抗ウイルス効果もある「和紙のやさしさマスク」。土に還るマスクへのこだわりとは。

開発の裏側

2021年6月15日 08時30分株式会社キュアテックス

2007年11月に和紙繊維事業を中心に創業した株式会社キュアテックス（以下、キュアテックス）。なぜ和紙繊維を使用したマスクを製作することになったのか、開発を担当した和紙繊維事業部ファッション営業グループのシニアマネージャー・歳川真輝に、広報担当・安田がインタビューしました。

ー自社でマスクを製作した経緯を教えてください。

2020年頭から世界中を震撼させている新型コロナウイルス。キュアテックスではそれまでマスクを扱っていませんでしたが、マスク不足解消のために自社で何かできることはないかと考え、取り急ぎその当時あった生地を使用したマスクを企画開発しました。通常、企画から販売までに4,5か月くらい要しますが、マスク不足にいち早く対応したいという思いから、最初に開発したマスクは半月で仕上げました。

ー通常よりとても早いですね。現在販売しているマスクの先駆けとなるものでしょうか。

そうですね。まずはとにかくマスクがなくて困っている人たちに届けたいという思いのもと製作したので、今とは異なるタイプのマスクです。

そのマスクを発売したのが３月だったのですが、夏になったら暑くてつけるのが苦しくなってしまうだろうと考え、改良に改良を重ね、今の「和紙のやさしさマスク」を開発しました。

和紙のやさしさマスク

ー改良するうえで特に力を入れた点はなんでしょうか。

最初のマスクは当時工場にあった「和紙繊維と綿の混合生地」を取り急ぎ使用しましたが、世界的に供給が追い付いてきたため、新たに和紙繊維100%のとことんこだわったマスクを開発することにしました。

和紙繊維〈キュアテックス®〉自体、特に加工せずとも調湿性・抗菌性・消臭性があるため、和紙繊維のみで作った方がその効果をよりいっそう発揮できると考えたからです。

とはいえ「抗ウイルス性がないのなら現在の需要にはマッチしないのでは」とも考え、マスク製作の過程で検査に出したところ、抗ウイルス性があるという結果になり、改めて〈キュアテックス®〉の可能性を感じました。

そして、〈キュアテックス®〉は自然由来で且つ化学物質をつけずにこれだけの効能があるという強みを再認識し、“使い古したら土に還るマスク”のコンセプトが決定したのです。

ー土に還るとなると、環境にとてもいいですよね。

コロナウイルスにより世界中の人々がマスクを使用していく中で、不織布マスクによる環境破壊が問題になりました。ひとだけでなく環境にもやさしい製品を作りたいという思いがありますので、全て土に還る素材で作るということにこだわっています。和紙繊維〈キュアテックス®〉は生分解の速度が速く、土に埋めればおよそ３か月ほどで自然に還ります。ゴム紐や刺繍糸まで全て土に還る素材のため、切り取る必要もありませんから、お客様の手間はかかりません。このサステナブルなマスクを使うことで、皆さん気軽にエシカルな暮らしを始めていただけます。

ー現在マスクにたくさんのいろどりがありますが、カラー展開するうえで気を付けた点や、思いなどはありますか。

マスクが広く行き渡ると、皆さんマスクでおしゃれをするようになりました。そこでカラー展開を考えたのですが、“キュアテックスらしさ” を追求するならと環境に良い染物を採用するべきだと考え、〈のこり染め〉を行っている株式会社艶金にお声掛けをしてカラー展開することにしました。間伐材や実の搾りかすなどから色をもらい、植物の自然な色合いに染める、サステナブルな染色〈のこり染め〉。土に還る素材〈キュアテックス®〉にふさわしい、やさしい色合いが出来上がったと感じています。

現在「和紙のやさしさ〈いろどり〉マスク」は、さくら、ひのき、えごま、ほうれんそう、ブルーベリー、くり、と６色展開しています。春はさくらやほうれんそう、冬はくりやブルーベリーなど、季節に合わせた色合いや、その時の服装に合った色を使って、自然由来の色合いを楽しんでいただきたいです。

今後、色のバリエーションを増やすのもいいのではないかと考えています。