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プレスリリース発信文化の普及と発展を。可能性拡大に貢献した11社が決定|プレスリリースアワード2024レポート

プレスリリース発信文化の普及と発展を目的として始まった「プレスリリースアワード」。日本国内で1年の内(2024年度対象期間:2023年8月1日から2024年7月31日)に発表されたプレスリリースの中から、社会性・公共性・共感性・将来性等の視点でプレスリリースの可能性の拡大に貢献したものを審査・選考します。

2024年10月28日には、プレスリリースの可能性拡大に貢献した企業と担当者を讃える授賞式兼発表会「プレスリリースアワード2024」が開催され、厳正な審査の末、11件のプレスリリースが各賞に選ばれました。本記事では、その受賞プレスリリースをまとめて振り返ります。

2024年度、過去最多2481件の応募から11社のプレスリリースが受賞

4回目の開催となる「プレスリリースアワード2024」は、総計2481件と過去最多のエントリーから各審査員による一次審査を経て79件が最終審査へコマを進め、最終審査会による議論の末、11社11件の受賞プレスリリースが決定。また、受賞した11件を含む最終審査に進出した77社79件のプレスリリースを「Best101」として発表しました。

「プレスリリースアワード2024」の部門賞は次の通りです。

  • イノベーティブ賞:既成概念に縛られず表現や用途をもっとも拡大したプレスリリースに贈る賞
  • インフルエンス賞:発信と活用により社内外へもっとも広く好意的な影響をもたらしたプレスリリースに贈る賞
  • ソーシャル賞:社会とのつながりを表現し深めることにもっとも貢献したプレスリリースに贈る賞
  • パブリック賞:情報の平等と信頼を実現することにもっとも忠実なプレスリリースに贈る賞
  • エンパシー賞:受け手の心を動かし共感を育むことでもっとも飛躍したプレスリリースに贈る賞
  • ヒューマン賞:プロダクトや社員、顧客に対する愛と情熱がもっとも感じられるプレスリリースに贈る賞
  • ストーリー賞:人に語りたくなるストーリーをもっとも有しているプレスリリースに贈る賞
  • ローカル賞:発信と活用により地元の魅力を内外へ広げることにもっとも貢献したプレスリリースに贈る賞
  • グレートステップ賞:覚悟を持って発信に挑戦し、もっとも飛躍したプレスリリースに贈る賞
  • 特別賞:上記賞(各部門賞)にあてはまらないが表彰したいプレスリリースや発表者の行動を讃える賞

「プレスリリースアワード2024年」11つの受賞作品

過去最大規模のエントリー数となった「プレスリリースアワード2024」。応募された1件1件のプレスリリースは、企業や担当者の発信に対する想いやこだわりを強く感じるものばかりでした。

社会課題の解消に取り組む企業ならではの情報発信

ソーシャル賞:株式会社ヘラルボニー

2024年1月1日に発生した能登半島地震の際、避難所などにおいて困難を抱える障害のある人たちのためのガイドラインや災害時に役立つ情報をまとめたWebサイトを開設し、同時に障害のある人のための災害情報を届ける活動「#障害者を消さない」をスタート。その取り組みを伝えるプレスリリースを地震発生からわずか2日で配信。そのプレスリリースは、社会的な存在意義に対する忠実な姿勢が高く評価され、「ソーシャル賞」を受賞しています。

【受賞理由】
同社の社会的な存在意義に忠実な姿勢を感じる。地震後の障がい者の方々を思って、まずは災害情報を届け、そして当事者の声を集める活動。引用されている当事者家族のコメントに胸が苦しくなる。シンプルでタイムリーだからこそ情報が強い意味と力を持ち、ここから始められることがあると信じられるプレスリリース。(審査員:三島 映拓 株式会社PR TIMES 広報PR管掌取締役)

ヒューマン賞:ピジョン株式会社

「赤ちゃんにとってもっとやさしい世界」の実現を目指し、口唇裂・口蓋裂や疾患などで哺乳が困難な赤ちゃんとご家族のために開発した哺乳器「ロングフィーダー」。単なる商品の紹介にとどまらず、当事者の心情に細やかに配慮しながら疾患に対する理解を促した内容が印象的なプレスリリースは、「ヒューマン賞」を受賞しました。

