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表面的なこだわりを捨て、自分の言葉で伝えることがメディアと生活者に届く|青木被服株式会社

国産デニム発祥の地と言われる岡山県で、60年以上の歴史をもつ青木被服株式会社。子ども・婦人向けジーンズ、ユニフォームのOEM生産が主だった同社ですが、現在は、自社ブランドを立ち上げ、岡山から日本全国、海外15カ国に展開し、多くのファンをもつ企業に。

自社ブランドを立ち上げるきっかけとなった、専務取締役の青木俊樹さんにお話を伺いました。

大手アパレルメーカーに入社し、生産管理に従事していた青木さん。周りのデザイナーが絵を描いたり、パタンナーがトワルをかけたりする姿を目にしていたこともあり、日に日にデザインを企画することに興味を持ったそうです。そして、「初めてちゃんとファッションショーというものを見たとき、すごく心を動かされたというか、感動して。洋服の力ってすごいなあ、と感じた」そう当時のことを教えてくれました。その後、上司に相談、パタンナーの方にアドバイスをもらい、ロンドンカルチュアオブファッションというカレッジでデザインをあらためて勉強することを決意。3年半以上勤めた会社を退社、そして留学しました。

現在、青木さんはどのような想いでデニムに向き合い、その想いを届けているのでしょうか。

青木被服株式会社(岡山県井原市):最新のプレスリリースはこちら

青木被服株式会社 専務取締役

青木俊樹(Aoki Toshiki)

岡山県井原市出身。関西外国語大学卒業後、大手アパレル勤務。その後渡英しロンドン芸術大学に留学。在学中、2010年に自身のブランド「FAGASSENT/ファガッセン」を立ち上げヨーロッパを中心にデニム主軸のコレクション展開をスタート。長渕剛 /稲葉浩志(B’z)/TAKA(ONE OK ROCK)等のステージ衣装を手がける一方、「青木被服」オリジナルラインでは地元岡山企業とのコラボレーションを強化中。

複数のブランド、届けたい相手に向けた訴求

表面的なこだわりは、あえて捨てる

── 複数のブランドを展開されている分、訴求したい方が異なると思いますが、工夫していることはありますか。

まさに、課題に感じている部分で……。

ハードなブランド「FAGASSENT(ファガッセン)」をやっている僕が、倉敷SOLAの店頭でトートバッグを販売することがあるんですよね。少し前までは、こだわりがあって、ハードな自分のブランディングが最優先でした。そうでないと、印象が薄れてしまうのではないか、と考えていたんです。

しかし最近は、「青木被服」「DENIM KIMONO」「FAGASSENT」すべてのブランドの監修者という意識が強くなり、表面的なこだわりを捨てるように心がけています。お客さまから「どのように見えるのかなあ」と、不安は正直あって100%の答えは出ていないんですけどね。

青木被服株式会社さま提供写真
青木被服株式会社さまより写真提供

自分の言葉で伝えることで深みを

── 広報PR活動はどのような体制で行われているのでしょうか。

僕がプレスリリースをすべて書いていて、広報PRはひとりないし二人……という感じです。過去にプレスリリースを書いてもらったことがあったのですが、どうしても自分で書いた方が納得できるものになる。これまでの経験やデニムに関する知識がある分、深みがある文章になると思うんですよね。

一方で、発信していきたいことが多くなっていることもあり、今の体制では間に合わないことも多くなってきています。今は、僕が内容を考えて、文章にするところまですべて行っていますが、僕の知識やこだわりは入れつつ、うまく文章にしていくことを考えないといけない、と思っています。

受け手を絞らず、訴求を変える

── 岡山の方に対する発信と日本全国、そして海外の方に対する発信で意識的に変えていることはありますか。

いえ、特に岡山だから、という意識はほとんどないですね。ただ、ひとつ思うのは誰が見てもわかる表現で発信したいと思っています。例えば、「岡山デニム」「倉敷デニム」「井原デニム」など、いくつか表現がありますが、受け手にとってはわかりづらいと感じていて。もっとも知られている地域名が岡山なのであれば、「岡山デニム」に統一したらいい、というのが僕の考えです。細かいことを表現することで、よくない意味で地場臭さが出るんですよね。僕のホームタウンは岡山県井原市ですが、「井原デニム」の表現を意識しておらず、発信する際はできる限り「岡山デニム」に統一しています。

