようになりました」

こう中島が語るように、年齢だけを理由に、それまでの貢献に手の平を返したような扱いを受け、家のローンも残り、孫にお年玉もあげられないと涙したシニアの言葉にもらい泣きした中島は、シニア求職者を第一に考えて営業ノルマなどを課さないスタイルを確立。

2016年には社名を「シニアジョブ」に変更し、事業を完全にシニア転職支援へと転換しました。

その後のシニアジョブは、一貫して成長を続け、最大で売上前年比300%を達成しています。

プロサッカー選手の夢を諦め、「未来を創る」「社会課題を解決する」というテーマを模索し続けた中島康恵が巡り合ったシニア転職・再就職支援ビジネス。

それはまさしく眼前に広がる社会課題を解決し、今までとは違う未来を創るビジネスでした。

まだまだ希望するシニアがすべて転職できる未来への道のりは遠いのですが、シニアジョブはその未来を目指して今後も努力を続けていきます。

転職・再就職をお考えのシニアの方のお問い合わせ・求人応募は、下記よりお願いいたします。

https://senior-job.co.jp/

会社概要

社名　：　株式会社 シニアジョブ

代表　： 代表取締役 中島 康恵

本社　：　東京都新宿区大久保1-14-15　三辰ビル7F TEL　：　03-6908-9822

URL ：　https://corp.senior-job.co.jp/

事業内容　：　シニアの人材ビジネス提供

お問い合わせ先

株式会社シニアジョブ　広報部　安彦（あびこ）

TEL：080-4107-5851 e-mail：m-abiko@senior-job.co.jp