【受賞理由】
患者の画像を使うことがもっとも興味を喚起できるだろうと短絡的に考えてしまいがちですが、そこで一歩立ち止まり、当事者の心情を傷つけないような画像選びに何度も議論を重ねたという姿勢に、きちんと顧客に向き合う愛情を感じます。商品の説明も丁寧でわかりやすく、何をどの順番でどういうふうに伝えるか、そういった丁寧な編集も素晴らしかったです。(審査員:桜川 和樹 グローバル・ブレイン株式会社 Partner / Editor in Chief)

独自の視点で「誰かの社会課題」を身近な存在に

ローカル賞:飛騨県飛騨市

岐阜県飛騨市が取り組んだ思春期健診「ヒダ×10代ケンシン」。この全国的にも先進的な取り組み実施を伝えるプレスリリースは、受診する子どもたちや保護者の心理的ハードルを下げるために、全体の構成や動画の見せ方、わかりやすい言葉遣いなどが特に意識されていました。実際に健診を受診した子どもたちから「自身の思春期特有のこころやからだの状態を聞けて安心した」「人には話せないようなことも話せたのでとてもすっきりした」といった満足度の高い声が寄せられたこの取り組みに対するプレスリリースは「ローカル賞」を受賞しています。

【受賞理由】
事業内容がスッと頭に入りやすくなる、共感できるような内容となっています。動画も埋め込み、そこで丁寧に解説しているので、中身の濃いリリースだと感じました。地域のことを多くの人に知ってほしい!飛騨市のことをもっと広げたい!そんな想いが伝わるリリース。やはり自治体のPRの本質は「人」なんだと改めて感じる素敵なリリースでした。(審査員:佐久間 智之 PRDESIGN JAPAN株式会社)

パブリック賞:株式会社LIFULL

不動産ポータルサイト等に掲載されている入居募集広告のうち、「存在しない物件」や「存在するが取引対象にならない、あるいは取引の意思がない物件」を指す「おとり物件」。この問題に対する不動産会社の対応実態と生活者への認識調査を実施し、その結果をまとめた調査リリースは「パブリック賞」を受賞しました。

【受賞理由】
調査結果がわかりやすくまとめられ、情報伝達における視覚的表現も工夫されています。文末には責任者のコメントもついており、調査の趣旨や、目指すゴールなどが述べられているのも印象的でした。今回の調査とプレスリリースの公開を通じて、不動産業界全体への呼びかけとなり、「おとり物件」の改善に向けて、共通認識が深められることを、期待しています。(審査員:河 炅珍 國學院大學 観光まちづくり学部 准教授)

積極的な発信で地方から全国への認知拡大を実現

特別賞:株式会社岡崎竜城スイミングクラブ

愛知県岡崎市で50年の歴史を持つ株式会社岡崎竜城スイミングクラブはかつて、情報発信をしていなかったために、自社の取り組みが世の中に周知されるまでに時間がかかってしまった経験がありました。「水難訓練を当たり前に」という同社のミッション達成を目指し、この反省を生かして配信したインドでの水難訓練の実施を伝えるプレスリリースは「特別賞」を受賞しています

【受賞理由】
インド=泳げない国という意外性をフックにして目を引きながら、スイミングスクールによる水難訓練という真摯な取り組みと、その背景と意義をデータを用いながら余すところなく伝えている。水害にみまわれることが多い日本で蓄積されたノウハウを海外へ伝えていく覚悟と信念を感じさせるリリース。(審査員:勝俣 哲生 日経クロストレンド編集長)

ストーリー賞:株式会社七越製菓

今夏、日本を騒がせた「米不足問題」。埼玉県さいたま市に本社を構える株式会社七越製菓は、この難局を乗り越えるための施策として、看板商品である「手揚げもち」の発売25周年を記念した、「復刻版手揚げもちしょうゆ味」を期間限定で発売することを決め、同社にとって初めてとなるプレスリリースを配信しました。動画やモノクロ写真を効果的に用い、手づくりの心を大切にしながら味と製法にこだわった米菓をつくり続ける同社の想いが伝わるプレスリリースの構成が審査員にも評価され「ストーリー賞」を受賞しています。

