コロナ禍に開発をスタート。名鉄協商が培ったノウハウを詰め込んだ地物管理システム『our search（アワーサーチ）』の開発秘話

開発秘話

2023年8月21日 10時00分名鉄協商株式会社

名鉄協商株式会社は名鉄グループの総合商社として、各種商品販売、モビリティ事業、パーキング事業、不動産事業などを多⽅⾯に展開しています。

この度、「成長する企業のための手軽なＤＸ」をコンセプトに展開するITソリューション『our series（アワーシリーズ）』の新たなラインナップとして、地物管理システム『our search（アワーサーチ）』の販売を開始しました。

『our search（アワーサーチ）』は、名鉄協商パーキングをはじめとするロケーションビジネスを行う当社が、実務で活用してきた物件管理地図システムをパッケージ化したものです。

地図ソフト上で、案件情報から顧客情報、対応履歴、現場写真や契約書等のデータファイルまで、それぞれの地点に関連する情報をメンバー間でリアルタイムに登録・閲覧・管理できるクラウドサービスで、企業の営業活動はもちろん、災害など緊急時の被害状況の共有など、さまざまな用途で活用いただけます。

本ストーリーでは、コロナ禍の影響もあり開発に3年を要した『our search（アワーサーチ）』開発の裏側について開発チームのメンバーがお話しいたします。

左から安井⼤晶（やすいひろあき）、前川豊純（まえかわあつよし）、⼩林道⼦（こばやしみちこ）、東野克⺒（ひがしのかつみ）、花⽥聡（はなださとし）、伊藤稔弘（いとうとしひろ）

レンタカーサービスから始まり、時代のニーズを一つずつ形にしてきた名鉄協商

1971年、名鉄協商はニッポンレンタカーサービスのフランチャイジー「ニッポンレンタカー中部株式会社」として産声を上げました。モータリゼーションの進展を背景に事業を拡大し、社名を名鉄協商に変更。商事部門のほかパーキング、カーリース事業、不動産賃貸業を展開してきました。

以来、長年にわたり業績を伸ばしつつ、時代のニーズに対応する新規事業にも積極的に取り組んできました。関東・関西にも事業エリアを拡大し、近年ではカーシェアやシェアサイクル、ベーカリーなど新たな領域を広げています。

成長する企業のための手軽なDXをコンセプトに開発した『our series（アワーシリーズ）』

2023年2⽉、同社が展開する IT ソリューション『our series（アワーシリーズ）』に、新たなラインナップ『our search（アワーサーチ）』が加わりました。

『our series（アワーシリーズ）』とは、”成⻑する企業のための⼿軽なDX”をコンセプトに展開しているサービスで、これまでに、名刺を電⼦管理する『Our Card（アワーカード）』、⾮接触型受付システム『OUR RECEPTION（アワーレセプション）』、情報共有グループウェア『アワーオフィス』、営業⽀援ソフト『アワーセールス』をリリースしています。

自社で使用していたパーキング事業を支援するためのシステムを汎用化し、一般向けにリリースすることを決める

名鉄協商といえばパーキング事業のイメージが強いですが、実はこうしたIT関連の企画開発やソリューションを提供できる体制が社内に整っているのも強みの⼀つです。今回新たに誕⽣した『our search（アワーサーチ）』は、もともとは⾃社のパーキング事業のために開発・利⽤されていたものでしたが、営業活動において業務効率の向上効果があったことから⼀般向けのリリースを決定しました。⾃社が培ってきた営業⼿法とノウハウを詰め込んだ⾃信作です。

『our search（アワーサーチ）』のメイン機能は、地図上の任意の地点にテキスト情報や画像を登録して、スマホやタブレット、PCからリアルタイムで管理・共有ができること。地図上で場所を把握するだけでなく、現場の状況がわかる写真や契約書・図面のデータファイルを登録したり、や営業履歴なども残しておけるため、⾃動販売機や看板の設置会社、ゼネコンや施⼯会社、多店舗経営の店、⾶び込み・ルート・エリア営業を⾏っている企業、また災害時情報を提供する⾃治体などでの活⽤と、⾮常に幅広い業種の方にご利用いただけます。

左：アワーサーチのパンフレット／右：アワーサーチの地図画⾯

『our search（アワーサーチ）』の開発から販売に取り組むプロジェクトの総括を担当した執⾏役員の花⽥は

「駐⾞場新規開発の市場調査管理業務で、昔は紙の地図を持ち歩いていましたが、デジタルマップ管理になって驚くほどスムーズになりました。この画期的なシステムを多くの⽅に使ってもらえるのではないかと思ったのが開発のきっかけです」