── 確かに、受けとる相手によって、もっている情報や知識も異なりますよね。

そうなんですよ。地域性もそうですが、ジーパンが好きという方には、「井原デニムのここが違うんですよ」など、いろいろとお伝えしますが、それをプレスリリースで細かく書くのは少し違うかな、と思っていて。「なるほどね」という新しい気づきになることはあると思いますが、それが相手が求めていることか、面白いと思ってくれるかは別かな、と。

── 好きな方からすると、どこまでも知りたいし、過去のストーリーを見たいのではないでしょうか。

専門メディアの関係者など、興味・関心が深い方から反響があった際のコミュニケーションはポイントになりますね。連絡をいただいた際に「結局あまりわかってない」「プレスリリースを書いている人と違う」と思われてしまうと、せっかくの機会を逃してしまうので。

だからこそ、当事者がある程度プレスリリースを書いたほうがメディアの方ともやり取りが円滑に進むと思います。あと、取材のときに結構喜ばれることがあって、記者の方から、「青木さんなら安心して取材できる」「スムーズに進めることができる」とお声をいただくこともあるんですよ。

次々に企画が生まれる理由

環境の変化で生まれたコラボ企画

── 観光客が多いお店では、コロナの影響が大きかったのではないでしょうか。

今もですが、東京の感染者数の報道には影響されますね。「倉敷SOLA店」オープン直後のゴールデンウィークは盛況でしたが、その後関西や関東からのお客さまは大きく減少したり。

── そんな中、コロナ禍で取り組まれたことを教えていただけますでしょうか。

在宅時間が増えた方に向けて、家で楽しむゲーミングファッションを展開しました。eスポーツの話題をよく目にするようになり、私たちもなにかできないかと思い、地元のスポーツクラブとコラボレーションして。

また、家でもアートを楽しんでいただきたいと思い、大原美術館さんと一緒に絵画をそのままジャガードに落とし込んだランチョンマットを制作したりもしましたね。

参考:大原美術館 所蔵絵画がデニム地に宿る!名画をデニムで織り上げたジャガード織のテーブルマットが完成。

ひとつのコラボから、新たな縁

── コラボ展開のことをプレスリリース発表されていますが、反響はありましたか。

メディア関係者に届き、その先の生活者の方にも届けられたと思います。

コラボの発表だけではないですが、岡山県内の企業とのご縁につながったこともあります。例えば、大手まんぢゅう(大手饅頭伊部屋)の常務とは倉敷SOLAの店舗が近くに出店したことをきっかけにお会いしたのですが、「青木さんって最近ネットで見るんですよ」と言っていただいて。僕のことを知っていただいているので、話がスムーズに進んだんですよね。これもプレスリリースをはじめ、発信を強化したことでメディアに取り上げていただく、といういい流れを実感しています。

青木被服が狙う、新しいポジション

── 新しい企画に取り組まれているのはなぜでしょうか。

岡山に土臭さで責めているブランドは結構あって、すでに活躍されています。僕たちがわざわざそのフィールドに入っても茨の道になるな、と思ったんですよね。それであれば、ラグジュアリー感だったり、リュクスな雰囲気や価値を感じてもらえるもので、新しいポジションを築けたらいいな、と。

青木被服株式会社

製品・作品の印象やお客さまの層が全く異なるブランドを複数展開する青木被服。その監修を一手に担う青木さんは現在の立場を考えたときに、「表面的なこだわりを捨てるように心がけている」と話してくれました。

一方で、プレスリリースは、ご自身がこだわって執筆。自分の言葉で伝えているからこそ、メディアの人の目に留まり、取材につながる。細かい表現を避けるなど、受け手を絞らない発信をすることで広く愛される。それらを続けていることで、新しい縁にもつながる。青木さんの言う、「いい流れ」になっているのではないでしょうか。

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この記事のライター

丸花 由加里

丸花 由加里

PR TIMES MAGAZINE編集長。2021年、PR TIMESに入社し、「PR TIMES MAGAZINE」、ご利用企業向けのコミュニティイベント「PR TIMESカレッジ」の企画・運営を行う。2009年に新卒入社した大手インターネットサービス運営会社では法人営業、営業マネージャーとして9年半、その後オウンドメディアの立ち上げに参画。Webコンテンツの企画や調査設計に携わる。メディアリレーションズを主とした広報を経て、現職。

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