【受賞理由】
冒頭の動画から始まり、創業当時を物語るモノクロ写真、このようなリリースは見たことがなく、ただただ圧倒されました。一つの創業物語を読んでいるようで、歴史と作り手の想い、こだわりなどがしっかりと伝わってきて、食べてみたいなと思わせる説得力があります。自社の商品への理解、それを知ってもらうための見せ方を考え抜いたことが伝わって来るリリースでした。(審査員:石﨑 寛明 小学館DIME編集長)

グレートステップ賞:有限会社稲垣塗装所

「仏壇の置き場所に困っている」「子どもに仏壇を引き継いで困らせたくない」「仏壇を処分した時の周りの目が気になる」など、「先祖の供養」に関する悩みを持つ方は多いのではないでしょうか。このセンシティブで話題にしにくい問題に正面から向き合い、大切な仏壇を残すための新たな解決策「結壇」を提案した有限会社稲垣塗装所。市場ニーズを把握するために実施した仏壇保有者を対象とするアンケート調査を活用したプレスリリースは、テレビ局や新聞社など地元を中心に多くのメディアで取り上げられました。事業規模に関わらず、信頼性を持って広範囲に情報を届けられる手段であることをあらためて感じられたこのプレスリリースは「グレートステップ賞」を受賞しています。

【受賞理由】
センシティブな話題だけに相談もしにくく、あまり顕在化していませんが、時代の変化や住まいの変化の中で仏壇の扱いに困っている人は多いと思います。今回のリリースでは仏壇メーカー自らがあえて仏壇を手放すという自社のビジネスを揺るがしかねない提案を行っているようでいて、きちんとしたデータの裏付けをもとに時代や住まいの変化など消費者のニーズに寄り添った新しい仏壇を提案しているリリースとしての完成度の高さに驚かせられました。仏壇に手を合わせる文化を守っていきたいという想いもしっかりと伝わって来るリリースだったと思います。(審査員:石﨑 寛明 小学館DIME編集長)

トレンドを取り入れながら世の中の課題解消を目指す

特別賞:株式会社永谷園ホールディングス

「お茶づけ海苔」をはじめ、数々のロングセラー商品を持つ株式会社永谷園ホールディングスは、今年6月にSNSを通じて「冷やし茶漬けに合いそうな冷たい飲みもの」を募集。850名以上から集まった60種類以上の飲みものが、実際に冷やし茶漬けに合うのかを社員自ら検証する企画を実施し、その結果を伝えるプレスリリースを配信しました。生活者との双方向の取り組みが狙いのこの企画。プレスリリース配信後は、メディア掲載を獲得するなど大きな反響を呼び、「特別賞」を受賞しています。

【受賞理由】
恐らく誰が読んでもクスッと笑ってしまう、楽しいリリースでした。60種類の飲み物を「実際に試してみた」という企画自体にも驚きがありますが、リリースとしても非常に優れていると思いました。タイトルの付け方、全体の構成、適度な分量、デザイン、写真の配置、カラーや太字を駆使したテキストなど、広報部の熱意とセンスが溢れています。顔写真入りの担当者のコメントで締めるなど、最後まで飽きさせずに読ませる工夫が盛り込まれていて、他の企業にも参考になるリリースだと思いました。(審査員:小林 史憲 テレビ東京 報道局「テレ東BIZ」編集長)

インフルエンス賞:株式会社ヤッホーブルーイング

「ビールに味を!人生に幸せを!」をミッションに掲げ、「よなよなエール」をはじめとしたクラフトビールを多数展開する株式会社ヤッホーブルーイング。今年7月に同社が配信した適正飲酒を実現する「飲みづらい」グラス、「ゆっくりビアグラス」の開発を伝えるプレスリリースは「インフルエンス賞」を受賞。昨年同賞を受賞した「卒乳祝い」のプレスリリースに続き、プレスリリースアワード初の連続受賞企業となりました。

参考:「卒乳祝い」などに2.6万件の応募。コアなファンを増やす企画づくりのポイント|株式会社ヤッホーブルーイング 北陸・甲信越の広報PR

「適正飲酒」をユーモラスに啓発するだけでなく、「ゆっくり飲むこと」の必要性と効用を明確にすることにこだわったというプレスリリースは配信後、転載も含めて合計328件のメディア掲載を獲得。アメリカやドイツなど7ヵ国の海外メディアでも合計18件報道され、世界的にも関心が寄せられているそうです。