と語ります。実現すればこれまでのシリーズをしのぐサービスになるという確信を胸に、社内のエキスパートを集めたドリームチームが2021年に結成されました。

執⾏役員：花⽥

コロナ禍にスタートし、オンライン上で試行錯誤を繰り返したシステム開発

前⾝の社内向けシステム開発にも携わったITソリューション開発室⻑の安井は、これまでの経験を⽣かして要件定義から開発、検証まで多岐にわたり参加しました。「コロナ禍で、ほとんどの⼯程をオンラインで進⾏しなくてはならず、その点は苦戦した」と振り返ります。

ITソリューション開発室⻑：安井

⾮対⾯のため画⾯上で伝え切れないもどかしさや意思疎通の難しさは、外部の協⼒会社との窓⼝を担ったビジネスイノベーション開発室⻑の東野も感じていました。「汎⽤性のあるシステムを⽬指しているけれど、業界ごとに決まった仕様や定義があるわけではなく、⽐較できる類似商品もないため、出来上がりのイメージを伝えるのに苦労した。」と話します。社内外で試⾏錯誤を繰り返しながら、全員で理想のシステムを追求し続けました。

ビジネスイノベーション開発室長：東野

プロジェクトと並⾏して、特許や商標などの申請を進めていたのがパーキングIT開発室⻑の前川です。「これまでのアワーシリーズで特許取得に挑戦したケースはなく、私も分野外の経験でした。書類の差し戻しや修正などもありながら3年掛かりました」と、搭載された機能の⼀つが特許を取得したことを喜びました。

パーキングIT開発室⻑：前川

2023年2月にリリースし、認知度を向上させるための営業やマーケティングを実施

さまざまなアイデアの検証を繰り返し⾏い、ついに2023年 2⽉1⽇『our search（アワーサーチ）』が正式リリースされました。直後には展⽰会にも出展し、チーム全員がブースに⽴って接客や説明を⾏い、幅広い業界の方に商品の魅力をお伝えしました。営業を担当する IT営業部⻑の伊藤は「お客さまによって導⼊イメージや活⽤⽅法が異なるため、新鮮な反応をいただくだけでも営業のヒントになります。より多くの⽅に使っていただいて、⽇々の仕事がガラッと変わる驚きを実感していただきたいです」と力を込めて話します。

IT営業部⻑：伊藤

また現在、販促物やPRに奔⾛しているのがデジタルマーケティング室⻑の⼩林です。「今後は、既存シリーズの利⽤者へのアプローチや、ウェブサイトにおいて検索上位に表⽰される取り組みなどを強化していく予定です。他にないシステムなので、まずは認知していただくための仕掛けが必要だと考えています」と、競合がないからこその難しさを課題に挙げた。

デジタルマーケティング室⻑：⼩林

地図情報の活⽤に絞ったシンプル機能なのに、使い⽅は無限⼤

営業⽀援システムは、多機能になればなるほど複雑かつ⾼額になり「導⼊してみたけれど使いこなせない」という声も多いですが、『our search（アワーサーチ）』は、マップ上での情報管理・共有というシンプルさにこだわっています。そのため、多くの現場のビジネスパーソンを効率化へと導くことが可能です。

訪問先住所をエクセルなどのリストで管理するより、マップと連携させることでその場所がピン留めされて視覚的に分かりやすくなります。すでにグーグルマップなどを利⽤している場合でも、『our search（アワーサーチ）』なら取引先や営業先情報やその営業履歴をテキストや写真で⼊⼒できるだけでなく、作図機能により、⾃由な線を引いて「営業不可エリア・営業強化エリア」などを指定することも可能です。さらに、⼀つの契約で社内外問わず50ユーザーまでが利⽤可能となり、ユーザー全てがリアルタイムに情報共有できるというから、活⽤幅は⼤きく広がります。

プロジェクトを率いた花⽥さんが「⻑年温めてきたものがやっと世に出せたのがとてもうれしい」と⽬を細めると、チーム全員がうなずきました。アプリやシステムが膨⼤に溢れるこの時代、ありそうでなかった機能だけを兼ね備えた『our search（アワーサーチ）』を、今後ますます研ぎ澄まし、さまざまなニーズに応えることができるシステムへしたいと考えています。