【受賞理由】
適正飲酒の啓発のために「飲みづらい」グラスを開発したという取り組み自体も素晴らしいが、根拠となる意識調査のデータや、グラスの開発プロセス・こだわり、有識者のコメントによる期待効果など必要な情報が十分盛り込まれている。加えて、クラフトビール事業者である自社があえてこの取り組みを推進する理由や、これまでも一貫して適正飲酒の啓発に取り組んできた活動実績等もしっかり盛り込まれており、単なる表面的な話題作りのための打ち上げ花火施策ではない、企業としての本気度を感じた。(審査員:矢嶋 聡 株式会社はね 代表取締役)

「刺さる表現方法」で多くの共感と話題を集める

エンパシー賞:株式会社協和

ランドセルなどの製造を行う株式会社協和が2003年にスタートしたサービス「未来へつなぐタイムレター」。入学時に書いた手紙が1000日後に子どもたちのもとに届くというもので、心温まるサービスとして話題になりました。「なぜランドセルメーカーがこの取り組みを行うのか」「なぜ小学3年生に向けてなのか」といった疑問点を丁寧に解説することにこだわったというプレスリリースからは、ランドセルという商品を売りっぱなしにするのではなく、「お子さんを見守りたい」「成長を支援したい」という同社の想いが伝わり、「エンパシー賞」を受賞しています。

【受賞理由】
子どもの成長を優しく見守るかのようなサービスが狙いとともに紹介され、わかりやすい内容になっています。実際にこのタイムレターが絵本になったこともあり、サービスの枠組みを超えた広がりをみせています。(審査員:関根 和弘 朝日新聞GLOBE+編集長)

イノベーティブ賞:株式会社オレンジ

「すべてのマンガを、すべての言語に」をミッションに掲げ、マンガ翻訳事業や電子マンガストア事業を展開する、株式会社オレンジ。「マンガ」という表現方法を用いて資金調達のニュースを伝えた同社のプレスリリースは、堅苦しい内容を楽しく読みやすい形で伝えることに成功。既成概念に縛られず表現や用途を最も拡大したプレスリリースに贈られる「イノベーティブ賞」を受賞しています。日本が世界に誇る「マンガ」という文化を通じた豊かなエンタメ体験を次世代に残すことを目指す同社ならではの、斬新でユニークな手法が光るプレスリリースです。

【受賞理由】
漫画関連の事業について発表するリリースを、漫画を用いて表現してているのがユニークであり、リリースで指摘されている課題がわかりやすかったです。漫画が縦長で描かれており、多くがスマホで読まれるだろうという配慮もよかったと思います。(審査員:関根 和弘 朝日新聞GLOBE+編集長)

創意工夫を重ねたプレスリリースが世の中を変える一歩に

応募数過去最多となった「プレスリリースアワード2024」。受賞した11件のプレスリリースに共通するのは、自社のサービスや商品に誇りを持ち、その意義や想い、魅力を伝えるために創意工夫を重ねていたこと。プレスリリースを通して伝わるそうした努力や想いが、情報を受け取る人の心を揺さぶることもあるのではないでしょうか。

また、プレスリリースは単なるメディア向けの報道素材ではなく、今まで知らなかった社会課題やさまざまな立場の人がいることを私たちが学ぶきっかけにもなっています。プレスリリースというアウトプットが、行動変容を促すきっかけとなり、ひいては世の中を変える一歩になり得ることに、プレスリリースの可能性をあらためて感じました。

各社担当者の方からのコメントもぜひご覧ください。

記事内の受賞理由は、プレスリリースより引用しています。
引用:過去最高2481件の応募から11件の受賞プレスリリースが決定。プレスリリースアワード2024受賞企業とBest101を発表

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この記事のライター

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『PR TIMES MAGAZINE』は、プレスリリース配信サービス「PR TIMES」等を運営する株式会社 PR TIMESのオウンドメディアです。日々多数のプレスリリースを目にし、広報・PR担当者と密に関わっている編集部メンバーが監修、編集、執筆を担当しています。

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